遺産分割の相談先をお悩み別に解説|よくあるQ&Aも紹介

相続が発生したら、遺産分割を行う必要が出てきますが、何から手をつけてよいかわからない方が多いと思います。
この記事では、遺産分割の相談ができる窓口を悩み別に6つ挙げました。
弁護士に相談をするメリットや、遺産分割に関する質問も紹介します。
遺産分割の相談ができる窓口は?|悩み別6選
遺産分割の相談ができる窓口は、主に以下の6つです。
相談先は、抱えている悩みや目的別に選ぶことが大切です。
市区町村の無料法律相談|基本的なことを知りたい場合
遺産分割とは何か、どのような手順で行えばいいかなど基本的なことを知りたい場合は、市区町村が定期的に開催している無料法律相談を利用するとよいでしょう。
最近では対面での相談だけでなく、電話やオンラインでの相談に対応している行政もあります。
ただし、無料相談が利用できるのは、市区町村内に在住・在勤・在学している方に限定しているケースが多いですし、予約制をとっているところが多いです。
無料法律相談の利用ができるかどうか、窓口に問い合わせましょう。
弁護士会の法律相談センター|どこに相談すべきかわからない場合
遺産分割に関する悩みを、どこに相談すればいいかわからない場合は、弁護士会の法律相談センターに問い合わせてみましょう。
各都道府県には弁護士会が設置されており、相続をはじめとしたあらゆる問題に対応しています。
日本弁護士連合会のウェブサイトに、各地の弁護士会に設置された法律相談センターの所在地や連絡先が掲載されていますので、ご参照ください。
弁護士|相続人同士でトラブルが予想される場合
相続人同士でトラブルが予想される場合、弁護士への相談をおすすめします。
他の相続人との交渉や家庭裁判所の手続きを代理できるのは弁護士だけです。
もともと相続人同士の仲が悪く、直接顔を合わせて話をしたくない場合は、弁護士に依頼すれば、直接交渉が避けられます。
調停・裁判になる可能性が高い場合は、あらかじめ弁護士に相談したほうがよいでしょう。それまでの流れを理解してもらえて、手続きがスムーズに行える可能性があります。
司法書士|遺産の中に不動産がある場合
遺産の中に不動産がある場合、司法書士への相談をおすすめします。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、相続によって不動産を取得した人は取得を知った日から3年以内、もしくは遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。
司法書士には、遺産分割後の登記申請を任せられます。不動産に関する遺産分割協議を当事者同士で完結できる場合は、司法書士に依頼すると手続きがスムーズに行える可能性があります。
ただし、司法書士は、法律相談や相続人同士の交渉、裁判所での手続きを代理できません。
トラブルが生じている場合には弁護士への相談が適しています。
税理士|相続税が気になる場合
相続税の申告が気になる場合は、税理士への相談をおすすめします。
相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額を上回った場合は、申告・納付が必要です。
基礎控除額の計算式は、以下のとおりです。
遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
相続税が課されるかどうか判断に困っていたり、相続税の手続きを誰かに任せたいと考えていたりする場合は、税理士に相談すればスムーズに手続きが進む可能性があります。
なお、税理士に相談できるのは、あくまで税務に関する事項に限られます。
相続税申告に必要な場合を除き、遺産分割協議書の作成もできませんし、相続人間の調整・交渉も行えません。
行政書士|報酬を抑えたい場合
専門家に依頼する費用を抑えたい場合は、行政書士への相談をおすすめします。
相続人間にトラブルがなく、遺産分割協議が成立した後に、その内容を反映した書類の作成や名義変更等を依頼したい場合は、行政書士なら他の士業に比べて報酬を抑えられる可能性があります。
ただし、行政書士も交渉や裁判所での手続き代理、法的助言は行えません。
トラブルが生じている場合や、今後その可能性がある場合は、弁護士への相談が確実です。
遺産分割を弁護士に相談するメリットは?
遺産分割を弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
相続人間で争いがある場合も相談できる
弁護士であれば、相続人間で争いがある場合でも相談が可能です。
代理人として遺産分割協議で交渉したり、交渉した内容を遺産分割協議書にまとめたりできるのは、士業の中でも弁護士だけです。
すでに相続人間で争いが起きて調停・裁判を考えている場合はもちろんのこと、トラブルになりそうな雰囲気があれば弁護士への相談をおすすめします。
包括的なアドバイスを受けられる
弁護士であれば、包括的なアドバイスが受けられます。
遺産分割だけでなく相続について包括的なアドバイスが受けられます。
遺産分割だけでなく他にも懸念事項があれば、弁護士に相談をしましょう。
法律上の権利をわかりやすく教えてもらえる
弁護士であれば、法律上の権利をわかりやすく教えてもらえます。
相続人としてどのような権利があるか、最低限どの程度の遺産を相続できるかなど、知っておくべき知識が得られます。
トラブルの芽を摘むための具体的な助言が得られる
弁護士であれば、起きる可能性があるトラブルの芽を摘むための具体的な助言が得られます。
例えば遺産分割には、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割といった方法がありますが、トラブルにならないように平等に分けられる方法は何か、アドバイスが求められます。

遺産分割を弁護士に相談・依頼する際の流れは?
遺産分割を弁護士に相談・依頼する際の流れについて解説します。
インターネット等で弁護士を探す
インターネット等で弁護士を探します。
最近は多くの弁護士がホームページを開設していますので、相続、遺産分割、弁護士といったキーワードで弁護士を探すとよいでしょう。
全国の弁護士会の法律相談センターに問い合わせる方法もあります。
初回の相談を予約する
弁護士を探したら、問い合わせをして初回の相談を予約しましょう。
昨今は初回の相談を無料で対応している法律事務所も多いので活用しましょう。
予約した日時に面談する
予約をした日時に面談をします。
ほとんどの場合時間の制限があるので、相談したいことをあらかじめまとめておくとスムーズに進められます。
初回相談が無料であっても、時間をオーバーすると相談料がかかる場合がありますので注意しましょう。
正式に依頼する場合は委任契約を締結する
正式に弁護士に依頼する場合は、委任契約を締結します。
委任契約とは、特定の問題を解決するにあたって権限を弁護士に委ねることです。この契約を結ぶことで、はじめて弁護士は代理人として交渉ができます。
遺産分割の弁護士相談に関する6つのQ&A
遺産分割の弁護士相談に関するよくある質問に関する回答を紹介します。
遺産分割を弁護士に相談する費用はどのくらい?
遺産分割を弁護士に相談した場合、相談料・着手金・成功報酬・日当の費用がかかります。
それぞれの相場の金額は、以下の表のとおりです。
費目 | 相場 | 備考 |
法律相談料 | 30分あたり5,000円~1万円程度 | 初回相談料が無料の場合もある。 |
着手金 | 20万円~ | 遺産の規模や事案の難易度によって金額が異なる。
調停・審判に移行する場合は、追加着手金が必要になる場合がある。 |
報酬金 | 経済的利益の10~20%程度 | |
日当 | 1日あたり3万円から5万円程度 | 弁護士が遠方へ出張する際にかかる費用。遠方の裁判所に出廷する場合などに発生するケースが多い。
交通費は、別途実費として依頼者負担となることが一般的。 |
詳細は、以下の記事をご参照ください。

無料相談をすると契約を迫られたりしない?
弁護士が無料相談で契約を迫ることはありません。
無料相談では、相談内容に関する弁護士の考えや解決方法、依頼した場合の費用について説明があります。
説明を聞いて依頼するかどうかはあくまでも相談者の自由な判断に委ねられています。
無料相談と有料相談ではどのような違いがある?
法律事務所によっては、無料相談の対応範囲を限定している、あるいは有料のみとしている場合もありますが、無料だから手を抜く、有料だから真剣に対応する、といった質の違いはありません。
複数の弁護士と実際に話して相性を確かめたいときには、費用をかけずに比較できるという点で無料相談が役立ちますが、「無料相談の範囲内では時間が足りなかった」「あとから聞きたいことが出てきたから、また同じ弁護士に相談したい」と考えるときには、有料相談への切り替えを検討した方が良いこともあります。
同じ時間内でも、事前に弁護士に伝えるべき情報を整理しているかどうかで、相談後の満足度が変わることもあるでしょう。
したがって、ご自身の目的や状況に応じて、相談の形を柔軟に選ぶことが大切です。
相談時に必要な書類や情報は?
相談時は、弁護士が具体的な情報が得られる書類等を用意しましょう。
被相続人・相続人は誰なのか、どのような遺産があるか、メモ書きで構わないので準備をしておくとよいでしょう。
被相続人の戸籍謄本をそろえて持参するとなお良いです。
弁護士に相談するタイミングはいつがいい?
遺産分割に着手する前に相談をするのが理想的です。
どのような点に気を付けて遺産分割をすればよいか、あらかじめ弁護士のアドバイスを得られればスムーズに手続きが進められる可能性があるからです。
問題が起きてからでなければ弁護士に依頼できないと勘違いされている方がいらっしゃいますが、決してそうではありません。早い段階で相談すればトラブルが避けられる場合があります。
相談内容は秘密にしてもらえる?
弁護士は弁護士法で守秘義務があります。
そのため、職務上知った秘密は他人にもらしてはいけない法的義務がありますので、心配なさらなくても大丈夫です。
なお、弁護士は、弁護士を辞めたあともこの法的義務を負います。
まとめ
相続が発生し、遺産分割をどのようにすればよいか悩む方は多いと思います。
今回の記事で紹介したとおり、悩み別に適した相談者がありますので参考にしていただければと思います。
ネクスパート法律事務所には、相続全般に強い弁護士が在籍しています。
相続発生から相続登記までお任せいただける相続おまかせパックや、相続調査から遺産分割までお任せいただけるプランもございます。
当事務所は、ネクスパートアドバイザリーグループとして、税理士・司法書士などの他仕業と連携しており、相続税申告や相続登記等の手続きもワンストップで対応可能です。
初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問合せください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。