相続手続きで必要な書類を解説|ケース別の取得方法と注意点は?

家族を亡くした後、悲しみに暮れる間もなく直面するのが、相続手続きです。
手続きの第一歩である書類の収集は、多くの方が「何から手をつければ良いかわからない」「膨大な書類の山に圧倒される」と感じます。
この記事では、相続手続きにおける書類準備や具体的な取得方法等について解説します。
目次
相続手続きで必要な提出書類は?
相続手続きは、被相続人が遺言書を残していたかどうかによって、進め方と必要書類が異なります。
遺言書がない場合、遺産の分割方法を相続人全員で話し合います。これが遺産分割協議です。遺産分割協議をする前に、誰が相続人か漏れなく確定させるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めます。
遺産分割協議で合意ができれば、遺産分割協議書を作成します。これは、相続人全員の合意を証明する重要な書類です。遺産分割協議書には、相続人全員の印鑑証明書の添付も必須です。
遺言書があるケースでは、原則として被相続人の意思が記された遺言書どおりに相続手続きを進めます。ただし、自筆証書遺言・秘密証書遺言書の場合(自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は除く)、有効性を確認するために家庭裁判所の検認手続きが必要です。
それぞれケース別に必要な書類を表にしましたので、参考にしてください。
| 必要書類 | 遺言書による場合 | 遺産分割協議による場合 | 法定相続分による場合 |
|---|---|---|---|
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 〇※1 | 〇 | 〇 |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 相続人の戸籍謄本 | 〇※2 | 〇 | 〇 |
| 相続人の住民票 | 〇 | 〇※3 | 〇※3 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | × | 〇 | × |
| 遺産分割協議書 | × | 〇 | × |
| 遺言書 ※自筆遺言書の場合(自筆証書遺言書保管制度の利用は除く)は検認済証明書が必要 | 〇 | × | × |
| 相続関係説明図 | △※4 | △※4 | △※4 |
| 不動産関係書類 | △※5 | △※5 | △※5 |
※1 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本のみ
※2 不動産を取得する相続人のみ必要
※3 不動産を取得する相続人のみ必要
※4 戸籍等原本還付をする場合に必要
※5 遺産の中に不動産がある場合に必要
相続手続きで必要な書類の取得方法は?
相続手続きで必要な書類は、それぞれ取得方法が異なりますので解説します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
被相続人の戸籍謄本等の収集は、死亡時の戸籍謄本を取得し、そこから過去に遡っていきます。以前は本籍地の役所でしか戸籍謄本の取得ができませんでしたが、現在はどの役所でも取得が可能になりました(ただし、事前予約が必要なケースあり)。窓口で相続手続きのために取得したいと申し出れば、スムーズに手続きができる可能性があります。
戸籍謄本等の取得には、以下の手数料がかかります。
戸籍謄本:1通450円、
除籍謄本・改製原戸籍謄本:1通750円
被相続人の住民票の除票・戸籍の附票
被相続人の住民票の除票は、被相続人が最後に住民登録をした役所で、戸籍の附票は、最後の本籍地の役所で取得できます。
住民票の除票と戸籍の附票は、自治体によって手数料が異なりますが、多くの場合1通300円前後です。
相続人の戸籍謄本
相続人の戸籍謄本は、被相続人の戸籍謄本と同様にどの役所でも取得できます。
手数料は1通450円です。
相続人の住民票
相続人の住民票は、住民登録をしている市区町村の窓口で取得します。
手数料は自治体によって異なりますが、一般的に1通200円から350円です。
相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の印鑑証明書は、相続人がそれぞれ印鑑登録をしている自治体で取得します。
手数料は自治体によって異なり、一般的に1通200円から350円です。
自筆遺言書の検認済証明書
被相続人が自筆遺言書や秘密証書遺言書を遺した場合、検認済証明書の提出が必要です。
遺言書の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申し立てをします。申立ては郵送でも可能です。
家庭裁判所が決定した検認期日に遺言書が開封され、遺言書の日付、筆跡、署名、内容が確認されます。
検認が済んだら検認済証明書を申請します。発行手数料は150円です。

相続手続き別にみる提出書類は?
相続手続きには、さまざまなものがあります。
ここで主に3つの手続きで必要な書類を解説します。
銀行等の相続手続きで必要な書類
銀行や証券会社での手続きには、被相続人の死亡日時点の資産額を証明する残高証明や取引履歴証明書が必要です。これらは、遺産分割協議における財産評価や相続税申告の際に使用します。
その他、相続手続きのケース別に必要な主な書類は、次のとおりです。
| 必要書類 | 遺言書による場合 | 遺産分割協議による場合 | 法定相続分による場合 |
|---|---|---|---|
| 金融機関所定の用紙 (相続人全員が署名・捺印) | 〇※1 | × | 〇 |
| 金融機関所定の用紙 (預貯金を取得する相続人が署名・捺印) | × | 〇 | × |
| 金融機関所定の用紙 (遺言執行者と受遺者が署名・捺印) | 〇 | ||
| 被相続人の通帳および証書 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本 | 〇※2 | 〇 | 〇 |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 相続人の戸籍謄本 | × | × | 〇 |
| 預貯金を取得する相続人の戸籍謄本 | 〇 | ||
| 遺言執行者の定めがない場合で、預貯金を取得する相続人の戸籍謄本 | 〇 | × | × |
| 印鑑証明書(相続人全員) | 〇(遺言執行者の定めがない場合) | 〇 | 〇 |
| 印鑑証明書(遺言執行者・受遺者) | 〇 | ||
| 遺産分割協議書 | × | 〇 | × |
| 遺言書 ※自筆遺言書の場合(自筆証書遺言書保管制度の利用は除く)検認済証明書が必要 | 〇 | × | × |
| 残高証明または取引履歴証明書 | 〇 | 〇 | 〇 |
※1 遺言執行者の定めがない場合
※2 遺言執行者が選任されている場合は、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(発行から6か月以内)
金融機関ごとに異なる場合があるため、事前に問い合わせましょう。
不動産の相続登記に必要な書類
不動産の相続登記を申請する際は、最初に登記識別情報(権利証)で、被相続人が所有していた不動産を特定しましょう。相続登記の申請にあたって納める登録免許税の計算に必要な固定資産税評価証明書を取得しましょう。
その他、相続手続きのケース別に必要な主な書類は、次のとおりです。
| 必要書類 | 遺言書で相続するケース | 遺産分割協議で相続するケース | 法定相続分で相続するケース |
|---|---|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本 | 〇※1 | 〇 | 〇 |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 相続人の戸籍謄本 | 〇※2 | 〇 | 〇 |
| 相続人の住民票 | 〇※3 | 〇※3 | 〇 |
| 印鑑証明書(相続人全員) | × | 〇 | × |
| 遺産分割協議書 | × | 〇 | × |
| 遺言書 ※自筆遺言書の場合(自筆証書遺言書保管制度の利用は除く)は検認済証明書が必要 | 〇 | × | × |
| 相続関係説明図 | △※4 | △※4 | △※4 |
| 固定資産評価証明書 | 〇 | 〇 | 〇 |
※1 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本のみ
※2 不動産を取得する相続人の戸籍謄本のみ
※3 不動産を取得する相続人の住民票のみ
※4 戸籍謄本等原本還付を依頼する場合
相続税申告に必要な書類
相続税申告には、国税庁のウェブサイトや税務署で入手できる相続税申告書に加え、遺産分割協議書や各種特例の適用を証明する書類が必要です。
相続税申告書に添付する戸籍謄本には、相続の開始の日から10日を経過した日以降に作成されたものであることなど、取得開始日の制限があるので注意しましょう。
相続税申告に必要な書類は、以下のとおりです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
被相続人の最後の住所地の住民票の除票又は戸籍の附票
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
相続の方法や相続財産の内容によっては、以下の書類も必要です。
遺産分割協議書(遺産分割協議を行った場合)
遺言書(遺言書がある場合)
不動産関係書類(登記簿謄本等)
有価証券関係書類(社債・国債等取引残高報告書等)
預貯金関係書類(残高証明書等)
生命保険関係書類(生命保険証券等)
債務関係書類(借入残高証明書等)
相続手続きを弁護士に依頼するメリットは?
相続手続きを弁護士に依頼すれば、煩雑な書類収集から手続き代行まで一括して任せられ、相続人同士のトラブルがあれば的確なアドバイスが得られます。
弁護士は、相続人や財産の調査から被相続人の戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成、預貯金や不動産の名義変更手続きまで、代理人として対応が可能です。日中に役所や金融機関に行く時間がない方や、精神的な負担を軽減したい方にとってメリットは計り知れません。
まとめ
相続手続きにおける書類準備は、煩雑で時間と労力を要する作業です。何から手をつけて良いか分からない場合は、一人で抱え込まずに弁護士にご相談ください。
ネクスパート事務所は、相続に関する専門知識と豊富な解決実績を持つ弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。
