不動産の相続トラブルでよくある7つの事例を紹介

相続財産の中に不動産がある場合、相続人の間で平等に分けるのが難しいためトラブルになりがちです。
この記事では、不動産の相続トラブルでよくある7つの事例を紹介し、トラブルを避けるための方法を解説します。
目次
不動産の相続トラブルでよくある7つの事例は?
ここでは、不動産の相続トラブルでよくある7つの事例を解説します。
誰が相続するか話し合いがまとまらない
相続不動産を誰が相続するか話し合いがまとまらないケースがあります。
理由として次に挙げる2つのパターンが考えられます。
相続したい人が複数人いる
相続不動産の資産価値が高い場合、複数の相続人が相続を希望して話し合いがまとまらないパターンです。
特に、不動産以外に相続財産がない場合は、相続人同士がもめやすくなります。
互いに譲歩する気持ちがなければ、いくら話し合っても平行線になる可能性が高いです。
このような場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるか、弁護士に交渉の依頼を検討しましょう。
相続したい人が誰もいない
不動産に資産価値がほとんどなく活用が難しい不動産は、相続すれば管理維持費がかかるため相続したい人がおらず、話し合いが進まないケースがあります。
この場合、不動産を売却して現金を相続人同士で分ける換価分割を検討してみましょう。
地方にある物件のように売却が難しい場合、地元に密着した不動産会社に相談すると、どのような価格帯であれば売却可能か、さらには地元ならではの視点で不動産を活用する方法などアドバイスが得られる可能性があります。
土地や山林の場合、2023年4月にスタートした相続土地国庫帰属制度を利用するのも一つの方法です。国に土地を引き取ってもらえる制度ですが、いくつかの細かい条件がありますので、条件をクリアすれば利用を検討してみましょう。
相続土地国庫帰属制度については、以下の記事を参考にしてください。

平等に分割することにこだわり、話し合いがまとまらない
相続人全員が平等に財産を受け取ることにこだわり、話し合いがまとまらないケースがあります。
不動産以外に相続財産がない場合に起こりがちなトラブルですが、相続人同士がお互いに妥協点を見出して話し合いを進める努力をしましょう。
話し合いが難航した場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるか、弁護士に交渉の依頼を検討しましょう。
代償分割したのに代償金が支払われない
代償分割とは、相続人の一人または数人が不動産を取得するかわりに、不動産を取得しない他の相続人に代償金を支払う方法です。
不動産を売却せずに公平に遺産分割ができるので有効な方法ですが、代償金が多額になった場合、不動産を相続した人が代償金を支払えずトラブルになるケースがあります。
代償分割をする場合、一度に代償金が支払うのが困難であれば、あらかじめ他の相続人に分割払いを了承してもらうなどの対策をしておきましょう。
共有分割して、相続不動産の活用方法で意見が割れる
平等に相続するために相続不動産を共有分割したものの、不動産の活用方法をめぐってトラブルになるケースがあります。
例えば、相続した不動産に誰も住まなかった場合、以下の点について相続人の間でもめる可能性があります。
- 維持管理をどのようにするのか
- 費用をそれぞれいくら負担するのか
売却をしたくても、共有者全員が同意しなければ不動産全部の売却はできません。
思い出がある家だから売りたくない…と意見が分かれ、売却が困難になるケースも見受けられます。
共有者の一人が亡くなったら、新たに相続が発生して所有者が増える場合があり、さらに権利関係が複雑になっていきます。
相続人が決まったのに相続登記をしない
相続人が決まったのに相続登記が完了していないケースがあります。
長期間放置しているうちに相続人本人が亡くなり、新たな相続が発生して権利関係が複雑になる可能性があります。
相続登記をしなければ、売却や不動産を担保にローンを組むこともできません。相続人が決まったらできるだけ早く相続登記を済ませましょう。
なお、2024年4月から、相続登記が義務化されます。正当な理由なく相続によって不動産を取得したと知った日から3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割協議が成立した場合も、別途、遺産分割協議の成立日から3年以内に、遺産分割の内容に沿った登記申請義務が生じます。
相続人が相続税を支払えない
不動産を相続したものの、相続人が相続税を支払えないケースがあります。
不動産の資産価値が高いほど相続税の支払いに不安があると思います。その場合は、遺産を分割する前に弁護士や税理士に相談しましょう。
不動産を相続した人が管理をせずに放置している
不動産を相続した人が、維持管理をしないで放置してトラブルになるケースがあります。特に一戸建ては、木の枝が伸びたり雑草が伸びたりすることで隣近所に迷惑をかける場合があります。人が住んでいないと、放火など防犯上の不安もあります。
相続した不動産に頻繁に通い手入れをすることや、隣近所の人々とコミュニケーションを取り、何かあったときに協力をしてもらえるような関係性を築いておきましょう。
不動産相続のトラブルを避ける方法は?
ここでは、不動産相続のトラブルを避ける方法について解説します。
被相続人が生きている間に話し合いをする
不動産を所有している人は、生きている間に相続人になる可能性がある人と話し合いをしておきましょう。
不動産を相続したいと考えている人が誰なのか、事前に分かっていれば、相続が発生した時にトラブルになる可能性が低くなります。
相続人になる可能性がある人たちも事前に話し合いをしておけば、誰がどのような考えを持っているのかあらかじめ知ることでトラブルを避けられます。
遺言書を作成する
不動産を所有している人は、遺言書の作成を検討しましょう。
有効な遺言書があれば、原則として遺言通りに相続手続きを進められるので、相続人同士の話し合いがまとまらないといったトラブルの可能性が低くなります。
ただし、不公平な内容の遺言は、更なるトラブルを招くこともあります。事前に弁護士に相談して法的アドバイスを受けると良いでしょう。
遺言書を作成するなら、家庭裁判所の検認が不要となる公正証書遺言か法務局の遺言書保管制度の利用をおすすめします。
不動産相続のトラブルは弁護士に相談を!
不動産相続でトラブルが生じたら、相続に関する案件を多数手がけている弁護士に相談をしましょう。
相続人の間で話し合いが進まない場合、弁護士に交渉を依頼するのも一つの方法です。親族同士は、いったんこじれるといろいろな思いが交錯して、冷静に話し合いが進められないケースがあります。
弁護士であれば、第三者目線で、どのような方法をとるのが最善なのか提案できます。
話し合いがまとまらなければ、遺産分割調停や審判での解決を図ります。弁護士であれば代理人として、家庭裁判所の手続きを任せられるので安心です。
まとめ
相続トラブルと聞くと、お金持ちが悩むことだと思っている人がいらっしゃるかもしれません。
実際は、相続財産が不動産しかないなど、一般家庭に相続トラブルが発生しているケースが見受けられます。
不動産は物理的に分けられないため、相続人同士が平等に…という思いがあるとなかなか話し合いが進みません。その不動産に対して深い思い入れがある相続人がいる一方で、合理的にものを考えて手放すべきだと主張する相続人もいるでしょう。
どちらも間違った考えではありませんが、こうした考え方の違いが不動産を相続する際のトラブルの火種となります。
今回紹介した事例を参考にして、できるだけトラブルが避けられるように事前に対策を練っておきましょう。
ネクスパート法律事務所には、相続案件を多数手がけてきた弁護士が在籍しています。相続の話し合いが進まないなど、トラブルを抱えていらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。