遺産分割を弁護士に依頼するメリット|弁護士費用の種類と相場も解説

相続が発生したとき、相続人が複数いる場合は、相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
遺産分割を進める中で、相続人の間で意見が合わずにトラブルが発生することもあります。
遺産分割を円滑に進めるには、相続の知識や経験が豊富な弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
この記事では、遺産分割を弁護士に依頼することについて、次の点を解説します。
- 遺産分割を弁護士に依頼するメリット
- 遺産分割を弁護士に依頼した場合の費用の種類と相場
遺産分割を弁護士に依頼することをご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。
目次
遺産分割を弁護士に依頼するメリット
ここでは、遺産分割を弁護士に依頼するメリットを解説します。
遺産分割を弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
- 手続きの選択肢や分割方法について法的なアドバイスを受けられる
- 相続財産の調査・評価を適切に行える
- 事務手続きや交渉のストレスを軽減できる
- 法的に不備のない遺産分割協議書を作成できる
- 遺産分割後の相続手続きも任せられる
- 調停・審判に移行した場合も安心して任せられる
- 将来の紛争を防止できる
ひとつずつ説明します。
手続きの選択肢や分割方法について法的なアドバイスを受けられる
当事者間で遺産分割を行う場合、法律の知識がないことで遺産分割協議が無効となったり、将来的に不利益を被ったりすることがあります。弁護士に依頼すれば、手続きの選択肢や遺産分割について法的なアドバイスを受けられます。
例えば、次のような場合に、法律の解釈や判例等を踏まえて助言してもらえます。
- 遺言書を見つけたが法的に有効なものか分からない
- 遺産分割をしたいがどのような分割方法が適切か分からない
- 他の相続人と揉めているが相手方の主張に法的根拠があるのか判断できない
- 賃料収益のある不動産を相続したいがどのように進めればよいか分からない

相続財産の調査・評価を適切に行える
遺産分割協議を行うためには、相続財産の範囲を明確にし、適切に評価する必要があります。
財産調査や評価方法に不備・不足があると、遺産分割協議が無効となったり、相続税申告において加算税が課せられたりするおそれがあります。
弁護士に依頼すれば、相続財産の有無や内容を正確に把握し、適切な評価額を算定できます。
相続人の方が遺産の内容を把握できない場合でも、弁護士法第23条の2に基づく照会制度を利用して、以下のとおり様々な調査が行えます。
- 金融機関に対して被相続人名義の預貯金の有無・残高を照会する
- 証券会社に対して被相続人名義の有価証券等の有無・残高を照会する
- 保険会社に対して被相続人名義の生命保険の有無・内容を照会する
- 陸運局に対して被相続人名義の自動車の有無・内容を照会する

事務手続きや交渉のストレスを軽減できる
弁護士に依頼すれば、次に例を挙げる遺産分割に必要な事務手続きを代行してもらえます。
- 戸籍謄本等の書類の取寄せ
- 遺産分割協議書の作成
- 相続人間の書類の受け渡し
相続人間での話し合いでは、感情の衝突により遺産分割協議がスムーズに進まないこともあります。弁護士が代理人として協議に参加することで、冷静に遺産分割協議を進められます。これにより、精神的負担も軽減できます。
法的に不備のない遺産分割協議書を作成できる
遺産分割協議書に不備があると、次のようなトラブルに発展するおそれがあります。
- 不動産の相続登記ができない
- 預貯金等の解約手続きができない
- 遺産分割協議が無効となる
- 相続人間で紛争になる
弁護士に依頼すれば、遺産分割後に紛争が発生するリスクが少ない遺産分割方法を検討でき、遺産分割協議書を法的に不備なく作成できます。当事者が作成した協議書に比べ、その後の手続きもスムーズに進められます。
遺産分割後の相続手続きも任せられる
弁護士に依頼すれば、以下のような遺産分割後の相続手続きも任せられます。
- 不動産の所有権移転登記(相続登記)
- 預貯金等の解約・払い戻しまたは名義変更
- 有価証券等の名義変更
- 自動車の名義変更
弁護士に依頼すれば、他の専門家(司法書士、税理士など)との連携を活かして、相続税の申告や相続登記までワンストップで解決できます。

調停・審判に移行した場合も安心して任せられる
相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停を申立てます。申立てには様々な書類を準備しなければなりません。弁護士に依頼すれば、書類の収集や申立書の作成等を任せられます。
調停や審判においても、法的なサポートを受けられます。弁護士が調停に同席することで、調停委員に誤った認識を生じさせるリスクを軽減できます。弁護士は、ご本人の意向を、法的根拠をもとに主張できますので、調停委員の信頼を得られやすくなります。
将来の紛争を防止できる
遺産分割では、寄与分や特別受益などの問題が生じるケースも少なくありません。弁護士に依頼すれば、遺産分割に関する問題を総合的にサポートしてくれるので、将来の紛争を回避できます。

遺産分割を弁護士に依頼した場合の費用の種類と相場
ここでは、遺産分割を弁護士に依頼した場合の費用の種類と相場を解説します。
遺産分割を弁護士に依頼した場合の費用の種類には、以下のものがあります。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 手数料
- 日当
- 実費
ひとつずつ説明します。
法律相談料
法律相談料とは、弁護士に遺産分割について相談するときにかかる費用です。
法律相談料の相場は、30分につき5,000円です。初回相談を無料とする事務所もあります。
着手金
着手金とは、弁護士が事件の対応を開始する際に発生する費用です。
着手金の額は、依頼する手続きの内容や法律事務所によって異なります。
遺産分割協議の代理を依頼する場合の着手金の相場は、20万円~30万円程度です。
報酬金
報酬金とは、事件終了時に依頼者が受けた利益の程度に応じて発生する費用です。
遺産分割事件においては、報酬金は依頼者が受けた経済的利益の額(依頼者が実際に取得した財産の総額)によって算定されるのが一般的です。
具体的な金額の目安としては、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を参考に、経済的利益の額(依頼者が実際に取得した額)に応じて以下のとおり算定できます。
- 300万円以下の場合 16%
- 300万円を超え3,000万円以下の場合 10%+18万円
- 3,000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円
- 3億円を超える場合 4%+738万円
交渉や調停の場合は、上記それぞれの金額に3分の2を乗じた金額に減額するケースもあります。弁護士事務所によっては、固定報酬を定めることもあります。
手数料
手数料とは、弁護士に書類作成等の事務を単発で依頼したときに発生する費用です。
例えば、相続人間に争いがなく、遺産分割協議書の作成のみ弁護士に依頼する場合の手数料の相場は、10~30万円程度です。遺産の評価額や分割方法によって異なります。
日当
日当は、弁護士の遠隔地への出張費用です。遠方の家庭裁判所で遺産分割調停が行われる場合などに日当が発生することがあります。
実費
実費は、事件処理に実際にかかる費用です。具体的には、次のような費用です。
- 交通費
- 戸籍謄本等の取寄せのための定額小為替代
- 裁判所に納める印紙代・郵便切手代
- 事件記録の謄写(コピー)代
- 鑑定費用
まとめ
相続人だけで話し合いを進めると、感情的になり遺産分割協議がスムーズに進まないケースがあります。
弁護士に依頼すれば、迅速かつ円満に遺産分割できる可能性が高まるほか、不備のない遺産分割協議書を作成してもらうことにより将来のトラブルを防止できます。
当事務所でも、遺産分割に関するご相談を積極的に受け付けております。遺産分割にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。