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遺言書の検認とは何か?検認が必要な理由と流れについて解説

亡くなった人が遺言書を書いていた場合、検認が必要という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、遺言書の検認とは何か、検認が必要な理由、検認の流れ、検認に関してよくある質問について解説します。

目次

遺言書の検認とは?

遺言書の検認とは、相続人に対し遺言の存在及び内容を知らせ、検認の日現在において、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などの内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。

遺言書の検認は、遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。

遺言書の検認が必要な2つの理由

遺言書の検認が必要な理由は、以下の2つです。

民法で遺言書の保管者・発見者に義務付けられた手続きだから

遺言書の検認が必要なのは、民法で遺言書の保管者・発見者に義務付けられた手続きだからです。
民法は、遺言をした人が死亡した後、遺言書(公正証書遺言を除く)を保管していたり発見したりした相続人は、遅滞なく、家庭裁判所で検認の手続を行わなければならないと規定しています(民法10041項)。

家庭裁判所に検認の申立てをしなければならない義務者は、第一に遺言書の保管者、第二に遺言書を発見した相続人です。ここでいう保管者は、遺言書の作成者から保管を委託された事実上の保管者も含まれます。

なお、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ、開封できません。

検認を経なければ登記を含む相続手続きが進められないから

遺言書の検認が必要なのは、検認を経なければ相続登記を含む相続手続き全般が進められないからです。

相続手続きの中には、期限が定められているもの(相続放棄、遺留分侵害額の請求、相続税、相続登記等)があります。これらを期限内に進めないと過料が科されるケースがありますので、遺言書の検認を速やかに受けなければいけません。

例えば不動産の相続登記を例に挙げると、検認を受けるべき遺言書が検認を受けていない場合、相続登記の申請手続きをしたとしても不動産登記法の規定によって却下されます。

検認が必要な遺言書

検認が必要な遺言書は以下の2つで、公正証書遺言書は検認不要です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者自身が手書きで遺言書の全文(財産目録を除く)、日付、氏名を記し、押印して作成する遺言書です。

作成の費用がかからず手軽に書きなおせるため、自筆証書遺言を作成している方は一定数いらっしゃるでしょう。

自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所に検認の申立てが必要です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、公証人と証人2人以上に遺言書の存在を証明してもらいつつ、本人以外は遺言書の内容を秘密にできる遺言書です。

自筆証書遺言に比べると手間がかかる割にはあまり有効性がないため利用者は少ないですが、秘密証書遺言が見つかったら家庭裁判所に検認の申立てが必要です。

遺言書の検認手続きの流れは?

遺言書の検認手続きの流れは、以下のとおりです。

相続人を調査する

遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を取得して、相続人を調査して特定します。

誰が相続人に当たるか、相続の順位に関しては別記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

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検認の申立てに必要な書類をそろえる

家庭裁判所への検認申立てに必要な書類をそろえます。

必要な書類は以下のとおりです。

  • 遺言書の検認申立書
  • 当事者目録
  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言者の子(およびびその代襲者)で死亡した人がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 遺言書1通につき収入印紙800円分(申立書に貼付)
  • 検認済証明書交付用の収入印紙150円分
  • 連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって異なる)

家庭裁判所に検認の申立てをする

必要書類をそろえたら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てをします。

家庭裁判所に持参してもよいですし、郵送で提出もできます。郵送の場合は、家庭裁判所が受け取ったことがわかる方法(書留・レターパックプラス等)を利用したほうがよいでしょう。

家庭裁判所から検認期日の連絡がある

家庭裁判所へ申立てをしてから数週間ほどで、相続人全員に対して検認期日の連絡があります。

申立人は、検認期日に必ず出席しなければなりません。

申立人以外の相続人が出席するかどうかは各人の判断に委ねられており、相続人全員が出席しなくても検認手続きが行われます。

検認期日に家庭裁判所で遺言書が開封される

検認期日に家庭裁判所で遺言書が開封されます。

相続人と家庭裁判所の職員の立ち会いのもと、遺言書に記載されている日付、筆跡、署名、本文を確認します。

家庭裁判所に検認済証明書を申請する

遺言書の検認が終了したら、家庭裁判所に検認済証明書を申請します。

検認済証明書が添付された遺言書であれば、諸々の相続手続きが行えます。検認済証明書の発行には150円の手数料がかかり、収入印紙で納めます。

遺言書の検認に関するQ&A

遺言書の検認に関して、よくある質問に対する回答を紹介します。

遺言書の検認をしないとどうなる?

遺言書の検認手続きを経ずに遺言を執行すると、5万円以下の過料が課せられる可能性があります。

他の相続人から偽造等を疑われて相続トラブルに発展する場合もあるでしょう。

検認前に遺言書を開封するとどうなる?

遺言書を検認前に勝手に開封した場合も、5万円以下の過料を科される可能性があります。

ただし、勝手に開封したとしても遺言書が無効になるわけではありません

遺言書の検認はどのぐらいの期間がかかる?

遺言書の検認は、申立てをしてからだいたい1か月後検認期日が設定されます。

検認が終了したらすぐに検認済証明書の申請ができるので、相続手続きに着手できます。

遺言書の検認期日に欠席したら罰則がある?

遺言書の検認期日に欠席をしても罰則はありません

相続人全員の出席が必須ではありませんが、申立人は必ず出席しなければいけません。

検認期日に欠席をした相続人に対しては、後日裁判所から検認の終了通知が送付されます。

検認期日を欠席したら裁判所は遺言書の内容を通知してくれる?

裁判所から検認期日を欠席した相続人に、遺言書の内容が通知されることはありません。

検認期日を欠席したため、遺言書の内容がわからない場合は、申立人(検認済証明書が付された遺言書の原本を保管している相続人)に見せてもらうと良いでしょう。

協力が得られない場合には、家庭裁判所に検認調書の閲覧や謄写をする方法もあります。

法務局に保管している自筆証書遺言も検認が必要?

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、家庭裁判所の検認は不要です。

相続人は、法務局に遺言書が保管されているかどうかの証明書(遺言書保管事実証明書)や遺言書の写しを取得できます。

自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、金融機関等の手続きにおいて、遺言書情報証明書の提出を求められることが一般的です。

参考:証明書について|自筆証書遺言書保管制度(moj.go.jp)

遺言書が複数ある場合は全ての検認が必要?

遺言書が複数ある場合は、全ての遺言書の検認が必要です。

遺言書が複数あり、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされますが(民法10231項)、検認手続きの段階では、どの遺言書が有効かわからないからです。

遺言書が複数ある場合は、全ての遺言書の検認を申立てましょう。

遺言書の検認を経たあとでも相続放棄はできる?

遺言書の検認を経たあとでも相続放棄は可能です。

遺言書の検認申立ては、単純承認とみなされないからです。

遺言書の検認を依頼できる専門家は?

遺言書の検認を依頼できる専門家は、弁護士と司法書士です。

ただし、家庭裁判所の手続きを代理できるのは弁護士のみです。

司法書士に依頼できるのは、主に申立書の作成代行、戸籍謄本等の取り寄せに限られ、家庭裁判所とのやり取りや検認期日への同席等は対応してもらえません。

行政書士や税理士は、裁判所に提出する書類の作成代行ができません。

遺言書の検認手続きを弁護士に依頼するメリット

遺言書の検認手続きを弁護士に依頼するメリットは、以下の3つです。

検認の申立てを依頼できる

弁護士に依頼をすれば、家庭裁判所に遺言書の検認申立てをする手続きが任せられます

遺言書の検認手続きには家庭裁判所が定める書類の提出が必要です。特に相続人を特定する作業は戸籍謄本の取得が必要なので、時間と手間がかかります。

弁護士は必要な謄本の調査と取得を代行するだけではなく、申立書の作成もできますので、スムーズに申立てすることが可能です。

検認期日に立ち会ってもらえる

弁護士に依頼をすれば、検認期日に立ち会ってもらえます

検認期日では、裁判所書記官から遺言書の内容について質問がある可能性があります。

質問の内容が法的な分野に及んでいる場合、弁護士は依頼者の立場に立った適切な回答が可能ですので、検認手続きがスムーズに進みます。

相続トラブルの解決を依頼できる

弁護士に依頼をすれば、相続トラブルの解決を依頼できます

遺言書の検認は、遺言書に記されている相続の内容の是非を判断するものではありません。

検認で問題ないとされた遺言書でも、内容次第では相続人同士で相続分について争いが生じ、お互いの感情や欲がぶつかり合い、相続手続きが進まなくなるケースがあります。

そのような事態になった場合に、弁護士が間に入れば的確なアドバイス受遺者に適正な請求ができます。

遺言書で執行者が指定されていなければ、弁護士を遺言執行者の候補者として選任申立てをすることも検討できます。

まとめ

自筆証書遺言秘密証書遺言が自宅等で見つかった場合は、必ず家庭裁判所に検認の申立てをしなければいけません。

相続手続きをするにあたって重要ですので、迅速に行いましょう。

トラブルなく手続きを済ませるために、検認手続きは弁護士への依頼をお勧めします。

ネクスパート法律事務所には、相続案件を多数手掛けている弁護士が在籍しています。初回30分は無料で相談可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

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この記事を監修した弁護士

佐藤 塁(東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の佐藤塁と申します。当事務所の特徴は、法的な専門性や経験はもちろんのこと、より基本的に、お客様と弁護士との信頼関係を大事にしていることです。お客様のご依頼に対して、原則2人の弁護士が対応し、最初から最後までその弁護士が責任を持って対応させていただきます。難しい案件でも投げ出しませんし、見捨てません。良い解決ができるよう全力でサポートさせていただきますので、何でもまずはご相談いただけますと幸いです。

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