相続問題お悩みなら経験豊富弁護士相談

メールでのご相談はこちら

相続財産の名義変更手続きの流れ・必要書類・費用・期限を財産別に解説

遺言により誰にどの財産を相続させるか指定された場合や遺産分割協議により遺産の分け方が決まった場合には、財産の名義を被相続人から相続人に変更しなければなりません。

名義変更の手続きには、どのような書類が必要で、費用はいくらかかるのでしょうか。

この記事では、不動産・預貯金・自動車の名義変更手続きの流れや必要書類・費用について解説します。

 

相続問題は弁護士への依頼でトラブルなくスピーディーに解決できます。

実績豊富なネクスパートにお任せください!

メールでのご相談はこちら

相続した不動産(土地・家)の名義変更手続きの流れ

ここでは、相続した不動産の名義変更手続きの流れ・必要書類・費用・期限について解説します。

名義変更手続きの流れ

相続した財産の中に不動産(土地・家)がある場合には、相続によりその不動産の所有権が相続人に移転した旨の登記(相続登記)をしなければなりません。相続登記は、その不動産が所在する場所を管轄する登記所(法務局、地方法務局およびそれぞれの出張所)に申請します。

関連記事
土地を相続した場合、名義変更の手続きなどやらなければならない手続きがあります。 土地を相続したものの、利用する予定がないため処分したいと考えている方もいらっしゃると思います。 この記事では、土地を相続した際にどのような手 […]
関連記事
相続が発生し、財産の中に家が含まれている場合、家をどのように相続し、どのような手続きが必要になるでしょうか? この記事では、家を相続する際に知っておくべき4つのことについて解説します。 目次1 家の相続基礎知識|①ケース […]

遺言による場合

相続が発生したら、被相続人が遺言を残していないかを確認します。

遺言がある場合は、登記手続きを含めて遺言に従った手続きが必要です。

遺言の内容には、特定の相続人に不動産を相続させるものから、不動産を売却して金銭を分けることを指示するもの、相続人以外の者に遺贈するものなど様々な定め方があります。

登記手続きでは、遺言書を登記所に提出して、その内容に応じた登記を行います。

例えば、「〇〇の土地は相続人〇〇に相続させる」旨の遺言がある場合には、相続開始により当然に指定された相続人が所有権を取得するので、不動産を相続する相続人は単独で登記申請を行えます。遺言執行者が就職している場合には、遺言執行者が登記申請を行います。

なお、遺言書がある場合でも以下を満たす場合には、相続人全員の同意により遺言と異なる遺産分割協議を行えます。

  • 遺言で遺産分割協議を禁止していない
  • 相続人全員が遺言の内容を知っている
  • 相続人以外の者が受遺者である場合は、その受遺者が遺産分割協議に同意している
  • 遺言執行者がいるときは、遺言執行者が遺産分割協議に同意している

遺産分割による場合

遺言がなく、相続人が複数いる場合には、共同相続人全員遺産分割協議を行い、具体的な遺産の取得方法や割合などを決めます。

遺産分割協議が成立したときは、その内容を記載した遺産分割協議書を作成し、各相続人が署名・押印します。

遺産分割による相続登記では、この遺産分割協議書と押印時に使用した実印の印鑑証明書を登記所に提出して、遺産分割協議に従った内容の登記申請を行います。

共同相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停や審判で解決し、調停調書や審判書謄本の内容に従って登記申請を行います。

関連記事
遺産に不動産が含まれている場合や、唯一の遺産が不動産である場合は、どのように遺産分割すればよいのでしょうか。遺産分割にあたり、不動産はどのように評価すればよいのでしょうか。 ここでは、不動産の遺産分割について、解説します […]

法定相続の場合

法定相続とは、民法で定められた相続人が、民法で定められた相続分を相続することです。

法定相続分どおりに相続登記を申請する場合は、共同相続人全員が法定相続分で共有している旨の登記申請を行います。

ただし、法定相続は、遺産全体をその相続分に応じて共有している状態となるため、管理や処分が困難になることがあります。共同相続人間の実情や便宜のためには、遺産分割協議を行い、共有状態を解消するのが望ましいと考えられています。

関連記事
相続財産の中に不動産が含まれている場合、相続人の間でどのように分けるか、相続手続きや税金について考えなければいけません。 この記事では、不動産を相続する場合に頭の中に入れておくべきことについて解説します。 目次1 不動産 […]

必要書類

相続登記に必要な書類は下表のとおりです。

 

※相続の方法・内容によっては、必要書類が異なる場合があります。詳しくは管轄の登記所にお問い合わせください。

手続きに必要な費用

必要書類の取得費用

相続登記の必要書類の収集に、数千円程度がかかります。

各書類の取得費は以下のとおりです。

  • 戸籍謄本:1通につき450
  • 除籍・改製原戸籍謄本:1通につき750
  • 住民票・除票:1通につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)
  • 印鑑証明書:1通につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)
  • 固定資産評価証明書:不動産1件につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)

登録免許税

相続した不動産の所有権移転登記(相続登記)には、登録免許税がかかります。

相続登記の登録免許税の税率は0.4%で、税額は以下の計算式で算出します。

相続登記の登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4

司法書士の報酬

相続登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士に支払う報酬がかかります。

相続登記の司法書士費用の相場は、不動産1つあたり10万円程度です。

名義変更の期限

相続登記の期限は、以下のとおりです。

  • 2024年4月1日以降に開始した相続:不動産を相続したことを知った日から3年以内
  • 2024年4月1日以前に開始した相続:2024年4月1日から3年以内

民法改正により、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続登記の義務化は、施行前に発生した相続にも適用されます。

期限内に相続登記をしなければ、制裁として10万円以下の過料が科されます。

相続した預貯金の名義変更(解約)手続きの流れ・必要書類・費用・期限

ここでは、相続した預貯金の名義変更手続きの流れ・必要書類・費用・期限について解説します。

名義変更手続きの流れ

被相続人名義の預貯金口座は、預金名義人である被相続人の死亡を金融機関に伝えた時点で凍結されます。そのため、預貯金の名義変更ないし解約・払戻し手続きが必要です。

遺言による場合

遺言で指定された遺言執行者が就職している場合は、遺言執行者が預貯金の名義変更ないし解約・払戻しの手続きをします。

遺言執行者がいない場合は、預貯金を取得する相続人が手続きできます。

金融機関に連絡して、以下の事項を伝えましょう。

  • 預貯金口座の名義人が亡くなったこと
  • 預貯金を相続させる旨の遺言書があること

金融機関によっては、相続に関する窓口を設けていることがあるので、窓口を訪ねる前に電話やホームページなどで問い合わせ先を確認しましょう。

金融機関からの必要書類等の案内に従って、名義変更ないし解約・払戻し手続きを進めます。

遺産分割による場合

遺産分割協議または調停・審判により預貯金を相続する人が決まったら、金融機関に連絡して、以下の事項を伝えましょう。

  • 預貯金口座の名義人が亡くなったこと
  • 遺産分割協議書または調停調書・審判書謄本があること

金融機関からの案内に従って必要書類を揃え、預貯金を取得する相続人が署名・押印した金融機関所定の請求書とともに提出します。

手続きに必要な書類の提出後、金融機関で払戻し等が行われます。

法定相続の場合

遺産分割協議等の成立前でも、共同相続人が全員で被相続人名義の預貯金の解約・払戻し請求をすれば、金融機関は払戻しに応じることが一般的です。

法定相続分どおりに預貯金を相続する場合は、金融機関に連絡して、以下の事項を伝えましょう。

  • 預貯金口座の名義人が亡くなったこと
  • 遺言書も遺産分割協議書等もないこと

この場合は、金融機関が要求する必要書類を揃えて、金融機関所定の払戻し請求書に印鑑証明書を添えて共同相続人全員が署名・押印(実印)するのが一般的です。

必要書類

預貯金の名義変更ないし解約・払戻し手続きに必要な書類は下表のとおりです。

※相続の方法・内容や金融機関によっては、必要書類が異なる場合があります。詳しくはお取引金融機関にお問い合わせください。

手続きに必要な費用

必要書類の取得費用

預貯金の名義変更ないし解約・払戻しの手続きに必要な書類の取得費用として、数千円程度がかかります。

各書類の取得費は以下のとおりです。

  • 戸籍謄本:1通につき450
  • 除籍・改製原戸籍謄本:1通につき750
  • 印鑑証明書:1通につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)

手数料

金融機関によっては、名義書換時の新通帳発行に手数料がかかることもあります。

名義書換や解約・払戻し手続きに先立ち、相続開始時の預金残高証明書の発行を依頼する場合は、各金融機関が定める発行手数料がかかります。

名義変更の期限

預貯金の相続手続きには期限はありませんが、当該預貯金口座の最後の取引から10年以上が経過すると、休眠口座になる可能性があります。

休眠口座になっても預貯金の解約や名義変更ができなくなるわけではありません。

ただし、金融機関内の調査に時間を要したり、手続きに際して別途費用を請求されたりすることもあるため、なるべく早く手続きを済ませることをおすすめします。

相続した車の名義変更手続きの流れ・必要書類・費用・期限

ここでは、相続した車の名義変更手続きの流れ・必要書類・費用・期限について解説します。

名義変更手続きの流れ

被相続人が所有していた自動車を相続した場合は、名義変更の手続きが必要です。売却・廃車する場合でも、名義変更の手続きを経なければなりません。

自動車の名義変更手続きは、新たに所有者となる方の住所地を管轄する運輸支局で行います。

遺言による場合

相続人の1人に自動車を相続させる旨の遺言がある場合には、遺言の内容に従って自動車の名義変更手続きを行います。

遺言により法定相続人以外の人が自動車を所有する場合には、二段階の名義変更手続きが必要です。いったん法定相続人の代表者に名義変更し、その後に法定相続人の代表者から新所有者に名義変更します。

遺言による名義変更手続きに必要な書類や申請方法は、運輸支局によって異なります。

手続きの際には、自動車検査証(車検証)を手元に準備して、あらかじめ運輸支局登録担当窓口にご相談ください。

遺産分割による場合

遺産分割協議等により自動車を相続する人が決まったら、新所有者となる相続人が単独で名義変更手続きを行えます。

複数の相続人で共同相続する場合は、新所有者となる相続人全員の印鑑証明書が必要です。各相続人が実印を押印した委任状を添付すれば、相続人のうち1人が代表して名義変更の手続きを行えます。

自動車の査定価格が100万円以下の場合には、遺産分割協議書に代えて遺産分割協議成立申立書(査定書の写し添付)でも手続きできます。

遺産分割による名義変更手続きに必要な書類や申請方法は、運輸支局によって異なります。

手続きの際には、自動車検査証(車検証)を手元に準備して、あらかじめ運輸支局登録担当窓口にご相談ください。

相続人が1人しかいない場合

相続人が1人しかいない場合は、遺言や遺産分割協議書がなくても手続きできます。

必要書類

自動車の名義変更に必要な書類は下表のとおりです。

※相続の方法・内容や運輸支局によっては、必要書類が異なる場合があります。詳しくは、管轄の運輸支局にお問い合わせください。

手続きに必要な費用

必要書類の取得費用

自動車の名義変更手続きに必要な書類の取得費用として、数千円程度がかかります。

各書類の取得費は以下のとおりです。

  • 戸籍謄本:1通につき450
  • 除籍・改製原戸籍謄本:1通につき750
  • 印鑑証明書:1通につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)

登録手数料

自動車の名義変更手続きの申請には、登録手数料として500円(印紙代)が必要です。

ナンバープレート交付手数料

以下の場合には、ナンバープレート交付手数料として約2,000円がかかります。

  • 名義変更により運輸支局や検査登録事務所の管轄が変わる場合
  • ナンバー(自動車登録番号)を変更する場合

名義変更の期限

自動車の名義変更は変更の事由があった日から15日以内に行わなければなりません。

期限を徒過しても罰則はありませんが、車検の有効期限が切れると名義変更手続きができなくなりますので、なるべく早く手続きをしましょう。

自動車税の納付通知書は車検証に記載された所有者宛てに送付されるため、手続きが遅れると自動車税の支払いが遅れることもあります。

関連記事
相続の手続きには、大きく分けて次の3つの手続きがあります。 金融機関の手続き 不動産の登記手続き 相続税申告 いずれの手続きにも共通する必要書類と、特有の書類があります。 この記事では、3つの手続きに必要な書類を詳しく解 […]

まとめ

相続が開始したら、遺言の有無を確認します。

遺言がある場合は、原則として遺言の内容に従って相続財産の名義変更を行います。

遺言がない場合には、遺産分割協議ないし調停・審判で遺産の分け方を決め、その結果に従って相続財産の名義変更を行います。

相続財産の名義変更手続きは複雑であるため、弁護士や司法書士に依頼した方がスムーズです。

ネクスパート法律事務所では、司法書士や税理士などの他士業との連携により、ワンストップで相続手続きをお任せいただけます。相続した財産の名義変更にお困りの方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

関連記事
相続を受ける際、親族間で揉め事に発展し、話し合いが進まなかったり、不平等な相続になったりすることがあります。 弁護士に依頼をすることで、相続トラブルを円満に解決できることがあります。 この記事では、相続で弁護士に依頼する […]

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

相続問題は弁護士に依頼することでトラブルなくスピーディーに解決できます。

実績豊富なネクスパートにお任せください!

メールでのご相談はこちら