生前贈与は、トラブル防止のため弁護士に相談をしながら進めよう

自分に万一のことがあった場合、残された人たちが困らないよう、財産について考える人もいらっしゃるでしょう。相続税の心配はもちろんのこと、何よりコツコツと働いて築いてきた財産は、大切な人に渡したいものです。
そんな時に利用できる制度が生前贈与です。相続と違って財産を渡したいタイミングで譲れて、かつ相続税の節税対策にもなり得ます。
しかし、方法を間違えると、実際に相続が起きた時、トラブルの火種になる場合があります。
この記事では、生前贈与がトラブルの火種となる原因と、生前贈与について弁護士に相談するメリットを解説します。
目次
生前贈与はトラブルの火種を作ることも?
ここでは、生前贈与によって生じうるトラブルの具体例を紹介します。
生前贈与と相続は密接な関係がある
生きているうちに財産を譲る生前贈与と、亡くなってから発生する相続。どちらも自身の財産を譲り渡すことですから、両者には密接な関係があります。
やがてくる相続を見据え、残された者への負担を軽減するために行うのが生前贈与ですが、方法を間違えるとトラブルの火種を作ることがあります。
例えば、亡くなる3年以内(注:2024年以降は7年に延長)に贈与したものは、相続税の課税対象となる場合があり、残された者が相続税の負担に悩まないように行った生前贈与が、価値のないものになってしまいます。
特別受益をめぐるトラブルとは?
実際に相続が起きた時、相続人間で「生前贈与されているのに、相続分が同じであることに納得できない」と、もめることもあります。これが特別受益をめぐるトラブルです。
特別受益とは、生前贈与や遺贈などで相続人の一部が被相続人から特別に利益を受けたことをいいます。住宅購入資金や結婚資金など、まとまった金額が渡された場合、特別受益にあたることが多いです。
例えば、亡くなったAさんには、妻Bさんと2人の息子、Cさん、Dさんがいるとしましょう。民法上(法定相続分)では、Aさんの財産は、妻Bさんに2分の1、CさんDさんには4分の1ずつ分けられます。しかし、Aさんは、生前Cさんに対して住宅購入資金として1,000万円を贈与していました。遺産分割協議は、相続人全員が話し合い、お互いに納得をすることでそれぞれの具体的相続分を決められます。ですから、Dさんが生前贈与で1,000万円を受け取っていても、民法上(法定相続分)どおり4分の1の相続財産を得ることに相続人全員が納得すれば問題はありません。
しかし、「それでは不公平だから納得できない」と考える人が多いことも事実です。これが特別受益をめぐるトラブルの代表的な事例です。
遺留分を侵害したと裁判になることも
相続人には、法律で保証されている最低限の相続分があります。これを遺留分といいます。
法律上、被相続人が遺言によって法定相続人以外の人に全財産を遺贈することは可能です。しかし、これを全面的に認めてしまうと、残された相続人が路頭に迷ってしまう場合があります。遺留分は、相続人が不利益な状況に陥らないように規定されている制度です。
そのため、生前贈与によって遺留分を侵害している場合、裁判で遺留分侵害額を請求されることがあります。
遺留分侵害額請求権の対象となる生前贈与は、いつ、誰に、どんな贈与がなされたかが重要なポイントとなります。以下の場合は、遺留分侵害額請求権の対象になる可能性があります。
相続開始前1年間にされた贈与
相続開始前1年間にされた贈与は無条件に遺留分侵害額請求の対象となります。相続人に対するものに限らず、第三者に対する贈与も遺留分算定の基礎財産に算入され、遺留分侵害額請求の対象となります。
相続開始前1年間とは、贈与契約そのものが相続開始前1年間になされたことを指します。
つまり、贈与契約自体は相続開始1年以上前に締結されたものの、贈与自体が相続開始の1年前に行われた場合は対象外となります。
遺留分を侵害すると知りながら行った贈与
贈与をする側、受ける側の双方が、遺留分権利者に損害を与えると知りながら行った贈与は、遺留分侵害額請求の対象となります。この場合、損害を受ける人は誰なのかを知っている必要はありません。
なお、遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った日から1年で時効により消滅すること、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知らない場合は、10年が経過すると除斥期間の経過により権利が消滅することもあわせて理解しておきましょう。

生前贈与を弁護士に相談するメリットは?
ここでは、生前贈与を弁護士に相談するメリットについて説明します。
トラブル防止を未然に防ぐため、細かい対応ができる
生前贈与は、生きている間に自分が築いてきた財産を大切な人に譲ることができる貴重な制度です。贈与される側にとっても、いつ起きるか分からない相続と違い、本当に必要な時に財産を譲ってもらえるメリットがありますし、相続税対策にもなり得ます。
しかし、方法を間違えると一転してトラブルを引き起こします。そのため、生前贈与を考えた時は、弁護士に相談しながら進めていくことが得策です。
生前贈与をトラブルなく進めていくために、弁護士であれば的確な対応が可能です。生前贈与の手順に間違いはないか、生前贈与が無効と判断されてしまうおそれはないか、さらに将来の相続が起きた時に、相続人の間でもめごとが起きるリスクはないかなど、トラブルを未然に防ぐために細かい対応が可能です。
万が一トラブルが発生した場合、代理人と対応をしてもらえる
生前贈与によるトラブルが発生した場合でも、弁護士であれば代理人となって相手方と交渉できます。トラブルが起きると、相手方と直接話をすることにストレスを感じることもあるでしょう。弁護士が間に入ることで解決の糸口を得られ、精神的にも楽になります。
生前贈与におけるネクスパート法律事務所の強み
ここでは、生前贈与におけるネクスパート法律事務所の強みについて説明します。
初回相談料無料
ネクスパート法律事務所では、初回の法律相談を無料で対応しております。
生前贈与を考えた時、どんな小さなことでも、疑問に思ったことを弁護士にご相談ください。こんなことを聞いてもよいのだろうかといったことから、何を質問していいか分からないといったことまで、弁護士だからこそできるアドバイスを受けられます。
相続に強い弁護士が多数在籍
ネクスパート法律事務所には、さまざまな相続案件に対応してきた弁護士が多数在籍しています。相続は、血がつながっている者同士が関与するため、一度トラブルになると解決が難しくなります。
ネクスパート法律事務所では、こうした案件に対して対応してきた豊富な経験がある弁護士が揃っていますので、的確なアドバイスや対応が可能です。
電話やオンライン会議で全国対応可能
仕事が忙しい、遠方に住んでいるなどの理由で、事務所を訪問することが難しい人もいることでしょう。ネクスパート法律事務所では、電話やオンライン会議で相談可能なので、時間や距離の問題がある人にとっても、利用しやすい環境が整っています。
生前贈与だけでなく相続に関する問題全般に精通している
ネクスパート法律事務所は、生前贈与だけでなく、相続全般に精通した弁護士が在籍しています。生前贈与と相続は密接な関係がありますので、いつか必ずくる相続を見据えた的確なアドバイスができる弁護士は、心強い存在になります。
まとめ
相続に対して良かれと思って生前贈与をしたことで、結果的に相続人同志がもめるケースも多々あります。そのようなリスクを未然に防ぐためにも、生前贈与を考えたら弁護士に相談することをおすすめします。
この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)
はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。