相続した不動産を売却する方法とは?手続きの流れや注意点を解説

相続によって不動産を取得したものの、住む人がいなくて活用できないことがあります。
この記事では、相続によって取得した不動産を売却するにはどんな手続きが必要なのか、注意点とともに解説します。
目次
相続財産に不動産が含まれていた場合、手続きの流れは?
ここでは、相続財産に不動産が含まれていた場合の手続きについて解説します。
被相続人の遺言書の有無を確認する
相続が開始したら、被相続人が遺言書を作成しているかどうかを確認しましょう。遺言書に不動産を誰に相続させるか等の記載があれば、遺言書の内容に従って手続きをします。
法定相続人を確認する
民法で定められている法定相続人を確認しましょう。法定相続人になれるのは配偶者と血族で、配偶者は常に相続人となります。血族は下記のとおり順位が決められています。
- 第1順位:子および代襲相続人
- 第2順位:両親などの直系尊属
- 第3順位:兄弟姉妹および代襲相続人

相続財産を調査する
被相続人が所有している相続財産を調査しましょう。不動産、動産、預貯金や有価証券などすべてを把握します。

遺産分割協議をする
民法上の法定相続分に基づいて相続をしない場合は、相続人全員で遺産分割協議をします。相続人全員が同意したら、遺産分割協議書に相続人全員が署名・押印をします。

相続登記をする
被相続人が残した不動産を誰が相続するのか決定したら、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記をします。
相続した不動産を売却したほうがいいケースは?
ここでは、相続した不動産を売却したほうがいいケースについて解説します。
相続人全員が不動産を活用する予定がない
相続した不動産に誰も住む予定がないなど、資産を活用する意向や術がないなら、売却を検討した方がいい良いでしょう。建物の維持管理には費用がかかりますし、年数が経つと確実に劣化していきます。
しっかりと管理できなければ近所迷惑になるだけでなく、建物倒壊のおそれもあります。空き地を適切に管理しなかったことで、繁茂した雑草が不審火により出火し、近隣住民に被害をもたらしたり、樹木が隣家や道路に越境して事故が発生したりするおそれもあります。
相続人が公平に遺産分割するのを望んでいる
相続人全員が公平に遺産分割をすることを望んでいる場合も、売却を検討するケースの一つです。不動産を権利関係が不安定になる共有状態にするよりは、売却して現金化し、分けるほうがスムーズです。
相続した不動産を売却するまでにかかる税金は?
ここでは、相続した不動産を売却するまでにかかる税金について解説します。
不動産売却前にかかる税金は?
不動産の売却前にかかる税金は下記の2つです。
相続税
相続税は、不動産や預貯金など相続した財産の総額に応じて課税されます。遺産の課税価格が、相続税の基礎控除を超える場合に発生します。相続税には申告期限があり、相続の開始を知った日の翌日から10か月です。
登録免許税
登録免許税は、相続登記を申請する際にかかる税金です。土地と建物を相続した場合は、両方に不動産価額の0.4%の税率を乗じた額がかかります。
不動産売却時にかかる税金は?
不動産を売却するときに取り交わす売買契約書には、印紙税がかかります。金額は不動産の売買金額によって異なります。
不動産売却後にかかる税金は?
不動産売却後にかかる税金は、下記の3つです。
譲渡所得税
譲渡取得税とは、不動産を売却したことで得た利益に対して課税される所得税です。譲渡所得税の税率は不動産の所有期間によって変わり、所有していた期間が5年以下なら税率が30%となり、5年以上なら税率は15%となります。
住民税
住民税は、相続した不動産を売却した後にかかる税金です。住民税の税率は不動産の所有期間によって変わり、不動産の所有期間が5年以下なら税率は9%、5年以上なら税率は5%となります。
復興特別所得税
復興特別所得税は、2037年まで所得税に加算される税金で、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための税金です。所得税の税率に2.1%が加算されます。
相続した不動産を売却するなら3年以内がよい?税金が安くなる?
ここでは、相続した不動産を売却するなら3年以内がよいと言われる理由ついて解説します。
相続税の取得費加算とは?
相続税の取得費加算とは、相続によって取得した不動産を売却するときに使える所得税の特例で、税の負担が軽くなる制度です。
取得費加算の特例が受けられる要件は?
取得費加算の特例を受けるには、下記の要件を満たしていることが必要です。
- 相続または遺贈によって不動産を取得したこと
- 相続税が課税されていること
- 相続財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
- 確定申告をすること
取得費加算の特例は、相続開始から3年10か月が期限
取得費加算の特例は、被相続人(不動産の所有者)が死亡した日から3年10か月以内に相続したものを売却した場合に適用できます。
相続不動産を売却するときの注意点は?
相続した不動産を売却するときに注意しなければならないのは、相続登記ができているかどうかです。被相続人の名義のままでは、不動産の売却ができません。
相続税の納税期限も意識して売却を進めていくことも重要です。

相続した不動産の売却を検討したとき、弁護士に相談するメリットは?
ここでは、相続した不動産の売却を検討したとき、弁護士に相談するメリットについて解説します。
相続人同士がもめないように、適切なアドバイスができる
不動産を相続人間で平等に分けることは難しいため、トラブルになることが多いです。弁護士に相談すれば、あらかじめ相続人同士がもめないように手続きを進めるためのアドバイスを得られます。
税理士と連携することで、税金上のトラブルを防ぐことができる
不動産の相続では、相続税の問題も関わってきます。
相続案件を積極的に取り扱っている弁護士であれば、税理士や司法書士と連携して、税務上の問題や登記手続きにも備えられるでしょう。
まとめ
相続で不動産を取得したものの、誰も住まないのであれば、管理維持費がかかります。相続不動産の売却を考えたら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所には、相続案件を多数手がけてきた弁護士が所属しており、司法書士や税理士との連携体制も整っておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。