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親が亡くなったらすること|銀行・相続・各種手続きについて解説

親はいずれ亡くなるものだと理解していても、すぐにその現実を受け入れるのは簡単ではありません。

気持ちの整理がつかないことに加え、数多くの手続きを進めなければなりません。

この記事では、親が亡くなった場合にすべきことを、亡くなった日から相続についてまでわかりやすくまとめています。ぜひ参考にしてください。

目次

親が亡くなったらすることリスト・手続き一覧表

親が亡くなったらすることを一覧表でリストアップしました。次項ではそれぞれについて細かく解説します。

手続きの種類 内容 期限 手続き先
死亡後すぐ 死亡診断書・死体検案書の受け取り すぐ 病院や警察
葬儀の手配・遺体の搬送 すぐ 葬儀社
死亡届の提出・火葬許可証の取得 7日以内 市町村役場
火葬後に埋葬許可証取得 火葬場
健康保険・介護保険手続き 健康保険の資格喪失手続き 5~14日以内 国民年金は市区町村役場

厚生年金は会社

介護保険の資格喪失手続き 14日以内 市区町村役場
葬祭費・埋葬料の請求手続き 2年以内 国民年金は市区町村役場

厚生年金は健康保険組合

高額医療費の申請 市区町村役場
年金手続き 年金受給停止手続き(受給権者死亡届) 国民年金は14日以内 年金事務所
厚生年金は10日以内
未支給年金の請求手続き 5年以内
死亡一時金・寡婦年金の請求手続き 死亡一時金は2年以内
寡婦年金は5年以内
遺族年金の請求手続き 5年以内
その他 世帯主変更の届出 14日以内 市区町村役場
固定資産税・住民税の請求先変更手続き
障がい者手帳の返却 10~14日以内 市区町村役場もしくは福祉事務所
民間サービスの解約手続き 電気・ガス・水道の公共料金 水道だけ水道局

他は契約会社

電話・ネット・その他サブスク 携帯電話は携帯電話会社

ネットはサービス事業者・プロバイダー

クレジットカード クレジットカード会社
生命保険の手続き 3年以内 生命保険会社
相続 相続放棄・限定承認の申述 3か月以内 家庭裁判所
故人の所得税の準確定申告・納税 4か月以内 税務署
相続税の申告・納税 10か月以内
遺留分侵害額請求 1年以内 相続人や家庭裁判所
不動産の相続登記 3年以内 法務局

【初日】親が亡くなったらすること

親が亡くなった直後にすべきことは、死亡や葬儀の手続きです。以下に親が亡くなった初日の手続きを解説します。

  • 死亡診断書や死体検案書の受け取り
  • 近親者への連絡
  • 葬儀社の選定から遺体の搬送

死亡診断書や死体検案書の受け取り

親が亡くなったら、医師や介護施設に死亡診断書を発行してもらいます。死亡診断書は、市区町村役場の死亡届や生命保険の請求に必要な書類です。

亡くなった場合や状況によって、発行してもらう相手が異なります。

亡くなった場所・状況 発行方法
入院先で亡くなった場合 主治医に作成してもらう
介護施設で亡くなった場合 介護施設に発行してもらう
自宅で亡くなった場合 かかりつけ医師に連絡して自宅に訪問してもらい作成してもらう
突然死や事故死の場合 警察に連絡して検視をしてもらい、死体検案書を作成してもらう

死亡診断書の発行には、おおよそ3,000円~1万円、死体検案書の場合は3~10万円ほどかかります。

死亡診断書は別の手続きでも必要ですが、役所に提出するとなくなってしまうため、複数枚コピーをとっておくとよいでしょう。

近親者への連絡

親が亡くなったら、家族や親戚、職場などに訃報を伝えます。

連絡方法 電話で伝えるのがマナー

親しい友人の場合はメールなどで連絡してその後電話することもある

伝える内容 亡くなった事実と通夜や葬儀の日程を改めて連絡する旨を伝える

連絡時点で葬儀が決まっているのであれば詳細を伝える

加えて、自分の職場にも、忌引休暇(慶弔休暇とも)の報告や仕事の引継ぎなどをしておきます。

忌引休暇の日数は会社によっても異なりますが、親が亡くなった場合は5日間、喪主の場合は7日間とされるのが一般的です。

葬儀社の選定から遺体の搬送

葬儀社の選定は、故人の希望の有無によって異なります。

遺言書やエンディングノートなどに希望が記載されている場合 指定された葬儀社に依頼する
希望がない場合 病院提携の葬儀社に依頼する

自分たちで探して依頼する

病院と提携している葬儀社を利用すれば、新たに葬儀社を探す手間がありませんが、紹介手数料が上乗せされ、費用が高くなることもあります。

自分たちに合った葬儀社かどうかはわからないため、実際に担当者と相談して、対応や費用を見て判断した方がよいでしょう。

故人のご遺体は長時間病院の霊安室に安置しておけないため、自宅か、葬儀社の安置場に安置する必要があります。

葬儀社を決めかねている場合は、とりあえず病院提携の葬儀社に遺体の搬送だけ依頼することも可能です。

ご遺体を搬送する際は、同時に入院費の清算など退院の手続きを行います。

【2日目】死亡届や葬儀関連

2日目は、死亡届の提出、火葬許可証の取得、お通夜を行います。

死亡届と埋葬許可証はどちらも役所で手続きを行います。

いずれも亡くなった日から7日以内の届け出と申請ですが、埋葬許可証がないと火葬ができないため、この機会に手続きを行います。

死亡届の提出・火葬許可証の取得|7日以内

まずは死亡届を市区町村役場に提出します。死亡届は、死亡診断書(死体検案書)と一枚になっているA3サイズの用紙です。

書類の右側にある死亡診断書は医師が記入しますが、用紙左側の死亡届は届出人が記入します。

前述のとおり、死亡診断書は他の申請でも使用するため、必ずコピーを取っておきます。

死亡届
提出期限 死亡を知った日から7日以内
提出先 亡くなった人の死亡地の役所

亡くなった人の本籍地の役所

届出する人の所在地の役所のいずれか

死亡届の提出が遅れると5万円の過料が課されますが、死亡届を提出しなければ火葬許可証も取得できないため、葬儀後に火葬や埋葬ができません。

死亡届と一緒に埋葬許可申請を提出することで、火葬許可証を取得できます。

なお、死亡届と埋葬許可証の申請・取得は、葬儀社が代行してくれるケースが多いです。

お通夜

通常、お通夜は亡くなった日の2日目、葬儀と火葬は3日目に行います。しかし、都市部などでは火葬場の空きがなく、安置する日が増えることもあります。

お通夜は、家族や友人などの近親者が集まり、故人と最後の夜を過ごす儀式で、葬儀は故人の冥福を祈り、お別れをする儀式です。

お通夜の際家族は、参列者の出迎えや挨拶、見送りなどを行います。ほとんどは葬儀社がサポートしてくれるため、不安を覚える必要はないでしょう。

【3日目】葬儀関連

3日目は、葬儀や火葬、埋葬許可証を取得します。

葬儀・出棺・火葬

3日目は、葬儀が執り行われます。以下の点を葬儀社と確認しておきます。

  • 受付、焼香など全体の流れ
  • 喪主や受付係などの役割分担
  • 弔電の管理 など

火葬は基本的に葬儀の後行うため、喪主は必ず火葬許可証を持参します。葬儀が終わった後は、棺を霊柩車に乗せて、火葬場へ向かいます。

火葬後に埋葬許可証を取得

火葬後は、遺骨を骨壺に入れます。骨上げ(骨拾い)が終わると、納骨の際に必要となる火葬執行済みの火葬許可証を取得できます。

納骨は四十九日の法要と行うことが多いため、それまで自宅で保管し、納骨の際に墓地に提出します。

なお、埋葬許可証は社会保険・健康保険の埋葬料・葬祭費の給付金を受ける際にも必要となるため、コピーを取り保管しておくとよいでしょう。

【5~7日目】にやること

親が亡くなってから5~7日以内にやることを解説します。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出|5日以内
  • 葬儀代の支払い・領収書の取得

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出|5日以内

亡くなった親が会社に勤めており、社会保険に加入していた場合は、会社に扶養者分含めた保険証の返却と、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

事業者は、亡くなった日の翌日から5日以内に、この資格喪失届を日本年金機構に提出しなければなりません。

資格喪失届は、誤った保険料が計算されたり、保険給付を受けたりすることを防止するために提出します。

被保険者資格喪失届は、日本年金機構のホームページでダウンロードできますので、ダウンロードして印刷した上で記入して、会社に郵送します。

わからない点や不安な点がある場合は、会社に確認して手続きを進めるとよいでしょう。

なお、社会保険に加入していた場合は、埋葬料を申請することで、一部給付を受けることができます

申請期限は2年です。後ほど解説します。

葬儀代の支払い・葬儀代の領収書の取得

葬儀が終わって1週間ほどすると、葬儀社から請求書が発行されるため、費用を清算します。

なお、葬儀費用の支払いは、故人の口座から引き出して支払うことも可能ですが、以下のデメリットがあります。

  • 銀行側が契約者の死亡を知ると、相続終了まで口座が凍結される
  • 相続放棄できなくなる可能性がある
  • 葬儀費用が相続税の債務控除(借金に対する控除)できない

他の相続人から、遺産の使い込みを疑われてのちのちトラブルに発展する可能性があります。

そのため、故人の貯金から精算する場合は、事前に相続人に葬儀費用の支払いについて了承を得ておき、領収書を保管しておくとよいでしょう。

なお、葬儀代を清算した際の領収書は、葬祭費の支給申請手続きで使用するため、必ず保管しておいてください。

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【10日目】親が亡くなったら市役所でやること

親が亡くなってから10日あたりで、役所で行う手続きをまとめて行います。

なお、期限は先のものもありますが、一度に済ませておけば、何度も足を運ぶ手間はありません。

手続きは以下の場所で行います。

  • 亡くなった人の本籍地で行う手続き
  • 亡くなった人の住所地で行う手続き
  • 最寄りの年金事務所で行う手続き
  • 最寄りの警察署での手続き

役所で書類を交付してもらう時は、以下の持ち物が必要となることがありますので、確認しておきましょう。

  • 故人の配偶者・直系血族だとわかる戸籍謄本(それ以外の人は委任状)
  • 本人確認書類(免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
  • 届け出をする人の印鑑
  • 振込先口座がわかる通帳
  • 葬儀社の領収書 など

亡くなった人の本籍地で行う手続き

亡くなった人の本籍地では、以下の書類を揃えます。

必要書類 内容 取得費用/1通
亡くなった人の戸籍謄本 戸籍に記載されている人全員の身分関係を証明する書類 450円
亡くなった人の除籍謄本 死亡や婚姻などで誰も記載されていない戸籍のこと 750円

これらの書類は、のちに相続人の確認や各種手続きで使用できる法定相続情報一覧図の交付に必要となります。

こうした書類は手続き後に返却してもらえますが、同時にさまざまな手続きを進められるよう、2~3枚取得しておくと手間がかかりません。

わからないことは窓口で相談するとよいでしょう。

なお、故人が過去に本籍を移動している場合は、本籍を遡りそれぞれの役所で戸籍謄本を取得する手間がかかります。

これらの書類は郵送申請や、行政書士や司法書士に依頼した方がスムーズです。

亡くなった人の住所地で行う手続き

亡くなった人の住所地の役所では、以下の手続きを行う必要があります。

窓口 手続き 内容
戸籍住民課住民記録係や市民課 亡くなった人の住民票の除票の取得 住民登録が抹消された住民票のこと(死亡時点の住所の確認に必要)
国民健康保険課や保険年金課など 健康保険証の返却・資格喪失の提出 故人の国民健康保険の解約の手続き

保険証の返却と資格喪失手続きを行う

故人が70~74歳の場合は、高齢受給者証も一緒に返却する

故人が後期高齢者の場合は、後期高齢者医療資格喪失手続きを行う

葬祭費支給の申請 国民保険加入者に対して、葬祭費の不給付を申請

自治体によって異なるがおおよそ3~7万円程支給される

高額医療費の申請 医療費が一定の上限額を超えた場合に、超えた金額を国が支給する制度の申請。保険適用の医療費のみ対象となる
介護保険課 介護保険証の返却・資格喪失届の提出 故人が65歳以上の場合や、65歳未満で要介護・要支援認定を受けている場合は、介護保険証の返却との資格喪失手続きを行う
送付先変更の手続き 納め過ぎた保険料の還付に関する通知を受け取るために、通知の送付先住所を変更する手続き

手続きを行えば、後日指定の住所に還付金の申請についての通知が届く

被保険者本人の確認書類の写しが必要

納税課 固定資産税・住民税の請求先変更手続き 亡くなった親が納める予定だった固定資産税・住民税を納付する必要があるため、納付書の送付先を変更する
住民課 世帯主変更届の提出 世帯に15歳以上の人が2人以上残っている場合は、新しい世帯主を届け出る必要がある

故人が一人で世帯に誰もいない場合や、世帯に残った人が1人など世帯主が明白な場合は不要

生活課 故人のマイナンバーカードの返却 故人のマイナンバーカードの返却
障がい福祉課(もしくは福祉事務所) 障がい者手帳の返却 本人が亡くなった場合は、障がい者手帳を返却することが法律で義務付けられているため、返却を行う

上記の中には、期限が10日以上のものも含まれますが、役所でまとめて手続きを進めた方が手間がかかりません。

手続きによっては必要書類が異なったり、郵送での対応が可能だったりするため、事前に役所に確認してから進めるとよいでしょう。

最寄りの年金事務所で行う手続き

最寄りの年金事務所では、年金関連の手続きを行います。

受給権者死亡届の提出
内容 受給権者死亡届を提出して、年金受給停止の手続きを行う

国民年金・厚生年金いずれも手続きが必要

手続きを行わないと、親が死亡後も年金が支給され、不正受給となるため注意が必要

故人が日本年金機構にマイナンバーカードを登録している場合は手続き不要。年金事務所で確認が必要。

必要書類 年金受給権者死亡届(日本年金機構のホームページからダウンロード)

死亡診断書など亡くなったことを証明する書類

故人の年金証書

手続き期限 国民年金 死亡日から14日以内
厚生年金 死亡日から10日以内
未支給年金の請求手続き
内容 故人が受給するはずだった年金を遺族が請求する手続き
対象者 故人と生計を共にしていた遺族(優先順位の高い順から配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)
必要書類 故人の年金証書

戸籍謄本

住民票の除票

世帯全員の住民票

振込先口座確認用の通帳

国民年金の死亡一時金の請求
内容 国民年金の第1号被保険者(自営業者など)が亡くなった場合、一緒に生活をしていた遺族は死亡一時金を受け取れる
条件 亡くなった親が自営業者など国民年金の第1号被保険者

保険料を納めた期間が36か月以上

年金や障害年金を受け取らずに亡くなった場合

対象者 条件を満たした故人と生計を共にしていた遺族(優先順位の高い順から配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)
必要書類 国民年金死亡一時金請求書

法定相続情報一覧図の写し

世帯全員の住民票の写し

故人の住民票の除票

振込先口座がわかる通帳

受取人の年金手帳や年金証書など年金番号がわかるもの

請求期限 死亡日の翌日から2年以内

なお、故人に生計を維持されていた配偶者や子どもは、遺族年金・遺族厚生年金、寡婦年金の請求が可能です。

しかし、死亡一時金と併せて受け取ることはできません。

同様に、故人が仕事中や通勤中に亡くなった場合は、労災保険の遺族年金を受け取れます。

請求期限は亡くなった翌日から5年以内です。ただし、労働基準監督署に相談すれば、請求の手続きを進められます。

参考:年金を受けている方が亡くなったとき – 日本年金機構

最寄りの警察署での手続き

亡くなった親が免許証を所持していた場合は、最寄りも警察署で免許証を返納します。その際は、死亡診断書が必要となるため、忘れずに持参します。

【11~14日以内】故人の諸契約の解約手続き

各種手続きには、公的なもの以外に、故人が個別で契約していた以下のようなサービスの解約も必要です。

  • 公共料金の解約・名義変更
  • 電話・ネット・NHKなどの解約
  • 生命保険の手続き

これらの解約には特段期限はありませんが、料金が発生するため、早急に解約、もしくは名義変更を行っておいた方がよいでしょう。

公共料金の解約・名義変更

解約や名義変更を行うものとして、電気、ガス、水道が挙げられます。電気やガスは請求書などを確認して、直接会社に連絡して手続きを進めます。

もし請求書がない場合は、引き落とし先を確認するとよいでしょう。

水道の解約は、住所地の水道局に連絡します。

電話・ネット・NHKなどの解約

故人が契約していたものとして、以下のものが挙げられます。

  • 携帯電話
  • 固定電話やインターネット契約
  • NHK
  • クレジットカード
  • 新聞や雑誌の定期購読
  • 衛星放送・ケーブルテレビ
  • 定期宅配サービス
  • その他サブスク

各契約については、請求書などから契約先の確認が可能です。

モデムやルーターなどはレンタルで返却が必要な場合があるため、契約会社に確認してから手続きを進めます。

NHKの解約に関しては、NHKふれあいセンターに解約の手続きを連絡します。

なお、相続放棄を検討している場合は、故人の賃貸物件の解約や遺品の処分、クレジットカードの未払い分を相続財産から支払う行為は避けてください

これらは、相続財産の処分として、相続したと判断され、相続放棄ができなくなる可能性があります。

相続放棄を検討している場合は、事前に弁護士に相談した上で、手続きを進めるようにしてください。

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生命保険の手続き

親が生命保険(死亡保険)に加入していた場合は、契約上の保険金受取人に死亡保険金が支払われるため、請求手続きを行います。

請求先 加入している保険会社
請求できる人 契約上の保険金受取人
必要書類 死亡保険金請求書など保険会社所定の書類

保険証券

死亡診断書

被保険者の住民票

保険金受取人の本人確認書類

※その他書類は保険者に要確認

請求期限 死亡の翌日から3年以内

なお、生命保険は保険金受取人の固有の財産となるため、民法上、相続財産となりません。しかし、税法上では相続税の課税対象となります。

死亡保険金が高額である場合は、相続の特別受益として他の相続人と分ける必要が生じることもあります。

契約内容によっては、入院給付金の請求が可能な場合もありますが、故人が請求するものであるため、入院給付金は相続財産に該当します。

死亡保険金の請求手続きの期限は、死亡から3年以内です。

しかし、受け取る金額などによっては、相続税や贈与税の課税対象となる可能性があるため、早急に請求手続きを行っておくと安心です。

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【14日~3か月以内】にやること

親が亡くなった後の14日から3か月以内にやることを解説します。ここからは相続手続きが発生するため注意が必要です。

  • 雇用保険受給資格者証の返還|1か月以内
  • 四十九日法要・納骨
  • 遺産相続手続きの開始
  • 限定承認・相続放棄の申述|3か月以内

雇用保険受給資格者証の返還|1か月以内

亡くなった親が、失業給付(失業手当)を受けている場合は、雇用保険受給資格者証を1か月以内にハローワークに返却する必要があります。

なお、故人の失業給付は、亡くなる前日分まで生計を同じくしていた遺族が受け取れ、相続財産の対象になりません。

失業給付の申請期限は、亡くなった日の翌日から6か月以内なので、早めに手続きをするとよいでしょう。

四十九日法要・納骨

仏教の場合は、四十九日法要を行うのが一般的です。四十九日法要後は、保管していた遺骨を納骨します。

なお、相続手続きの開始は、特段決まりはないため、四十九日以前でも以後でも問題ありません。

ただし、相続放棄は3か月以内、相続税の納税は10か月以内と定められているため、早急に財産調査を行う必要があります。

中には、四十九日前に弁護士や税理士に相談する人もいます。

一方で、四十九日前に相続手続きについて話し合いを行うと、不謹慎だととらえる親族もいますので、状況に応じたタイミングで話し合いを行う方がよいでしょう。

遺産相続手続きの開始と流れ

相続手続きを開始します。相続手続きは以下のような流れで進めます。

①遺言書の確認・検認

②相続人・相続財産調査

③相続放棄・単純承認の選択

④遺産分割協議

⑤相続税の申告・納付

⑥不動産の相続登記

相続手続きの詳しい内容については、関連記事で解説しているので、参考にしてください。

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相続放棄・限定承認の申述|3か月以内

相続には3つの種類があり、そのうちの相続放棄・限定承認については、故人が亡くなったことを知ったときから3か月以内に手続きする必要があります。

相続の種類
単純承認 プラスの相続財産、マイナスの相続財産を全て相続すること
相続放棄 プラスの相続財産、マイナスの相続財産全てを相続しないこと

相続財産以上に負債が多い場合に有効な方法

他の相続人の同意は不要だが事前に伝えておくのが望ましい

限定承認 相続財産からマイナスの財産(借金など)を清算して、余った財産を引き継ぐこと

相続した際に最終的にプラスかマイナスかわからない場合に有効な方法

相続人全員での手続きが必要であり、一人でも単純承認をする場合は手続きができない

相続放棄と限定承認の手続き方法は以下のとおりです。

相続放棄 限定承認
手続き先 被相続人(亡くなった人)の住所地の家庭裁判所
申述人(手続きを申請する人) 相続人 相続人全員
必要書類 相続放棄申述書

被相続人の除籍謄本・住民票除票

申述する人の戸籍謄本 など

限定承認申述書

財産目録

被相続人の除籍謄本・住民票除票

申述する人全員の戸籍謄本 など

放棄と限定承認は、故人が亡くなったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

もし期限に間に合わない場合は、期限の延長を家庭裁判所に申し立てることも可能です。

放棄か限定承認かは、故人の財産や負債によっても異なります。判断に迷った場合も、弁護士に相談することをおすすめします。

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【4か月~1年以内】にやること

親が亡くなってから4か月~1年以内にやることを解説します。

  • 故人の所得税の準確定申告・納税|4か月以内
  • 相続税の申告・納税|10か月以内
  • 遺留分侵害額請求|1年以内

故人の所得税の準確定申告・納税|4か月以内

故人が以下に該当する場合は、相続人が故人の確定申告を行う必要があります。

  • 事業所得や不動産所得がある
  • 2,000万円以上の収入がある
  • 複数から給与所得がある
  • 給与や退職金・公的年金以外で20万円以上の収入があった
  • 公的年金などによる収入が400万円以上ある
  • 土地や建物を売却した
  • 生前に株式などを売却して譲渡所得にかかる納税が発生していた など
故人の所得税の準確定申告
申告義務者 相続人全員が合同で行う
申告する税務署 亡くなった人の住所地を管轄する税務署
納付義務者 相続人全員が遺産分割の割合に応じた額を、相続人ごとに納付する
申告方法 申告書を作成して税務署に持参か郵送

電子申告

税理士に依頼

必要書類 準確定申告書

故人の源泉徴収票

故人の控除証明書・医療費などの領収書(控除に使用)

相続人が複数いる場合は所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表

※相続人全員と遺言により遺贈を指名された包括受遺者の署名が必要

※相続人がそれぞれ手続きを行うことも可能

所得の計算期間 1月1日~死亡日

亡くなる前年の確定申告が終わっていない場合は、昨年分と亡くなった年の準確定申告を行う

申告期限 亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内

親が年末に亡くなった場合も、通常の確定申告の期限(翌年3月15日)ではなく、死亡から4か月以内に申告する

準確定申告でも、各種控除や還付金を受け取れます。準確定申告の手続きは煩雑であるため、税理士に依頼すると安心です。

相続税の申告・納税|10か月以内

相続の遺産総額が、相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納税の義務があります。

相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算でき、相続人が増えるごとに基礎控除として差し引ける額が大きくなります。

相続税の申告・納税
納税義務者 相続財産を得た人
申告する税務署 亡くなった人の住所地を管轄する税務署
必要書類 相続税の確定申告書

法定相続情報一覧図(ない場合は、被相続人の戸籍謄本と改正原戸籍、被相続人の住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本と住民票が必要)

相続人全員のマイナンバー確認書類

遺言書がある場合は写し

遺産分割協議を行った場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑登録証明書

申告期限 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内

期限内に納付しなかった場合は、延滞税や無申告加算税が課されるため、早急に申告・納付を行います。相続税についても、税理士に依頼するのがおすすめです。

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家族が亡くなって遺産を相続した場合は、相続税が課税されます。しかし、受け継いだ財産の一定額までは、相続税が非課税とされる基礎控除があります。 なお、国税庁の統計によると2022年に相続税が課税された割合は9.6%でした。 […]

遺留分侵害額請求|1年以内

遺留分とは、相続人が最低限保障されている相続分のことです。

しかし、遺言書などで、一部の相続人や別の人への相続が指定されると、他の相続人と比較して少ない財産しか相続できません。

自分の遺留分を侵害された場合は、相続財産を得ている人に対して遺留分侵害額請求を行えます。

遺留分を請求できる権利があるのは、配偶者、子ども(子が亡くなっている場合は孫)、直系尊属(父母や祖父母)です。

遺留分侵害額を請求する権利には、以下の期限(時効)があります。

時効 被相続人が亡くなったことを知った時、自分が相続人であることを知った時

自分の遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時

いずれかから1年以内

除斥期間 相続の発生を知らない場合でも、相続開始から10年経過すると請求権は消滅する

なお、遺産分割協議後に遺留分を請求することは原則としてできません。遺留分侵害額請求の時効は短いため、早めに請求を行うとよいでしょう。

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【2年以内】に埋葬料・葬祭費請求を行う

埋葬料や葬祭費は、被保険者の埋葬や葬儀の補助として受け取れる給付金のことです。故人が加入していた健康保険によって名称が異なります。

埋葬料 葬祭費
故人が加入していた健康保険 社会保険

故人が会社員や公務員だった場合

国民健康保険

故人が自営業者・個人事業主、もしくは後期高齢者医療制度加入の75歳以上だった場合

給付額 一律5万円

加入していた健康保険によっては付加給付が支給されることもある

3~7万円

自治体によって異なる

申請先 健康保険組合か社会保険事務所 市区町村役場
申請できる人 被保険者と生計維持関係にあり、埋葬を行った人 喪主
必要書類 埋葬料支給申請書

故人の健康保険証

埋葬許可証や火葬許可証のコピー

生計維持を確認できる通帳などの資料

国民健康保険葬祭費請求書

故人の被保険者証

喪主の身分証明書(自治体によってはマイナンバーカード)

葬儀社の領収書など喪主の確認ができるもの

喪主の振込先口座がわかる通帳

申請期限 亡くなった日から2年以内 葬儀を終えてから2年以内

申請期限はいずれも2年以内ですが、役所で手続きを行う際などにまとめて手続きをしておくと忘れずに済みます。

【3~5年以内】不動産の相続登記

不動産の相続登記とは、相続した不動産の名義変更のことです。

法務局で管理する登記簿に、相続した土地・建物について、所有者や担保の情報を記録しなければなりません。

相続登記が行われていないと、空き家や空き地が増えた際に適切に処分できなくなるため、2024年4月1日からは、相続登記が義務化されました。

申請先 対象の不動産の住所地を管轄する法務局
必要書類 登記申請書

不動産の登記事項証明書

被相続人の戸籍謄本・住民票の除票

相続人の戸籍謄本

登記名義人になる人全員の住民票

固定資産評価証明書か固定資産税課税明細書

遺言または遺産分割協議書

相続放棄申述受理証明書(放棄した人がいる場合)

相続人全員の印鑑証明

登記の期限 遺産分割された日から3年以内
罰則 10万円以下の過料

なお、相続登記には、登録免許税を毛布する必要があります。計算や申請には手間がかかるため、司法書士への依頼も検討するとよいでしょう。

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親が亡くなった場合によくある質問

親が亡くなったら仕事は何日休むべきか

忌引休暇は、親が亡くなった場合は5日間、喪主の場合は7日間とされることが多いです。ただし、会社によっても異なるため、確認するとよいでしょう。

親が亡くなったら銀行の手続きはどうなるのか

銀行は契約者が亡くなったことを知った場合、相続トラブル防止のために、故人の口座を凍結して、引き出しや引き落としができないようにします。

凍結された口座は、遺産分割協議後に相続人に引き継がれるため、凍結されて永遠に引き出せない、口座がなくなるなどの心配はありません。

親が亡くなったら銀行からお金を引き落としても大丈夫か

親が亡くなり葬儀費用を負担する必要がある場合、親の口座からお金を引き落としても問題ないのでしょうか?

銀行が契約者の死亡を知らなければ、口座は凍結されていないため、現金を引き落とすことは可能です。

ただし、相続人がお金を引き出すことにはさまざまなリスクがあります。

  • 遺産の使い込みを疑われてトラブルになる
  • 財産の処分と判断され、相続放棄ができなくなる可能性がある
  • 損害賠償請求を受けるおそれがある

どうしても引き落とす必要がある場合は、事前に相続人に説明や了承を得て、使途がわかるよう領収書を残すことが重要です。

もしくは、金融機関か家庭裁判所で預貯金の仮払い制度を利用する方法があります。

預貯金の仮払い制度とは、法定相続人が故人の預貯金の一部を引き出せる制度のことです。

引き出せる金額は、以下のいずれか低い方の金額です。

  • 相続開始時の預貯金残高×3分の1×法定相続分
  • 150万円

仮払い制度の利用は、相続放棄ができなくなる可能性があるほか、遺産分割時に一部を受け取ったものとして計算されるため、注意が必要です。

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まとめ

親が亡くなった際にすべきことをまとめました。亡くなった親の保険や年金の手続きは、役所や年金事務所でまとめて行うと手間がかかりません。

必要書類や郵送できるかどうかも、事前に調べておくとスムーズです。

一方で、相続手続きに影響が生じるものや、税金関係は判断が難しいことも多いため、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談しておくと安心です。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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