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相続財産調査が必要な理由と調査方法|遺産の種類別に解説

相続財産調査をしないと、具体的な相続の手続きを進められません。

調査に漏れがあった場合、遺産分割協議がやり直しになることも。

この記事では、相続財産調査について以下の点をご説明します。

  • 相続財産調査が必要な理由
  • 相続財産調査の方法
  • 弁護士に相続財産調査を依頼するメリット

相続財産調査はなぜ必要?

相続財産調査をしないと、相続の手続きを進められません。

ここでは、相続財産調査が必要な理由をご説明します。

  • 遺産分割協議に必要
  • 相続税の申告・納付に必要
  • 相続放棄や限定承認に必要

遺産分割協議に必要

遺産分割協議とは、誰が・どの遺産を・どの割合で相続するか相続人の間で話し合って決めることです。遺産分割協議は、被相続人の遺産すべてについて行うことが原則であり、正確な財産調査が行われることが前提です。

もし当初の財産調査が不十分なため、遺産分割協議が終わったあとで新たな財産がみつかった場合は、遺産分割協議をやりなおすことになります。 

相続税の申告・納付に必要

以下の場合は相続財産に対して相続税が課税されます。

  • 相続財産の額が、3,000万円+法定相続人の人数×600万円の基礎控除額を超える場合
  • 被相続人の配偶者であれば16,000万円の配偶者控除額を超える場合
  • ほかの特例を使えない場合

相続税の納税・申告期限は、相続が発生してから10ヶ月以内です。

それまでに申告・納税しないと、延滞税や無申告課税が課される可能性があります。さらに、相続財産の調査が不十分なために相続税を過少に申告していた場合は過少申告加算税、税務署に悪質な過少申告と判断された場合は重加算税が科される可能性があります。

このようなペナルティを防ぐためにも、早期かつ正確な財産調査により申告すべき相続税を正確に計算しておく必要があります。

相続放棄や限定承認に必要

被相続人の遺産は、金融資産や不動産などの財産ばかりではありません。負債も遺産にカウントされ、場合によっては財産よりも借金などの負債が多いことがあります。

これを無条件に相続(単純承認)すると、差し引きで負債を多く背負うことになってしまいます。つまり、被相続人の負債を自分の財産から返済しなければならなくなります。

これを防ぐためには、以下の方法があります。

  • 相続放棄相続人が相続財産に有する権利や義務の一切を放棄し、何も相続しないとすること
  • 限定承認相続する財産の範囲内で被相続人の負債を相続すること

相続放棄も限定承認も、相続が発生したことを知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

この3か月以内に何もしないと、財産よりも負債が多くても負債の相続を単純承認したことになってしまいます。

だからこそ、早めに相続財産を調査して負債の有無を調査しておくことが重要です。

不動産の相続財産調査の方法は?

不動産の調査方法は

  • 権利証などをチェック
  • 固定資産課税台帳(名寄帳)の申請
  • 法務局で調査

具体的に見ていきましょう。

権利証などをチェック

まずは被相続人の自宅や貸金庫などに、被相続人が所有していた不動産の権利証がないか確認してください。

不動産の権利証とは、不動産の権利取得の登記を受けたときに法務局(登記所)から登記権利者(取得者)に交付されるもので、登記済証ともいいます。

権利証には、土地であれば地番・建物であれば家屋番号というように、不動産ごとに個別の番号が付されています。

この地番および家屋番号は、後ほどご説明する法務局の調査に必要です。

権利証のほかにも、固定資産評価証明書や固定資産税の納税通知書にも地番・家屋番号が記載されていますので、併せて探してください。

固定資産課税台帳(名寄帳)の申請

不動産のような固定資産には、毎年11日現在の所有者に対し固定資産の所在する市区町村から固定資産税・都市計画税が課税されます。

このとき、固定資産税・都市計画税は市区町村役場が作成している固定資産課税台帳(名寄帳)に記録されている地番および家屋番号が元のデータになります。

つまり、自宅に権利証などが残っておらず地番や家屋番号がわからない場合でも、市区町村役場で固定資産課税台帳(名寄帳)を調べれば被相続人が所有していた不動産を調られます。

ただし、固定資産課税台帳(名寄帳)に記載されている不動産はそれを所管している地域内の不動産しか調べられません。つまり、被相続人がいくつもの市区町村に不動産を所有していた場合は、その不動産が存在している市区町村役場すべてに出向いて調べなければなりません。

また、共有名義の不動産に関する固定資産課税台帳(名寄帳)は、市区町村によっては単独名義の不動産とは別の手続きが必要となる場合があるので注意が必要です。

法務局で調査

地番と家屋番号がわかったら、法務局で不動産登記事項証明書を取得してください。

これにより、被相続人が所有していた不動産を特定することができます。

不動産登記事項証明書は、表題部・甲区・乙区のパートで構成されています。

記載されている内容は

  • 表題部には不動産の所在地・面積・種類など、
  • 甲区には不動産の所有者名と住所、
  • 乙区には抵当権や賃借権など所有権以外の権利

このとき、乙区に抵当権が設定されているなどの記載があったことにより、実は被相続人が家族も知らない債務を抱えていた事実が判明することもあります。

金融資産の相続財産調査の方法は?

金融資産の調査方法は、次の通りです。

  • 通帳やカードをチェック
  • 全店照会でチェック
  • 補足:名義預金に注意

通帳やカードをチェック

まず、被相続人の通帳やキャッシュカード、金融機関からの残高通知など定期郵送物などで、被相続人がどこの金融機関と取引していたのか確認してください。

通帳があれば、口座の履歴から保険契約や証券会社との取引状況、クレジットカードの引き落としなど、他の情報が派生的にわかることがあります。

全店照会でチェック

続いて、金融機関に口座名義人である被相続人が死亡して相続が発生したことを申し出て、今後の手続きの流れや必要書類について説明を受けてください。

このとき、金融機関には全店照会を依頼してください。被相続人が同じ金融機関で複数の支店に、複数の口座を持っていたということもあります。全店照会を行うことにより、被相続人がその金融機関で保有していた口座のすべてがわかるうえに、貸金庫契約や記入商品仲介口座の有無についてもわかります。ただし、全店照会ができるのは一部の金融機関に限られます。

補足:名義預金に注意

被相続人が親族名義で残高のある預金口座を作成していた場合、相続が発生したときに税務署から名義預金と判断される可能性が高くなります。

税務署に名義預金と判断されると、その相続人名義の預金は暦年贈与による受贈資産の扱いを受けることは基本的にないといってよいでしょう。そうなると、当該名義預金は被相続人の相続財産とされ、相続税の課税対象とされます。また、名義預金を放置してあとからその存在が発覚した場合、ペナルティとして税務署から過少申告加算税などが課税される可能性があります。

相続財産調査を弁護士に任せるメリット

財産の調査には手間がかかります。調査の対象が多い場合や、抜け漏れが心配な場合は、相続財産調査を弁護士に依頼するのも1つです。

弁護士に相続財産調査を依頼するメリットを具体的に見ていきましょう。

  • 弁護士の調査権限を用いてスムーズに調査を行える
  • 調査後の面倒な手続きを代行してもらえる
  • 相続財産の公平感のある分配方法を相談できる

弁護士の調査権限を用いてスムーズに調査を行える

相続財産を自力でひとつひとつ調べていくことは大変な負担です。

特に役所や金融機関での調査は、問い合わせる都度本人確認書類の提出や書類の作成などが求められることが多いため、余計に手間や時間がかかることが予想されます。

一方で、弁護士には依頼者の代理人としての調査権限が認められています。経験のある弁護士であれば相続財産調査のポイントを知っています。

弁護士に依頼することで、スムーズかつ抜け漏れのない相続財産調査ができます。

調査後の面倒な手続きを代行してもらえる

相続財産は、調査して終わりではありません。相続財産は相続人の名義に書き換えないと、自由に使用・処分できません。

しかし、名義書き換え手続きの多くは役所や金融機関宛てに行うため、平日の昼間に仕事をしている人は仕事を休まざるを得ないこともあります。

また、名義書き換え手続きには複雑なものが多く、はじめて相続に関する名義書き換え手続きを行う人にとっては、大きな負担になるでしょう。

相続財産の名義書き換え手続きは、ご自身で無理に行う必要はありません。ご自身での対応が難しい場合は、弁護士に任せることもひとつの選択肢です。

相続財産の公平感のある分配方法を相談できる

遺留分侵害額請求

「相続人のはずなのに、被相続人による生前贈与や遺贈によって、知らないうちに他の相続人が遺産をすべて相続することになっていた、自分の何も相続できないの?」

このような場合でも、まったく相続できないわけではありません。

民法は一定の法定相続人に対し、遺留分という遺産の最低限度の取り分を定めています。

遺留分は、相続人が被相続人の父母や祖父母など直系尊属のみの場合は3分の1、それ以外は2分の1となります。ただし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分がありません。

遺留分を侵害された相続人は、多めの遺産を相続したほかの相続人に対して侵害された遺留分に相当する金銭を支払うことを請求する遺留分侵害額請求ができます。

遺留分侵害額請求権を行使するときは、相手との交渉も必要な場合があります。弁護士に依頼することにより、あなた適切な結果を得やすくなります。

特別受益についての相談

遺留分について特にトラブルの原因となりやすい論点が、特別受益です。

特別受益とは、特定の相続人が生前の被相続人から受けた他の相続人と比較した場合に明らかに不公平と考えられる利益の供与のことです。たとえば、留学費用や住宅購入資金の援助などが考えられるでしょう。

特別受益は被相続人からの遺産の前受け分として考慮され、特別受益の持ち戻しとして遺留分算定の基礎に加算されます。これにより、被相続人の生前に特別受益があった人となかった人との公平性を図ります。

もし特別受益の持ち戻しについて納得がいかない相続人がいた場合、トラブルになることも考えられます。このとき、弁護士に依頼すれば特別受益の持ち戻しに応じるように説得し、公平性のある相続の実現を目指すことができます。

まとめ

相続財産調査は確実性が求められる一方で、手間と時間がかかるものです。あなたの時間を有効に使いつつ正確な相続財産調査を行うためには、弁護士に依頼することがおすすめです。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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