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遺産分割前に相続財産である不動産を売却できる?売却時の注意点は?

相続財産に不動産が含まれていて、相続人が複数いる場合、不動産を取得する人を決めるのが一般的です。しかし、相続税の支払いのために、早期に不動産を売却する必要が生じることもあるでしょう。そのような場合、相続財産に該当する不動産を遺産分割前に売却できるのでしょうか?

今回は、遺産分割前に相続不動産を売却する際の注意点について解説します。

遺産分割前に相続財産である不動産を売却できるのか?

ここでは、遺産分割前に相続財産である不動産を売却できるのか、解説します。

遺産分割前でも不動産の売却は可能

遺産分割前でも不動産の売却は可能です。遺産分割協議が成立するまで、相続不動産は相続人全員の共有状態となります。相続人全員が不動産の売却に同意すれば、当該不動産を売却できます。

遺産分割前に不動産を売却する手順は?

遺産分割協議前に不動産を売却する手順は下記のとおりです。

相続人の確定

相続人が誰なのか、戸籍謄本等を調査をして確定します。

相続人全員から売却することへの同意をもらう

相続人全員が、相続不動産の売却について同意している旨が分かる書面を作成します。後にトラブルが生じないよう、売却益の分配方法についても相続人全員で話し合いましょう。

相続登記をする

被相続人の名義のままでは不動産は売却できません。売却するには相続登記が必要です。

法定相続分による相続登記(法定相続登記)は、遺産分割協議をしなくても申請できます。相続人全員の共有名義で相続登記を申請します。

売却を依頼する

個人での不動産売却も可能ですが、多くの場合、不動産業者と媒介契約をして不動産の売却を進めます。

相続人全員の共有名義で相続登記をした場合は、相続人全員が売主となるため、不動産業者との媒介契約には、相続人全員が参加しなければなりません。

買主が見つかれば、買主と売買契約を締結し、決済日に売却代金の支払いを受けると同時に、当該不動産の所有権を移転します。

遺産分割前の不動産売却における相続登記は、相続人の一人から単独申請ができる

ここでは、遺産分割前の不動産売却のための相続登記は、相続人の一人から単独申請ができることについて解説します。

不動産の登記申請は、共同申請が原則です。例えば、売買による所有権移転登記を申請するのは売主と買主の両者です。

相続登記も原則は相続人全員が申請人となりますが、法定相続分で相続登記をする場合は、相続人の一人から申請する単独申請が例外的に認められています。法定相続分による相続登記は共有財産の保存行為に当たるからです。

ただし、この場合、自分の持ち分だけの登記はできず、相続人全員の持ち分を登記しなければいけません。

相続人の一人が法定相続分による相続登記を単独申請するメリット

相続財産である不動産を売却してその代金を法定相続分どおりに分配したい場合などには、法定相続分どおりに相続登記をすれば、遺産分割協議による相続登記の場合に比べて、必要書類が少なく済みます。

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に申請する必要があるため、不動産の所在地の近くに住んでいる相続人が単独申請すれば、手続きもスムーズに進められます。

例えば、相続人がABC3兄弟で、Aは被相続人の自宅の近隣に居住していたとします。被相続人の自宅の売却にあたり、BCが遠方に済んでいて、登記申請に必要な書類の収集や、登記申請書の作成について相談するために管轄法務局に足を運ぶことが困難な場合でも、近くに住むAに単独で申請をしてもらえれば、手間や時間をかけずに相続登記を完了できます。

現在は郵送申請ができますが、法務局から補正の連絡(書類の不備)があった場合、不動産を管轄する法務局の近くに住んでいる相続人が手続きをすると何かと便利です。

相続人の一人が法定相続分による相続登記を単独申請するデメリット

法定相続分による相続登記の単独申請には、多くのデメリットがあります。

登記識別情報が申請人にしか発行されない

法定相続分による相続登記を単独申請すると、登記完了後に通知される登記識別情報が申請人にしか発行されません。

登記識別情報は従来の登記済権利証に代わるものなので、不動産の所有者であることを証明する大切な書類です。不動産の売却時に必要になる書類なので、この書類が発行されないBCは、自分の持ち分を売却するときに手続きが面倒になります。

登録免許税を一人で負担しなければならない

法定相続分による相続登記を単独申請するときは、相続人全員の持ち分を登記しなければなりませんが、その登録免許税の納付義務は申請人が負います。

他の相続人に頼まれて単独申請する場合には、あらかじめ共同相続人間で、登録免許税の内部的な負担割合について話し合うことをおすすめします。

相続人のうち1人でも売却の意思を翻すと手続きが面倒になる

当初は相続財産である不動産の売却に前向きであった相続人が、「売却しても、微々たるお金しか貰えないなら、時間をかけて面倒な手続きをしてまで不動産を相続したくない」と言って、売却の意思を翻して、相続放棄をすることもあり得ます。

相続登記をした後に相続放棄をすると、更正登記の申請が必要になるので二度手間になります。

他の相続人が当該不動産の売却に前向きで確実に手続きを進められる状況でなければ、法定相続分による相続登記の単独申請は、安易に進めない方がよいこともあります。

遺産分割前に相続財産である不動産を売却する注意点は?

ここでは、遺産分割前に相続財産である不動産を売却する注意点について解説します。

売却後に遺言書がみつかっても不動産は取り戻せない

相続財産である不動産を売却した後に被相続人の遺言書がみつかっても、当該不動産を購入した人がすでに所有権移転登記をしていれば、不動産は取り戻せません。

単独で登記申請をした場合、相続人の間でトラブルになる可能性がある

法定相続分による相続登記は単独申請が認められる場合がありますが、登記識別情報は申請人しか発行されません。他の相続人が自分の持ち分を売却するには、下記の手続きを経なければ所有権移転登記ができません。

  • 事前通知制度
  • 資格者代理人による本人確認情報の提供
  • 公証人による申請情報等の認証

こうした手間が増えることで、相続人の間でトラブルが生じる可能性もあります。

遺産分割前に自身の持ち分を第三者に売却した場合に生じるトラブル

相続財産である不動産を、法定相続分どおりに共有名義にした場合、各相続人は自己の持ち分を自由に売却ができますが、トラブルが起きる可能性があります。

例えば、不動産を相続人ABCの共有名義にし、Cが自身の持ち分3分の1を第三者であるXに売却し、Xが所有権移転登記をしたとします。その後、遺産分割協議をして相続人Aが不動産の全部を単独で相続することになった場合、CXに売買した持ち分について、Xはすでに所有権移転登記をしている関係上、AXに対抗できません。

持分の買い取りを積極的に取り扱う不動産業者の中には、持ち分を買い取った後に、他の共有者に持ち分相当の使用料の支払いや、残りの持ち分の買い取りを求めて交渉する業者もいます。

最悪の場合、共有物分割訴訟を提起され、他の共有者も不動産を手放さざるを得なくなる可能性があります。

遺産分割前に相続財産である不動産を売却する場合、弁護士に相談するメリットは?

ここでは、遺産分割前に相続財産である不動産を売却するとき、弁護士に相談するメリットについて解説します。

相続人同士のトラブルが起きないように、適切なアドバイスができる

遺産分割前に相続財産である不動産を売却すると、トラブルになる可能性が高いです。不動産相続に詳しい弁護士であれば、相続人全員が置かれている状況や関係性などを踏まえて、どういう方法をとることがベストなのか適切にアドバイスできます。

売却後に相続人の間でトラブルが起きた場合、代理人として対応ができる

相続財産である不動産を売却した後、相続人の間で何らかのトラブルが生じた場合でも、弁護士に相談していれば、その後の紛争解決についても代理人として対応してもらえます。

 

相続問題は弁護士への依頼でトラブルなくスピーディーに解決できます。

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まとめ

相続財産である不動産を遺産分割前に売却することには、リスクやデメリットが多数あります。相続人全員が売却に同意していて、不動産の買い手に目途が付いている場合には、法定相続分による相続登記を経ることで、手続きがスムーズに進むこともあるでしょう。

ネクスパート法律事務所には、不動産相続に強い弁護士が多数在籍しております。遺産分割前に不動産売却をご検討の方は、ぜひ一度当事務所の無料相談をご利用ください。

ご依頼者様置かれている状況や他の相続人とのご関係などを踏まえて、より良い解決の方法をアドバイスいたします。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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