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遺贈寄付とは何か?手続きの方法と注意点を解説

自分が亡くなった後、財産を社会の役に立てたいと考える方も多いでしょう。その場合、遺贈寄付を検討してみると良いかもしれません。

今回の記事では、遺贈寄付の手続き方法や注意点について解説します。

遺贈寄付とは?

ここでは、遺贈寄付とは何かについて解説します。

遺贈寄付とは、遺言によって、財産の全部または一部を特定の法人や団体等に無償で譲ることです。遺産を家族に遺すだけでなく子どもの教育や医療など、社会のために使ってほしいと考えている方にとって適した方法です。

遺贈とは?

遺贈寄付とよく似た言葉に遺贈があります。遺贈とは、遺言によって、自己の財産の全部または一部を無償で他人に譲ることです。遺言により遺贈を受ける者として指定された人を受遺者といいますが、受遺者となり得る人に特段の制限はありません。法定相続人も、それ以外の第三者も受遺者になれます。

遺贈寄付は、公益的な活動をする特定の法人や団体等へ相続財産を譲ることで、その法人や団体等の活動を支える意味があります。生前興味のあった法人や団体等に遺贈寄付をすることで、自分が亡くなった後にも社会貢献ができます。

遺贈寄付の種類は?

遺贈寄付には遺言で伝える以外の方法もあり、下記の3通りの方法があります。

遺言による寄付

遺言書に財産の全部または一部を特定の法人や団体等に寄付する旨を記載して、自分が亡くなった後、遺言書に基づいて寄付する方法です。この方法をとりたい場合は、生前に寄付をしようとしている団体に何を寄付するのか遺言書に記載しておくと手続きがスムーズにできます。

保険・信託による寄付

生命保険に加入し、信託会社と死亡保険金を信託する契約をして寄付する方法があります。一般的に、個人が契約者となる生命保険は、死亡保険金の受取人を二親等以内(保険会社によっては例外的に三親等以内)の親族に限るなどの制限があり、法人を受取人にできません。

いくつかの保険会社では、保険金の受取人を公益団体に指定できる商品や、生命保険信託を通じて保険金を公益団体に寄付できる商品を提供しています。

これらの保険商品を利用すれば、遺贈寄付をしたい公益法人等を受取人にできます。

相続財産からの寄付

相続や遺贈により財産を取得した相続人によって、相続財産を寄付する方法があります。被相続人の意思を受け継いで寄付を行うほか、相続人自身の想いから寄付する場合もあります。前者の場合は、相続人に対して特定の団体に寄付したい旨をあらかじめ伝えておく必要があります。

遺贈寄付の手続きの流れ

ここでは、遺贈寄付の手続きの流れについて、遺言による寄付保険・信託による寄付相続財産からの寄付3つに分けて解説します。

遺言による寄付の流れ

どこに何を寄付したいか検討する

最初に、どの団体に何を寄付したいか検討しましょう。遺贈寄付は、人生の最後に行う社会貢献です。これまで生きてきてどんなことに関心があったか、何を応援していきたいか、慎重に考えましょう。

大切な財産を寄付するので、自分の価値観に合った使い方を検討するとよいです。遺贈寄付に関するセミナーが開催されることもあるので、参加してみるのも良いかもしれません。

専門家に相談をする

遺贈寄付先をどのように選ぶのか、サポートをしてくれる専門家がいるので相談するのも一つの方法です。その際には、財産をどのような分野で活用してほしいと考えているのか、自分の考えをまとめておきましょう。医療や教育、環境問題など様々な分野があるので時間をかけて検討しましょう。

遺言執行者を決めて、遺言書を作成する

遺贈寄付先が決まったら、遺言書を作成しましょう。費用はかかりますが、公正証書遺言を作成しておけば、原本を公証役場で保管するので紛失の心配がなく、相続が開始してからは家庭裁判所での検認手続きが不要なので安心、確実です。

自筆証書遺言を作成する場合は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の紛失や改ざんのリスクがなくなり、遺言書の検認手続きも不要なので、相続開始後の手続きの負担が軽減されるメリットがあります。

遺言書を作成する際に、遺言執行者を決めておきましょう。遺言執行者は、相続開始後に遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。生前、遺言執行者になってほしいと考えている人にその旨伝えておけば、相続開始後の手続きがスムーズに進みます。

遺言執行者が自分よりも先に亡くなってしまうとその後の手続きが複雑になってしまうので、自分よりも若い人を選ぶのがよいです。

遺贈者が亡くなった後の流れ

遺贈者が亡くなった後は、遺言執行者が遺言執行をスタートします。遺言執行者は、遺言書で指定された寄付先へ自身が遺言執行者になったことを知らせるとともに、遺言書の写しを送付します。

受遺が確定したら、遺言執行者が遺言書の内容に沿って、遺贈先に財産を引渡します。

法人や団体によって異なりますが、遺贈先から、遺言執行者あてに領収書や遺言者の家族へのお礼状が送られることがあります。

保険・信託による寄付の流れ

保険金を寄付する場合

受取人を公益団体等に指定できる保険商品を利用する場合、保険会社が指定する公益団体・地方公共団体等から寄付先を指定する契約(または特約)となるのが一般的です。

保険金受取人に、指定公益団体等と被保険者の家族の両方を指定できるため、保険金の一部を指定公益団体等に寄付する選択肢もあります。

被保険者の死亡により、保険金等が指定公益団体に支払われます。

生命保険信託を利用する場合

生命保険の契約者(委託者)が、信託銀行等(受託者)と信託契約を締結し、保険金請求権を信託する契約です。この契約において、財産を渡したい相手(受益者)や支払い方法、信託が終了した際に残った財産を受け取る人(残余財産帰属権利者)などを決めます。

契約者(委託者)が亡くなったら、信託銀行等(受託者)が、生命保険会社に死亡保険金を請求します。

信託銀行等(受託者)は、受け取った死亡保険金の中から、契約者(委託者)が生前に定めた受益者(親族や公益団体等)に金銭を支払います。信託終了時に信託銀行等(受託者)のもとに残った財産は、残余財産帰属権利者に交付されます。

相続財産からの寄付の流れ

相続財産からの寄付は、相続人が財産を取得した後に寄付する方法です。

相続開始後、法定相続分による相続、または相続人全員による遺産分割協議を経て、相続財産を取得します。

被相続人の意思を受け継いで、あるいは相続人自らの意思で寄付先を選定し、取得した相続財産の中から、寄付を行います。寄付先に相続財産からの寄付を希望している旨を連絡し、手続きの流れを確認しましょう。

遺贈寄付のメリットとデメリット

ここでは、遺贈寄付のメリットとデメリットについて解説します。

遺言による寄付のメリット・デメリット

遺言による寄付のメリットは、自分の想いを遺言書に記して寄付できる点です。公益性の高い法人や団体等に寄付をすれば、寄付した金額分の相続税は控除されるため、節税にも繋がります。

デメリットは、法定相続人が遺贈寄付に不満を持ち、遺留分侵害額請求をする可能性がある点です。

保険・信託による寄付のメリット・デメリット

保険・信託による寄付のメリットは、遺言書を作成することなく実行できる点です。遺言による寄付と同様に、公益性の高い法人や団体等に寄付をすれば、相続税の控除の対象となります。

デメリットは、月々少額の保険料を支払うことが寄付に繋がりますが、信託契約締結時、死亡保険金の支払時、信託期間中の3つの段階に手数料かかる点です。。

相続財産からの寄付のメリット・デメリット

相続財産からの寄付は相続税の対象となりますが、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)までに相続財産からの寄付をした場合は、寄付先によっては寄付した財産を相続税の課税対象財産としない特例があります。寄付先によっては、財産を相続した人の所得税や住民税の負担も軽減されます。

相続財産からの寄付のデメリットは、生前、相続人に寄付について具体的に伝えていなければ、被相続人の希望通りに寄付を実行してくれない場合がある点です。

遺贈寄付をする時の注意点

ここでは、遺贈寄付をする時の注意点について解説します。

遺贈寄付をするにあたって、最初に考えなければいけないのは、自分が亡くなった後、残された家族が安心して生活できるだけの財産を残すことです。それを踏まえて遺贈寄付をしなければいけません。相続人の遺留分に配慮することが重要です。

寄付される側のことも考えて、包括遺贈ではなく特定遺贈をしましょう。

相続税の控除・を受けたい場合は、国、地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人が対象となり、それ以外は対象にならないので事前に調査が必要です。

これって怪しい?遺贈寄付を装った詐欺に注意

ここでは、遺贈寄付を装った詐欺について解説します。

残念ながら人の善意につけ込んだ詐欺があるのも事実です。例えば、海外から「余命わずかなので、遺産を日本の慈善団体に寄付したい。お金を代わりに受け取って寄付してほしい」とSNSを通じて依頼してくるケースがあります。こうしたメッセージを受け取ったあと、「荷物を送りたいから受け取ってほしい」と依頼され承諾すると、受取人払いの料金を請求されるといった被害が報告されています。

SNSで知り合った人、面識のない人からの「遺産を寄付したい」という言葉を信用するのはやめましょう。

遺贈寄付を考えたとき、弁護士に相談・依頼するメリット

ここでは、遺贈寄付を考えたとき、弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

それぞれの事情に合った遺贈寄付の方法をアドバイスできる

遺贈寄付をする方法はいくつかあります。弁護士であればそれぞれの事情に合った遺贈寄付の方法をアドバイスできます。

相続人同士がもめないような遺贈寄付の提案ができる

相続人の遺留分を侵害する遺贈寄付をすると、相続人同士のトラブルのもとになります。弁護士に相談することで、こうしたトラブルを避ける遺贈寄付の提案ができます。

税理士や司法書士と連携して、税金や登記の問題に対応できる

遺贈寄付をするにあたって、税金や登記の問題が生じることがあります。弁護士に依頼すれば、税理士や司法書士と連携してこうした問題に対応ができます。

 

相続問題は弁護士への依頼でトラブルなくスピーディーに解決できます。

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まとめ

人生の最後に何か社会貢献をしたいと考えている人にとって、遺贈寄付は便利な制度です。しかし、方法を間違えると、相続人同士のトラブルが起きたり、希望していた団体に寄付ができなかったりします。せっかく社会貢献をしようと考えていたのに、そのような結果になってしまったら残念です。

そうならないためにも弁護士に相談をしながら、遺贈寄付の準備を進めましょう。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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