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相続放棄の流れと手続きを詳しくご紹介

亡くなられた方が多額の借金を残されている場合は、相続放棄を進めましょう。

ただし、相続放棄の手続きを進める前に、一度財産調査をしましょう。亡くなられた方が借金以上に資産を保有していた場合は相続放棄してしまうのはもったいないです。

相続放棄の決断は財産調査後でも遅くはありません。

相続放棄を進める際は、相続を承認したとみなされないためにいくつか注意点があります。

この記事では、相続放棄の流れをご案内いたします。相続で損をしないためにもぜひご活用ください。

 

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相続放棄の流れ①相続財産を調査する

被相続人の財産は、被相続人の死亡により相続されます

相続が発生したら被相続人が財産について何が・どこにあるのかを調査しなければなりません。相続財産の調査に漏れがあると、遺産分割協議や相続税の申告・納付に影響がでる可能性があります。相続財産は漏れなく調査し把握しておくことが基本です。このときに、遺族に隠していた被相続人の借金が判明することもあります。

ただし、相続財産に含まれるかどうかの判断には専門的な知識が必要な場合があります。また、相続財産の調査は平日の昼間に役所や金融機関で行うことが多く、相続人にとって手間です。

相続財産の把握は、相続放棄するか・しないかの重要な判断要素です。弁護士に依頼することで、漏れのない正確な財産調査が期待できます。

相続放棄の流れ② 承認・限定承認・放棄を決定する

相続の開始を知ったにもかかわらず相続開始後何もしないでいると、法定相続人は被相続人の財産の相続を承認したものとみなされます(単純承認)。

相続財産の状況から、相続の単純承認・放棄あるいは限定承認を検討します。

相続放棄の期限(熟慮期間)

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、必要書類を揃えて家庭裁判所に手続きを申し立てなければなりません。

この3ヶ月間のことを相続放棄するための熟慮期間といい、熟慮期間内に何もしないと原則として相続を単純承認したとみなされます。

相続放棄の方法

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続を放棄する旨の申述をすることで行います。遺産分割協議(誰が・何を・どのくらい相続するのか相続人同士で話し合って決めること)で自分は何も相続しないと表明し、書面に残すだけでは相続放棄したことにはならないので注意してください。

相続放棄の撤回

また、相続放棄は以下の場合を除いて撤回・取消しできません。

  • 未成年者や成年被後見人が法定代理人の同意なく相続放棄した場合
  • 詐欺や脅迫による相続放棄の場合

このほか、特定の相続人に相続財産を集中して相続させたい、あるいは他の相続人と一切関わりたくないと考える場合に、相続放棄を選ぶケースがあるようです。

相続放棄を選択すべきケース

財産には以下の2つがあります。

  • 積極財産:金融資産や財産など価値のある財産
  • 消極財産:借金などの負債

もし積極財産よりも消極財産が多い場合、それを単純承認すると借金などの負債を相続することになり、被相続人に代わって債権者への弁済義務を負うことになります。

積極財産よりも消極財産が多い場合は相続放棄が選択肢になるでしょう。

相続では、一部の財産は相続して一部の財産は相続放棄することは認められていません。

建物が建てらない・売却ができないような経済的価値のない不動産を相続すると、なにも利益を受けることなく固定資産税を毎年支払うことになります。このような不動産が相続財産にある場合は、他の相続財産の価値を考慮しながら相続放棄を検討することになります。

後述する手続きに沿って相続を放棄すると、初めから相続人ではなかったとみなされます。これで借金などの負債や価値のない資産を相続しなくてすみます。

相続放棄を選択すべきではないケース

相続財産は積極財産だけとわかっている場合は、相続放棄は選択せず単純承認すべきでしょう。

一方で相続財産に消極財産があることが判明しており、積極財産と消極財産どちらが多いか不明な場合、ただちに相続放棄を選択する必要はありません。この場合、相続によって得る積極財産の範囲内で消極財産を相続し負担する限定承認という制度があります。

たとえば、被相続人の相続財産を調査した結果、2億円相当の積極財産と3億円の消極財産だったとします。これを単純承認していた場合、相続人は積極財産と消極財産の差額1億円について自己の財産から負担する必要があります。このとき限定承認を選択しておくと、相続人が負担する消極財産、つまり弁済義務を負う債務の額は積極財産の額である2億円にとどまります。

限定承認の手続きも、相続放棄と同様に相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、必要書類を揃えて家庭裁判所に手続きを申し立てなければなりません。3ヶ月間の熟慮期間内に何もしないと、原則として相続を単純承認したとみなされます。

補足:相続放棄が認められないケースとは

相続人が相続財産の一部または全部を処分(消費)、隠匿した場合

相続放棄する・しないにかかわらず、相続人が相続財産の一部または全部を処分(消費)、隠匿すると単純承認したとみなされます。

判例によりますと、処分行為の対象は一般経済価値のあるものとされています。したがって、被相続人の預金を使い込むことは処分行為とみなされます。一方で、形見分けや被相続人の身の回りのものを捨てる程度であれば処分行為ではないと考えられます。

また、相続財産を管理することも処分行為とはみなされません。たとえば賃貸アパートが相続財産の場合、家賃の収納や必要なメンテナンスを行うことは管理行為と考えられます。

一方で、相続人が被相続人にお金を貸しているなど債権があり、相続発生後に相続財産から取り立てることは処分行為と考えられています。

相続が発生してから3ヶ月が経過した場合

先述のとおり、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月間の熟慮期間を経過すると相続放棄できません。

ただし、この熟慮期間は特段の事情がある場合、その始期を遅らせられる場合があります。

相続放棄の流れ③ 熟慮期間の延長を検討する

以下のような事情がある場合、家庭裁判所に申し立てることによって3ヶ月間の熟慮期間は延長が認められることがあります。

  • 相続財産の調査に時間がかかっている
  • 行方不明の相続人がいるなど、相続人の調査に時間がかかっている

相続放棄に必要な書類の用意が間に合わない、遺産分割協議がまとまらないという理由では、熟慮期間の延長は認められない可能性が高いです。

熟慮期間延長の申立ては、裁判所のホームページから家事審判申立書をダウンロードして事件名の欄に相続放棄の期間伸長と記載し、必要書類を添えて被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。必要書類は、後述する相続放棄の申立てに必要な書類と同じです。

なお、熟慮期間延長の申立て期間については、以下2点に注意してください。

  • 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月間であること
  • 申立書は相続人それぞれが提出しなければならないこと

相続で期限のある手続き・ない手続きを解説

相続放棄の流れ④ 弁護士依頼を検討する

相続放棄の必要書類は普段はなじみがないものが多いうえに、相続放棄する人の続柄に応じて異なるものを揃えなくてはなりません。

3ヶ月で手続きを終わらせるのが難しいと感じる方は、弁護士への依頼を検討してください。

弁護士に依頼するメリットは

  • 必要書類収集・相続放棄申述書から家庭裁判所への提出までを任せられる
  • 家庭裁判所から照会があった場合、対応について助言を受けられる
  • 熟慮期間延長の申し立て手続を代行
  • 相続財産に消極財産がある場合は債権者とのやり取りを代行

相続放棄の流れ⑤ 必要書類を揃える

相続放棄に必要な書類は、以下の通りです。

No1から5までが共通して必要な書類、No6以降が相続放棄する人の続柄に応じて必要になる書類です。

No. 必要書類 説明 入手先
1 相続放棄申述書 裁判所に相続放棄を申したてる書面。   相続放棄する人(申述人)が20歳以上か未満かで書式が異なる。 裁判所のホームページ
2 収入印紙800 相続放棄のための費用 郵便局など
3 予納郵便切手 裁判所との通信費用

(金額は裁判所へ確認要)

郵便局など
4 相続放棄する人(申述人)の戸籍謄本 申述人の本人確認および被相続人との関係を確認する書類 本籍地の市町村役場
5 被相続人の住民票除票または戸籍附表 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要 本籍地の市町村役場(生前に本籍地の異動がある場合、複数以上になる)
6 被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本 被相続人の配偶者または子が相続放棄する場合に必要 本籍地の市町村役場
7 被代襲者(被相続人の配偶者または子)の死亡が記載されている戸籍謄本 被相続人の孫が相続放棄する場合に必要 本籍地の市町村役場
8 ・被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

・被相続人の配偶者または子の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

被相続人の直系尊属(父母・祖父母)が相続放棄する場合に必要。祖父母が相続放棄する場合は、被相続人父母の死亡が記載されている戸籍謄本も必要 本籍地の市町村役場
9 ・被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

・被相続人の配偶者または子の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

・被相続人父母の死亡が記載されている戸籍謄本

被相続人の兄弟姉妹が相続放棄する場合に必要 本籍地の市町村役場
10 ・被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

・被相続人の配偶者または子の出生から死亡時までの戸籍謄本すべて

・被相続人父母の死亡が記載されている戸籍謄本

・被相続人の兄弟姉妹の死亡が記載されている戸籍謄本

被相続人の甥姪が相続放棄する場合に必要 本籍地の市町村役場

相続放棄の流れ⑥ 相続放棄申述書を作成する

相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードします。

このとき、相続放棄する申述人が未成年者か否かで使用する書式が異なります。申述人が未成年者または成年被後見人の場合、親権者や後見人などの法定代理人が代理して作成・申述します。

記載内容は、以下のとおりです。

  • 申述人の住所・氏名・生年月日・職業・被相続人との続柄
  • 法定代理人がいる場合はその種類・住所・氏名
  • 被相続人の住所・氏名・死亡時の職業・死亡日
  • 申述の理由(相続の開始を知った日・放棄の理由・相続財産の概略)

放棄の理由にはいくつかの選択肢が設けられていますが、いずれも当てはまらない場合はその他欄に詳しく記載してください。

また、相続財産の概略は放棄を申述する時点で判明している分だけでかまいません。

相続放棄の流れ⑦ 家庭裁判所に提出する

相続放棄申述書および必要書類一式は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

提出の方法は、直接の持ち込みでも郵送でもかまいません。

相続放棄の流れ⑧ 照会書を返送する

提出から12週間後、家庭裁判所から照会書が郵送されます。

照会書は、申述人が被相続人の死亡を知った日や相続放棄する意思について確認するものです。

相続放棄する意思に変わりなければ、照会書に質問事項に回答・記名押印のうえ家庭裁判所に返送してください。

相続放棄の流れ⑨ 相続放棄申述受理通知書が交付される

照会書を返送後、申述人の相続放棄について家庭裁判所が特に問題ないと判断すれば相続放棄申述受理通知書が郵送で交付されます。これを以って、相続放棄の手続きは完了です。

相続放棄の流れ⑩ 相続放棄申述受理証明書を請求する(任意)

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所が相続放棄の申述を受け付けたことを申述人に通知するものにすぎません。

以下のケースでは、相続放棄したことを公的に証明する相続放棄申述受理証明書が必要です。

  • 不動産の相続登記
  • 被相続人の債権者から請求された場合

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を申述した家庭裁判所に請求します。必要な書類等は以下のとおりです。

  • 相続放棄申述受理証明申請書(家庭裁判所により異なる)
  • 収入印紙150円(1件あたり)
  • 相続放棄申述受理通知書、申述人の印鑑および身分証明書(窓口申請の場合)
  • 返信用封筒および切手、申述人の身分証明書のコピー(郵送申請の場合)
  • 申述人の戸籍謄本、戸籍の附表(相続放棄の申述時から住所が変わった場合)

まとめ

相続放棄は期限があるうえに書類の準備などに手間がかかります。

相続のことで心配がある方は、一度ご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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