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家族信託の費用はどのくらいかかる?費用種類と相場を解説

家族信託を利用する上で、「どのくらいの費用がかかるのか」が気になる点です。

この記事では家族信託にかかる費用を次の順に解説します。

  • 家族信託の初期費用
  • 家族信託にかかる税金
  • 家族信託後にかかる費用

あらかじめ費用を知っていれば、予想外の出費を防げます。家族信託をご検討の方は、是非ご参考になさってください。

家族信託にかかる費用の種類と相場

家族信託にかかる費用の種類と相場を説明します。

弁護士に全ての手続きを依頼した場合

家族信託を弁護士に依頼した場合にかかる費用は、次のとおりです。

相談料、コンサルティング料

内 容 費 用(目安)
相談料 30分5,500円(税込)〜

初回相談料無料の場合もある

コンサルティング料(下記を含む)

①家族信託の設計・提案書の作成

②関係者への説明

③金融機関との交渉

④家族信託契約書の作成

⑤公証役場への同行

50万円~200万円程度

信託財産×1%とされる場合が多い

公正証書作成にかかる費用

内 容 費 用(目安)
基本手数料 2万円~10万円程度

信託財産の額や証書の枚数により変動

証書の枚数による手数料の加算 証書の枚数が4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算される

信託財産の額(目的の価格)に応じた基本手数料は、以下のとおりです。

目的の価格 基本手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

不動産登記にかかる費用(不動産がない場合は不要)

不動産を信託する場合は、次の費用がかかります。

内 容 費 用(目安)
登録免許税 土地:固定資産税評価額の0.3%

建物:固定資産税評価額の0.4%

司法書士の報酬 10〜30万円程度

信託する不動産の数により変動

自分で手続きをする場合

自分で全て手続きする場合に最低限必要な費用は次のとおりです。

内 容 費 用(目安)
公正証書作成にかかる費用

(基本手数料+証書枚数による加算)

2万円~10万円程度
不動産登記にかかる費用

(登録免許税)

土地:固定資産税評価額の0.3%

建物:固定資産税評価額の0.4%

家族信託に関する税金

家族信託にかかる税金の種類や課税されるケースをそれぞれ解説します。

贈与税

家族信託による贈与税の課税関係は次のとおりです。

信託設定時・信託変更時
信託方法 課税対象 課税されるケース
自益信託 課税関係は発生しない
他益信託 ①受益者

②受益者から受益権を譲り受けた者

①開始日や効力発生の条件が定められていない場合は、設定時

② 旧受益者が新受益者に対し、無償で受益権を譲渡した場合

信託終了時
課税対象 課税関係
受益者が残余財産を取得した場合 贈与税は課税されない
受益者以外の者が残余財産を取得した場合 ① 有償(適正な価格の支払がある)の場合

⇒贈与税は課税されない

② 無償(適正な価格の支払いがない)の場合

⇒残余財産受益者または帰属権利者に贈与税が課税される

相続税

家族信託による相続税の課税関係は次のとおりです。

信託設定時・信託変更時
信託方法 課税対象 課税されるケース
自益信託 課税関係は発生しない
他益信託 ①受益者

②第二次受益者

③第三次受益者

④受益者の相続人

①受益者の変更の原因が旧受益者の死亡による場合(相続税法9条の2②)

②受益者連続型信託では、受益者の死亡により受益者が交代する都度

遺言信託 受益者又は帰属権利者 委託者が死亡したとき
信託終了時
信託方法 信託終了の原因 課税関係
自益信託 信託の終了が委託者兼受託者の死亡による場合 ①信託契約で帰属権利者の定めがある場合

帰属権利者に相続税が課税される

② 信託契約で帰属権利者の定めがない場合

委託者兼受託者の相続人に相続税が課税される

他益信託 信託の終了が受益者の死亡による場合 残余財産受益者または権利帰属者に相続税が課税される

所得税、住民税、法人税

家族信託では、次のとおり、所得税・住民税が課税されます。受益者が法人の場合は法人税が課税されます。

信託方法 課税対象 課税されるケース
自益信託 委託者兼受益者 委託者兼受益者が信託財産から収益を受けている間
他益信託 受益者 受益者が信託財産から収益を得ている間

登録免許税

家族信託の設定時に、次のとおり登録免許税がかかります。他益信託にかかる所有権移転登記の登録免許税は非課税です。信託の変更時の登録免許税も非課税です。

信託方法 課税対象 課税金額
自益信託 委託者兼受益者 信託分(土地):固定資産税評価額の0.3%

信託分(建物):固定資産税評価額の0.4%

他益信託 受託者 信託分(土地):固定資産税評価額の0.3%

信託分(建物):固定資産税評価額の0.4%

固定資産税

固定資産税の納税通知は受託者に届きます。

信託方法 課税対象 備 考
自益信託 受託者 次の場合は事実上受益者が負担する

①信託契約において受益者が負担する旨の定めがある場合

②信託契約において信託財産の収益から支払う旨の定めがある場合

他益信託

 

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家族信託後に費用がかかるケース

信託契約の締結後、次の場合には費用が生じます。

受託者に報酬を支払う場合

次の場合、受託者への報酬が発生します。

  • 信託財産から報酬を受けることができる旨の定めがある場合
  • 信託の引き受けについて商法512条の適用がある場合
  • 受益者との合意により、受益者から報酬を受ける場合

受託者の報酬に法律上の決まりはなく、自由に設定できます。

但し、信託事務に比して報酬が高額であると税務署から贈与に該当する旨指摘を受けることがあります。
受託者の報酬は成年後見人の報酬(月額2万円~6万円程度)を参考にすると良いでしょう。収益物件がある場合は不動産管理会社に支払う管理委託手数料の相場(賃料の5%程度)を参考にできます。

信託監督人・受益者代理人を定めた場合

信託監督人・受益者代理人を定めた場合は、信託契約で信託財産から報酬を受けることができる旨の定めがある場合に限り、報酬が発生します。
弁護士を信託監督人に指定した場合、信託財産の額にもよりますが、相場は月額3万円~20万円程度です。

銀行が扱う家族信託は費用がかからないって本当?

金融機関が扱う家族信託は、初期費用はかかりません。ただし、多くの場合で管理手数料が発生します。

金融機関が扱う家族信託系サービスとは

金融機関が取り扱う信託商品や信託サービスは、商事信託の一つです

家族信託では家族が受託者となるのに対し、金融機関の信託商品やサービスでは、銀行が受託者となるのが一般的です。
委託者の死亡により預け入れたお金が、受益者に一括又は毎月定額で支払われます。生命保険や個人年金保険に似た仕組みが一般的です。

家族信託系サービスのメリット・デメリット

金融機関の家族信託系サービスのメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット デメリット
①手続きが簡単

②元本が保証される

③死後の受取人を指定できる

①管理手数料がかかる

②不動産は財産管理の対象にできない

③家族信託に関する専門知識をもっている人が少ない

④既存商品のため思いどおりの設計はできない

家族信託を弁護士に依頼した方がよい理由

家族信託はご自身でも手続きできますが、弁護士に依頼すれば次のようなメリットを得られます。

手続きの手間や労力を省ける

家族信託を弁護士に依頼すれば、次の手続きを一任でき、手間や労力を省けます。

  • 信託書契約書の作成
  • 公正証書作成
  • 不動産信託登記
  • 公証人や金融機関との打ち合わせ

契約書の不備により生ずるトラブルを回避できる

ご自身で作成された信託契約書に不備がある場合や、法的に認められない内容の場合、契約自体が無効となります。その結果、家族信託の実効性が失われるおそれがあります。

弁護士に家族信託に関する手続きを依頼することで、適法な契約書を作成でき、後のトラブルを防止できます。

他の手続きも含めた総合的な対策を相談できる

目的に沿った信託の内容を設計するためには、専門知識が不可欠です。弁護士に依頼すれば、漏れのない信託内容の設計が可能です。

また、遺留分の考慮、他の手続きとの併用により、相続を見据えた総合的な解決を図れます。

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まとめ

家族信託にかかる費用の種類や目安をお伝えしました。

以上をまとめると、信託する財産の額や数によっても異なりますが、一般的な相場は次のとおりです。

  • 不動産を信託する場合 :60万円~100万円以上
  • 不動産を信託しない場合:30万円~80万円以上

費用面が気になり家族信託の利用を躊躇されている方はご参考になさってください。

弁護士に依頼した場合は費用がかかりますが、費用以上の安心感を得られるメリットもあります。

当事務所では、相続に関するご相談は30分無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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