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生活保護を受けている人は遺産を相続できる?注意点やNG行為を解説

生活保護を受けている人は、親族が亡くなった場合に相続人として遺産相続ができるでしょうか?

この記事では、生活保護を受けている人は遺産相続ができるかどうか、できる場合の注意点やNG行為について解説します。

生活保護を受けている人は遺産相続ができるか?

生活保護を受けていても遺産を相続できます

相続人としての権利は、生活保護を受けているからといってなくなるものではないからです。

遺産相続をしたら生活保護は受給できなくなるか?

生活保護を受けている人が遺産相続をした場合、遺産の価値等によっては生活保護が受給できなくなる可能性があります

生活保護とは、病気や事故で働けなくなったり、配偶者との離婚や死別で収入がなくなったりした世帯に対し、自力で生活ができるようになるまで援助する制度です。

生活保護の受給資格については、生活保護法で規定されています。

(保護の補足性)

第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

2民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

3前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

引用:生活保護法 | e-Gov 法令検索

更に、生活保護法は、被保護者が保護を必要としなくなったときは、保護の実施機関は、速やかに、保護の停止または廃止を決定する旨定めています(生活保護法26条)。

保護の停止・廃止の基準は、以下のとおりです。

保護を停止すべきとき 臨時的収入の増加、最低生活費の減少等により一時的に保護を要しなくなった場合で、6か月以内に再び保護を要する状態になると予想されるとき

定期収入の増加、最低生活費の恒常的な減少等により、一応保護を要しなくなったが、その状態が今後継続することについて確実性を欠くため、若干の期間経過の観察が必要であるとき

保護を廃止すべきとき 定期収入の恒常的増加、最低生活費の減少により保護を要しなくなったとき

臨時的な収入の増加、最低生活費の臨時的な減少等により、以後おおむね6か月を超えて保護を要しない状態が継続すると認められるとき

このように遺産相続をして、最低限度の生活ができるようになり、保護の必要がなくなれば、生活保護費の減額、あるいは保護の停止や廃止がされる可能性があります。

生活保護が受給できなくなる遺産相続の金額は?

どの程度の遺産相続をしたら生活保護が受給できなくなるか、明確な金額は規定されていません

先述したとおり、遺産相続をして継続的に最低限度の生活が維持できると判断されたら、生活保護の受給ができなくなる可能性があります。

その際のポイントとなるのは、現在の生活保護受給額相続する財産の価値に加え、相続した財産が実際に利用し得る資産かどうかという点です。

遺産相続をした財産が生活保護費の1か月分にも満たない預貯金のみだったり、相続した不動産の処分が難しかったりする場合は、生活保護を継続して受給できる可能性があります。

臨時的な収入により、一時的に保護を必要としなくなった場合でも、6か月以内に再び保護を要する状態になることが予想されるときは、保護が停止される可能性はあっても廃止される可能性は低いでしょう。

不動産を相続したとしても、相続前から親名義の不動産に住み、親が亡くなって相続した後も引き続き住む場合は、相続した居住用不動産は最低限の生活の維持に必要なものとして保有が認められ、生活保護の受給を継続できる可能性があります。

遺産相続をする際のNG行為は?

生活保護を受けている人が遺産相続をする際、3つのNG行為について解説します。

遺産相続をしたのに福祉事務所へ報告をしない

遺産相続をしたのにも関わらず、その旨を福祉事務所に報告しないことです。

生活保護を受給している人は、臨時収入があった場合に福祉事務所に報告する義務があるからです。

生活保護が打ち切られてしまうかもしれないと不安になり報告を怠ると、不正受給で受給した分の返還を求められる可能性があります。

生活保護を受けるために意図的に遺産を隠す

遺産相続をしたにも関わらず、意図的に遺産を隠す行為です。

他の相続人と口裏を合わせて自身が相続した遺産を少なく見せたりする悪質な行為は、保護の停止や廃止、不正受給した分の返還のみならず、詐欺罪に該当する可能性がありますので気を付けましょう。

意図的に相続放棄をする

意図的に相続放棄をする行為です。

合理的な理由がないにもかかわらず、相続放棄をすれば、生活保護の停止や廃止がされる可能性があります。

遺産を相続すれば生活水準が上がるにも関わらず、理由もなくその権利を放棄すれば、生活保護受給者としての条件を満たさないと判断されるかもしれません。

ただし、相続人に多額の負債があり、プラスの財産よりもマイナスの財産が多くなる場合は、生活保護受給者にも相続放棄が認められます。

まとめ

生活保護受給者が相続人となった場合、遺産相続は可能ですが、遺産の価値等によっては生活保護費を受給できなくなる可能性があります。

どの程度の額を相続したら生活保護が受給できなくなるか、明確な金額が決まっていないため自身で判断するのは難しいです。

遺産相続をするにあたって、引き続き生活保護が受けられるかどうかわからない場合は、弁護士などの専門家に相談をしたほうがよいでしょう。市区町村では定期的に専門家による無料相談を開催しているので、こうした制度を利用するとよいかもしれません。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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