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遺言執行に期限はあるか?期限に気を付けるべき相続手続きを解説

亡くなった方が遺した遺言書において、あなたが遺言執行者に指定されていた場合、いつまでに遺言執行をすればいいでしょうか?

この記事では、遺言執行に期限はあるのかどうか、期限に留意すべき手続きについて解説します。

遺言執行をするにあたって期限があるか?

遺言執行にあたって、定められた期限はありません

ただし、相続に関する手続きの中には期限が設けられているものがあるので、その期限を意識しながら手続きを進めていかなければなりません。

遺言執行を行う上で期限に気を付けなければいけない4つの手続き

遺言執行を行う上で期限に気を付けなければならない4つの手続きは、以下のとおりです。

相続放棄や限定承認の期限

遺言がある場合でも、相続人が遺産を取得することを希望しない場合や遺言により取得する財産よりも負債が大きい場合には、相続放棄ができます。

しかし、相続人が遺言者の財産を把握しているとは限らず、遺言の内容もわからなければ相続放棄をすべきかどうか判断できないこともあるでしょう。

遺言執行者は就任後、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければなりません。財産目録の作成・交付義務については、遅滞なく行うべきとされていて、明確な期限があるわけではありません。

ただし、相続放棄や限定承認は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内に行う必要があるため、相続人が財産の内容を把握できるよう、速やかに対応することが求められるでしょう。

相続税の申告期限

遺言執行者は、遺言の内容を実現する手続きを行いますが、相続税申告は権限に含まれていません。そのため、相続税申告は相続人が行う必要があります。

遺言者が、相続人以外の人に財産を譲り渡す旨の遺言をしていた場合、相続人ではない受遺者も相続税を申告しなければならないことがあります。

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続税の申告・納付は期限を過ぎると延滞税がかかる場合があるので、相続人や受遺者がスムーズに手続きを進められるよう、遺言執行を円滑に行うことが求められるでしょう。

相続登記の期限

特定の財産を共同相続人の1人または数人に承継させる旨の遺言(特定財産承継遺言)がある場合の相続登記や遺贈を原因とする所有権移転登記は、遺言執行者が単独で申請できます201971日以後に作成された遺言のみに適用)。

相続登記は、相続(遺言を含む)で不動産の取得を知った日から3年以内にしなければいけません。

20244月より相続登記が義務化され、正当な理由なく違反したら10万円以下の過料の対象となります。

死亡保険金の請求期限

生命保険契約において、保険契約者は遺言によっても保険金受取人の指定・変更ができると解されています。

遺言者が遺言で保険金受取人の指定・変更をしていた場合、遺言執行者は、その旨を生命保険会社に通知する必要があります。保険金受取人の指定・変更により被保険者以外の人が受取人になる場合には、被保険者の同意も必要です。

死亡保険金の請求権の時効は基本的に3年(かんぽ生命は5年)ですので、指定・変更された保険金受取人が速やかに請求手続きに移れるよう、円滑な遺言執行を心がけましょう。

遺言執行にあたって事前にすべきことは?

遺言執行者への就任を承諾した場合、具体的な遺言事項の執行行為に移る前に、相続人への通知財産目録の作成・交付などを行う必要があります。

これらの手続きを進める上で「〇日以内」という数量的概念があるわけではありませんが、条文で用いられている「直ちに」は最も即時性が高く、「遅滞なく」は正当な又は合理的な理由による遅滞は許容されるものと解されています。

相続人に就任と遺言書の内容を通知する

遺言執行者が就任を承諾したときは、直ちにその任務を開始しなければなりません。

遺言執行者が任務を開始したときは、遅滞なく、相続人に対して、自らが遺言執行者に就任した旨と遺言書の内容を通知しなければいけません。

相続人全員に通知するためには、相続人を特定する必要があります。遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、相続人を確定します。

相続人が把握できたら、就任通知書を作成し、遺言書の写しを添付する方法で行うのが一般的です。

相続財産の調査をする

執行の対象となるべき相続財産を調査します。

例えば、執行の対象となる不動産については、登記識別情報(権利証)の有無や保管場所を確認します。預貯金については遺言者の親族から通帳を預かったり、金融機関に残高証明書の交付を申請したりします。

財産目録を作成する

執行対象となるべき相続財産の現状を把握できたら、遅滞なく、財産目録を作成し、相続人に交付しなければいけません。

なお遺言執行者の選任方法や業務の流れについては、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

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遺言執行者は就任前なら辞退ができる

遺言執行者に指定された場合でも、就任前であれば辞退ができます

遺言執行者に指定されたからといって、必ず引き受けなければならないわけではありません。いったん就任してしまうと簡単に辞任はできませんので注意しましょう。

仕事が忙しくて遺言執行ができない可能性があったり、遺言執行の内容が難しくやり遂げる自信がなかったりする場合は、辞退する選択肢も考えておきましょう。

遺言執行者への就任を辞退する場合は、相続人や受遺者等で手続きをするか、裁判所に遺言執行者の選任の申立てをして、新たに遺言執行者を選んでもらう方法があります。

なお、以下のいずれかに該当する場合は、遺言執行者にしか執行できないため、利害関係人による家庭裁判所への遺言執行者の選任の申立てが必要です。

  • 遺言で認知をしている場合
  • 遺言で相続人廃除をしている場合
  • 遺言で一般社団法人設立の意思表示および定款に記載する内容を定めている場合

まとめ

遺言執行にあたっては、特別な期限は設けられていませんが、期限が設けられている手続きがあること、遺言執行にあたって事前に準備しなければならないことがあるのを考えると、早めに進めていったほうがいいかもしれません。

すべての手続きを一人で行うのは時間的にも難しい側面があると思います。遺言で禁止していない限りは、遺言執行業務を第三者に復任できるケースもありますので、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

ネクスパート法律事務所には、相続全般を得意とする弁護士が在籍しています。相続や遺言書の作成でお悩みがある方は、ぜひ一度お問合せください。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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