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遺産分割に関する裁判所の手続きにかかる費用はいくらくらい?

共同相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合や、協議ができないときには、各共同相続人は、家庭裁判所に遺産分割調停または審判を申立てられます。

遺産分割そのものではなく、以下のような遺産分割の前提問題について争いがある場合は、別途民事訴訟により解決を図らなければならないことがあります。

  • 相続人の範囲に争いがある場合
  • 遺産の範囲に争いがある場合
  • 遺言の有効性を争う場合
  • 遺産分割協議の取消や無効を求める場合
  • 遺留分が侵害された場合
  • 遺産が使い込まれた場合

遺産分割調停・審判や、付随問題に関する訴訟には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

この記事では、遺産分割調停・審判や関連訴訟にかかる費用について解説します。

裁判所に納める費用のほか、手続きの準備段階や専門家に支払う報酬の相場も紹介しますので、ご参考になさってください。

 

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遺産分割調停・審判で裁判所に納める費用

ここでは、遺産分割調停・審判で裁判所に納める費用について解説します。

申立費用

遺産分割調停または審判の申立時には、申立費用として以下の費用を裁判所に納めます。

  • 収入印紙:1,200
  • 予納郵券:数千円(裁判所によって異なる)

ただし、調停不成立により審判に移行した場合は、調停申立時に遺産分割審判の申立てがあったものとみなされるため、審判申立費用の納付は不要です。

その他の費用

追加郵券

調停・審判の進行状況によっては、裁判所から郵券(切手)の追加提出を求められることがあります。

調査嘱託・文書送付嘱託等に係る費用

遺産分割調停・審判では、遺産の内容を調査するために、当事者の申出により裁判所が金融機関や公的機関に必要な事項を照会したり、文書の開示を求めたりすることがあります。これらの手続きを調査嘱託・文書送付嘱託といいます。

調査嘱託や文書送付嘱託を申立て、裁判所に採用されると、照会先との書面のやり取りに必要な郵券(切手)の追加提出を求められることがあります。

不動産鑑定料

分割を希望する遺産の中に不動産があり、当事者間で不動産の評価に争いがある場合は、当事者の申出または裁判所の職権により、不動産鑑定士による鑑定が実施されることがあります。その場合、不動産鑑定料として20万円〜60万円程度かかります。

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遺産分割に関連する訴訟(裁判)にかかる費用

遺産分割の前提問題に争いがある場合は、別途民事訴訟により解決を図らなければならないことがあります。

遺産分割に関連する訴訟の代表例は、以下のとおりです。

  • 相続人の範囲に争いがある場合:相続人の地位不存在確認請求訴訟
  • 遺産の範囲に争いがある場合:遺産確認請求訴訟
  • 遺言の有効性を争う場合:遺言無効確認請求訴訟
  • 遺産分割協議の取消や無効を求める場合:遺産分割協議無効確認請求訴訟
  • 遺留分が侵害された場合:遺留分侵害額請求訴訟
  • 相続人の1人に遺産が使い込まれた場合:不当利得返還請求訴訟・損害賠償請求訴訟

ここでは、これらの前提問題を解決するための訴訟(裁判)にかかる費用について解説します。

訴訟を提起するときは、民事訴訟費用等に関する法律(以下、民事訴訟費用法といいます。)に基づき、一定の手数料を納めなければなりません。

この手数料は、訴訟の目的の価額(以下、訴額といいます。)に応じて、民事訴訟費用法別表第一、1項に定める金額を収入印紙(または最高裁規則で定めるところにより現金)で納めることとされています。

訴額は、原告が訴えで主張する利益(経済的利益)によって算定します。

訴訟提起時には、裁判所から事件当事者等に郵便物を送付するための郵便料を、郵便切手で納めます。これを予納郵券といいます。予納郵券の額は、裁判所によって異なりますが、5,000円~6,000円程度になるのが一般的です(ただし、当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)。

相続人の地位不存在確認請求訴訟

相続人の地位不存在確認請求訴訟とは、共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えです。

相続人の地位不存在確認請求は、非財産上の請求であるため、訴額は160万円となります。

したがって、相続人の地位不存在確認請求訴訟を提起する場合は、以下のとおり、最低でも2万円程度の費用がかかります。

  • 収入印紙:13,000
  • 予納郵券:5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)

遺産確認請求訴訟

遺産確認請求訴訟は、ある財産が被相続人の遺産に含まれるのかどうかの確認を求める訴えです。

遺産確認請求訴訟の訴額は、遺産確認請求訴訟では、確認を求める対象財産の価額の原告の法定相続分相当額又は確認を求める財産の評価額の総額が訴額となります。

訴額については裁判所によって運用が異なるので、訴訟提起前に管轄裁判所に問い合わせていただくことをお勧めします。

なお、対象財産の評価額が高額になると、それに応じた印紙額も高額になります。

その他、予納郵券として5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)がかかります。

訴額に応じた収入印紙代は、裁判所ウェブサイトの手数料早見表で確認できます。

参考:手数料 | 裁判所 (courts.go.jp)

遺言無効確認請求訴訟

遺言無効確認請求訴訟の訴額は、遺言を無効とすることにより原告が受ける権利の価格になります。無効の確認を求める遺言の内容に応じて、下表のとおり訴額の算定方法が異なります。

遺言の内容 訴額の算定方法
ア 遺言の内容が財産上の権利関係についてのものである場合  
財産処分(遺贈、寄付行為) 処分された財産の価額×原告の法定相続分
相続人の排除 相続財産×原告の法定相続分
相続分及び遺産分割方法の指定 (遺言により原告が取得する財産の価額+遺言により被告が取得する財産の価額)×原告の法定相続分÷(原告の法定相続分+被告の法定相続分)-遺言により原告が取得する財産の価額
遺産分割の禁止 遺産の価額に対する禁止期間中の民事法定利率による利息相当額×原告の法定相続分
相続人担保責任の指定 指定された担保責任により負担する担保額-法定担保責任により負担する担保額
減殺方法の指定 指定された減殺方法による減殺額-民法1034条本文による減殺額
イ 遺言の内容が非財産上の権利関係についてのものである場合 160万円
ウ ア及びイの複数の事項を内容とする場合 アに含まれる事項の合計額とイに含まれる事項の合計額を比較し、多額の一方が訴額となる

訴額に応じた収入印紙代は、裁判所ウェブサイトの手数料早見表で確認できます。

その他、予納郵券として5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)がかかります。

遺産分割協議無効確認請求訴訟

遺産分割無効確認請求訴訟は、遺産分割協議に無効原因があるかどうかについて確認を求める訴えです。

遺産分割無効確認請求訴訟の訴額は、以下の計算式で求めます。

相続財産の価額×原告の法定相続分-遺産分割協議に従って原告が取得することとなる権利等の価額

訴額に応じた収入印紙代は、裁判所ウェブサイトの手数料早見表で確認できます。

その他、予納郵券として5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)がかかります。

遺留分侵害額請求訴訟

遺留分侵害額請求訴訟は、遺贈や贈与によって遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人が、受遺者や受贈者に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する訴えです。

遺留分侵害額請求訴訟の訴額は、遺留分侵害額となります。

訴額に応じた収入印紙代は、裁判所ウェブサイトの手数料早見表で確認できます。

その他、予納郵券として5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)がかかります。

不当利得返還請求訴訟・損害賠償請求訴訟

相続人の1人が遺産を無断で使い込んだ場合、他の相続人は、使い込んだ相続人に対して不当利得返還請求訴訟により不当に利得した遺産の返還を求めるか、損害賠償請求訴訟により失われた遺産に相当する金銭の賠償を請求できます。

いずれの場合も、訴額は使い込まれた金額に原告の法定相続分を乗じた金額となります。

訴額に応じた収入印紙代は、裁判所ウェブサイトの手数料早見表で確認できます。

その他、予納郵券として5,000円~6,000円程度(当事者1名増すごと2,000円程度の郵券を追加)がかかります。

遺産分割で裁判所費用以外にかかる費用は?

ここでは、遺産分割で裁判所費用以外にかかる費用について解説します。

相続人調査にかかる費用

遺産分割協議・調停・審判には、相続人全員が参加しなければなりません。

相続人を確定するためには、相続関係者の戸籍調査(相続人調査)が不可欠です。

相続人調査に必要な費用は、被相続人の戸籍の移り変わりや相続人の数によって異なりますが、数千円から数万円程度かかるのが一般的です。

取得する戸籍謄本等や住民票の数に、以下の金額を乗じて得た金額がかかります。

  • 戸籍謄本:1通につき450
  • 除籍・改製原戸籍謄本:1通につき750
  • 住民票:1通につき200円~400円程度(市区町村によって異なる)

なお、郵送請求の場合は、上記に加えて定額小為替手数料(1通につき100円)と往復郵便料がかかります。

相続財産調査にかかる費用

相続財産調査とは、被相続人が相続開始時に所有していた財産を調べて、個々の財産を評価する手続きです。

公的機関や金融機関から証明書等を発行してもらう際に、交付手数料等がかかります。

相続財産調査にかかる費用は、相続財産の種類や取得を要する書類によって異なりますが、数千円から数万円程度かかるのが一般的です。

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専門家への依頼にかかる費用

遺産分割に関する手続きを専門家に依頼した場合は、専門家に支払う報酬が発生します。

弁護士に依頼する場合

遺産分を弁護士に依頼する場合の費用相場は、以下のとおりです。

依頼内容 弁護士費用(相場)
法律相談 30分5,500円~
相続人調査 10万円~20万円程度
相続財産調査 20万円~30万円程度
遺産分割協議書の作成 10万円~20万円程度
遺産分割交渉・調停・審判

 

①着手金

経済的利益(取得を希望する遺産の額)に応じて、以下のとおり算出した額

300万円以下の場合:8%

300万円超え3,000万円以下の場合:5%9万円

3,000万円超え3億円以下の場合:3%69万円 

3億円超えの場合:2%369万円

②報酬金

経済的利益の額(実際に取得した額)に応じて、以下のとおり算出した額

300万円以下の場合:16

300万円を超え3,000万円以下の場合:10%+18万円

3,000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円

3億円を超える場合:4%+738万円

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司法書士に依頼する場合

遺産分割を司法書士に依頼する場合にかかる費用相場は、以下のとおりです。

  • 相続人調査:5万円~10万円程度
  • 相続財産調査:10万円~30万円程度
  • 遺産分割協議書の作成:5万円~15万円程度
  • 遺産分割調停・審判申立書の作成代行:10万円程度
  • 相続登記:1件につき10万円程度

司法書士は、遺産分割交渉や調停・審判の代理人になれないため、交渉や家庭裁判所の手続きについては、資料収集や書面作成代行しか依頼できません。

行政書士に依頼する場合

遺産分割を行政書士に依頼する場合にかかる費用相場は、以下のとおりです。

  • 相続人調査:3万円~5万円程度
  • 相続財産調査:10万円~20万円程度
  • 遺産分割協議書の作成:3万円~10万円程度

ただし、行政書士は、遺産分割交渉や調停・審判の代理人になれません。原則、争いのない場合の遺産分割協議書の作成に必要な範囲での調査・書面作成代行しか依頼できません。

まとめ

遺産分割調停・審判の申立費用は、相続人の数がよほど多くない限り1万円を超えることはありません。

ただし、遺産分割の前提問題に当事者間で意見の対立があり、訴訟手続きで解決せざるを得ない場合は、多額の訴訟費用がかかることもあります。

専門家への依頼は、費用を上回る利益を得られるかどうかを考慮して検討されるとよいでしょう。

ネクスパート法律事務所では、手続きを個別に依頼したい方や、トータルサポートを受けたい方など、ご要望に応じた料金体系をご用意しております。

遺産分割にお困りの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所の初回無料相談をご利用ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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