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遺言執行者は複数選べるか?メリットとデメリットについて解説

亡くなった人(以下、被相続人)が遺言書を遺していた場合、原則、遺言書どおりに相続手続を進めます。

滞りなく相続手続を進めるために、遺言執行者を選ぶ場合があります。

この記事では、遺言執行者は複数人選べるかどうかについて解説します。

遺言執行者は複数選べるか?

遺言執行者は、人数制限がないため複数選べます。

遺言者が遺言書で一人または複数の遺言執行者を指定できますし、相続人が家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てをする際に、複数指定ができます。

遺言執行者を複数選ぶメリットは?

遺言執行者を複数選ぶメリットは、以下の2点にあります。

相続手続の役割分担ができる

遺言執行者が複数いれば、相続手続の役割分担ができます。

例えば、不動産に関する手続きは長女、預貯金に関する手続きは次女が担当すると指定したら、役割分担が明確になり相続手続がスムーズに進む可能性があります。

被相続人が会社を経営していた場合、顧問弁護士や顧問税理士を遺言執行者として選任し、会社に関してはそれぞれの専門分野ごとに役割を分担し、プライベートな部分に関しては相続人が役割を担うのも可能です。

遺言執行者に健康問題が起きた場合、対応できる

遺言執行者が複数人いれば、一部の遺言執行者に健康問題等が起きた場合でも、遺言でその職務分担が指定されていなければ、代わりの対応が可能です。

被相続人が遺言書で指定した遺言執行者が、遺言の効力が発生したときに高齢になっている場合があります。相続が発生した後、健康面で問題が生じ、相続手続を遂行できないアクシデントに見舞われるかもしれません。

その際に遺言執行者が複数いれば、代わりに対応ができるケースがあります。

遺言執行者を複数選ぶデメリットは?

遺言執行者を複数選ぶデメリットは、遺言に各遺言執行者の職務分担の定めがない場合、遺言執行者の任務の執行は、過半数で決めなければならない(財産の現状を維持する保存行為はのぞく)点です。

例えば、遺言執行者が3人いたら、2名以上の賛成が必要となります。このため遺言執行者が一人であれば、遺言書の内容どおりに粛々と任務の執行ができるのに対して、複数いたために任務の執行が滞る可能性があります。

被相続人は遺言書で、各遺言執行者に単独の執行権が付けられます。

例えば、遺言執行者を複数指定し、その職務の分担を指定しない場合でも、それぞれが単独で遺言執行できるとすれば、遺言執行者は多数決をすることなく、任務を執行できます。

Aは認知に関する一切の権限、Bはその他の一切の権限などと、遺言によって、各遺言執行者の職務や権限の範囲を指定する方法もあります。

遺言執行者を追加で選任すべきケースは?

遺言執行者を追加で選任したほうがよいケースがあります。その場合、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てをするのですが、以下で追加選任すべき3つのケースについて解説します。

遺言執行者の採決が可否同数の場合

複数選ばれた遺言執行者の任務執行に関する採決が可否同数の場合、追加で遺言執行者を選任しなければならないことがあります。

遺言執行者が複数指定されていて、遺言で職務の分担を定めていない場合、任務の執行は過半数で決定しなければならないからです。

可否同数となった場合は、家庭裁判所に遺言執行者の追加選任を求めるか、遺言執行者の辞任・解任を検討するなどの方法が考えられますが、後者は遺言執行者の意思を無視することになるので、前者の方法によるのが好ましいと考えられています。

もっとも、被相続人があらかじめ遺言書で各遺言執行者に単独の執行権を付けていれば、追加で遺言執行者を選任しなくてもよいです。

役割分担した遺言執行者がいなくなった場合

役割分担をした遺言執行者が何らかの事情でいなくなった場合、追加で遺言執行者を選任できます。

よくある例は、遺言執行者が亡くなってしまうケースです。

相続が発生する前に遺言執行者に指定した人が亡くなったと分かっていれば、遺言者は別の遺言執行者を指定できます。その際は遺言書を新たに作成します。

相続開始前でも、遺言者の判断能力が低下していて、遺言書を新たに作成することが難しい場合や、相続発生後に遺言執行者が亡くなっていることを知った場合には、相続開始後、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てができます。

たとえ遺言執行人が亡くなっていても遺言書は有効で内容に影響はないので、焦らなくても大丈夫です。

遺言執行者が就任後、一定の任務を行ったあとに亡くなるケースがあります。その場合も家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てができますが、亡くなった遺言執行者が執行した分の報酬が発生する場合があります。

報酬は、新しい遺言執行者が引き継ぐのではなく、亡くなった遺言執行者の相続人が相続する点に注意しましょう。

遺言執行者を定めていない事項があった場合

遺言書で、特定の財産について遺言執行者を定めていなければ、追加で家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てができます。

被相続人の財産が多く、複数の遺言執行者で役割分担をしていたなら、遺言執行者を定めていない役割について追加で選任の申立てをしたほうが、相続手続を安心してスムーズに進められる可能性があります。

まとめ

遺言執行者は、遺言書の内容を正確に実行する責任があります。そうした責任を一人に負わせるよりも複数人に分担したほうが良いと考える人もいらっしゃることでしょう。

その際は、一つひとつの任務を執行するにあたって過半数の同意を得る必要がないように、あらかじめ遺言書に、遺言執行者が単独で遺言書の内容を執行できる旨を記載しておきましょう。

相続が発生した際、遺言執行者に就任を断られないように、事前に遺言執行者に指定したい旨の了承を取っておくとよいかもしれません。万が一のことがないように、可能であれば、自分よりも若い人を遺言執行者に指定しておくと安心です。

遺言執行者は必ず指定しなければいけないものではありませんが、相続手続は専門的な知識が必要なことが多々あります。そうした手続きに慣れていない人が行うと、思っている以上に時間と手間がかかります。

相続人同士の関係があまり良好でない場合は、協力が得られずに手続きが難航する可能性もあります。相続税の申告期限を考えると、相続手続に時間をかけすぎるのはあまりよくないので、弁護士などの専門家に遺言執行者となってもらうのがよいかもしれません。

ネクスパート法律事務所には、相続全般に関わる案件に多数携わってきた弁護士が在籍しています。自分は遺言執行者を指定すべきか、遺言執行者を指定したいけれどどうすればよいかなど、相続に関する不安や疑問はたくさんあると思います。

初回相談は30分で承れる場合もありますので、ぜひお気軽にお問合せください。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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