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相続放棄は取消せる?取消せるケース・期間・手続きをご案内

一度相続放棄すると原則として撤回できませんが、事情によっては例外的に取消しが認められることがあります。

この記事では、相続放棄の取消しが認められるケースと期間、および必要な手続きをご説明します。

相続放棄は撤回できない

相続放棄とは、被相続人の相続について、自分は最初から相続人ではなかったことにすることです。

たとえば被相続人の遺した負債が財産より多い場合、相続人は何もしないと負債を返済する義務を相続します。相続放棄することで、負債の相続を免れます。

ただし、一度相続放棄すると撤回できませんので注意してください。

相続放棄の安易な撤回を認めると、遺産分割協議(遺産を誰が・何を・どの割合で相続するか相続人どうしで話し合うこと)を最初からやり直さなければならなくなることも。相続放棄を前提に他の相続人が相続財産を第三者に譲渡していた場合は第三者にも迷惑がかかる可能性があります。他の相続人や利害関係者の利益を保護する観点から、相続放棄の撤回は原則認められません。

相続放棄の取消しができるケース

相続放棄は原則撤回できません。ただし、所定の事情の場合は取り下げや取消しが認められることがあります。

相続放棄申述書が受理されていない場合(取り下げ)

相続放棄申述書が家庭裁判所に受理されるまでは取り下げ可能です。

相続放棄の流れは以下のとおりです。

  • 相続放棄申述書など必要書類を作成し家庭裁判所に提出
  • 家庭裁判所から相続放棄の意思などを確認する照会書の交付、それを返送
  • 家庭裁判所が相続放棄申述書を受理
  • 相続放棄申述受理通知書が交付

相続放棄は、相続人が提出した相続放棄申述書を家庭裁判所が受理することで成立します。

したがって、上記のうち家庭裁判所から届いた照会書に相続放棄する旨を明記して返送するまで相続放棄申述書は受理されていませんので、それを取り下げられます。

相続放棄の申述取り下げる際は、家庭裁判所に連絡して所定の取下書を提出してください。

制限行為能力者による相続放棄の取消し

民法では、以下の人を制限行為能力者として、相続放棄などの法律行為を単独ではできないとしています。

  • 未成年者:満20歳(令和441日以降は満18歳)未満の人
  • 成年後見人:事理を弁識する能力を欠く常況にある人
  • 被保佐人:事理を弁識する能力が著しく不十分な人
  • 被補助人:事理を弁識する能力が不十分な人

意思能力が弱い制限行為能力者が単独の判断で申し出た相続放棄が実現すると、その制限行為能力者の利益を害する可能性があります。

そこで制限行為能力者の利益を保護するために、制限行為能力者による相続放棄は申し立てた時の本人の意思能力に関係なく、本人とその親権者などの保護者・後見人・保佐人・補助人の判断(被保佐人および被補助人が取り消す場合は家庭裁判所の許可も必要)により取り消すことが認められています。

詐欺や脅迫による相続放棄の取消し

詐欺による相続放棄とは、たとえば実際には相続人に財産があるのにもかかわらず、それを独り占めしたい他の相続人から「被相続人は借金しかない」と聞かされてそれを信じ、相続放棄してしまったケースです。偽造された書類を信じて相続放棄した場合も、詐欺によるものです。

また、脅迫による相続放棄は他の相続人から相続放棄を強要され、拒否すれば自身や家族に危害が予想されるようなケースです。

このように詐欺や脅迫が原因で、自分の本意と異なり相続放棄した場合、後から取り消すことができる可能性が高いです。

詐欺や脅迫による相続放棄の取消しが認められるためには、証拠として詐欺や脅迫の具体的な内容が求められることがあります。できるかぎり証拠を集めてください。

錯誤による相続放棄の取消し

錯誤とは勘違いのことで、民法では錯誤の状態に陥って行った意思表示の取消しを認めています(錯誤取消)。

錯誤による相続放棄の取消しが認められるためには、以下の要件が必要です。

  • 相続放棄申述書に相続放棄する動機を作った事情が明記されており、その事情が真実に反していると認められること。
  • 相続放棄した相続人が、ある事実を知っていたならば、その相続人だけではなく他の人でも相続放棄をしないはずであること
  • 相続放棄した相続人に、重大な過失がないこと

ただし、錯誤による相続放棄の取消しを申し出ても、それがただちに認められるとは限りません。

たとえば、相続放棄が受理された後に被相続人の財産状況をよく調べたら、実は負債よりも財産の方が多かったため取り消したい場合、相続放棄する根拠となる遺産の構成(大きさ)に錯誤があったことから認められる可能性はあります。一方で、相続財産の調査が不十分という点に相続人の重大な過失が認められると、その限りではなくなる可能性があります。

家庭裁判所は相続放棄したときの申述書に記載された放棄する理由や、それに関係する事情を考慮し、錯誤による相続放棄の取消しの申し出を認めるか否か判断します。家庭裁判所が納得できる理由を説明できなければ、錯誤による相続放棄の取消しの申し出は認められません。

相続放棄が無効になるケース

相続放棄を取り消さなくても、それが無効になるケースをご説明します。

分割前の遺産を勝手に使ったケース

被相続人の遺産は、分割され相続人それぞれの名義になるまで相続人全員の共有財産です。

その共有財産を他の相続人の同意なく勝手に使うと、本人の意思と関係なく相続を単純承認したものとみなされます。これは相続放棄が認められた後に被相続人の遺産を使った場合も同様です。被相続人の遺産を使った行為が単純承認したものとみなされるため、既に受理された相続放棄は無効となります。

無断で相続放棄されていたケース

他の相続人が自分の取り分を多くしたい等の理由で、本人の意思に関係なく書類の偽造などによって知らない間に手続きされた相続放棄は、たとえ家庭裁判所で受理されていたとしても無効です。

相続放棄の取消しができる期間は?

相続放棄の取消しには、以下のように期限があります。

  • 制限行為能力者による相続放棄があったと知った時点から6ヶ月以内
  • 詐欺や脅迫にあったと気づいた時点から6ヶ月以内
  • 未成年者が成年になった時点から6ヶ月以内
  • 成年被後見人が後見開始の取り消しを受けた時点から6ヶ月以内
  • 法定代理人から相続放棄の取消しの同意を得た時点から6ヶ月以内
  • 相続放棄の申し出が受理されてから10年以内

この期限を過ぎると、相続放棄の取消す権利が時効により消滅します。

相続放棄を取り消す手続き

以下では相続放棄を取り消す手続きについてご説明します。

家庭裁判所に連絡

相続放棄の取消しを申し出る人は相続放棄を申述した相続人、またはその法定代理人です。

まずは被相続人が最後に住んでいた住所地の家庭裁判所に連絡し、相続放棄を取り消したい旨を伝えてください。

後日、家庭裁判所から相続放棄取消申述書が届きます。

家庭裁判所へ相続放棄を取消す書類を提出

以下の書類を揃え、家庭裁判所に提出します。

  • 相続放棄取消申述書
  • 戸籍謄本
  • 収入印紙800
  • 返信用の郵便切手

家庭裁判所の審理

相続放棄取消申述書を受け取った家庭裁判所は、それを認めるかどうかの審理を行います。

このとき、相続放棄取消しの意思や取消しの申立てに至った動機や事情を確認するため、家庭裁判所から呼び出され口頭で質問を受けることがあります。また、質問状が郵送で届くこともあります。

家庭裁判所からの呼び出しには、弁護士の同席が可能です。家庭裁判所とのやり取りに不安がある方は、弁護士に同席とフォローを依頼することがおすすめです。

相続放棄取消申述受理通知書の交付

審理の結果、相続放棄取消の申述が認められると、家庭裁判所から相続放棄取消申述受理通知書が郵送されます。これで相続放棄は取り下げられたことになります。

一方で申述が認められなかった場合は、不受理通知が届きます。これに不服がある場合は、高等裁判所に即時抗告を申し立てましょう。

相続放棄の取消しが認められると?

相続放棄の取消しが認められると、相続放棄した時点に遡ってその行為が最初からなかったことになります。つまり、ある相続人の相続放棄を前提に相続手続きを進めていた場合、相続手続きはやり直しです。特に相続税の申告・納付期限(相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内)は、相続放棄の取消しのような事情があっても延長されることはありませんので、相続手続きは一層時間に追われることになります。

具体的には遺産分割協議のやり直し、すでに不動産の相続登記や相続税の申告・納付がされていた場合はその修正を行う必要があります。一度放棄したにもかかわらず取り消して遺産を受け取るためには、他の相続人の理解と協力が欠かせません。もし協力が得られない場合、遺産を受け取るために遺産分割の調停や訴訟により争うことも考えられます。

まとめ

相続放棄の取消しはハードルが高く、他の相続人とのトラブルの原因になることがあります。したがって、相続放棄を取消すときだけではなく、相続放棄するときも事前に被相続人の財産・負債の状況をしっかりと調べたうえで慎重に考えておくことが重要です。

相続放棄、または相続放棄の取消しのことでご心配がある方は、一度ご相談ください。

 

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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