相続の手続き費用の相場|誰が払う?専門家・自分で手続きした場合

相続の手続きにかかる費用は、自分で手続きを行うか、専門家に依頼するかどうかによっても大きく異なります。
相続でやるべきことは、財産や相続人の調査、遺産分割協議、財産の名義変更、相続税の納付など多岐にわたります。
自分で手続きを行う場合は、書類取得費用と手続きの申請にかかる費用だけで済みます。
しかし、相続でトラブルが起きる危険性や、手続きに不安な点がある場合は、専門家に相談・依頼するのが安心です。
この記事では、自分で手続きを行った場合と専門家に依頼した場合に、それぞれかかる費用と、相続手続きの流れなどをわかりやすく解説します。
目次
相続の手続きにかかる費用
相続の手続きにかかる費用には、書類取得費用、専門家に依頼した場合には依頼費用、そして税金がかかります。
以下では、相続の手続きにかかる費用をざっと紹介します。
書類取得費用
相続手続きでは、裁判所への書類申請や遺産の名義変更などに提出する書類の取得費用がかかります。
例えば、以下のような書類の取得費用がかかります。
書類名 | 内容 | 取得費用(目安) | 入手場所 |
戸籍謄本(全部事項証明書) | 被相続人(亡くなった人)や相続人の出席から死亡までを証明できる書類 | 450円/1通 | 本籍地の市区町村役場 |
法定相続情報一覧図 | 法務局に相続人の戸籍謄本や法定相続情報一覧図を提出することで得られる書面。戸籍謄本の代わりに使用可能 | 0円 | 法務局 |
除籍謄本・改製原戸籍 | 除籍謄本は、戸籍の中の人がいなくなった戸籍の写しのこと
法改正前の古い除籍謄本のことを改製原戸籍と呼ぶ |
750円/1通 | 本籍地の市区町村役場 |
戸籍の附票 | 戸籍から抜けて新しく戸籍が作成される際に作成されるもの
住所が記載される |
300円~400円/1通 | 本籍地の市区町村役場 |
住民票の除票 | 転出や死亡などにより削除された住民票のことで被相続人の最後の住所地を確認する | 300円/1通 | 住所地の市区町村役場 |
住民票の写し | 相続人の住所確認用 | 300円~400円/通 | 現住所の市区町村役場 |
印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書へ実印を押印したことの証明に必要 | 300円/1通 | 現住所の市区町村役場 |
これらの書類すべてを取得すると3,000円程度ですが、手続きで何度も必要となり、何通も発行してもらうと、費用はもっとかかります。
なお、法定相続情報一覧図があれば、戸籍謄本の代用として利用できるため、手続きの簡略化に加え、取得費用がかからない点でもおすすめです。
他にも、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼すれば、これらの必要書類を一括して取得してもらうことも可能です。

専門家に依頼した場合の費用
相続の手続きを専門家に依頼した場合には、依頼費用がかかります。さらに、専門家によっても、対応できる業務に違いがあります。
弁護士 | 司法書士 | 税理士 | 行政書士 | |
遺言検認の申し立て | 〇 | △ ※書類作成のみ |
× | × |
法定相続人調査(戸籍謄本などの収集) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続財産調査(残高証明書などの収集) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続放棄 | 〇 | △ ※書類作成のみ |
× | × |
遺産分割協議の交渉・相続人同士のトラブル解決 | 〇 | △ ※認定司法書士で140万円以下の争いであれば可 |
× | △ ※争いのない事案で書類作成のみなら可 |
遺産分割協議書の作成 | 〇 | △ ※遺産に不動産があり相続登記を行う場合は可 |
× | × |
不動産の名義変更(相続登記) | △ ※司法書士に依頼するケースが多い |
〇 | × | × |
相続税の申告 | △ ※税理士登録している弁護士なら可能 |
× | 〇 | × |
相続手続きにかかる費用相場 | 交渉の場合 着手金:10万円~30万円(もしくは請求金額の2%~8%) 報酬金:獲得金額の4%~16% |
相続手続き代行サービスの費用相場は20万円~ | 相続税申告の費用相場は遺産総額の0.5%~1% | 相続手続き代行サービスの費用相場は10万円~30万円 |
銀行や信託銀行にも、遺産整理として相続手続きを代行してくれるサービスがあり、費用の相場は110万円~とされています。手続きは提携している士業が行います。
税金関係
他にも、遺産が相続税の基礎控除額3,000+(600万円×法定相続人の数)を超えた場合は、超えた部分に対して、相続税の税率10%~55%が課税されます。
さらに、不動産を相続した場合は、不動産の名義変更に登録免許税という税金が課されます。登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。

遺産相続を自分で手続きした場合にかかる費用
相続の手続きにかかる費用は、手続きの内容によって異なります。
以下では、遺産相続を自分で手続きした場合にかかる費用を解説します。
死亡に伴う各種届出|申請費用はほとんどかからない
家族が亡くなった場合、以下のような手続きを行う必要があります。
- 死亡届の提出
- 健康保険・介護保険の資格喪失手続き
- 葬祭費・埋葬料の請求手続き
- 高額医療費の申請
- 年金受給停止手続き・未支給年金の請求手続き
- 死亡一時金・寡婦年金・遺族年金の請求手続き
- 障がい者手帳の返却
- 電気・ガス・水道・通信費など民間サービスの解約 など
死亡に伴う各種届出には費用はかかりません。
ただし、家族が亡くなった際は、死亡届の提出に、死亡診断書や死体検案書が必要です。
突然死や事故死で警察が検視を行った場合は死体検案書を発行してもらいます。
死亡診断書は3,000円~1万円程度、死体検案書は3万円~10万円程度です。
なお、葬儀の費用などが発生しますが、市区町村役場や健康保険組合、社会保険事務所に、葬祭費や埋葬料を請求可能です。

遺言書の確認|200円~1,700円
被相続人(亡くなった人のこと)が亡くなった後は、遺言書の有無を確認します。
遺言書には3種類ありますが、遺言書の種類によって保管場所が異なります。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
概要 | 遺言者が手書きで作成 | 公証人が作成 | 遺言者が作成し、公証役場で遺言書の存在のみ証明してもらう |
保管場所 | 本人もしくは法務局 | 公証役場 | 本人 |
検認の必要性 | 法務局保管の場合は不要 | 不要 | 必要 |
確認にかかる費用 | 閲覧請求:1,400円~1,700円 遺言書の確認に必要な遺言書保管事実証明書:800円/1通 相続手続きに必要な遺言書情報証明書の交付請求:1,400円/1通 |
遺言書を確認する原本の閲覧は1回200円 遺言書の謄本の交付は250円/1ページ |
なし |
法務局や公証役場で保管している場合は、確認や交付に費用がかかりますが、後述する検認は不要です。
遺言書の検認|950円~
自宅で自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した場合は、遺言者の最後の住所を管轄とする家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があります。
検認とは、家庭裁判所で相続人立ち会いのもとに遺言書を開封・確認を行い、遺言書の偽造などを防止するために行う手続きです。
検認の手続きにかかる費用はトータル950円程度ですが、別途必要書類の取得費用がかかります。
項目 | 内容 | 費用 |
検認申立書 | 検認の申し立て書 裁判所のホームページでダウンロードでして作成する |
なし |
収入印紙 | 検認手数料用の印紙 | 800円/1通 |
郵便切手 | 家庭裁判所からの通知用 | 各家庭裁判所によって異なる |
検認済証明書 | 検認の証明書の申請 | 収入印紙150円/1通 |
参考:遺言書の検認 – 裁判所
収入印紙は、手続きを行う裁判所で手数料を支払うために必要です。切手のようなもので、コンビニや郵便局などで購入できます。

相続財産・相続人の調査|書類取得費用
遺産分割を行うには、相続財産と相続人の調査が必要です。
相続財産の調査では、以下のような書類を取得して、財産を確認します。
- 預金通帳
- 不動産の権利証
- 固定資産税評価証明書
- 固定資産課税台帳(名寄帳)
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 保険証券、保険会社からの通知
- 賃貸借契約書、残高証明書、請求書、督促状、 など
さらに、相続人の調査も必要です。
相続人の調査では、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
財産や相続人の調査では、登記事項証明書や戸籍の取得費用がかかります。

相続放棄の手続き|950円~
相続財産に借金などが多く、相続を放棄したい場合は、被相続人の最後の住所を管轄とする家庭裁判所で相続放棄の申述を行う必要があります。
相続放棄の申述にかかる費用は、申し立てる人1人あたり800円で、相続放棄の証明書である相続放棄受理証明書がほしい場合は、150円かかります。
ほかにも、別途申し立ての必要書類の取得費用がかかります。
項目 | 内容 | 費用 |
相続放棄の申述書 | 相続放棄の申し立てに必要な書類 裁判所のホームページでダウンロードでして作成する |
なし |
収入印紙 | 相続放棄申述の手数料の印紙 | 800円/申し立てる人1人につき |
郵便切手 | 家庭裁判所からの通知用 | 各家庭裁判所によって異なる |
相続放棄受理証明書 | 検認の証明書の申請 | 収入印紙150円/1通 |
相続放棄受理証明書を発行してもらうことで、被相続人の借り入れ先から取り立てが来ても、支払い義務がないことを証明できます。
なお、相続放棄の申述は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。
早い段階で財産調査を行い、負債の有無を確認して、判断することが重要です。

遺産分割協議|費用負担なし
遺言書がない場合や、相続人が同意している場合は、遺産分割協議を行い、遺産の取り分を決められます。
相続人同士の話し合いで合意した内容は、遺産分割協議書を作成してまとめておきます。
相続人同士の話し合いによる合意や、自分で遺産分割協議書を作成すれば、費用はかかりません。
遺産分割協議書を公正証書にする場合は、取り決めの内容に応じた公証人手数料がかかります。
目的の価額(財産の価額) | 手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 1万1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万7,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 2万3,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 2万9,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 4万3,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3,000円に超過額5,000万円ごとに1万3,000円加算 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5,000円に超過額5,000万円ごとに1万1,000円加算 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に超過額5,000万円ごとに8,000円加算 |
参考:Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか? – 日本公証人連合会
なお、話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになります。

相続財産の名義変更|申請書類の取得費用程度
相続した財産は、名義変更が必要です。相続財産の名義変更には、以下の費用がかかります。
財産の種類 | 費用の概要 | 名義変更の申請先 |
預貯金 | 書類の取得費用のみ | 被相続人が利用していた金融機関 |
不動産(不動産の名義変更・相続登記) | 登録免許税:評価額の0.4% 必要書類の取得費用約3,000円 |
法務局 |
車 | 車庫証明手数料:2,500円~3,000円程度 登録印紙代:500円 ナンバーを変更する場合:約1,400円~ |
運輸局 |
株式・証券 | 書類の取得費用のみ | 証券会社 |

相続税の申告・納付|費用負担なし
相続税の申告や納付には、費用はかかりません。
なお、前述のとおり、相続税には基礎控除額として、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)が定められており、基礎控除額以下の財産には課税されません。
基礎控除額を超えた遺産に応じて、10%〜55%が課税されます。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
遅れると延滞税や無申告加算税などがかかるため、早めに手続きを行うことが望ましいです。
相続手続きを専門家に依頼した場合の費用相場
相続手続きは、自分で行うことも不可能ではありませんが、手間や時間がかかり、負担も大きなものとなります。
さらに、手続きによっては、自分で処理することで、後からトラブルに発展したり、不利な条件で遺産を相続したりする危険性があります。
相続の手続きを依頼できる専門家には、弁護士、司法書士、税理士、行政書士、銀行のサービスなどがありますが、それぞれによって対応可能な範囲は異なります。
弁護士 | 司法書士 | 税理士 | 行政書士 | |
遺言検認の申し立て | 〇 | △ ※書類作成のみ |
× | × |
法定相続人調査(戸籍謄本などの収集) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続財産調査(残高証明書などの収集) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続放棄 | 〇 | △ ※書類作成のみ |
× | × |
遺産分割協議の交渉・相続人同士のトラブル解決 | 〇 | △ ※認定司法書士で140万円以下の争いであれば可 |
× | △ ※争いのない事案で書類作成のみなら可 |
遺産分割協議書の作成 | 〇 | △ ※遺産に不動産があり相続登記を行う場合は可 |
× | × |
不動産の名義変更(相続登記) | △ ※司法書士に依頼するケースが多い |
〇 | × | × |
相続税の申告 | △ ※税理士登録している弁護士なら可能 |
× | 〇 | × |
相続手続きにかかる費用相場 | 交渉の場合 着手金:10万円~30万円(もしくは請求金額の2%~8%) 報酬金:獲得金額の4%~16% |
相続手続き代行サービスの費用相場は20万円~ | 相続税申告の費用相場は遺産総額の0.5%~1% | 相続手続き代行サービスの費用相場は10万円~30万円 |
相続手続きで対応が難しいものや、トラブルに応じた専門家を選ぶことが重要です。
弁護士費用の相場
弁護士費用の相場は、依頼する相続手続きの内容によっても異なります。
弁護士の業務内容 | 費用の目安 |
財産調査 | 10万円~30万円程度 |
相続人調査 | 5万円~10万円 ※相続放棄や遺産分割協議書の作成とセットで20万円程度の場合もある |
検認の申し立て | 10万円~20万円程度 |
相続放棄の手続き | 5万円~10万円程度/申立人1人につき |
遺産分割協議の交渉 | 着手金:10万円~30万円(もしくは請求金額に対して2~8%) 報酬金:獲得した金額に対して4~16% その他調査費用10万円程度かかることも 日当:3万円~10万円(対応時間による) |
遺産分割協議書の作成のみ | 10万円~ 遺産の金額によっても変動する |
弁護士は、ほぼすべての相続手続きに対応できます。
特に、以下のケースでは、相続人同士のトラブルが考えられるため、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
- 遺産が高額で取り分で揉めている・不動産などが多く分割が難しい
- 相続人同士が不仲で揉める可能性がある
- 遺産の使い込みを疑われる相続人がいる
- 遺言書の内容に納得できない
- 他の相続人から、遺産分割協議書への署名・押印や相続放棄をするように迫られている
- 忙しくて相続手続きが進められない など
相続人同士でトラブルになっているケースでも、弁護士が法的根拠を示すことで、遺産分割の内容に納得してもらえることもあります。
一方で、費用を懸念して依頼をためらう人も少なくありません。
弁護士費用は高額だからと依頼を諦めてしまう前に、弁護士への依頼が必要か、具体的な費用や支払い方法について、無料相談を活用して相談してみるとよいでしょう。
なお、ネクスパート法律事務所では、無料相談はもちろん、相続の必要書類の取得、遺産分割協議書の作成、遺産の解約手続き、不動産の名義変更などを含めた相続おまかせプランをご用意しています。
着手金は33万円~ですので、お気軽にお問い合わせください。

司法書士の費用相場
司法書士の主な業務は、不動産の名義変更(相続登記)です。他にも以下のような業務に対応可能です。
司法書士の業務内容 | 費用の目安 |
相続手続き代行サービス | 20万円~ ※財産調査や相続人調査、相続登記など内容により異なる |
検認の書類作成・書類取得 | 3万円~6万円 |
相続放棄の手続き | 3万円~5万円程度/申立人1人につき |
土地の名義変更(相続登記) | 5万円~20万円 ※相続人や不動産の数によって異なる |
司法書士のメインは、相続登記ですが、検認や相続放棄の書類作成も依頼可能です。
ただし、相続人同士が揉めている相続の事案には対応できません。
そのため、相続人同士で争いがなく、遺産分割の手続きに合意している場合や、相続放棄のみ依頼したい場合などに利用を検討するとよいでしょう。
税理士の費用相場
税理士へ依頼できるのは、相続税の相談や申告です。
特に税制は複雑であるため、税理士に相談・依頼することで、節税をしながら、しっかり納税手続きを行ってもらえます。
税理士に相続税の申告を依頼した場合の費用相場は、遺産総額の0.5%~0.1%です。
税金のことは税理士に相談するのが得策です。
行政書士の費用相場
相続手続きで行政書士に依頼できるのは、必要書類の取得、財産や相続人調査、遺産分割協議書の作成、各種遺産の名義変更などです。
司法書士の業務内容 | 費用の目安 |
相続手続き代行サービス | 10万円~30万円 ※財産調査や相続人調査、各種遺産の名義変更など内容により異なる |
遺産分割協議書の作成 | 3万円~5万円 |
行政書士の強みは、手間のかかる書類の取得、調査、財産の名義変更などをリーズナブルな費用で対応可能な点です。
一方で、相続人同士のトラブル、相続登記、相続税の納付などには対応できません。
さらに、遺産分割協議書の内容が妥当かどうかや、将来的にトラブルが生じるリスクの予想などもできません。
そのため、相続人同士で争いがない事案や、財産が少ないケース、遺産に不動産がないような相続であれば、行政書士への依頼を検討するのも選択肢の一つです。
銀行・信託銀行の費用相場
銀行や信託銀行でも、遺品整理として、相続手続き代行サービスを展開している所が多くあります。
銀行や信託銀行の遺品整理代行の費用相場は、110万円程度~です。
各種専門家と比較すると割高な印象ですが、これは、銀行や信託銀行が専門家と提携しているためと考えられます。
個々の士業に依頼する手間を省きたい場合や、馴染みのある金融機関での手続きを希望される方は検討するとよいでしょう。

相続手続きの代行を依頼する際のポイント
相続手続きでは、被相続人の葬儀や各種届出、必要書類の取得から裁判所への手続き、相続人同士の協議など、必要な作業が多岐にわたります。
そのため、できれば専門家に手続きを代行してもらった方が、時間や手間、負担が少なく、納得のいく結果が期待できます。
しかし、相続手続きでどの専門家に依頼すべきだろうかと悩むケースは少なくありません。
以下では、相続手続きの代行を依頼する際のポイントを解説します。
依頼前に相続の状況を確認する
相続手続きを専門家に依頼する場合は、相続の状況を整理しておくことが重要です。
相続手続きで、自分で対応できないものや、今後トラブルが生じそうな場合には、専門家に依頼した方がよいという判断材料となります。
さらに、目立ったトラブルがない場合でも、無料相談を活用して弁護士に相談しておくのもよいでしょう。
弁護士に相談することで、今後考えられるトラブルやリスクなどを事前に把握でき、トラブル防止の対策を講じておくことが可能です。
解決したい課題に適した専門家を選ぶ
相続の状況に応じて、依頼すべき専門家は異なります。
たとえば、相続人同士でトラブルが起きている場合は弁護士、不動産の名義変更が必要な場合は司法書士、相続税の申告が必要な場合は税理士に依頼するのが基本です。
自分が何に困っているのか、何を解決したいのかを明確にすることで、専門家の選定がスムーズになります。
遺産が多い場合や、不動産があり分割が難しい場合、少しでも取り分を多くしたい場合、相手が弁護士をつけている場合などは、自分も弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
他にも、相続登記や相続税に不安がある場合は、司法書士や税理士に相談しておくと安心です。
さらに、必要書類の取得や手続きの負担を軽減したい場合は、相続おまかせパックや、相続手続き代行サービスを設けている弁護士や司法書士などに、手続きを依頼してしまうのも選択肢の一つです。
専門家の中で比較検討を行う
依頼する専門家が決まったら、必ず複数の事務所に見積もりを依頼し、費用や対応内容を比較検討しましょう。
同じ専門家でも、対応スピードや書類の丁寧さ、相談のしやすさなどに違いがあります。
無料相談などを活用して、実際に対面で対応を確認し、自分に合った専門家を選ぶことが、納得のいく相続手続きにつながります。
相続の手続き費用は誰が払う?
例えば、手続きを申請する際に必要となる書類の取得費用は、申請する相続人が負担することになります。
一方で、相続の手続きを専門家に依頼した場合の費用は、法律上誰が負担するかは決められていません。
基本的には、専門家に依頼した人が支払いますが、相続人が同意すれば、相続人同士で平等に負担するということも考えられます。
相続人の数や手続きの複雑さに応じて費用も異なりますが、全員で依頼した方が負担が少なくなる可能性もあります。
相続人で平等に負担をすべきかどうかについても、各専門家に相談して、具体的な費用について比較をするとよいでしょう。
相続の手続き費用でよくある質問
相続手続きの代行サービス(遺産整理)はどこからどこまで対応可能?
相続手続き代行サービスは、依頼する専門家によっても対応可能な範囲が異なります。
税理士以外の士業であれば、戸籍などの必要書類の取集、財産や相続人の調査は依頼可能です。
弁護士は相続人同士の紛争解決から遺産分割協議書の作成、弁護士によっては財産の名義変更まで対応してくれるケースがあります。
司法書士の場合は、相続登記、行政書士は遺産分割協議書の作成などが依頼可能です。
なお、銀行や信託銀行でも相続手続きを一括で対応できる遺産整理を行っていますが、費用は110万円程度が相場です。
死亡後の手続きを司法書士に依頼した場合の費用は?
司法書士が対応できる死亡後の手続きは、相続財産や相続人の調査、検認や相続放棄申述の申し立て書の作成、不動産の名義変更が絡む遺産分割協議書の作成、相続登記などです。
死亡後の手続きについて、司法書士に依頼した場合の費用の相場は20万円~とされています。
ただし、各司法書士によって費用設定が異なるため、複数の司法書士に相談した上で、自分に合った司法書士に依頼するとよいでしょう。
相続放棄の手続きにかかる費用はいくら?
相続放棄の手続きにかかる費用は、以下のとおりです。
項目 | 内容 | 費用 |
収入印紙 | 相続放棄申述の手数料の印紙 | 800円/申し立てる人1人につき |
郵便切手 | 家庭裁判所からの通知用 | 各家庭裁判所によって異なる |
相続放棄受理証明書 | 検認の証明書の申請 | 収入印紙150円/1通 |
さらに、専門家に依頼する場合は、専門家によっても費用が異なります。
依頼できる専門家 | 業務内容と費用 |
弁護士 | 書類作成や申し立て手続きなど:5万円~10万円程度/申立人1人につき |
司法書士 | 書類作成:3万円~5万円程度/申立人1人につき |
司法書士の場合は、費用を抑えられる点がメリットです。
一方、弁護士に依頼した場合は、そもそも相続放棄以外の選択の検討や、欲しい財産だけ相続する方法がないかの対応、他の相続人との連絡代行、書類作成から申請まですべてを任せることができます。
なお、相続したい財産がある場合は、限定承認を検討する方法もあるため、弁護士に相談してから判断した方がよいでしょう。

まとめ
相続の手続きには、必要書類の取得、遺産分割や裁判所への申請、財産の名義変更、相続税の納付など行うべきことが多岐にわたります。
自分で手続きを行えば、費用は書類取得費用と申請費用程度で済みますが、時間も手間もかかります。
一方で、各専門家に適した手続きを依頼すれば、費用はかかりますが、相続手続きの負担を軽減できます。
さらに、申請が認められない、遺産で損をする、相続税が納付できなかった、相続登記ができなかったといったリスクも回避できるでしょう。
費用が高いからと依頼をためらっている場合は、無料相談を活用して、具体的な費用の確認・比較をするのが望ましいです。
ネクスパート法律事務所では、相続手続きを一括対応できる相続おまかせプランをご用意しております。無料相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。