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遺産分割協議書・遺産分割調停について

相続発生後、被相続人の有効な遺言書があれば、遺言書どおりに遺産を分配して遺産分割は終了します。

しかし、以下の条件ではどうでしょうか。

  • 遺言書が作成されていない
  • 有効な遺言書ではない

これらの条件下で法定相続割合とは異なる割合で遺産分割をする場合は、相続人全員で相続財産の分配方法を話し合う必要があります。

この記事では、被相続人が遺言書を作成していない場合、あるいは作成したけれど有効な遺言書ではなかった場合の対処方法を説明します。

遺産分割協議書について

相続発生後、有効な遺言書が無い場合には、法定相続人全員で遺産をどのように分割するか協議する必要があります。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、相続発生後、法定相続人全員で遺産の分割方法を協議し、合意した内容を記載した書面です。

遺産分割協議書は、法律上必ず作成しなければならないものではありません。
しかし、遺産分割が相続人全員の合意で決まったことを示す決定した証拠になります。後々のトラブルになったときに、あの時作成しておけばよかったと後悔せずに済むので、作成しておきましょう。

なお、以下の場合にも遺産分割協議書の提示が必要です。

  • 法定相続分と異なる割合で不動産の相続登記をする場合
  • 預金の名義変更や払い戻しをする場合
  • 株式の名義変更をする場合

様々な場面で遺産分割協議書が必要です。

遺産分割協議書作成のポイント

遺産分割協議書を作成する時のポイントは以下の4つです。
<手順>

相続人と相続財産を確定する

遺産分割協議は相続人全員で行うため、まずは相続人が誰であるかを確定させます。戸籍謄本を取得して相続人が誰であるか確認できます。

相続人をひとりでも除いて遺産分割協議書を作成してしまうと、その遺産分割協議書は無効になります。

戸籍を調べてみても相続人の確定が難しい場合には、専門家に相談しましょう。

相続人の調査と並行して、相続財産に何があるかを確認します。
相続財産とは、不動産・預貯金・有価証券・生命保険金(受領者により扱いが異なります)などです。

相続財産 確認方法
不動産 登記事項証明書を取得する
預貯金 通帳を確認する
有価証券 有価証券は、証券会社から書類が届いていないかを確認しましょう
生命保険金 生命保険金については、受取人が誰になっているかを確認します

なお、マイナスの財産、つまり負債があるかどうかも必ず確認しましょう。
確認するべきポイントは…

  • ・通帳に消費者金融名が無いかどうか
  • ・定期的な振込が無いかどうか
  • ・どこからか封書が届いていないか  など

万が一、他の相続財産と比較して負債の方が大きい場合には、相続放棄の手続きをしましょう。

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遺産分割協議は法定相続人全員で行う

遺産分割協議は、判明した相続人全員で行う必要があります。相続人のうち1人でも協議に参加しない人がいた場合には協議は無効になります。

誰がどの遺産をどれだけ相続するかを明確にする

どのように分けるかは、相続人全員の話し合いによって好きなように決められますが、内容によっては相続税が発生します。

法定相続人全員が署名・実印で押印をする

相続人それぞれが遺産分割協議書を1通ずつ保管するため、相続人全員分の署名・押印が必要です。

具体的にやることとしては…

  • 遺産分割協議書には相続人全員が署名し、実印で押印
  • 遺産分割協議書が数ページに及ぶ場合には契印を押す

遺産分割協議書の有効性

以下に該当する場合、遺産分割協議書が無効になります。

  • 判明した相続人の一部を除いて遺産分割協議書を作成した場合
  • 相続人ではない人を加えて作成した場合
  • 遺産分割協議書作成後に遺言が見つかった場合(遺言の存在を認識していれば協議書通りの分割にはならなかったと考えられる場合)

認知症の方・未成年者・不在者がいる場合の遺産分割協議書作成

遺産分割協議書は、相続人全員の署名と捺印が必要です。しかし、認知症の方や未成年者が相続人の場合、判断能力が乏しい可能性があり、署名・捺印ができません。

また、不在者がいる場合にも、不在者の代わりに勝手に署名・捺印はできません。

このような場合の遺産分割協議について簡単に説明します。

認知症の方がいる場合

<流れ>

相続人に認知症の方がいる場合には、認知症の程度により、成年後見人、保佐人、補助人などの法定代理人の選任を家庭裁判所に申立てます。法定代理人が選任された上で、法定代理人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行います。

未成年者がいる場合

相続人に未成年者がいる場合には、未成年者に代理人を立てます。

通常、未成年者の代理人は親権者である両親ですが、両親も相続人の場合には、両親と未成年者の利益が相反し得ます。この場合には家庭裁判所に特別代理人の選任の申立てをします。

不在者がいる場合

相続人に不在者がいる場合には、家庭裁判所に以下2つの内いずれかの申立をし、手続きを進められます。

  • 失踪宣告の申立をする行う
  • 不在者財産管理人を選任の申立をする

失踪宣告の申立の場合、不在者が従前の住所を去ってから7年以上経過している必要があります。

遺産分割調停について

相続発生後、有効な遺言書が無い場合に相続人全員で分割方法の協議をしますが、多数の相続人が存在していると合意が難しくなります。

合意が困難な場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てができます。ここでは、遺産分割調停について説明します。

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、遺産分割協議で合意に至らない場合に、家庭裁判所に申立てをし、裁判所で話し合いをする手続きです。

調停とは話し合いにより紛争を解決するための手続きです。基本的には各相続人がそれぞれどのような分割方法を希望しているのかを裁判所が確認し、話し合いによる合意を目指します。

調停を申立てると裁判所を通しての話し合いになるため、意見の異なる相続人同士が直接顔を合わせることはありません。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の具体的な流れをみていきましょう。

遺産分割調停の申立

当事者同士の話し合いで合意に至らなかった場合に、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをします。

対立していない相続人が複数で申立てることもできます。申立てた人を申立人と呼び、他の相続人全員を相手方と呼びます。

申立ては、相手方のうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所、あるいは相続人全員の合意による家庭裁判所にします。

申立てには必要な書類を集めて申立書類を作成します。なお、申立費用(印紙代・郵券代等)がかかります。

申立てが受理されると、裁判所が調停委員を選任し、調停期日が指定されます。

調停期日

調停期日は、月に1回程度開催され、平日午前10時過ぎ~午後5時頃までの間で指定されます。

期日では意見の異なる当事者同士が直接顔を合わせて話し合いをするのではなく、調停委員が順番にそれぞれの意見を聞き、相手方に伝えるという形式を繰り返しながら進められます。

直接対立当事者の顔を見ないので、感情的にならずに比較的穏やかに話し合いが進められます。

調停委員は各当事者の意見を十分に聞き取り、意見の調整を行います。調停委員の後ろには中立の立場の裁判官がついていて、毎回進行を協議しているため、法的に妥当な解決を目指せます。

当事者がもめていると調停委員が解決案を提示し、解決案に沿って話し合いをすることもあります。

調停は通常1回では終わらず、早いと約3カ月程度で終わりますが、長いと2年くらい続くこともあります。

調停期日には当事者全員の出席が必要で、毎月1回程度、平日の日中に裁判所に行きます。
しかし、以下の場合は、弁護士に依頼をすることで、弁護士が代理人として出席できます。

  • 仕事の都合上出席できない
  • 裁判所が遠方で出席が困難

調停では中立の立場の裁判官と調停委員がついていますが、やはり有利に進めるためには交渉のプロである弁護士に依頼することをお勧めします。

調停成立

話し合いがまとまると調停成立となり、裁判所が合意内容を記載した調停調書を作成します。

調停調書の正本または謄本を利用して相続不動産の名義変更や預貯金の解約等をすることができます。

また、調停調書は判決と同様の効力があります。内容に従わない当事者がいた場合には、強制的に調停内容の実現ができます。

審判

長い時間をかけて話し合いをしても、どうしても合意に至らないこともあります。その場合には調停不成立となり終了しますが、自動的に審判事件に移行します。

基本的には同じ家庭裁判所で引き続き審判手続きで必要な審理をし、審判によって裁判所が判断を示します。

なお、審判手続き中でも、当事者間の話し合いが行われる場合があります。そこで合意が成立すれば、審判ではなく調停調書が作成され、終了します。

即時抗告

遺産分割審判が裁判所により出され、その判断内容に不服がある場合には、即時抗告という不服を申立てる方法があります。

審判書を受け取った日の翌日から2週間以内に、審判を出した家庭裁判所に、高等裁判所宛の抗告状を提出します。

抗告状を提出したあとに、即時抗告理由書を提出します。即時抗告した理由を詳しく記載します。なお、即時抗告の申立てから2週間以内に高等裁判所宛に即時抗告理由書を提出します。

即時抗告がなされると、審判時の書類等が高等裁判所に送られ、審判内容の見直しが行われます。

即時抗告の審理は基本書面審査ですが、場合によっては当事者の立会い(審尋)もあります。

即時抗告に対しては、審判を取り消す決定あるいは抗告を棄却する決定のどちらかが行われます。

即時抗告の決定内容に不服があり、過去の裁判に違反しているなどの法令の解釈への違反がある場合には、最高裁判所に対して許可抗告をすることが可能ですが、通常はできません。

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