代襲相続について相談できる専門家や公的機関を紹介!

被相続人より先に相続人が死亡している場合は、その子どもが亡くなった相続人に代わって遺産を相続します。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)と言い、亡くなった人の受けるべき相続分を相続する人を代襲相続人といいます。
代襲相続が発生すると、相続人間の関係性が薄く連絡を取りにくかったり意見が合わなかったりして、遺産分割でもめるケースが少なくありません。
代襲相続に関する悩みやトラブルは誰に相談すればよいのでしょうか。
この記事では、代襲相続に関する悩み・トラブルの相談先や弁護士に相談するメリットを解説します。
代襲相続について相談できる専門家や公的機関
ここでは、代襲相続について相談できる専門家や公的機関を紹介します。
弁護士|代襲相続のトラブルや予防策を相談したい
弁護士は、すべての裁判所(簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、高等裁判所、最高裁判所)における代理権が認められているため、依頼者の代理人として相続に関するあらゆる問題に対応できます。
弁護士には、主に以下のことを相談・依頼できます。
- 代襲相続人と他の共同相続人間の紛争に関すること
- 代襲相続人を含む相続人調査・相続関係図の作成
- 相続財産調査
- 相続放棄・限定承認の手続き
- 遺留分放棄
- 遺産分割協議の交渉代理
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産分割調停や審判の代理
- 預貯金・有価証券・自動車等の相続手続き
- 遺留分侵害額の請求・裁判手続き
- 事業承継に関すること
代襲相続のトラブルや予防策について具体的なアドバイスを求めている方は、弁護士への相談をおすすめします。

司法書士|不動産登記を含む代襲相続手続きを相談したい
司法書士の主な業務は、不動産の名義変更に関する手続き(不動産登記)です。
家庭裁判所の手続きは、書類作成のみ代行できます。司法書士には、家事事件について代理権が認められていないため、交渉や手続きを代理できません。
司法書士には、主に以下のことを相談・依頼できます。
- 不動産登記手続き(相続不動産の名義変更等)
- 会社・法人の登記に関する手続き(法人の代表者変更等)
- 代襲相続人を含む相続人調査・相続関係図の作成
- 相続財産調査
- 相続放棄、限定承認の申述
- 遺留分放棄
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産分割調停申立書の作成
- 預貯金・有価証券・自動車等の相続手続き
不動産登記を含む代襲相続手続きは、司法書士への相談をおすすめします。

行政書士|代襲相続人や相続財産の調査・名義変更等を依頼したい
行政書士は、書類作成業務や申請業務を代行する専門家です。
相続案件では、権利義務に関する書類の作成業務や必要書類の収集を行えます。行政書士の業務範囲に書類作成に関する相談は含まれますが、相続に関する法律相談や代理権は含まれません。
行政書士には、主に以下のことを相談・依頼できます。
- 代襲相続人を含む相続人調査・相続関係図の作成
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成(共同相続人間で合意した内容の書面化)
- 預貯金・有価証券・自動車等の相続手続き
代襲相続人を含む相続人間で特に意見の対立もなく、手続きの効率化のために必要な調査や書類作成を依頼したい場合は、行政書士への相談をおすすめします。
税理士|代襲相続における相続税を知りたい
税理士は税務の専門家です。相続のための節税対策や相続税の申告書の作成等を行います。
税理士には、主に以下のことを相談・依頼できます。
- 相続税対策
- 相続財産の評価
- 相続税の申告
- 準確定申告
- 相続税の更正請求
- 事業承継における税金対策
代襲相続の発生により相続税の課税関係に疑問や不安がある方は、税理士への相談をおすすめします。
法テラス|代襲相続制度の概要や適切な相談先を知りたい
法テラス(日本司法支援センター)では、代襲相続制度の概要や適切な相談窓口を無料で案内してもらえます。
どの専門家に相談すべきか分からない場合は、法テラスの無料相談を活用すると良いでしょう。
参考:無料法律相談のご利用の流れ|法テラス (houterasu.or.jp)
※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。
市区町村|住み慣れた地域で弁護士に代襲相続の一般的な相談をしたい
市区町村役場では、地域に居住している方が利用できる無料法律相談が定期的に実施されています。
相談時間は30分程度なので、個別具体的なアドバイスは望めませんが、お住まいの地域で気軽に弁護士に代襲相続に関する一般的な相談ができます。
代襲相続で弁護士に相談をおすすめするケース
ここでは、代襲相続で弁護士への相談をおすすめするケースを紹介します。
【代襲相続人側】他の相続人から一方的に協議結果を押し付けられている
代襲相続が発生すると、叔父・叔母と甥・姪など世代の異なる人たちが共同相続人になることから、円滑なコミュニケーションが取れないことがよくあります。
世代が上の相続人が強い立場になることもあり、代襲相続人と話し合うことなく決めた遺産分割方法を一方的に押し付けることも珍しくありません。
遺産分割協議には、代襲相続人を含む相続人全員が参加しなければなりません。一部の相続人で一方的に作成された遺産分割協議書の内容に納得いかない場合は、署名・押印せず弁護士に相談しましょう。
遺産の全容を把握していなければ、提示された遺産分割案が公平な内容かどうか判断できません。いったん協議書に署名・押印すると、原則としてその内容を覆せません。
提示された遺産分割協議書の内容をよく読み、疑問や不満がある場合は、弁護士への相談をおすすめします。
【代襲相続人側】他の相続人から相続放棄を求められている
他の相続人が代襲相続人に相続放棄を求めるケースも少なくありません。
孫世代である代襲相続人は、被相続人がどのような財産を所有していたのか、遺産の総額はいくら程度なのかを把握していないことが多いでしょう。
他の相続人から「借金ばかりで分け合う遺産がない。」と言われても、遺産の全容を明らかにしてもらえない場合には、要求に応じずに弁護士に相談しましょう。
万一、他の相続人からの強要により相続放棄に応じてしまった場合には、速やかに弁護士に相談し、相続放棄の取り消しを行うことをおすすめします。
【他の相続人側】代襲相続人が遺産分割協議に参加してくれない
代襲相続人が遠方に住んでいたり、日頃から頻繁に連絡を取り合う仲ではなかったりすると、遺産分割協議をスムーズに進められないこともあります。
代襲相続人が遺産分割協議に参加しても、他の相続人の事情や生前の被相続人への貢献等を無視して、頑なに法定相続分どおりの分割を希望することもあります。
代襲相続人と連絡が取れない場合や交渉が難航している場合は、弁護士への相談をおすすめします。

【双方】相続人が多すぎて話し合いがまとまらない
遺産分割協議では、遺産の分け方だけでなく、遺産の範囲や評価方法も決めなければなりません。各相続人の思いや希望が異なり、協議しなければならないことが多いほど、意見の対立が生じる傾向があります。
各相続人の事情をお互いに理解し合い、互いにある程度の譲歩ができなければ、話し合いはまとまりません。
相続人間に意見の対立がある場合には、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
無理に当事者間での話し合いを続けると、相続人間の関係が悪化したり、紛争が長期化したりするおそれがあります。

代襲相続に関する悩みやトラブルを弁護士に相談・依頼するメリット
ここでは、代襲相続に関する悩みやトラブルを弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
トラブルを防ぐための対策を教えてもらえる
代襲相続が発生すると、世代の異なる人たちが共同相続人となるため、相続トラブルに発展しやすくなります。
相続手続きには一定の法律知識を要するので、ご自身でトラブルを防いだり、実際に起きたトラブルに対応したりすることは難しいでしょう。
弁護士に相談すればトラブルを未然に防ぐ方法や発生したトラブルへの適切な対処法を教えてもらえます。

迅速かつ正確に相続人を調査してもらえる
代襲相続が発生すると、被相続人だけでなく被代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本等を遡らなければなりません。
弁護士に相続人調査を依頼すれば、手間のかかる戸籍収集を任せられるので、迅速かつ正確に相続人を特定してもらえます。
弁護士であれば戸籍を正確に判読できるので、代襲相続人の把握漏れによって遺産分割協議をやり直さなければならないリスクを回避できます。

疎遠な相続人とのやり取りを任せられる
代襲相続が発生すると、疎遠な人や不仲な人と遺産の分け方について話し合わなければならないことがあります。被相続人より先に亡くなった相続人の前妻(または前夫)との子や隠し子(認知した非嫡出子)が代襲相続人となる場合、その関係性から顔を合わせたくないと思うこともあるでしょう。
弁護士に依頼すれば交渉を代理してもらえるので、直接やり取りをする精神的負担を軽減できます。
公平な遺産分割方法を提案してもらえる
以下のようなケースでは、法定相続分どおりに遺産を分割するのが公平とは限らない場合もあります。
- 相続人の一部に被相続人から生前贈与や遺族を受けている人がいる
- 被相続人の生活の世話や病気の看護、無償で家業の手伝いをした相続人がいる
遺産分割は、遺産の内容や各相続人の事情を考慮して行わなければなりません。
少しでも多く遺産を貰いたい、自分に有利な遺産分割協議を進めたいという気持ちが強いと、他の相続人の事情を理解しようとする気持ちが薄れます。その結果、遺産分割協議が紛糾し、話し合いが長期化することがよくあります。
弁護士に依頼すれば、法的な観点から相続人全員の納得を得やすい公平な分割案を検討できます。弁護士が第三者として間に入ることで、冷静な話し合いも期待できます。

調停・審判や裁判手続きも任せられる
弁護士は、相続手続き全般で依頼者の代理人として活動できます。
相続人間の交渉や調停・裁判で代理人になれるのは弁護士だけです。司法書士や行政書士では対応できないことも、弁護士であれば対応できることが多くあります。
弁護士に代理人として遺産分割協議に参加してもらうことで、相続人間の感情的なぶつかり合いを防ぎ、冷静に協議を進められるため、精神的なストレスも軽減されます。
相続人間での話し合いが整わず、調停や裁判に移行した場合も安心して任せられます。


まとめ
代襲相続が発生すると、異なる世代間の意見の対立や関係性の希薄さが原因で、遺産分割の話し合いがスムーズに進まない傾向があります。
当事者同士で納得がいくまで話し合えればよいですが、お互いに不信感を募らせるケースも少なくありません。
代襲相続に関するお悩みやトラブルは、ネクスパート法律事務所にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。