連帯保証人は相続放棄ができない?注意点と確認すべきことを解説

被相続人が多額の借金をしていた場合、相続放棄を検討することがあると思います。
ところが連帯保証人の問題が絡んできた場合、相続放棄ができるかどうか悩む方がいらっしゃるでしょう。
この記事では、連帯保証人は相続放棄ができるかどうかを解説し、あわせて相続放棄をする際に確認すべきことについて述べます。
目次
被相続人の連帯保証人だった場合は相続放棄ができないか?
相続人が被相続人の連帯保証人でも、相続放棄はできます。
ただし、相続放棄をしても連帯保証債務の支払いは免れません。
連帯保証人でも相続放棄はできる
相続人が被相続人の連帯保証人であったとしても相続放棄はできます。
被相続人の財産の処分をしておらず、相続放棄の熟慮期間内であれば家庭裁判所に申立てをして相続放棄ができます。
連帯保証債務については支払いを免れない
相続人が被相続人の連帯保証人であった場合、相続放棄をしても連帯保証債務は消滅せず、支払い義務を免れません。
相続放棄の対象となるのは、あくまで被相続人が負っていた債務であり、相続人自身が負担する連帯保証債務ではないからです。
被相続人の連帯保証人である相続人は、相続の対象となる主債務については相続放棄ができるものの、連帯保証債務に関しては相続放棄ができません。
そのため、債権者から返済を求められたら応じなければいけません。
被相続人が連帯保証人だった場合に相続放棄前に確認すべきことは?
被相続人が第三者の連帯保証人だった場合、相続放棄をする前に確認すべき事項が4つあります。
主債務者の返済状況を調べる
主債務者の返済状況を調べましょう。
被相続人の連帯保証人の地位を引き継いでも、主債務者が約定通り返済していれば、債権者から返済を求められることはありません。
主債務者の支払いがほとんど終わり、残債が少ない場合には、相続放棄をせずに済む可能性があります。
被相続人が保証契約書を所持しているか確認する
被相続人が保証契約書を所持しているか確認をしましょう。
契約書が作成されていない場合は、保証契約が無効になる可能性があります。2004年の民法改正で書面を取り交わさなければ保証人にならないと定められ、2005年4月1日から施行されています。
2005年4月1日以降に被相続人が連帯保証人になっている場合、契約書を作成した事実がなければ支払いに応じる義務はありません。
被相続人の居宅等を調べても契約書が見あたらない場合は、その契約がいつ締結されたのかも含め、債権者に書面の有無を確認しましょう。
被相続人の連帯保証債務が時効になっていないか確認する
被相続人の連帯保証債務が時効になっているかどうか確認をしましょう。
時効が成立していれば時効を援用することで、債務が消滅します。
主債務者の最終返済日から5年(または10年)以上が経過し、時効の更新事由がなければ、連帯保証人の地位を引き継いだ相続人が時効の援用を行うことで、返済義務を免れます。
なお、借入(保証契約)の時期や、当事者が個人である場合と法人である場合など、ケース別で時効になる年数が異なり、時効が成立しているかの判断には法的な知識が必要となりますので、弁護士に相談することをおすすめします。
継続的保証債務かどうかを確認する
被相続人の保証債務が継続的保証債務かどうかを確認しましょう。
継続的保証債務とは、一定の継続的取引関係から生じる債務の保証で、身元保証や信用保証が挙げられます。
2022年4月1日以降に交わした継続的保証は、期間や金額に限度がなければ無効となります。
期間や金額が限定されていたとしても、保証人である被相続人が死亡したあとに生じた債務については、保証債務を負いません。
相続放棄を検討する場合は弁護士に相談を
相続放棄を検討する場合は、弁護士に相談をしましょう。
相続放棄をすれば借金などのマイナス財産から逃れられますが、プラスの財産を引き継ぐ権利もなくなります。
借金から逃れる目的で相続放棄をしても、相続人が被相続人が負担する債務の連帯保証人になっていれば、その連帯保証債務からは逃れられません。財産は引き継げずに連帯保証債務だけ残ってしまったら、あまりにも残念なことです。
被相続人が第三者が負担する債務の連帯保証人になっていたとしても、主債務者が責任を持って支払いをしていたり、残債がほとんどなかったりした場合は、支払い請求が連帯保証人にくる可能性は低いです。
連帯保証人としての契約自体が無効かもしれません。
いったん相続放棄をすると原則取消はできませんので、弁護士に相談をしながら慎重に行いましょう。
まとめ
被相続人が第三者の連帯保証人になっていたり、相続人自身が被相続人の連帯保証人になっていたりする場合、相続手続きをどのようにすればよいか弁護士に相談をしましょう。
状況によっては相続放棄を検討したほうがいいかもしれませんし、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する限定承認を選択すべきケースかもしれません。
後悔しないように弁護士の意見を聞きながらどのような手段を取るべきか判断をしましょう。
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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。