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成年後見人の選任後に後見開始の審判を取り消したり解除したりできる?

成年後見の申立て後は、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げられません。

家庭裁判所が選任した後見人に不満があったり、候補者が後見人に選任されなかったりしたことを理由とした取下げは、原則として認められません。

ただし、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所への請求により又は職権で、後見人を解任できることがあります。

被後見人の判断能力が保護を必要としない状態に回復した場合は、家庭裁判所は申立てにより後見開始の審判を取消します。

この記事では、後見人の解任や後見開始の審判取り消しについて解説します。

 

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成年後見は任意後見契約のように解除できない

ここでは、成年後見と任意後見の違いや成年後見人の解任手続きについて解説します。

成年後見と任意後見の違い

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害・発達障害等の精神上の障害により判断能力が低下した人を保護・支援するために、家庭裁判所が成年後見人を選任する制度です。

成年後見制度は契約により開始するのではなく、家庭裁判所の審判により開始される制度です。そのため、成年後見に解除の概念はありません。

任意後見制度とは

任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が衰えた場合に備えて、契約により将来後見人となる人を決めておく制度です。

任意後見契約の効力は、契約締結時から生じるのではなく、本人の判断能力が不十分となり、申立てにより家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じます。

任意後見契約は解除できる

任意後見監督人が選任される前であれば、委任者又は受任者は、いつでも理由を問わず、任意後見契約を解除できます。

ただし、合意解除の場合も、真意に基づくものであることを確認するため、公証人の認証を受けた書面によって解除しなければなりません。当事者の一方から解除する場合は、解除する旨を記載した書面に公証人の認証を受け、相手方に配達証明付き内容証明郵便で送付します。

任後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除できます。

正当な事由とは、以下のような事情がある場合です。

  • 任意後見人が病気や老齢のために職務を行えなくなった
  • 当事者の一方が遠隔地に転居したことで任意後見人の職務を円滑に行えなくなった
  • 本人・本人の親族と任意後見人の信頼関係が破綻した
  • 任意後見人が適切に職務を果たさない
  • 当事者双方が真意に基づいて合意解除の意思表示をした

なお、任意後見契約を解除した場合は、終了登記を行わなければなりません。

成年後見人は解任できる?

成年後見人に以下のような事由がある場合、家庭裁判所は、後見監督人・被後見人若しくはその親族・検察官の請求により又は職権で、成年後見人を解任できます。

  • 不正な行為
  • 著しい不行跡
  • その他後見の任務に適しない事由

成年後見人の解任の申立てについては、下記関連記事をご参照ください。

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成年後見人が解任されたら成年後見は解除される?

ここでは、成年後見人が解任された後の流れを解説します。

成年後見人が解任されても後見そのものは終了しない

成年後見人の解任の審判がなされると、その後見人の任務は終了しますが、後見そのものは終了しません。

解任後は新たな後見人が選任される

成年後見人の解任により、家庭裁判所は、被後見人やその親族等の請求により又は職権で、新たな後見人を選任します。

後見人の交代後は、新たな後見人が後見事務を引き継ぎます。

成年後見をやめたい!どうにかして解除できないの?

ここでは、後見開始の審判取消しの申立てについて解説します。

後見開始の審判取消しの申立て

本人の判断能力が変動し、後見開始の審判で認定された原因が止んだり、支援・保護の必要性が消滅したりしたときは、家庭裁判所に後見開始の審判取消しを申立てられます。

本人の判断能力が保護を必要としない状態に回復したと判断した場合、家庭裁判所は後見開始の審判等を取り消します。

審判の取消しには、本人の精神状況について鑑定等の手続きは必要とされていません。

しかし、家庭裁判所が後見開始の審判を取り消すためには、後見開始の審判の原因が止んだことを認定する必要があります。そのため、実務上は、診断書等により本人の精神状況を調査し、なお必要があると認められれば、本人の精神状況について医師による鑑定を行います。

取消しを申立てられる人

後見開始の審判の取消しを申立てられるのは、以下の人です。

  • 成年後見人
  • 成年被後見人
  • 成年被後見人の配偶者、四親等内の親族等

申立てに必要なもの

後見開始の審判取消しの申立てに必要な書類や申立費用は、以下のとおりです。

  • 後見等開始の審判の取消申立書
  • 申立人及び成年被後見人の戸籍謄本
  • 申立人及び成年被後見人の住民票
  • 診断書(本人の判断能力の回復を示すもの)
  • 収入印紙800
  • 郵便切手(金額・内訳は家庭裁判所によって異なる)

戸籍謄本や住民票は、既に家庭裁判所に提出している場合、変更がなければ再度の提出は不要です。

まとめ

成年後見の申立て後は、家庭裁判所の許可なく取下げられません。後見開始の審判後は、本人の判断能力が回復して保護の必要が無くなった場合に限り、後見開始の審判を取り消せます。

成年後見人に不正・不適切な行為が見られた場合は、家庭裁判所に報告して、解任の申立てを検討しましょう。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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