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相続の弁護士費用を安くする方法と高額になるケース

弁護士費用を安くする方法

相続問題は、弁護士に依頼することで、スムーズに解決できる可能性があります。しかし、気がかりとなるのは弁護士費用ではないでしょうか。

相続の交渉を依頼した場合の弁護士費用の相場は、着手金が20~30万円、報酬金が獲得した金額に対して4~16%程度です。

さらに、相続財産や相続人、手続き方法、各法律事務所の料金体系によっても、費用は大きく異なります。

この記事では、相続を弁護士に依頼する際に気がかりとなる弁護士費用について、以下の点を解説します。

  • 相続の弁護士費用の相場や安く抑える方法
  • 相続の弁護士費用が高額となるケース
  • 相続で弁護士を雇った方がよいケース

遺産相続の弁護士費用の相場

遺産相続の弁護士費用の相場と内訳は以下のとおりです。

内訳 説明 費用(税別)
法律相談料 相談した際にかかる費用 30分5,000~1万円前後

初回のみ無料、2回目以降有料の場合も多い

着手金 弁護士に依頼した際にかかる費用 20万円~30万円前後

※事案の複雑さによって高額になることもある

報酬金 依頼した案件が解決した際に、成果に応じて発生する費用

固定の金額を定める場合と、得られた金額(経済的利益)に対して一定割合が報酬金となる場合がある

右記は経済的利益に対して報酬が発生する場合

300万円以下を得た場合:16%
300万円~3,000万円以下を得た場合:10%+18万円
3,000万円~3億円以下を得た場合:6%+138万円
3億円以上を得た場合:4%+738万円
実費 弁護士が案件に対応する際に発生する費用(交通費、書類郵送代、裁判所の手数料など)
日当 弁護士が事務所以外(調停への出席など)で活動した場合にかかる日当 1日:5万円~10万円

半日:3万円~5万円

手数料 争いがなく、単発の事務的な手続きを依頼する場合にかかる費用(遺言書の作成や執行など) 10万円~20万円

※事案により異なる

弁護士費用は現在自由化されており、各法律事務所によって料金設定が異なります。

しかし、自由化前の日本弁護士連合会が定めていた旧報酬基準を参考に、事務所の料金を設定している法律事務所も多くあります。

なお、弁護士費用は依頼する内容や手続きによっても異なります。

依頼内容 着手金(税別) 報酬金(税別)
遺産分割 交渉:20~30万円

調停:30~40万円

審判:40~50万円

裁判:30~60万円

経済的利益に対して4~16%
遺留分侵害額請求
遺言無効請求 経済的利益に対して4~16%

もしくは50~100万円と設定する事務所もある

不当利得返還請求
遺言書の作成 10~30万円

※複雑な事案は50万円程度になることもある

遺言執行 30万円~

※複雑な事案は100万円以上かかることもある

相続放棄 5~10万円
限定承認 申請のみ:3~10万円、もしくは一人当たり3万円
清算手続きの場合

着手金:20~50万円

経済的利益に対して4~16%

相続は争いが大きい場合、裁判まで発展する可能性があり、その場合は費用も高額となります。

料金体系も複雑であるため、具体的な費用については、複数の法律事務所で見積もりを出してもらい、トータルでいくらかかるのか確認するとよいでしょう。

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相続の弁護士費用を安く抑える方法

相続問題は、法律の中でも複雑な分野で、高い専門性を求められます。

弁護士に依頼すると、スムーズかつ希望に近い解決が期待できますが、費用もかかることになります。

中には、弁護士費用をすぐに用意できないという人もいるかもしれません。そのような場合は、以下の方法で、弁護士費用を抑えることができます。

  • 紛争が拡大する前に依頼する
  • 分割払いや後払いを相談する
  • 複数の弁護士に相談する
  • 行政書士や司法書士に依頼する
  • 法テラスを利用する

以下で詳しく解説します。

争いが拡大する前に依頼する

遺産相続の弁護士費用を安くする方法の一つは、争いが激化する前に依頼することです。

相続人同士の対立が激しい場合は、調停や審判に発展する可能性があり、その分解決までに費用や時間がかかります。

さらに、弁護士費用の相場についても、遺産分割の協議であれば着手金は20~30万円が相場ですが、調停となると30~40万円、審判となると40~50万円程かかるなど、手続きが次のステップに移行するごとに高くなります。

手続きが次の段階へ進むごとに費用が高くなるため、早めに弁護士へ相談し、トラブルを防ぐことが費用を抑えるポイントです。

なお、日本弁護士連合会の旧報酬規程によると、争いのない事案においては、報酬金の経済的利益を3分の1に減額して計算すると定められており、それに準じた料金体系の法律事務所もあります。

分割払いや後払いを相談する

弁護士費用の報酬金については、得られた遺産から支払う方法があります。依頼をためらう要因となるのは、一括払いが必要な着手金です。

しかし、分割払いや後払い(完全成功報酬制)、もしくはクレジットカードによる決済など柔軟な支払い方法に対応している法律事務所もあります。

報酬金の回収見込みがあるなど事案によっては、分割や後払いを受けてくれるケースもあるため、弁護士に相談してみてもよいでしょう。

複数の弁護士に相談する

弁護士費用を抑えたい場合は、複数の弁護士に相談するのもおすすめです。

複数の弁護士に相談して、それぞれで見積もりを出しもらい比較をすれば、自分の予算に合った弁護士を選ぶことができます。

さらに、弁護士の対応なども比較できるため、自分に合った信頼できる弁護士を選べるメリットもあります。

司法書士・行政書士に依頼する

手続きによっては、司法書士・行政書士に依頼する方法もあります。

司法書士・行政書士はそれぞれ役割が異なりますが、裁判所へ提出書類や契約書の作成も可能です。

司法書士にできること 相続登記、相続人・財産調査、相続放棄の書類作成など
行政書士にできること 相続人・財産調査、遺産分割協議書や遺言書の作成など

司法書士や行政書士に依頼した場合の費用は、内容によっても異なります。

書類作成であれば数万円程度であるため、費用を抑えたい場合は検討するとよいでしょう。

ただし、法律相談や相続人同士の交渉、調停への出席などは弁護士の専業となるため、弁護士にしか扱えません

相続人同士のトラブルがあり、弁護士に依頼した場合は、そのまま契約書の作成まで一括で対応してもらえるため、スムーズです。

相続の弁護士費用を安くできる法テラスとは

相続の弁護士費用の負担が苦しい人におすすめなのが、法テラスの利用です。

法テラスを利用することで、安い費用で専門家に依頼できたり、費用の立替制度が利用できる可能性があります。

ただし、利用には条件があるため、以下で詳しく解説します。

国が設立した法律相談センター

法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法律相談の窓口で、全国に設置されています。収入が一定以下などの条件を満たせば、以下のような支援が受けられます。

  • 同じ問題につき3回まで無料法律相談ができる
  • 法テラスと契約している弁護士・司法書士を相場よりも安価な費用で依頼できる
  • 弁護士・司法書士費用の立替制度が利用できる
  • 費用の支払いは分割払いに対応している

安い費用で依頼できる

法テラスの特徴の一つは、安い費用で弁護士・司法書士へ依頼できる点です。特に遺産分割を依頼する場合は、費用を抑えられる可能性があります。

例えば、法テラス経由で依頼した場合の費用は、得られる金額が50万円未満の場合、着手金は約9万円、報酬金は8万円、もしくは6~10%となります(税別)。

1,000万円以上を得た場合の着手金は約27万円+報酬金が6~10%となります。ただし、法テラスの利用には後述するようなデメリットもあるため、注意が必要です。

参考:代理援助立替基準 – 法テラス

費用の立替制度がある

収入が一定以下などの条件を満たした場合は、弁護士・司法書士費用の立替制度(民事法律扶助)が利用できる可能性があります。

民事法律扶助を利用した場合は、弁護士が事案に着手してからおおよそ2か月後くらいから、費用の分割払いが開始します。

一度にまとまった費用が負担できない場合は、民事法律扶助を利用するとよいでしょう。

利用条件がある

法テラスは、無料相談や安価での依頼、民事法律扶助などが利用できますが、利用には下記の条件を満たす必要があります。

  • 収入や資産が一定基準以下であること
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること(相手に対する報復などが目的ではないこと)

収入や資産については、世帯人数が2人の場合、収入は25~27万円以下、預貯金などの試算が250万円以下であることが条件となります。

収入要件については、法テラスに相談することで、利用できるかどうか確認できます。

法テラスにはデメリットもある

法テラスは、安い費用で依頼できる点や、民事法律扶助が利用できる点など、数多くのメリットがあります。一方で、以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。

  • 依頼できる弁護士は指定できないため、相続問題の実績がある弁護士に当たるかどうかはわからない
  • 民事法律扶助の審査には2週間から1か月ほどかかるため、手続き期限のある相続放棄などが間に合わないおそれがある
  • 収入が一定以下など条件を満たさない人は利用できない

特に相続は専門性が高い手続きであるため、相続問題に携わった経験のない弁護士に当たってしまうと、自分の希望した条件での解決が難しくなることも考えられます。

そのため、法テラスを利用するかどうかは慎重に判断した方がよいでしょう。

相続の弁護士費用が高額となるケース

遺産相続の弁護士費用を抑えるには、どのようなケースだと費用が高額となるのか把握しておくことも重要です。

以下では、相続の弁護士費用が高額となるケースを紹介します。

  • 遺産の評価額が高い場合
  • 遺産が多く内容が複雑な場合
  • 遺産分割以外にも依頼内容がある場合
  • 遺産分割協議から調停や審判に発展する場合
  • 調停や審判が遠方で行われる場合

遺産の評価額が高い場合

弁護士の成功報酬は、獲得した経済的な利益に対して一定の割合が報酬金となります。

そのため、獲得金額が高額な場合や、不動産などの遺産の評価額が高い場合、弁護士の報酬も高額となることが考えられます。

なお、葬儀費用などは相続税から控除できますが、弁護士費用は控除対象とはなりません。

遺産が多く内容が複雑な場合

同様に、遺産が多く、相続人が複数人にわたるなど、規模が大きく、複雑な事案の場合も、調査や事務処理などが増え、その分費用が高額となることが考えられます。

依頼内容が複数ある・調停や審判に発展した場合

相続の事案で、遺産分割以外の内容を依頼した場合も、費用がかかります。

例えば、遺産分割の他に、遺産を使い込んだ人に対して返還を求める場合(不当利得返還請求)、異なる手続きが必要です。

同様に、遺産分割協議を依頼しても、相続人で合意に至らず、遺産分割調停に発展して、引き続き依頼する場合には、調停の着手金・報酬金が発生します。

ただし、引き続き依頼する場合は、着手金の割引や、10万円程度の着手金で依頼できることが多いです。

調停や審判が遠方で行われる場合

遺産分割調停などの調停や審判は、基本的に相続人のいずれかの住所を管轄する家庭裁判所で行われます。

そのため、場合によっては自宅から遠方の調停や審判に参加する必要が生じ、弁護士の出張費用が発生することがあります。

ただし、自分が弁護士に依頼している場合は、電話会議での参加が可能なこともあります。弁護士に相談する際に確認してみるとよいでしょう。

遺産相続について弁護士を雇った方がよいケース

弁護士費用について解説しましたが、実際に費用を払っても弁護士を雇った方がよいケースはどのようなケースなのでしょうか。

例えば、以下のようなケースでは、費用を払っても弁護士を雇った方がよいケースだと言えます。

  • 相手が弁護士を雇っていて不利になりたくない
  • 感情的な対立を避けて取り分を主張したい
  • 代襲相続で相続人が多い・面識がない
  • 忙しいため調査や協議を弁護士に任せたい

それぞれについて解説します。

相手が弁護士を雇っていて不利になりたくない

遺産相続で弁護士を雇うべきケースは、相手も弁護士を雇っていて、不利になりたくない場合です。

例えば、相続人が弁護士に依頼すると、その弁護士が窓口となり、遺産分割協議を進めることになります。

一見、協議がスムーズに進みそうに思えますが、場合によっては公平な話し合いができなくなる可能性があります。

法的知識のある弁護士と直接交渉となると、専門知識の差や交渉力により、対等な交渉が難しくなる可能性があります。

相手のペースで交渉が進むことも考えられるため、対等な交渉や強い希望がある場合は、こちらも弁護士に依頼して対等な立場で交渉するのがおすすめです。

相続人同士の話し合いが進まない・感情的な対立を避けて取り分を主張したい

相続人同士で感情的な対立があると、協議にはどうしても時間がかかることになります。

しかし、弁護士に依頼することで、相続人の意見を聞きながら交渉を行い、法的な根拠をもとに、各相続人が納得できる配分を提案してもらえます。

感情的な対立を抑えながら交渉を進めることができ、スムーズな解決が期待できます。

さらに、相続人の中に顔を合わせたくない人がいる場合も、弁護士が代理で交渉するため、精神的な負担を軽減できます。

遺産が把握できない・遺産を隠している人がいる

遺産分割などを進めるには、遺産を正確に把握する必要があります。中には、他の相続人が遺産を隠していることもあります。

遺産が把握できない場合や、遺産を隠していると疑わしい相続人がいる場合も、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼することで、弁護士の権限で財産調査を行い、遺産を洗い出すことができます。

財産調査は個人で行うには非常に手間がかかるため、弁護士に任せることでスムーズに進めることが可能です。

代襲相続で相続人が多い・面識がない

代襲相続とは、法律上の相続人が亡くなっている場合に、その子どもに相続権が移り、世代を超えて相続が発生することです。

例えば、亡くなった人の子どもは相続人となりますが、この子どもが亡くなっている場合は、その孫が相続人となります。

代襲相続では、相続人が増えて複雑になりやすく、面識のない相続人との連絡が難しいこともあります。

さらに、それぞれの意見や権利が異なるため、話し合いがまとまりにくくなることも少なくありません。

このような場合、弁護士が相続人の意見を整理し、交渉を取りまとめることで、スムーズな相続分割が期待できます。

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忙しいため調査や協議を弁護士に任せたい

相続を進めるには、遺産や相続人を正確に把握し、確定する必要があります。

しかし、仕事などで忙しく、自分で調査や協議を行うのが難しい場合もあるでしょう。

弁護士に依頼すれば、財産や相続人の調査、遺産分割協議、書類作成、各相続人との交渉などを一括で任せることができます

時間や労力を節約でき、迅速かつスムーズに問題を解決できるため、相続手続きの負担を大幅に軽減できます。

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相続の弁護士費用を安くしたい人からのよくある質問

遺産分割の弁護士費用が3分の1になる制度とは?

遺産分割の弁護士費用が3分の1になる制度はありません。

しかし、日本弁護士連合会の旧報酬規程には、争いのない事案においては、報酬金の経済的利益を3分の1に減額して計算すると定められていました。

そのため、この報酬規程を採用している法律事務所に依頼することで、報酬金が抑えられる可能性があります。

ただし、それよりも安く依頼できる法律事務所もあるため、複数の法律事務所に相談して、見積もりを比較して判断するとよいでしょう。

相続の弁護士費用の経済的利益とは?

相続の弁護士費用における成功報酬は、経済的利益の4~16%程度が相場とされています。

経済的利益とは、遺産分割協議などで得られた利益を指します。

例えば、経済的利益が300万円~3,000万円以下の場合、報酬金の相場は10%+18万円程度です。

具体的に、1,000万円を相続した場合、報酬金は118万円になります。

弁護士費用はこの経済的利益に対する割合で決まることが多く、一般の人には分かりにくい場合があります。

そのため、弁護士に相談する際は、具体的な費用を事前に確認することをおすすめします。

まとめ

相続問題の弁護士費用は、相続財産や相続人が多い場合、相続人同士の争いが大きい場合などに高額となる可能性があります。

支払い方法が柔軟な弁護士や、複数の弁護士に見積もりを出してもらって比較することで、費用を抑えられることがあります。

弁護士費用が負担できない場合は、法テラスの利用も検討するとよいでしょう。

ただし、他の相続人が弁護士をつけている場合や、協議が進まず難航している場合、忙しくて手続きができない場合などには、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼することで、円滑な手続きや、希望に近く納得できる相続の実現が期待できます。

ネクスパート法律事務所では、数多くの相続問題を解決した実績があり、リーズナブルな料金設定を心掛けています。

費用に不安があるという方も、無料相談を活用して気軽にご相談ください

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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