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家族信託をするときは弁護士に依頼した方がよい?

「家族信託を弁護士に依頼すると費用がかかるから、家族だけでやってみよう」と考える方も少なくないでしょう。

家族信託は、家族向けの信託とはいえ、手続きの難易度が高いのも事実です。

弁護士に依頼すれば費用はかかりますが、メリットが得られます。費用を予め把握しておけば不安も軽減できるでしょう。

この記事では、家族信託を弁護士に依頼するメリットや費用の相場等を解説します。

    家族信託を弁護士に依頼する4つのメリット

    家族信託は、家族間でも行えますが、弁護士に依頼した方がスムーズです。

    弁護士に依頼する4つのメリットを紹介します。

    • 手続きにかかる手間や労力を省ける
    • 目的に沿った契約内容を相談できる
    • 契約書が無効と判断されるリスクが減る
    • 相続を見据えた総合的な対策ができる

    一つずつ見ていきましょう。

    手続きにかかる手間や労力を省ける

    弁護士に依頼すれば、手続きにかかる手間や労力を省けます。

    信託契約は、基本的に次の流れで進めます。

    ① 信託する財産や内容を決める
    ② 信託契約書を作成する
    ③ 信託契約書を公正証書にする
    ➃ 信託財産の名義変更をする(信託登記)
    ➄ 信託財産の管理口座を開設する
    ⑥ 信託財産の管理を開始する

    つまり、信託書契約書の作成、公正証書作成、不動産信託登記をはじめ多くの事務処理を要します。関係者との協議や公証人との事前打ち合わせ、金融機関との折衝も必要です。

    家族信託の知識が豊富ではない方には難易度が高く、時間的にも心理的にも負担がかかるでしょう。

    弁護士に依頼すれば、これらの手続きを一任でき、手間や労力を省けます。

    ただし、信託契約公正証書は代理人で作成できませんので、公証役場への出頭は必要です。

    目的に沿った契約内容を相談できる

    弁護士に依頼すれば、次のとおり目的に沿った契約内容を提案してもらえます。

    • 豊富な知識で希望に沿った契約内容を提案できる
    • 生じうるトラブルやリスクを分析・調査し、事前対策ができる

    家族信託を活用するケースは、以下のとおり様々です。

    • 認知症に備えて財産管理を任せたい
    • 不動産を平等に相続させたいが共有を回避したい
    • 二次的三次的に承継先を指定したい
    • 親なき後に障害のある子の将来の生活費を保障したい

    そのため、どのように信託の内容を設計すればよいか判断できないこともあるでしょう。

    目的に沿った内容で契約をするためには、弁護士のサポートが不可欠と言えるでしょう。

    契約書が無効と判断されるリスクが減る

    弁護士に依頼すれば、法的に不備のない契約書を作成できます。

    契約書に不備があった場合、次のとおりリスクが生じます。

    • 信託口口座を開設できない
    • 不動産の信託登記ができない
    • 契約が無効と判断されるおそれがある

    金融機関によっては、専門家が作成した契約書でなければ、信託口口座開設の事前審査を受け付けないこともあります。

    契約書は、形式的な要件(契約書の必要記載事項を網羅する)に留まらず、実態が伴う内容であることが求められます。実態が伴わない場合、相続が発生した際に、信託契約が無効になる可能性があります。

    家族信託を弁護士に依頼すれば、法的に問題のない契約書を作成することができます。

    相続を見据えた総合的な対策ができる

    弁護士に依頼すれば、相続を見据えた総合的な対策ができます。

    家族信託の受益権は遺留分侵害額請求の対象となります。

    家族信託は相続対策の一つの手段であり、家族信託だけではできないこともあります。

    弁護士に依頼すれば、以下のとおり相続を見すえた総合的な対策が可能です。

    • 遺留分を考慮した信託内容を検討できる
    • 他の選択肢の提案を受けることができる
    • 遺言や任意後見契約を併用して希望に敵った相続を実現できる

    家族信託を依頼した場合の弁護士費用は?

    家族信託を依頼した場合の弁護士費用は、主に以下のとおりです。

    • 相談料
    • コンサルティング料
    • 信託監督人を設定した場合は監督者報酬

    ひとつずつ見ていきましょう。

    初回相談料

    初回相談料の目安は、30分5500円〜11,000円程度です。初回相談料を無料とする事務所もあります。

    コンサルティング料

    コンサルティング料は、50万円~200万円程度です。

    コンサルティング料は、一般的に、信託財産×1%を目安に定められます。

    コンサルティングには、通常、以下の過程が含まれます。

    • 家族信託の設計・提案書の作成
    • 関係者への説明と金融機関との交渉
    • 家族信託契約書の作成
    • 公正証書作成
    • 信託登記(司法書士と連携)

    信託監督人を設定した場合は監督者報酬

    家族信託契約において、信託監督人を設定することがあります。信託監督人は、信託契約で定められた内容通りに信託が行われているかを監督する人です。

    信託監督人に弁護士が就任する場合の監督報酬の目安は、月額3~20万円程度です。

    家族信託を依頼する弁護士を選ぶときのポイント

    家族信託を依頼する弁護士を選ぶ際、確認すべき最低限のポイントを紹介します。

    家族信託の知識や経験が豊富

    家族信託の知識や経験が豊富な弁護士を探すのが一つ目のポイントです。

    家族信託を活用するには、家族信託の実務知識のほか、成年後見実務、民法・信託法・会社法・不動産登記法・各種税法の法律知識を要します。

    また、家族信託は万能ではないため、手続きの併用や他の選択肢を提案できる弁護士を選ぶと良いでしょう。

    実務経験が豊富・積極的な情報収集の体制がある

    実務経験が豊富で、最新の情報を収集している弁護士を選びましょう。

    家族信託の設定には、机上の知識のみならず豊富な実務経験も求められます。

    しかし、家族信託は、2007年から施行された歴史の浅い制度です。直近の信託契約公正証書の作成件数は年間3000件程度(全国公証人連合会の統計)に留まります。そのため、実務経験が豊富な弁護士を探すのは容易ではないでしょう。

    家族信託を依頼する弁護士を選ぶ際には、ホームページで以下のポイントをチェックすると良いでしょう。

    • 家族信託の講義やセミナーを頻繁に開催している(あるいは積極的に受講している)
    • 継続的に最新情報を入手している
    • 相続に関する情報が豊富に掲載されている
    • 家族信託の取扱件数が表示されている

    他の士業とつながりがある

    家族信託では、税務上のリスク分析・調査や不動産登記に際して、他の士業との連携が不可欠です。

    税理士との連携

    信託の設計には、相続税の試算や家族信託の活用による課税関係の専門知識が必須です。

    弁護士は、家族信託に限らず様々な事案を取り扱うため、他士業との協力関係は緊密に築いています。規模の大きい弁護士事務所では税理士が在籍していることもあるでしょう。

    税理士との連携があれば、信託設定時・変更時・終了時の税務もワンストップで解決できます。

    司法書士との連携

    司法書士は、登記の専門家です。司法書士が在籍する弁護士事務所もあるでしょう。

    司法書士との連携があれば、信託の設定時・変更時・終了時の登記手続きを全体的にサポートできます。

    アフターフォローやサポートが充実している

    アフターフォロー・サポートが充実してるかどうかも弁護士選びで重要な点です。

    家族信託は、事情によっては信託期間中の見直しや、終了後の事務処理(例:不動産登記)を要する場合があります。

    弁護士に依頼する際は、以下を参考にアフターフォローの有無を確認しましょう。

    • 契約後も相談に応じてくれるサポート体制が整っている
    • 信託の変更・終了時に必要な手続きのフォロー体制が整っている

    まとめ

    以上、家族信託を弁護士に依頼した場合のメリットや費用をご紹介しました。

    弁護士に依頼すると費用がかかりますが、家族信託が必要な方には、費用以上のメリットや安心感を得られることもあるでしょう。

    将来の不安を解消し、希望に敵った財産管理を実現するためには、弁護士に相談することも一つの選択肢となります。

    初回相談を無料で実施している事務所もありますので、家族信託を検討している方は、一度弁護士に相談すると良いでしょう。

    この記事を監修した弁護士

    寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

    はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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