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葬儀費用は誰が負担するのか?相続財産との関係について解説

葬儀を行う場合まとまったお金が必要となります。2023年の経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、葬儀費用の全国平均は約119万円とのことです。決して安い金額ではないので、誰が葬儀費用を負担すべきなのか問題になるケースがあります。

この記事では、葬儀費用は誰が負担するのか、相続財産との関係について解説します。

葬儀費用は相続の対象となるのか?

死後に発生する葬儀費用は、相続の対象になりません。相続の対象となるのは、亡くなった人(被相続人)が生前に築いた財産や相続開始時までに発生した被相続人の債務です。葬儀費用は、相続開始後に生じた債務であり、相続人が承継する債務ではありません。

葬儀費用の負担者に関する2つの見解

葬儀費用が相続の対象とならないなら、誰が負担すべきか問題となります。過去の判例によると2つの見解があるので、それぞれ紹介します。

相続人もしくは相続財産

葬儀費用は、相続人もしくは相続財産の中で負担すべきという考えを認めている判例があります。

相続人が負担すべきとする判例(東京高裁昭和3095日決定・大阪高裁昭和49917日決定)の考えに基づくと、法定相続人は被相続人が残した借金などと同様に葬儀費用の負担をしなければなりません。

一般的には、葬儀費用は法定相続人の一人がまとめて支払うケースが多いので、葬儀後に行う遺産分割協議で他の法定相続人に負担分を請求する方法が取られます。

人が亡くなると、社会通念上、葬儀が発生するのは自然だという理由で、相続財産から葬儀費用を負担すべきと考える判例も出ています。この判例では葬儀費用のみならず、四十九日や一周忌法要の費用も法定相続人が相続財産の中から相続分に応じてその負担することを受忍すべきとしています(東京地裁平成24529日判決)。

喪主

葬儀費用は喪主が負担すべきとしている判例もあります。

これは、必ずしも法定相続人が喪主として葬儀を実施するのではない点葬儀費用は相続債務ではない点を理由にしています(東京地裁昭和61128日判決)。

別の判例では、通夜・告別式の費用は喪主が負担し、その後の火葬・埋葬の費用は祭祀承継者が負担するとしています(名古屋高裁平成24329日判決)。

相続人全員の合意により負担者や各自の負担額を決められる

葬儀費用の負担について判例では2つの見解があり、喪主が負担すべきとの考えが有力とされています。ただし、相続人全員が合意すれば、葬儀費用の負担者と各自の負担額を自由に決められます。

相続財産から葬儀費用を払ってはいけないきまりはなく、相続財産から葬儀費用を出して、残った分を相続人全員で分けると合意できれば何も問題はありません。遺産分割協議や遺産分割調停で、葬儀費用の負担についての解決が可能です。

相続税の計算において相続財産から控除できる葬儀費用とは?

葬儀費用は、相続税を計算する際に相続財産から控除できる場合があります。ここでは、控除できるものと控除できないものについて解説します。

葬儀費用として控除できるもの

葬儀費用として相続税の計算から控除できるのは、次にあげる5つです。

通夜、告別式にかかった費用

通夜、告別式にかった費用は、相続財産から控除ができます。

葬儀を行った会場の使用料、会場の設営費、棺・骨壺代、霊柩車や親族が乗るマイクロバス代などがあります。

通夜、告別式の飲食代

通夜、告別式の飲食代は、相続財産から控除ができます。

通夜振る舞い、精進落としなど会葬者をもてなすために出した料理や飲料が対象となります。

香典返しと別に会葬御礼として品物を渡す場合の費用も控除ができますが、香典返しとして会葬御礼を渡す場合は控除の対象となりません。

火葬・埋葬費用

火葬・埋葬にかかった費用は、相続財産から控除できます。

この場合、納骨式で使ったお布施や食事代は控除できません。

寺院などへのお布施

寺院などへ支払ったお布施は、相続財産から控除ができます。

戒名料や読経料も含まれ、僧侶に渡すお車代や御膳料も含まれます。

葬儀をサポートしてくれた人へのお礼

葬儀をサポートしてくれた人へのお礼も、相続財産から控除ができます。

葬儀は葬儀屋さんに依頼する人が多いですが、地域によっては町内で不幸があると近所の人たちが葬儀を手伝いにくる場合があります。思っている以上に大人数になるケースもあるので、誰にどのくらいのお礼をしたか、メモを残しておきましょう。

葬儀費用として控除できないもの

葬儀費用として相続税の計算から控除できないものは、次にあげる3つです。

香典返し

葬儀参列者から受け取った香典は、葬儀費用として相続財産から控除できません。

理由としては、香典は相続税や贈与税など、税金がかからないからです。

仏壇・墓地などの購入費

仏壇や墓地などの購入費、墓石への彫刻費用は、相続財産から控除できません。

仏壇や墓地はあくまでも故人を供養するためのもので、葬儀に必要なものではないからです。墓地、仏壇、位牌は相続税の非課税財産となります。

法事の費用

葬儀後に行われる初七日、四十九日、一周忌など法事の費用は相続財産から控除できません。最近は告別式と同じ日に初七日の法要を行うケースが多いので、葬儀社から発行された明細書に、初七日が葬儀費用に含まれている場合があります。その際は相続財産から控除できます。

四十九日法要に合わせて納骨式を行う人も多いと思いますが、この場合納骨の費用は葬儀費用に該当するので、相続財産から控除できます。

まとめ

昨今簡素な葬儀が注目されていますが、慣習にのっとった葬儀を行う人も依然として多いことと思います。その場合、思っていた以上に葬儀費用がかかるので、見積もりの段階で驚く人もいらっしゃると思います。相続人同士でもめないように葬儀費用の負担について、あらかじめ相談しておくとよいでしょう。

葬儀費用には、相続財産から控除できるものがありますので、葬儀を行った場合はかかった費用をメモに残し、その上で領収書を保管しておけば安心です。

ネクスパート法律事務所では、相続に関するあらゆるご相談を受け付けています。葬儀費用の負担について相続人同士がもめて困っているなど、相続に関するお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は30分無料で承っていますので、お気軽にご連絡ください。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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