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遺産分割調停の概略や弁護士に依頼するメリットについて

遺産分割には、次の3つの手続きがあります。

  • 遺産分割協議
  • 遺産分割調停
  • 遺産分割審判

共同相続人間で遺産分割協議ができない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用して解決を図れます。

ここでは遺産分割調停の手続きや流れを詳しく解説します。

遺産分割調停とは

共同相続人間で遺産分割の協議が整わないとき、または協議ができないときは、各相続人はその分割を家庭裁判所に請求できます(民法907条第2項)。その請求の一つが遺産分割調停です。

ここでは、次の順に遺産分割調停について解説します。

  • 遺産分割調停を申立てるタイミング
  • 遺産分割調停申立書の書き方と必要書類
  • 遺産分割調停の流れ
  • 遺産分割調停調書とは?
  • 遺産分割調停が不成立になると審判に移行する

遺産分割調停を申立てるタイミング

遺産分割調停を申立てるタイミングは、次に該当する場合が一般的です。

相続人間で話し合いが整わないとき

次のように、共同相続人間で遺産分割の協議が成立しない場合は、遺産分割調停を利用できます。

  • 遺産分割の内容に反対する相続人がいる
  • 協議を重ねても共同相続人全員の合意が得られない

連絡の取れない相続人がいる

音信不通の相続人がいるなど遺産分割を協議できない場合、不在財産管理人を選任し、本人に代わって遺産分割協議に参加してもらう方法があります。

この場面も、遺産分割調停が選択肢の一つとなります。

遺産分割調停申立書の書き方と必要書類

調停の申立ては、口頭でも可能ですが、実務上は書面によって申立てます。

申立書の書き方

申立書の用紙は、各地の家庭裁判所又は裁判所ウェブサイトから入手できます。

申立書の書き方(記入例)は、裁判所のウェブサイトで丁寧に説明されています。下記URLをご参照ください。

遺産分割調停の申立書 | 裁判所 (courts.go.jp)

2019_isan_rei_729kb.pdf (courts.go.jp)

必要書類

申立書には、主に次の書類を添付します。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
  • 被相続人の住民票又は戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 遺言書の写し(遺言書がある場合)
  • 遺産に関する資料一切

裁判所によっては、以下所定の書式の提出が必要です。

  • 事情説明書
  • 連絡先等の届出書
  • 進行に関する照会回答書

申立ての費用

申立てに必要な費用は、次のとおりです。

  • 収入印紙:被相続人1人につき1200円分
  • 予納郵券:相手方10人まで3,310円(東京地裁の場合)

予納郵券の額及び内訳は、裁判所により異なりますので、事前に確認しましょう。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の管轄裁判所

遺産分割調停の申立ては、次のいずれかに対して行います。

  • 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 当事者が合意で定めた家庭裁判所

相手方が複数いる場合は、そのうちの1人の住所地を選ぶことができます。ただし、家庭裁判所が、被相続人の最後の住所地や主たる遺産の所在地など、分割事件に関連のある住所地を選択するよう指導することもあります。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の大まかな流れは次のとおりです。

調停の申立て

管轄の家庭裁判所に調停を申立てます。裁判所書記官が形式的な確認をし、形式が整っていれば受理されます。

調停事件として受理されると、家事審判官と2名以上の家事調停員で家事調停委員会を組織し、その調停事件を行います。

調停期日

家事調停員会は、第1回目の調停期日と開始時刻を指定し、申立人と相手方を家庭裁判所に呼び出します。調停期日は概ね1ヶ月に1回程度設けられ、2回目からは当事者の都合を聞いて次回期日が定められます。

申立人と相手方には、別々の待合室が用意され、顔を合わせなくても良いよう配慮されています。弁護士が就いている場合、当事者の出頭は不可欠ではありませんが、当事者も一緒に出頭するのが一般的です。

調停委員は、時間をずらして申立人・相手方を呼び、調停室でそれぞれ次の内容を聴取します。

  • 紛争の実情
  • 調停に至る経緯
  • 希望する分割案

調停委員は、双方の話を数回聞きながら、調停を進めます。1回の調停は概ね2時間程度です。事案にもよりますが、遺産分割調停にかかる期間の平均値は概ね1年です。

調停成立・不成立

調停において、当事者間に合意が成立し、調停委員がその合意内容を相当と認めて調書にすると、調停は成立します。

調停委員会が当事者間に合意が成立する見込みがないと判断した場合は、調停は不成立となります。

遺産分割調停調書とは?

遺産分割調停調書は、遺産分割調停成立時に作成されます。

通常の場合、調停が成立する段階で、調停委員が当事者を交えて次の事項を確認します。

  • 調停条項案の内容の確認
  • 申立書記載の当事者の住所変更の有無
  • 即時払いの金銭がある場合はその所持の確認

遠隔地に居住するなどの理由で出頭できない相続人がいる場合は、調停委員があらかじめその当事者に調停条項案を提示し、その当事者から受諾する旨の書面を取り寄せます。

遺産分割調停調書の効力

調停調書は、確定した審判と同一の効力を有します。よって、調停調書に次の内容が記載されると、執行力ある債務名義と同一の効力を有します。

  • 金銭の支払い
  • 物の引き渡し
  • 登記義務の履行
  • その他給付義務

したがって、当事者が調停調書に記載された義務を履行しない場合、直ちに強制執行できます。

遺産分割調停が不成立になると審判に移行する

遺産分割調停が不成立になると審判に移行します。調停不成立によって当然に審判手続きが開始されるため、あらためて審判申立書を提出する必要はありません。

遺産分割調停と審判の違い

遺産分割調停と遺産分割審判の主な違いは次のとおりです。

遺産分割調停 遺産分割審判
進め方 協議に応じるか否かは相続人の自由 裁判官が職権で分割方法を決める
分割方法 ①共同相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる遺産分割が可能

②代償分割・換価分割を含めた柔軟な分割方法を決められる

①原則として法定相続分どおりの遺産分割となる

②代償分割の代償金を用意できない場合、競売による換価を命じられることがある。

前提問題(遺産の範囲・寄与分)の取扱い 別途調停・審判の申立てを要する

遺産分割審判の回数や期間

遺産分割審判は、概ね2ヶ月に1回の期日が開かれます。事案にもよりますが、平均的には終結まで6回程度・概ね1年の期間がかかります。

不服申し立て

遺産分割審判に不服がある場合は、即時抗告を申立てられます。

即時抗告ができる期間は、審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内です。即時抗告の申立てがあった場合、原審家庭裁判所は、再度の考案によって更正の審判ができます。

抗告裁判所は、申立ての適否・理由の有無により次のいずれかの裁判をします。

  • 却下
  • 棄却
  • 原審判の取消し

上記③の場合は、原則として原審判を原審家庭裁判所に差し戻しますが、抗告裁判所自ら審判に代わる裁判(自判)をすることもあります。

遺産分割調停のメリット

冷静な話し合いができる

当事者同士が直接話し合いをすると、互いに感情的になることがあります。調停を利用すれば、調停委員が仲介役となりますので、冷静に話し合いを進められます。

公平な解決方法を提案してもらえる

調停委員が公平中立な立場で、各相続人の主張を法的に整理し、調整してもらえます。調停が不成立となっても、審判で遺産分割を解決できます。

直接話し合わなくて済む

調停では、当事者が顔を合わせずに済むよう配慮して手続きを進めてもらえます。調停員は、当事者双方の主張を、個別に聴取します。

遺産分割調停のデメリット

裁判所へ出向く必要がある

調停期日に裁判所に出頭する必要があります。

代理人が就いている場合、本人の出頭は不可欠ではないものの、調停委員会は当事者本人も出頭するのが好ましいと考えています。

解決まで時間がかかる

調停期日は12ヶ月に1回程度しか開かれません。このため解決まで半年~1年以上を要します。事案によっては、3年以上の期間がかかる場合もあります。

遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット・費用

ここでは、遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットを紹介します。

遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット

遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットは次のとおりです。

申立ての準備を任せられる

申立てにあたり、様々な書類を準備しなければなりません。書類の収集や申立書の作成には時間がかかります。弁護士に依頼すれば、それらを含めて申立ての準備を任せられます。

時間を大幅に短縮し、スムーズな申立てが可能です。

調停の席でサポートを受けられる

弁護士が調停に同席することで、調停委員に誤った認識を生じさせるリスクを軽減できます。弁護士は、法的根拠をもとに本人の意見を主張できますので、調停委員の信頼を得られ易くなります。

遺産分割調停を依頼した場合の弁護士費用

遺産分割調停を弁護士に依頼した場合の費用は、次のとおりです。

着手金

一般的には、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を参考に、取得を希望する遺産の額に応じて算定されます。具体的には、経済的利益の額に応じて次のとおり算定します。

  • 300万円以下の場合         8% (最低着手金:11万円)        
  • 300万円超3000万円以下の場合    5%99,000            
  • 3000万円超3億円以下の場合     3%759000           
  • 3億円超の場合         2%405万円     

弁護士事務所によっては、固定報酬が定められている場合もあります。

日当

調停期日への出頭に日当が発生する場合、1日につき、2万~5万円前後がかかります。

報酬金

一般的には、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を参考に、遺産分割調停により依頼者が取得した額(経済的利益の額)に応じて算定されます。具体的には、経済的利益の額に応じて次のとおり算定します。

300万円以下の場合 16%
300万円超3000万円以下の場合 10%+19万8000円
3000万円超3億円以下の場合 6%1518000
3億円超の場合 4%8118000

弁護士事務所によっては、固定報酬が定められている場合もあります。

まとめ

遺産分割調停の申立てには、様々な書類を準備しなければなりません。

遺産分割調停では、法的な根拠を基に、ご自身の意見を主張・立証しなければなりません。調停委員を味方につけ、調停を有利に進めるためには、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士に依頼することで、物理的・精神的な負担を軽減できます。

遺産分割でお悩みの方は是非一度、当事務所にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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