遺産分割調停の必要書類|申立書の書き方や添付書類の入手方法も解説

共同相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てられます。

遺産分割調停の申立てには、さまざまな書類が必要です。普段聞き慣れない書類も多く、戸籍謄本等の読み解きに苦労される方も少なくありません。
この記事では、遺産分割調停の申立てに必要な書類について、以下のとおり解説します。
- 遺産分割調停の申立てに必要な書類の入手先・入手方法一覧
- 遺産分割調停の申立てに必要な書類|①申立書類
- 遺産分割調停の申立てに必要な書類|②添付書類
- まとめ|調停申立書の作成や必要書類の収集が難しいと感じたら弁護士に相談を
遺産分割調停申立準備の助けになれば幸いです。
この記事を読んで、少しでも不安が残る方は弁護士への相談をおすすめします。
目次
遺産分割調停の申立てに必要な書類の入手先・入手方法一覧
ここでは、遺産分割調停の申立てに必要な書類と入手先・入手方法を紹介します。
下記一覧表でご確認ください。
★印の書類は、該当する財産や遺言がある場合、相続税申告を行った場合のみ必要です。
必要書類 | 入手先 | 入手方法 |
---|---|---|
遺産分割申立書 | 管轄の家庭裁判所 | 家庭裁判所の窓口で取得
または 裁判所ホームページからダウンロード |
当事者目録 | ||
遺産目録 | ||
相続関係図 | - | 申立人・代理人で作成する |
被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 | 本籍地のある市区町村役場 | 窓口または郵送で請求 |
被相続人の住民票除票 | 被相続人の最後の住所地の市区町村役場 | 窓口または郵送で請求
※廃棄済みの場合は、本籍地の市町村役場から戸籍の附票を取り寄せる |
相続人全員の戸籍謄本(発行から3か月以内のもの) | 本籍地のある市区町村役場 | 窓口または郵送で請求 |
相続人全員の住民票(発行から3か月以内のもの) | 住所地の市区町村役場 | 窓口または郵送で請求 |
登記簿謄本または登記事項証明書(発行から3か月以内のもの)★ | 管轄の法務局 | 窓口または郵送で請求 |
固定資産評価証明書★ | 所在地の市町村役場または市税(都税)事務所 | 窓口または郵送で請求 |
預貯金通帳、証書の写しまたは残高証明書★ | 被相続人の居宅または金融機関等 | 残高証明書は金融機関所定の方法で発行を依頼する |
株式の預かり証または残高証明書等★ | 証券会社等 | 残高証明書は証券会社所定の方法で発行を依頼する |
自動車の登録事項証明書の写しまたは車検証の写し★ | 自動車内・被相続人の居宅等 | 自動車のダッシュボード内や被相続人の居宅内を探索する |
相続税の申告書の写し★ | 相続人保有の控え | 相続税を申告した場合は、控えの写しを提出する |
遺言書の写し★ | 相続人または遺言執行者 | 自筆証書遺言の場合、検認済み証書の写しも提出する |
遺産分割調停の申立てに必要な書類|①申立書類
ここでは、遺産分割の申立書類について解説します。
遺産分割の申立書類は、以下のとおりです。申立書本体とともに付属書類をまとめて提出します。
- 遺産分割申立書
- 当事者目録
- 遺産目録
- 相続関係図
ひとつずつ説明します。
遺産分割申立書
遺産分割申立書は、家庭裁判所の窓口で備え付けの書式をもらうか、裁判所のホームページからダウンロードします。
申立書には、主に以下の事項を記入します。
- 申立人の氏名
- 添付書類の通数
- 被相続人の本籍・最後の住所・氏名・死亡年月日
- 申立ての趣旨
- 申立ての理由
参考:遺産分割調停の申立書 | 裁判所 (courts.go.jp)
当事者目録
当事者目録は、家庭裁判所の窓口で備え付けの書式をもらうか、裁判所のホームページからダウンロードします。
当事者目録には、相続人全員について、以下の事項を記入します。
- 住所
- 氏名
- 生年月日
- 本籍
- 被相続人との続柄
遺産目録
遺産目録は、家庭裁判所の窓口で備え付けの書式をもらうか、裁判所のホームページからダウンロードします。
遺産目録は、遺産の内容によって書式が異なり、それぞれ以下の事項を記入します。
- 土地:所在、地番、地目、地積
- 建物:所在、家屋番号、種類、構造、床面積
- 現金、預貯金、株式等:品目、単位、数量(金額)
共同相続人間で遺産の一部につき分割協議が成立し、分割済みの財産がある場合は、同じ書式を用いて必要事項を記入し、分割済遺産目録のチェック欄にチェックして提出します。
相続関係図
相続関係図とは、被相続人とすべての相続人との相続関係が一目で分かるように図にしたものです。相続関係図は、申立人または代理人が作成します。
分かりやすく正確に記載されていれば、どのような形式でも問題ありません。
遺産分割調停の申立てに必要な書類|②添付書類
ここでは、遺産分割調停の申立てに必要な添付書類について解説します。
添付書類は、次の2種類に分けられます。
- 書証番号をつけない書類
- 書証番号をつける書類
ひとつずつ説明します。
書証番号をつけない書類
書証番号をつけない書類には、次のものがあります。
- 戸籍謄本等
- 不動産に関する資料
ひとつずつ確認しましょう。
戸籍謄本類
遺産分割調停の申立てには、以下の戸籍謄本や住民票を提出する必要があります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票(廃棄済みの場合は戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本(発行から3か月以内のもの)
- 相続人全員の住民票(発行から3か月以内のもの)
入手先は、以下のとおりであり、窓口・郵送のいずれでも請求可能です。
- 戸籍謄本等や戸籍の附票:本籍地のある市区町村役場
- 住民票:住所地の市区町村役場
相続人の続柄に応じて、戸籍謄本の追加提出が必要になる場合があります。
詳細は下表をご参照ください。
ケース | 追加提出が必要な戸籍謄本類 |
---|---|
相続人が被相続人の配偶者と兄弟姉妹の場合 | 被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
相続人のうちに子の代襲者(被相続人の孫)が含まれる場合 | 本来の相続人(被相続人の子)の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
相続人のうちに兄弟姉妹の代襲者(被相続人の甥・姪) | 本来の相続人(被相続人の兄弟姉妹)の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本 |
不動産に関する資料
分割を希望する遺産に不動産が含まれる場合は、以下の書類が必要です。
- 登記簿謄本または登記事項証明書(発行から3か月以内のもの)
- 固定資産評価証明書(発行から3か月以内のもの)
それぞれの入手先は、以下のとおりです。
- 登記簿謄本または登記事項証明書:当該不動産を管轄する法務局
- 固定資産評価証明書:所在地の市町村役場または市税(都税)事務所

書証番号をつける書類
書証番号をつける書類には、次のものがあります。
- 預貯金通帳、証書の写しまたは残高証明書
- 株式の預かり証または残高証明書等
- 自動車の登録事項証明書の写しまたは車検証の写し
- 相続税の申告書の写し
- 遺言書の写し
ひとつずつ確認しましょう。
預貯金通帳、証書の写しまたは残高証明書
分割を希望する遺産に預貯金等が含まれる場合は、預貯金通帳または証書の写しの提出が必要です。預貯金通帳や証書を紛失している場合は、金融機関から残高証明書を取り寄せて提出します。
残高証明書の発行を依頼する場合は、次の点に留意してください。
- 死亡日の残高でなく、発行日現在の残高を記載してもらう
- 口座番号を記載してもらう
- 同一支店に複数の口座がある場合は、口座番号ごとに残高を記載してもらう
- 定期預金等がある場合は、発行日現在の元本及び税引き後の利息額も記載してもらう
株式の預かり証または残高証明書等
分割を希望する遺産に株式が含まれる場合は、預かり証または残高証明書等の提出が必要です。残高証明書等は株式を預託している証券会社に発行を依頼します。
自動車の登録事項証明書の写しまたは車検証の写し
分割を希望する遺産に自動車が含まれる場合は、次のいずれかを提出する必要があります。
- 登録事項証明書の写し
- 車検証の写し
当該自動車のダッシュボードに保管されているのが通常です。
相続税の申告書の写し
相続税の申告をしている場合は、申告書の写しを提出します。
遺言書の写し
遺言書がある場合は、遺言書の写しを提出します。自筆証書遺言で検認を受けている場合は、検認済み証書の写しも併せて提出します。

まとめ|調停申立書の作成や必要書類の収集が難しいと感じたら弁護士に相談を
遺産分割調停の申立てには、さまざまな書類が必要です。
相続人が多い場合、戸籍謄本類の収集だけに1~2か月程度かかることもあります。
調停申立書や付属書類の作成、必要書類の収集が難しいと感じたら、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、申立書類の作成・必要書類の収集はもちろん、調停期日に同行してもらえるため安心です。
遺産分割調停の申立準備にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。