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相続の割合はどのように決まるか?パターン別に解説|Q&Aもご紹介

相続が発生した場合、相続財産はどのように分けられるのか、相続人によってどのように違うのか、知りたい方が多いと思います。

この記事では、相続の割合はどのように決まるのか、相続人の組み合わせパターン別に解説します。

相続割合に関してよくある質問も紹介しますので、ぜひご参考になさってください。

相続の割合はどのように決まるか?

相続の割合は、以下、いずれかの方法で決まります。

遺言書があれば遺言書の内容が優先される

被相続人が遺言書を作成していれば、その内容が優先されます。

遺言書の中で誰にどの割合で相続させるか記載があれば、原則として、そのとおりに財産を分けます。

ただし、相続人全員が遺言書どおりに相続をしないことに合意すれば、この限りではありません。

法定相続分で相続の割合を決める

民法900条で定められている法定相続分で、財産を分ける方法です。

法定相続分で分ける場合も、財産を誰にどのように分けるのか、共同相続人全員で話し合います。

法定相続分で分ける場合に重要となる、法定相続人および相続の順位について、別の記事で解説していますので参考にしてください。

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遺産分割協議で相続の割合を決める

相続人全員で遺産分割協議をして、誰がどの財産をどの割合で受け取るかを話し合います。

相続人全員が合意できれば、どのような割合で分けても問題ありません。必ず相続人全員が参加しなければならず、一人でも漏れていると遺産分割協議は無効となります。

協議がまとまらなければ調停・審判で相続の割合を決める

法定相続分で分けることも遺産分割協議で合意もできない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

調停委員が間に入って、遺産分割協議の合意を目指します。申立てを行ってからおおむね1か月ほどで初回期日が設定され、その後約1か月ごとに話し合いが続けられます。

話し合いで合意ができれば調停成立、合意できなければ自動的に審判へ移行します。

審判に移行したら、裁判官が相続人全員の主張や提出資料に基づいて判断し、相続の割合や分割の方法等決定します(これを審判といいます)。審判の内容に不服があるときは、2週間以内に即時抗告を申立てることで、高等裁判所に再審理をしてもらえます。

不服申立てをせずに2週間が経過した場合や、高等裁判所で不服申立てが認められなかった場合は、審判は確定します。確定した審判確定判決と同一の効力があるので、基本的にはその内容に従わなければいけません。

法定相続の割合をパターン別に紹介

法定相続で相続手続をする場合、どのような割合でされるのかパターン別に紹介します。

配偶者のみ

配偶者は常に相続人となり、他に相続人がいない場合は配偶者が全部を相続します。

配偶者と子ども

相続人が配偶者と子どもの場合の法定相続分は、以下のとおりです。

  • 配偶者:2分の1
  • 子ども:2分の1

子どもが複数いる場合は、2分の1を人数で均等に割ったものが、それぞれの法定相続分となります。例えば子どもが2人の場合は、4分の1ずつとなります。

配偶者と父母

相続人が配偶者と父母の場合の法定相続分は、以下のとおりです。

  • 配偶者:3分の2
  • 父母:3分の1

父母が両方健在の場合は、それぞれ6分の1ずつとなります。

父母がすでに亡くなっていて祖父母が健在であれば、祖父母が相続人となります。相続分は父母の場合と同様ですので、祖父母が複数存命の場合は、3分の1を人数で均等に割った割合が、それぞれの相続分となります。

配偶者と兄弟姉妹

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分は、以下のとおりです。

  • 配偶者:4分の3
  • 兄弟姉妹:4分の1

兄弟姉妹が複数いる場合は、4分の1を人数で均等に割ったものがそれぞれの法定相続分となります。

子どものみ

相続人が子どものみの場合は、子どもが全部を相続します。

子どもが複数人いる場合は、人数で均等で割ったものが、それぞれの法定相続分となります。

婚姻外で認知している子どもがいる場合(非嫡出子)も、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子ども(嫡出子)と同じ配分で相続します。

父母のみ

相続人が父母のみの場合、父母が全部を相続します。父母が両者とも健在であれば、2分の1ずつ分けます。

兄弟姉妹のみ

相続人が兄弟姉妹のみの場合、兄弟姉妹が全部を相続します。

兄弟姉妹が複数人いれば、人数で均等に割ったものが、それぞれの法定相続分となります。

相続の割合でよくある質問

相続の割合について、よくある質問についてまとめてみました。以下でそれぞれ解説します。

離婚した場合、元配偶者は相続人になるか?

離婚した場合、元配偶者は相続人になりません。

相続人となるのは、婚姻届を出して法的に配偶者と認められている場合のみです。

孫は相続人になるか?

被相続人の子がいる場合、孫は相続人にはなりません。

相続人となるべき被相続人の子(孫からみて父母)が被相続人より先に亡くなっている場合は、代襲相続により孫が相続人となります。

内縁の配偶者は相続人になるか?

内縁の配偶者は相続人になりません。離婚した元配偶者と同様の考え方で、婚姻届を出して法的な配偶者でなければ、相続人になれません。

相続人の一人が相続放棄をしたら相続の割合はどうなるか?

相続人の一人が相続放棄をした場合、法定相続人の数や相続割合が変わります。

相続放棄をしたら最初から相続人ではなかったとみなされるからです。

例えば、Aが死亡し、相続人がAの妻Bと子CおよびD3名で、妻Bが相続放棄をした場合、妻は初めから相続人ではなかったとみなされるため、子CおよびDの法定相続分は2分の1ずつとなります。

なお、相続放棄をした人に子どもがいても代襲相続人になれません。

実子と養子、実子と婚外子の相続の割合はどうなるか?

実子、養子、婚外子のそれぞれの相続割合は同じです。

例えば、相続人が子どもだけの場合、実子、養子、婚外子が一人ずついたなら、相続割合はそれぞれ3分の1となります。

遺言書で特定の相続人の相続の割合をゼロにできる?

遺言書で、特定の相続人の相続の割合をゼロにできます。

ただし、その相続人が遺留分を有する相続人(配偶者、子どもなどの直系卑属、父母などの直系尊属)であれば、遺留分侵害額を請求される可能性があります。

なお、兄弟姉妹遺留分はありません。

遺留分侵害額請求については、別途記事がありますので、そちらを参考にしてください。

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被相続人の介護等をしていたら相続の割合は増える?

被相続人の介護等を積極的に行っていたなど、被相続人に対して特別の寄与があった場合は、寄与分として相続の割合を増やせる可能性があります。

寄与分が認められるには、以下の要件が必要です。

  • 相続人自らの寄与行為があること
  • 寄与行為が特別の寄与であること
  • 被相続人の遺産が維持又は増加したこと
  • 寄与行為と被相続人の財産の維持・増加との間に因果関係があること

被相続人の介護を積極的に行っていたなど、療養看護に従事したこと特別の寄与と認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 近親者による療養看護が必要であること(必要性)
  • 無償またはそれに近い状態で療養看護が行われていること(無償性)
  • 療養看護の内容が片手間なものでなく、かなりの負担を要するものであること(専属性)
  • 療養看護を長期間継続して行っていたこと(継続性)

寄与分が請求できるのは相続人のみで、通常は遺産分割協議で話し合いをして判断されます。遺産分割協議で合意ができなければ、寄与分定める処分を求めて家庭裁判所に調停または審判を申し立てる方法があります。

寄与分に関する基礎知識は、別途記事がありますので、そちらを参考にしてください。

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生前贈与を受けている相続人の相続の割合は減らせる?

生前贈与を受けている相続人がいて、その生前贈与特別受益にあたる場合、その相続人の取得分(具体的相続分)を減らせる可能性があります。

民法は、共同相続人の公平を図るため、特別受益を相続財産の前渡しと考えて、遺産分割の際に計算上相続財産に加算した上で、各相続人の相続分を算定し、法定相続分を修正することとしています。これを具体的相続分と言います。

生前贈与のうち特別受益として扱われるのは、婚姻もしくは養子縁組のための贈与生計の資本としての贈与に限られています。

特別受益にあたるかどうかは、生前贈与の金額や趣旨などから個別具体的に検討する必要があります。

特別受益に該当する生前贈与がある場合、各相続人の具体的相続分は、次の手順で計算します。

なお、被相続人が生前贈与を相続分の算定にあたって考慮しない旨の遺言書等を作成している場合などには、相続分の算定において持ち戻しを計算する必要はありません。

まとめ

相続の割合は、それぞれの事情でどのようにするか決められます。

被相続人が遺言書を遺していた場合、なるべく被相続人の意思どおりに行いたいと考えればそれで良いですし、内容に納得ができなければ、遺産分割協議で相続人全員合意のもと、違う内容で相続手続ができます。相続人同士の話し合いが面倒であれば、法定相続分にのっとって相続手続を進めるのも良いでしょう。

いずれにしても相続の割合とは何かという基本的な知識が必要となりますので、ぜひこの記事を活用いただければと思います。相続人間で相続割合に揉めている場合や、寄与分・特別受益などを含めた遺産分割にお悩みの方は、弁護士のサポートを得ることをおすすめします。

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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