住まない実家は相続してはいけない!?よくあるトラブル事例を紹介

実家に住んでいた両親が亡くなり相続が発生した場合、何の疑問もなく住まない実家を相続する人は多いと思います。
近年、両親が他界し実家の片付けに苦労した芸能人が経験談を語り注目されました。
この記事では、今後住む予定がない実家を相続してはいけない理由とよくあるトラブル事例について解説します。
目次
住まない実家を相続してはいけない理由は?
住まない実家を相続してはいけない理由は、以下の3つです。
管理が行き届かず近所とトラブルになる可能性がある
住まない実家を相続すると管理が行き届かず、近所に住む人たちとトラブルになる可能性があります。
誰も住んでいないのをいいことにタバコを投げ入れ、それが原因で不審火が発生し、騒ぎになるケースもあります。
固定資産税の負担がかかる
固定資産税を負担しなければならない点です。
所定の不動産に誰も住んでいなくても、毎年1月1日現在の所有者に納税義務があります。
特定空き家と判断される可能性がある
実家に誰も住まなければ適切に管理ができず、特定空き家に認定される可能性があります。
2015年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されました。適切に管理されていないと自治体が判断した空き家は特定空き家に認定され、適切な管理をするように指導や命令をされます。
空家等対策の推進に関する特別措置法2条2項によると、以下のいずれかに該当すれば、特定空き家に認定されます。
- 著しく保安上の危険となるおそれがある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空き家に認定されると、助言、指導、勧告、命令と段階を経て手続きが進みます。勧告まで手続きが進むと固定資産税・都市計画税の特例措置が適用されなくなり、固定資産税額が6倍になる場合があります。
さらに命令に従わなければ50万円以下の過料を科される可能性があります。
住まない実家を相続した場合のよくあるトラブルとは?
実家を相続したものの、自身がそこに住まない場合、管理の手間や維持費用がかさむだけでなく、庭の手入れや建物の劣化による近隣トラブル、不審者の侵入といったリスクが生じることも少なくありません。
庭の手入れが行き届かず近所に迷惑をかける
実家に住まなければ、庭の手入れが行き届かず、近所に迷惑をかける可能性があります。
例えば、庭の木や雑草は思いのほか早く伸びるので、空き家にしていると手入れが追い付きません。その場合、木の枝が隣の家に伸びたり害虫が発生して迷惑がかかったりします。
放置すると近所からクレームが入りトラブルに発展する可能性があります。
不審者が家に侵入する
実家に住まなければ、空き家であるとわかってしまい不審者が侵入する可能性があります。実家に置いてあった金目のものが盗まれるだけでなく、不審者が現れることで周辺住民に迷惑をかける可能性もあります。
屋根等が腐敗し倒壊のおそれがある
住んでいない実家の屋根等が腐敗し、倒壊するおそれがあります。
誰も住んでいない家は、驚くほど早く劣化していきます。屋根の一部が腐敗しているため耐震性診断を行い倒壊のおそれがあると判断され、急いで対策を迫られるケースもあります。
老朽化した家屋が倒壊し、隣家や通行人に被害が出てしまうと、所有者は管理責任を問われ、損害賠償を請求されるおそれもあります。
住まない実家を相続したらどうすればいいか?
住まない実家を相続した場合、どうすればよいか2つの方法を解説します。
売却する
実家の売却を検討しましょう。
どの程度の金額で売り出すのが適当か、複数の不動産会社に査定を依頼して決めるとよいです。
築年数が古い場合は、なかなか買い手がつかない可能性があります。その場合は建物を取り壊して更地にする条件で売りに出すなど、ある程度の出費を覚悟したほうがよいかもしれません。
ただし、購入者が決定する前に更地にしてしまうと、固定資産税が上がるので注意しましょう。
賃貸する
人が住むのに適した状態の家であれば、賃貸に出すことを検討しましょう。
最近は古い家を好んで探している人もいますし、店舗として活用を考えている人もいます。この場合、賃貸借契約を結ばなければならず、自分ひとりで手続きを進めるのは難しいため、不動産会社に相談したほうがよいでしょう。
自治体によっては空き家バンク制度を設けているので、調べてみるのもよいかもしれません。
住まない実家を相続放棄したらどうなるか?
住まない実家を相続放棄しても、実家の管理責任が残る場合があります。
相続放棄とは、被相続人の財産を一切引き継がない手続きです。家庭裁判所に対して相続放棄申述書など必要書類を提出して行います。相続放棄が認められると、被相続人の相続手続きのすべてに関われません。
しかし、相続放棄をしたとしても、それまで実家に住んでいた場合、実家の管理責任は残ります。
問題となるのは、実家に住まないという理由で相続人全員が相続放棄をしたケースです。この場合、実家は最終的に国庫に帰属しますが、そのために相続財産管理人を選任しなければいけません。それまでは相続人の誰かが実家の管理責任を負います。
詳細は、以下の記事をご参照ください。
まとめ
思い出がつまった実家を、躊躇なく相続する人は多いと思います。
ところが、実際に住まない実家を相続すると、思いのほか家のメンテナンスに時間と費用がかかります。少し家の管理を怠るとあっという間に雑草が生い茂ってしまい、近所の方から注意されるケースも少なくありません。
住まない実家をどのように扱うか、相続人同士で意見が分かれる場合もあるでしょう。手放したくないと考える方もいらっしゃるでしょうが、家は時間が経てば経つほど価値が下がっていきます。さらに管理している相続人が年齢を重ねていくと、管理が負担になります。長い目で見てどうするのがベストな選択か、相続人同士で話し合いをしましょう。
ネクスパート法律事務所には、相続全般に詳しい弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料となりますので、ぜひお気軽にお問合せください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。