遺産分割協議の弁護士費用の相場はいくら?誰が払う?

相続人間で遺産分割協議がまとまらないときは、当事者で協議を続行するより、弁護士に交渉を任せた方がスムーズに進むことがあります。

遺産分割協議の交渉を弁護士に依頼したくても、費用が気になって躊躇する方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、遺産分割協議の交渉を弁護士に依頼した場合の費用について、以下のとおり解説します。
- 遺産分割協議・交渉の弁護士費用相場
- 遺産分割協議・交渉の弁護士費用は誰が払う?
- 遺産分割協議の一部だけを依頼できる?その場合の弁護士費用の相場は?
- 遺産分割協議の弁護士費用に関するQ&A
- 【遺産分割協議】ネクスパート法律事務所の弁護士費用
遺産分割協議の交渉にかかる弁護士費用が気になる方は、ぜひご参考になさってください。
目次
遺産分割協議・交渉の弁護士費用相場
ここでは、遺産分割協議・交渉の弁護士費用の相場を解説します。
遺産分割協議の交渉を弁護士に相談・依頼した場合にかかる費用は以下のとおりです。
- 相談料|1時間あたり5,000円~1万円程度
- 着手金|経済的利益の2%~8%程度
- 報酬金|経済的利益の4%~16%程度
- 日当|1日あたり3万円~5万円程度
- 実費|数千円~数万円程度
遺産分割協議・交渉では、着手金や報酬金は経済的利益の額に応じて決められるのが一般的です。経済的利益の額とは、分割を希望する遺産の額や実際に相続する遺産の額を指します。
費用の相場を理解しやすいように、経済的利益の額に応じた弁護士費用の相場を下表で紹介します。
【経済的利益の額が300万円の場合】
費用内訳 | 相場(目安) |
---|---|
着手金 | 20万円~30万円程度 |
報酬金 | 35万円~55万円程度 |
日当 | 1日あたり3~5万円程度 |
実費 | 数千円~数万円程度 |
合計 | 60万円~90万円程度 |
【経済的利益の額が1,000万円の場合】
費用内訳 | 相場(目安) |
---|---|
着手金 | 45万円~65万円程度 |
報酬金 | 85万円~130万円程度 |
日当 | 1日あたり3~5万円程度 |
実費 | 数千円~数万円程度 |
合計 | 130万円~200万円程度 |
【経済的利益の額が5,000万円の場合】
費用内訳 | 相場(目安) |
---|---|
着手金 | 160万円~240万円程度 |
報酬金 | 320万円~480万円程度 |
日当 | 1日あたり3~5万円程度 |
実費 | 数千円~数万円程度 |
合計 | 480万円~720万円程度 |
相談料|1時間あたり5,000円~1万円程度
遺産分割協議について、弁護士に相談した場合は法律相談料がかかります。
相談料の相場は、1時間あたり5,000円~1万円です。初回相談を無料としている事務所もあります。
法律相談後、正式に依頼した場合は、当日の法律相談料がかからないこともあります。
着手金|経済的利益の2%~8%程度
着手金とは、弁護士が遺産分割協議の交渉に着手するための費用です。結果の成功・不成功に関わらず、原則として返金されない費用です。
着手金の額は、以下のとおり、経済的利益(取得を希望する遺産の額)に応じて決められるのが一般的です。
- 300万円以下の場合:8%
- 300万円超え3,000万円以下の場合:5%+9万円
- 3000万円超え3億円以下の場合:3%+69万円
- 3億円超えの場合:2%+369万円
交渉の場合は、上記に従って算出した金額の3分の2程度に減額されることがあります(ただし、最低着手金は、税込11万円程度になることが多いです)。
着手金を固定額としている法律事務所もあります。
報酬金|経済的利益の4%~16%程度
報酬金とは、弁護士が依頼を受けた事件について、成功の程度に応じて発生する成功報酬です。
報酬金は、以下のとおり、経済的利益の額(相続した遺産の額)に応じて算出します。
- 300万円以下の場合:16%
- 300万円を超え3,000万円以下の場合:10%+18万円
- 3,000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円
- 3億円を超える場合:4%+738万円
交渉の場合は、上記に従って算出した金額に3分の2を乗じた金額に減額されることがあります。報酬金を固定額としている法律事務所もあります。
日当|1日あたり3万円~5万円程度
日当とは、事件処理のために弁護士が時間拘束を受けた場合に発生する費用です。
日当の相場は、1日あたり3万円〜5万円程度です。
例えば、遠隔地に出張したり、実地調査等を行ったりした場合に日当が発生します。
実費|数千円~数万円程度
弁護士が事件処理に支出した実費がある場合は、原則として、実費全額を依頼者が負担します。実費の相場は、事案の複雑さや相続人の数などによって異なります。
遺産分割協議・交渉事件で発生しうる実費は、以下のとおりです。
- 交通費
- 郵便代
- 戸籍謄本類や住民票の取得費用
- 相続財産調査にかかる証明書発行手数料等
遺産分割協議・交渉の弁護士費用は誰が払う?
ここでは、遺産分割協議・交渉の弁護士費用の負担者について解説します。
依頼した人が払うのが原則
弁護士費用は、原則として弁護士に依頼した本人が支払います。
相続人間に争いがなく、遺産分割協議書の作成や法的アドバイスをもらう目的で弁護士に依頼する場合などには、あらかじめ費用負担について相続人間で協議すると良いでしょう。
まとまったお金を用意できない場合の対処法
弁護士への依頼時にまとまったお金を用意できない場合は、依頼時に着手金の分割払いや一部後払いができないか相談してみましょう。
法律事務所によっては、以下のように、着手金の分割払い・一部後払いに応じている事務所もあります。
- 分割払い:事件終了時までに着手金を分割して支払う
- 一部後払い:着手金の一部を支払い、残額は遺産が入った時点で支払う
遺産分割協議の一部だけを依頼できる?その場合の弁護士費用の相場は?
遺産分割協議を進める上で必要な手続きは、個別に弁護士に依頼できます。
ここでは、以下の各手続きを個別に弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場を解説します。
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 遺留分侵害額請求
相続人調査の弁護士費用相場
相続人調査を弁護士に依頼した場合の費用相場は、10万円~20万円程度です。
相続人が多い場合や相続関係が複雑な事案では、相場より高くなることもあります。
相続財産調査
相続財産調査を弁護士に依頼した場合の費用相場は、20万円~30万円程度です。
遺産が多い場合や権利関係が複雑な遺産がある場合には、相場より高くなることもあります。
遺産分割協議書作成の弁護士費用相場
遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼した場合の費用相場は、10~20万円程度です。
事案の複雑さや遺産の総額によっては、相場より高くなることがあります。

遺留分侵害額請求の弁護士費用相場
内容証明郵便の作成・送付のみを依頼する場合
遺留分侵害額請求権を行使する旨の内容証明郵便の作成・送付のみを依頼する場合は、手数料として3~5万円程度がかかります。
交渉・調停・訴訟を依頼する場合
遺留分侵害額請求交渉・調停・訴訟を依頼する場合は、以下の費用がかかります。
- 着手金:請求額の2%~8%程度
- 報酬金:経済的利益の額の4%~16%程度
- 日当:1日あたり3~5万円程度
- 実費:数千円~数万円程度
各費用の詳細は、下記関連記事をご参照ください。

遺産分割協議の弁護士費用に関するQ&A
ここでは、遺産分割協議の弁護士費用についてよくある質問とその回答を紹介します。
協議がまとまらず調停や審判になったら追加で費用がかかる?
交渉による解決が見込まれず、調停・審判を申立てる場合には、追加で着手金が発生するのが一般的です。
報酬金は、事件終了時に発生するため、交渉と調停・審判で二重にかかることはありません。

遺産分割協議書のチェックは無料相談で対応してもらえる?
遺産分割協議書のリーガルチェックは、通常、有料での対応となります。
一般の契約書と同様に、遺産分割協議書の内容が法律に照らして妥当であるか、トラブルに発展するリスクがないかを確認する必要があるため、無料相談での対応は困難です。
まとめ
遺産分割協議・交渉を弁護士に依頼すると、それなりの費用がかかります。
複数の法律事務所の無料相談を利用して、ご自身の希望に合ったプランの見積もりを取り、比較検討すると良いでしょう。
ネクスパート法律事務所では、遺産分割や相続に関する無料相談を実施しております。費用面が心配な方も、お気軽にお問い合わせください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。