遺産分割調停申立書の書き方と記載例【WordファイルDL可】

共同相続人間で遺産分割についての協議がまとまらないとき、または協議をできないときは、各相続人は家庭裁判所に遺産分割調停を申立てられます。

調停の申立ては、相手方の住所地または当事者が合意で定める家庭裁判所に対して、書面または口頭で行うこととされていますが、実務上は書面によって申立てます。
この記事では、遺産分割調停申立書の書き方や記載例について解説します。
添付書類や提出方法も紹介しますので、ご参考になさってください。
遺産分割調停申立書の書き方と記載例
ここでは、遺産分割調停申立書の入手先や書き方・記載例について解説します。
遺産分割調停申立書の入手先
遺産分割調停申立書は、以下のいずれかの方法で入手できます。
- 家庭裁判所の窓口で備え付けの書式をもらう
- 裁判所のウェブサイトからダウンロードする
参考:遺産分割調停の申立書 | 裁判所 (courts.go.jp)
遺産分割調停申立書Wordファイル【ダウンロード可】
遺産分割調停申立書(当事者目録・遺産目録付き)をWordファイルでご用意しました。
以下からダウンロードしてお役立て下さい。
遺産分割調停申立書の書き方・記載例
遺産分割申立書は、当事者目録・遺産目録と一体にして提出します。
それぞれの書き方のポイントと記載例を紹介します。
遺産分割調停申立書
遺産分割調停申立書には、以下の事項を記載します。
- 申立書を提出する裁判所名
- 作成年月日
- 申立人の氏名
- 添付書類の通数
- 被相続人の最後の住所
- 被相続人の氏名
- 被相続人の死亡日
- 申立ての趣旨
- 申立ての理由
申立人の記名押印欄には、押印が必要です(認印可)。
記載例は以下のとおりです。
当事者目録
当事者目録には、以下の事項を記載し、申立人・相手方の区別を明らかにします。
- 申立人の住所・氏名・生年月日・被相続人との続柄
- 申立人以外の共同相続人全員の住所・氏名・生年月日・被相続人との続柄
記載例は以下のとおりです。
遺産目録
遺産目録は、以下のとおり、財産の種類ごとに分かれています。
- 土地
- 建物
- 現金、預・貯金、株式
土地・建物の記載は、登記簿謄本(登記事項証明書)の記載どおりに記入します。
未登記の不動産がある場合は、固定資産評価証明書の記載を参考に記入します。
預貯金等は、口座が特定できるように記入します。申立人・相手方のいずれかが通帳やキャッシュカード等を保管している場合は、保管状況を備考欄に書くと良いでしょう。
記載例は以下のとおりです。
遺産分割調停申立書に添付する書類
ここでは、遺産分割調停申立書に添付する書類について解説します。
遺産分割調停申立書には、当事者目録や遺産目録のほか、以下の書類を添付して家庭裁判所にまとめて提出します。
- 相続関係図
- 戸籍謄本等
- 不動産に関する資料
- 預貯金通帳、証書の写しまたは残高証明書
- 株式の預かり証または残高証明書等
- 自動車の登録事項証明書の写しまたは車検証の写し
- 相続税の申告書の写し
- 遺言書の写し
ひとつづつ確認していきましょう。
相続関係図
相続関係図とは、被相続人と共同相続人全員の相続関係が一目で分かるように図にしたものです。分かりやすく正確に記載されていれば、どのような形式でも構いません。
遺産分割調停を弁護士に依頼する場合は、弁護士が相続関係図を作成してくれます。
戸籍謄本等
申立書には、以下の戸籍謄本や住民票を添付します。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票(廃棄済みの場合は戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本(発行から3か月以内のもの)
- 相続人全員の住民票(発行から3か月以内のもの)
被相続人との続柄に応じて、下表の戸籍謄本の追加提出が必要になる場合があります。
被相続人との続柄 | 追加提出が必要な戸籍謄本類 |
---|---|
相続人が被相続人の配偶者と兄弟姉妹の場合 | 被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
相続人のうちに子の代襲者(被相続人の孫)が含まれる場合 | 本来の相続人(被相続人の子)の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
相続人のうちに兄弟姉妹の代襲者(被相続人の甥・姪) | 本来の相続人(被相続人の兄弟姉妹)の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
不動産に関する資料
分割を希望する遺産に不動産が含まれる場合は、以下の書類を添付します。
- 登記簿謄本または登記事項証明書(発行から3か月以内のもの)
- 固定資産評価証明書(発行から3か月以内のもの)
預貯金通帳、証書の写しまたは残高証明書
分割を希望する遺産に預貯金等が含まれる場合は、以下の書類を添付します。
- 預貯金通帳または残高証明書
- 証書の写し
株式の預かり証または残高証明書等
分割を希望する遺産に株式が含まれる場合は、以下の書類を添付します。
- 預かり証
- 残高証明書
自動車の登録事項証明書の写しまたは車検証の写し
分割を希望する遺産に自動車が含まれる場合は、以下のいずれかを添付します。
- 登録事項証明書の写し
- 車検証の写し
相続税の申告書の写し
相続税の申告をしている場合は、申告書(控)の写しを添付します。
遺言書の写し
遺言書がある場合は、遺言書の写しを添付します。
自筆証書遺言で検認の申立てを行った場合は、検認済み証書の写しも併せて提出します。
添付書類の入手先や詳細は、下記関連記事をご参照ください。

遺産分割調停申立書の提出方法
ここでは、遺産分割調停申立書の提出方法を解説します。
提出先
遺産分割調停の申立ては、以下のいずれかに提出します。
- 相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所
- 当事者が合意で定める家庭裁判所
管轄裁判所は、裁判所のウェブサイトで確認できます。
参考:裁判所の管轄区域 | 裁判所 (courts.go.jp)
提出通数
提出書類の必要通数は、以下のとおりです。
- 申立書正本:1通
- 申立書写し:相手方の人数分
- 添付書類:各1通
提出時に納める費用
提出時には、裁判所に以下の費用を納めます。
収入印紙
遺産分割調停申立書の提出時に、申立費用として1,200円を納めます。
申立書に1,200円分の収入印紙を貼り付ける方法で納付します。
予納郵券
遺産分割調停申立書の提出時に、連絡用の郵便切手を納めます。
郵便切手の内訳や合計額は裁判所によって異なりますが、概ね数千円程度です。

まとめ|遺産分割調停申立は弁護士にお任せください
遺産分割調停の申立てるためには、申立書のほかにも様々な書類を入手・作成しなければなりません。
特に、相続関係を証する資料である戸籍謄本の収集には、時間や手間がかかります。
弁護士に依頼すれば、書類の収集や申立書の作成を全て任せられます。
弁護士は、代理人として家庭裁判所の手続きに関与できるので、調停の席にも同席できます。
法的根拠を基にご自身の意見も主張でき、調停委員の信頼も得られ易くなるので、精神的負担も軽減できるでしょう。
遺産分割でお悩みの方は是非一度、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。