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不動産の相続に必要な基礎知識|登記・不動産評価・税金・売却を解説

相続が発生したら、さまざまな手続きを行わなければなりません。

不動産を相続する可能性がある場合には、後の相続手続きに必要な知識を身に付けておくとスムーズです。

この記事では、不動産の相続に必要な基礎知識について解説します。

 

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相続と不動産登記の基礎知識

ここでは、不動産の相続と登記手続きについて解説します。

不動産登記とは?

不動産登記とは、不動産の形状や不動産上の権利を、登記所である法務局が運営・管理する登記簿に記録・公示することです。

相続による不動産登記は、その不動産が所在する場所を管轄する登記所(地方法務局及びそれぞれの出張所)に、相続によって不動産所有権が相続人に移転した旨の登記をすることによって行います。

相続による不動産登記には、大きく分けて以下の3つの種類があり、それぞれ処理の仕方や登記所に提出する書類が異なります。

  • 遺言による相続登記
  • 遺産分割による相続登記
  • 法定相続による相続登記

参考:不動産の所有者が亡くなった:法務局 (moj.go.jp)

遺言による相続登記

相続が発生したときは、まずは被相続人が遺言を残していないかを確認します。遺言がある場合は、登記手続きを含めて、遺言に従った手続きが必要です。

登記手続きにおいては、遺言書を登記所に提出して、その内容に応じた登記を行います。

ただし、遺言書がある場合でも、以下を満たす場合には、相続人全員の同意により遺産分割協議を行えます。

  • 遺言で遺産分割協議を禁止していない
  • 相続人全員が遺言の内容を知っている
  • 相続人以外の者が受遺者である場合は、その受遺者が遺産分割協議に同意している
  • 遺言執行者がいるときは、遺言執行者が遺産分割協議に同意している

遺産分割による相続登記

遺言がなく、相続人が複数存在する場合には、共同相続人全員が遺産分割協議を行い、具体的な遺産の取得方法や割合などを決めます。

遺産分割協議が成立したときは、その内容を記載した遺産分割協議書を作成し、各相続人が署名・押印します。

遺産分割による相続登記では、この遺産分割協議書と押印時に使用した実印の印鑑証明書を登記所に提出して、遺産分割協議に従った内容の登記申請を行います。

共同相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停や審判で解決し、調停調書や審判書謄本の内容に従って登記申請を行います。

法定相続による相続登記

法定相続とは、民法が定めた相続人が、民法が定めた相続分で相続することです。

法定相続の段階で相続登記を申請する場合は、共同相続人全員が法定相続分で共有している旨の登記申請を行います。

ただし、法定相続は、遺産全体をその相続分に応じて共有している状態となるため、管理や処分が困難になることがあります共同相続人間の実情や便宜のためには、遺産分割協議を行い、共有状態を解消するのが望ましいと考えられています。

相続登記に必要な書類は、下記関連記事をご参照ください。

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何のために登記をするの?

不動産登記は、何のために必要なのでしょうか?

登記をしないと相続不動産の権利を守れない

民法は、登記しなければ不動産の権利を第三者に主張できないと定めています。

契約により取得した所有権などの権利を第三者に認めさせるためには、権利を取得したことの登記が必要です。

法定相続分は相続登記をしなくても第三者に主張できますが、遺言や遺産分割協議による不動産の取得は、相続登記をしなければ第三者に権利を主張できません。

遺言や遺産分割協議で自分の持分が決まっていても、登記をしていなければ、自分が取得したはずの不動産を他の相続人が勝手に売却しても、買い手に対して、「私が権利を取得したので返してください。」と主張できないのです。

完全な権利として保護されるためには、登記をしなければなりません。

登記をしないと各種手続きが進まない

相続した不動産を売却するときや、金融機関から融資を受けるためにその不動産に担保権を設定するときには、それまでに相続登記を完了しておかなければなりません。

相続登記を行わなければ、相続の対象となった不動産を売却することも、担保権を設定することもできません。

相続登記に期限はある?

現行法では、相続登記に期限はありません。

ただし、相続登記せずに放置すると、相続人の中でさらに相続が生じて相続関係者が多くなることもあります。後に相続登記をする際に、手続きが煩雑になったり、資料の収集が困難になったりすることもあるため、できるだけ早く登記することをおすすめします。

202441日から相続登記の義務化がスタート

民法改正により、202441日から相続登記が義務化されます。

相続登記の義務化は、施行前に発生した相続にも適用されます。

相続登記の期限は、以下のとおりです。

  • 2024年41日以降に開始した相続:不動産を相続したことを知った日から3年以内
  • 2024年41日以前に開始した相続:202441日から3年以内

期限内に相続登記をしなければ、制裁として10万円以下の過料が科されます。

不動産の相続登記は自分でできる?

登記申請の方法は、法務局でも教えてもらえますが、不動産登記が自分の権利を守るものであって、自分の責任で実際の権利に即した登記がなされなければならないため、法務局が行えるサポートは限られています。

登記相談を利用しても自分で手続きできる自信がない場合は、司法書士等の専門家に手続きを依頼するとよいでしょう。

弁護士に相続手続きを依頼すれば、提携先の司法書士との連携により、相続登記もワンストップで対応してもらえることもあります。

相続で不動産評価が必要になる場面

ここでは、相続手続きにおいて不動産評価が必要になる場面を紹介します。

公平な遺産分割のための不動産評価

遺産の分配を公平かつ適正に行うためには、遺産の価値を把握しなければなりません。

遺産分割における不動産の評価方法には、主に以下の5つの方法があります。

  • 公示価格
  • 相続税路線価
  • 基準地価
  • 固定資産税評価額
  • 実勢価格(市場価格)

一般に、不動産は価値が高く、遺産の総額に占める割合も大きくなる傾向にあるため、評価方法によっては、遺産分割の結果が大きく変わる可能性があります。

相続人全員が合意すれば、どの評価方法を用いても構いませんが、当事者の意見に対立がある場合は、調停や審判において不動産鑑定を行わなければならないこともあります。

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遺留分侵害額請求のための不動産評価

民法改正前の遺留分減殺請求は、遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害している相続人や受遺者・受贈者に対し、遺留分侵害の限度で贈与または遺贈された物件(現物)の返還を請求できました。

改正後は、遺留分権利者は遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを請求できるとされ、原則として現物返還が認められなくなりました。

そのため、不動産について遺留分侵害額がある場合には、不動産の適正な価格を把握しなければなりません。遺留分算定の基礎となる財産の評価は、時価により行います。

不動産の評価方法や額ついては、当事者間で合意ができれば、合意をした額を時価とすることが可能です。

当事者の意見に対立がある場合は、裁判所に鑑定人選任審判の申立てを行い、裁判所が選任する中立な鑑定人に評価してもらう方法があります。

相続税申告のための不動産評価

相続財産に不動産が含まれる場合は、相続税申告のための評価が必要です。

相続税申告のための不動産の評価方法には、以下の2種類があります。

  • 相続税法第22条の財産評価基本通達による評価
  • 不動産鑑定評価による時価

相続税法第22条の財産評価基本通達による評価

相続税財産評価に関する基本通達において、相続税及び贈与税の課税価格計算の基礎となる土地の評価方法が、以下のとおり定められています。

路線価方式

市街地のような形態を形成する地域にある宅地は、路線価方式によって評価します。路線価方式とは、路線価が定められている地域の評価方法です。路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格で、千円単位で表示されています。

路線価方式における土地の価格は、宅地の面する路線(道路)に付された路線価を基礎として、以下のような各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

  • 奥行価格補正
  • 側方路線影響加算
  • 二方路線影響加算
  • 三方又は四方路線影響加算
  • 不整形地補正
  • 間口狭小補正
  • 奥行長大補正
  • がけ地補正
  • 特別警戒区補正
倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。

倍率方式における土地の価格は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

不動産鑑定評価による時価

路線価方式の評価によらないことが正当と認められるような特別な事情がある土地は、不動産鑑定士による鑑定評価額を相続税法第22条による時価として申告できます。

不動産相続の税金と相続税申告における特例・控除

ここでは、不動産の相続にかかる税金と相続税申告における特例・控除を紹介します。

不動産相続にかかる税金

不動産を相続すると、以下の税金がかかります。

登録免許税

相続した不動産の所有権移転登記(相続登記)には、必ず登録免許税がかかります。

相続登記の登録免許税の税率は0.4%で、税額は以下の計算式で算出します。

相続登記の登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4

相続税

相続税は、遺産の合計額が基礎控除額を上回る場合に申告・納付の義務が生じます。

基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が1人の場合は遺産総額3,600万円以下、2人の場合は4,200万円以下であれば課税されません。

不動産の相続税申告で使える特例

不動産の相続税申告では、以下のような特例の適用を受けられる場合があります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地の特例とは、被相続人が居住していた自宅の敷地や事業用の建物の敷地等の評価額を最大80%減額して評価できる特例です。

居住用物件の宅地は330まで、事業用物件の宅地は400まで適用できます。

参考:小規模宅地等の特例|国税庁 (nta.go.jp)

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特定計画山林に係る特例

特定計画山林の特例とは、特定計画山林相続人等が相続等で取得した特定計画山林について、相続税の課税価格を減額できる特例です。

特定計画山林相続人等が、相続、遺贈又は相続時精算課税により取得した特定計画山林で、この適用を受ける選択をしたものについて、相続、遺贈、贈与に係る申告期限までその山林を引き続き所有している場合は、相続税の課税価額に算入すべき金額を5%減額できます。

参考:特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例|国税庁 (nta.go.jp)

農地等に係る特例

農地の納税猶予の特例とは、農業を営んでいた被相続人から、相続によって一定の農地等を取得した相続人が、これらの農地等について継続して農業を行っている場合に限り一定の要件のもとに、一定額まで相続税の納税が猶予される特例です。

納税猶予とありますが、実際には一定額(農業投資価格に基づいて計算した税額)以外の部分の納税が免除されます。

参考:農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例|国税庁 (nta.go.jp)

相続税申告で適用できる税額控除

遺産に不動産が含まれるかどうかに限らず、相続税申告では、様々な税額控除が用意されています。

配偶者控除

被相続人の配偶者は、税額控除の適用を受けられます。

控除額は、原則として、以下のいずれか大きい方の金額です。

  • 課税価格の合計額のうち配偶者の法定相続分相当額
  • 1億6,000万円

ただし、配偶者控除は、申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割協議が成立しないときは適用がありません。もっとも、申告期限後3年以内の分割見込書を提出しておけば、3年以内に遺産分割が完了した時点で税額控除の適用を受けられます。

未成年者控除

未成年者については18歳(2022331日以前の相続については20歳)に達するまでの年数(1年未満の端数は繰り上げる)に6万円を乗じた金額を、税額から控除できます。

障害者控除

障害者については70歳に達するまでの年数(1年未満の端数は繰り上げる)に6万円(特別障碍者については12万円)を乗じた金額を、税額から控除できます。

相次相続控除

数次相続が発生している場合、1次相続の開始と第2次相続の開始の間が10年以内であるときは、第1次相続の際に課せられた相続税額のうち、一定割合の控除を受けられます。

在外財産に対する相続税額の控除

日本国外にある財産を取得し、その財産について外国でも相続税またはそれに類する税を課せられた場合は、原則として、その課せられた税額を控除できます。

相続時精算課税制度の適用による贈与税額控除

相続時精算課税制度の適用を受ける贈与に贈与税が課せられていた場合は、その贈与税額を控除できます。

控除しきれない残額がある場合は、還付を受けられます。

相続不動産の売却時にかかる税金と税額を安くできる特例・控除

ここでは、相続した不動産を売却する際にかかる税金と適用を受けられる特例・控除について解説します。

不動産売却にかかる税金

相続した不動産を売却する際には、以下の税金が課税されます。

印紙税

不動産を売却する際には、売主と買主の間で不動産売買契約を締結します。その際、契約書に記載された金額(売買代金)に応じて、収入印紙を貼付しなければなりません。

契約書の記載金額に応じた印紙税額は以下の通りです。

契約書に記載された金額 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下 200円
10万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超200万円以下 1,000円
200万円超300万円以下 1,000円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
1億円超5億円以下 60,000円
5億円超10億円以下 160,000円
10億超50億円以下 320,000円
50億円超 480,000円
記載金額なし 200円

譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して、譲渡所得税がかかります。

譲渡所得は、以下の計算式で求められます。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得の税率は、売却した不動産の所有期間によって、以下のとおり異なります。

  • 所有期間が5年以下(短期譲渡所得):30
  • 所有期間が5年以上(長期譲渡所得):15

なお、2013年から2037年までは、東日本大震災の復興特別所得税として、所得税の税率に2.1%が加算されます。

住民税の税率も、譲渡所得の税率と同様に不動産の所有期間によって異なります。

所有期間に応じて住民税の税率は、以下のとおりです。

  • 所有期間が5年以下(短期譲渡所得):9
  • 所有期間が5年以上(長期譲渡所得):5

不動産売却時の税金を安くできる特例・控除

相続した不動産の売却時に適用しうる特例や控除には、次のようなものがあります。

取得費加算の特例

相続した不動産を、相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年以内に売却した場合は、その不動産にかかった相続税を、譲渡所得の計算時の取得費に含められる特例があります。これを、取得費加算の特例といいます。

相続税の一部を取得費に含められれば、所得税の基礎となる売却益(譲渡所得)が少なくなるので、所得税の減額効果が得られます。

参考:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁 (nta.go.jp)

3,000万円特別控除

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋やその敷地等を201641日から20231231日までの間に売却し、かつ、一定の要件に該当する場合は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。

これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。

この控除を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

不動産の要件 譲渡の要件
被相続人が住んでいた住居であり、かつ、以下の要件を満たすこと

1981531日以前に建築された住居

・区分所有建物登記されていない

・相続開始の直前に被相続人以外が居住していない

・相続開始時から譲渡時まで、事業の用・貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

・相続又は遺贈(死因贈与を含む)により取得した相続人が譲渡(売却)した

・譲渡価格が1億円以下である

・譲渡時において、譲渡の対象となる家屋が現行の耐震基準に適合する

 

なお、被相続人が老人ホームなどの施設に入居し、自宅に戻ることなく亡くなった場合でも、一定の要件を満たすときは、相続開始直前に被相続人が居住していなくても特例の適用を受けられることがあります。

参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁 (nta.go.jp)

なお、取得費加算の特例と3,000万円特別控除は併用できません。

まとめ

不動産の相続では、様々な法律問題や税金が複雑に絡み合うため、弁護士や税理士のサポートが必要になるケースも少なくありません。

不動産には複数の評価方法があるため、相続人間で意見が分かれると、相続トラブルに発展する可能性も高いです。

相続手続きに詳しい弁護士に依頼すれば、他士業(司法書士、税理士など)との連携により、不動産にまつわる相続問題についてワンストップでの解決が望めます。

不動産の相続にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

相続問題は弁護士に依頼することでトラブルなくスピーディーに解決できます。

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