代襲相続がある場合の遺産分割協議書の書き方や記載例を解説!

相続人となる人が相続開始前に死亡したり、一定の事由(相続欠格、廃除)により相続権を失ったりした場合に、その相続人の直系卑属が、その相続人に代わってその人が受けるべき相続分を相続することを代襲相続といいます。
代襲相続が発生した場合、遺産分割協議書はどのように作成すればよいのでしょうか?
この記事では、代襲相続がある場合の遺産分割協議書の書き方や記載例を解説します。
目次
代襲相続がある場合の遺産分割協議書の書き方・記載例
ここでは、代襲相続がある場合の遺産分割協議書の書き方や記載例を紹介します。
協議書に代襲相続の発生を記載する必要はない
代襲相続が発生した場合は、代襲相続人を含めた共同相続人全員で遺産分割協議を行い、その結果をまとめた遺産分割協議書を作成します。
この際、遺産分割協議書に代襲相続の発生を明記する必要はありません。
通常の相続の場合と必要記載事項に変わりはない
代襲相続がある場合の遺産分割協議書の書き方や記載すべき事項は、通常の相続の場合と同じです。
遺産分割協議書に記載すべき事項は、以下のとおりです。
- 被相続人を特定する
- 相続人を特定する
- 遺産の内容を特定する
- 誰がどの遺産を取得するかを明確に記載する
- 後日判明した遺産の取り扱いについて規定する
被相続人を特定する
誰の相続に関する遺産分割協議書なのかが一目でわかるように、被相続人を特定する以下の事項を記載しましょう。
- 被相続人の氏名
- 本籍
- 最後の住所
- 生年月日
- 死亡年月日
相続人を特定する
遺産分割協議書は、共同相続人全員での協議の結果、遺産の分け方について合意したことを証する書面です。そのため、書面の冒頭には、相続人全員の氏名と合意の事実を明記するのが一般的です。
遺産の内容を特定する
遺産分割の対象財産を、他の財産と区別できる程度に特定して記載します。例えば、不動産は、登記事項証明書の表題部に記載された内容を明記することで特定できます。
遺産の種類や数が多い場合には、遺産目録を作成するとよいでしょう。
誰がどの遺産を取得するかを明確に記載する
誰がどの遺産を取得するのかを明確に記載しましょう。
後日判明した遺産の取り扱いについて規定する
遺産分割協議時には判明していなかった遺産が、後日新たに見つかることもあります。
遺産分割協議のやり直しや後の紛争を回避するためには、協議書に記載のない遺産が発見された場合の取り扱いを定めておくのが有益です。
遺産分割協議書の記載例
一般的な遺産分割協議書の記載例を、以下に紹介します。
遺産分割協議書の書き方の詳細や相続財産別・分割方法別の記載例は、下記関連記事をご参照ください。

代襲相続人が遺産分割協議書に署名押印するときは肩書きが必要?
ここでは、代襲相続人が遺産分割協議書に署名押印する際の肩書きについて解説します。
代襲相続人の肩書きは不要
代襲相続人が参加した遺産分割協議でも、前記遺産分割協議書の記載例のとおり、肩書きは[相続人]とするのが一般的です。
数次相続では肩書きが必要
相続開始後、遺産分割が終わらないうちに相続人が死亡して、新たな相続が発生することを数次相続といいます。
数次相続が発生した場合には、署名欄の肩書を「相続人兼〇〇〇〇(二次相続の被相続人)の相続人△△△△」と記載します。

代襲相続がある場合の遺産分割協議書作成時の注意点
ここでは、代襲相続がある場合の遺産分割協議書作成時の注意点を解説します。
代襲相続がある時は相続人が誰になるかを特定することが重要です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍に加え、被相続人より先に亡くなった相続人(被代襲者)の出生から死亡までの戸籍を調査して、代襲相続人を漏れなく調査しましょう。
不動産の相続登記や預貯金の名義変更・払い戻し手続きには、被代襲者の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍謄本の提出が求められます。
まとめ
相続開始時に、被相続人より先に亡くなった相続人がいることが分かった場合は、亡くなった相続人の出生から死亡までの戸籍を調査して、代襲相続人を特定しなければなりません。
遺産分割協議には、代襲相続人を含めた共同相続人全員の参加が必須です。
戸籍の見方がわからなければ代襲相続人を見落とすこともあるでしょう。
遺産分割協議の参加人数が増えると協議のための日程調整が難しく、話し合いもまとまりにくくなります。
相続人調査や遺産分割交渉を弁護士に依頼すれば、代襲相続人の見落としを防止でき、疎遠な相続人との交渉も任せられます。
代襲相続が発生した相続にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。