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遺言書は自分で作成できる?作成方法や費用・注意点を解説

遺言書を作成したいと思っても、何から手をつければ良いか分からない方もいらっしゃるでしょう。

ひとくちに遺言と言ってもいくつかの種類があり、形式も異なります。

この記事では、遺言書の作成方法や費用・注意点を解説します。

 

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遺言書作成は自分でできる?

ここでは、遺言書は自分で作成できるかどうかについて解説します。

遺言書は自分で作成できる

遺言書は法律が定めた方式に従って作成しなければなりません。

ご自身で遺言書を作成した場合、その方式や内容に不備があるとご自身の意思を実行できなくなる可能性があります。

遺言書作成は弁護士にも依頼できる

弁護士に依頼すれば、法的に不備のない遺言書を作成してもらえます。将来発生しうる相続トラブルを予防するためのアドバイスも受けらます。

少しでも不安がある場合には、弁護士に相談しましょう。

遺言書作成は公証役場でした方がいい?

ここでは、公証役場で遺言書を作成するメリットや公正証書遺言以外の遺言書の種類・特徴を紹介します。

公証役場で遺言書を作成するメリット

公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がそれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です。

公証人とは、公証人法に基づき、法務局または地方法務局に所属して、公証役場において関係人の嘱託により公正証書の作成や書類の認証等を行う公務員です。

公正証書遺言を作成するメリットは、以下のとおりです。

  • 内容的に適正な遺言ができる
  • 公証人が遺言意思を確認するので、将来有効性を争われる可能性が少ない
  • 原本を公証役場が保管するので、滅失・毀損・隠匿・改変のおそれがない
  • 相続開始後、相続人による検索が容易である
  • 家庭裁判所の検認手続きが不要である
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公正証書遺言以外の遺言書の種類と特徴

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が、遺言書の全文(財産目録を除く)、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式の遺言です。

民法改正により、2019113日からは、自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成できるようになりました。

自筆証書遺言は、最も簡便な方式であり、誰にも知られずに簡単に遺言書を作成できます。

ただし、方式不備で無効とされる可能性や偽造・変造されるリスクがあります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が遺言内容を秘密にした上で遺言書を作成し、公証人や証人の前に封印した遺言書を提出して、遺言書の存在を明らかにすることを目的として行われる遺言です。

秘密証書遺言は、自書の必要がないので、自書能力がなくても遺言書を作成できます。パソコンやワープロ、点字機を用いて作成しても問題ありません。

公証人の前で封印したものでも公正証書ではないので、家庭裁判所の検認手続きが必要です。

遺言書作成費用はどのくらいかかる?弁護士費用の相場は?

ここでは、遺言書の作成費用や弁護士費用の相場を解説します。

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言の作成には、費用がかかりません。

弁護士に作成支援を依頼する場合は、手数料として1020万円程度の費用がかかります。

秘密証書遺言の場合

秘密証書遺言の作成には、公証役場に支払う手数料として11,000が必要です。

弁護士に作成支援を依頼する場合は、以下の費用が発生します。

  • 手数料:1020万円程度
  • 公証役場への同行にかかる日当:1日あたり3~5万円程度

公正証書遺言の場合

公正証書遺言の作成には、公証役場に支払う手数料として数千円~数万円程度がかかります。作成手数料は、遺言書に記載する財産の額によって以下のとおり異なります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 1万1,000
500万円を超え1,000万円以下 1万7,000
1,000万円を超え3,000万円以下 2万3,000
3,000万円を超え5,000万円以下 2万9,000
5,000万円を超え1億円以下 4万3,000
1億円を超え3億円以下 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

遺言公正証書原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。

正本及び謄本の交付については、1枚につき250円の割合の手数料が必要です。

弁護士に作成支援を依頼する場合は、以下の費用が発生します。

  • 手数料:1020万円程度
  • 公証役場への同行にかかる日当:1日あたり3~5万円程度

遺言書作成時に気を付けるべきことは?

ここでは、遺言書を作成する際の注意点を解説します。

遺留分に注意する

遺言者は、自己の財産を誰に相続させるか、どのような分割方法・割合で相続させるかを自由に決められます。

ただし、民法は遺産処分の自由に一定の制限を加えています。兄弟以外の法定相続人(配偶者、子、直系尊属)には遺留分が認められています。

作成した遺言が遺留分を侵害する場合でも、その遺言が無効になるわけではありません。しかし、遺留分を侵害された相続人が遺留分侵害額請求権を行使すると、遺言者が希望したとおりに財産を譲れない可能性があります。

遺言が遺留分を侵害する内容であると不公平感が強まって、相続人間にトラブルが生じる可能性もあります。

そのため、遺言書を作成する際には、以下の点に気を付けなければなりません。

  • 遺留分を考慮した内容を検討する
  • 遺留分侵害額請求を想定した対策を講じておく

遺言と遺留分の関係については、下記関連記事をご参照ください。

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特別受益を配慮する

相続人の一部に被相続人から生前贈与や遺贈を受けている人がいる場合、共同相続人間で相続開始時に現存する遺産のみを対象として法定相続分や指定相続分に従って遺産を分割すると、公平を欠くことになります。

そのため、特別受益にあたる生前贈与や遺贈は相続分の前渡しと考えて、計算上相続財産に加算してみなし相続財産とし、相続分・遺留分を算定します。

遺産分割で特別受益を相続財産に持ち戻すには、 特別受益のない相続人が生前贈与の時期やその額を主張・立証しなければなりません。

遺贈は遺言書に記載があるため対象が明白になりますが、生前贈与については、上記算定時には遺言者が死亡しているため、相続人において当該贈与のなされた年月日や贈与の内容の調査が困難になることもあります。

そのため、後日、特別受益の有無・程度に争いが生じることが予想される場合には、特別受益に関する付言事項や、生前贈与の証拠資料(金銭の移動が分かる資料等)を残すと良いでしょう。

特別受益は、被相続人の意思による財産処分なので、被相続人の意思による持ち戻しの免除も認められます。生前贈与や遺贈を相続分の算定にあたって考慮しないことを希望する場合には、遺言により持ち戻し免除の意思表示をしましょう。

相続税を試算する

遺言書の作成前に、現状の財産に対する相続税を試算することも重要です。

相続が発生すると10か月以内に相続税の申告・納税を行わなければなりません。

相続税がかかるのかどうか、かかる場合はいくらになるのかを把握することで、相続人の負担を軽減できます。

相続税を試算する際は、必要に応じて税理士のサポートを受けると良いでしょう。

遺言執行者の指定を検討する

遺言事項の中には遺言執行者による執行が必要なものや、遺言執行の余地がないものがあります。財産処分に関する遺言事項の多くは、相続人や受遺者が協力すれば遺言内容を実現できるでしょう。

しかし、執行の対象となる財産が多く権利関係も複雑であると、相続手続きに多大な労力や時間がかかる可能性があります。相続人間に意見の対立や紛争が生じると、遺言内容をスムーズに実現できないおそれもあります。

遺言内容の円滑な実現を望む場合は、弁護士を遺言執行者に指定することをおすすめします。

遺言で遺言執行者を指定している場合は、遺言執行者の同意がなければ、共同相続人全員の合意があっても遺言と異なる内容の遺産分割を行えません。

そのため、遺言執行者の指定は、相続人が遺言と異なる内容の遺産分割を行うことへの制約を課す役割にもなります。

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遺言書作成の参考になる簡単な遺言書の書き方

ここでは、一般の方に馴染みのある自筆証書遺言の書き方や簡単な文例を紹介します。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言作成のポイントは以下のとおりです。

  • 遺言者本人が財産目録を除く遺言書の全文を自書する
  • 日付を明記する
  • 署名・押印する

遺言者本人が遺言書の全文を自書する

自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言書の全文(財産目録を除く)を自書しなければなりません。

自筆証書遺言を作成するためには、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力(自書能力)を有していなければなりません。筆跡が異なれば無効となります。

なお、2020年の民法改正により、遺言書に添付する財産目録は、すべてのページに遺言者本人の署名・押印があれば、ワープロやパソコンで作成できるようになりました。財産目録に代えて、預貯金通帳のコピーや不動産登記事項証明書を添付しても差し支えありません。

民法改正によるこの取り扱いは、2019113日以後に作成された自筆証書遺言に適用されます。

日付を明記する

自筆証書遺言には、作成日の日付を記載しなければなりません。日付は、遺言能力の存否の判断や複数の遺言書の先後を確定する上で重要なので、年月日まで客観的に特定できるよう記載しましょう。

日付の記載の有効・無効の例は、下表のとおりです。

有効 無効
・還暦の日

・満70歳の誕生日

・令和44

・令和44月吉日

署名・押印する

自筆証書遺言には、遺言者の署名・押印が必要です。氏名の自書は、遺言者が誰であるかを明確にするためのものであるため、本名(戸籍上の氏名)を記載するのが望ましいです。

押印は、必ずしも実印であることは要さず、認印や指印でも構いません。

遺言書が複数枚にわたる場合は、これを綴ってその間に契印するのが一般的ですが、契印がなくても1通の遺言書として作成されたものであることが確認できれば、有効であるとされています。

ただし、次の場合は、添付書類の全ページへの署名・押印が必要です。

  • 財産目録を自書以外の方法(ワープロやパソコン等)で作成する場合
  • 財産目録に代えて預金通帳のコピーや不動産登記事項証明書を添付する場合

簡単な遺言書の文例

遺言書の文例をいくつか紹介します。

相続人の1人に財産の全部を相続させる文例

遺言書

1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生)に相続させる。

令和〇年〇月〇日

                                     〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者  〇 〇 〇 〇  印

・相続分を指定する文例

遺言書

1条 遺言者は、次のとおり相続分を指定する。

① 妻 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)  8分の2

② 長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生) 8分の3

③ 二男〇〇〇〇(平成〇〇年〇月〇日生) 8分の2

④ 長女〇〇〇〇(平成〇〇年〇月〇日生) 8分の1

令和〇年〇月〇日

                                      〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者  〇 〇 〇 〇  印

・遺産分割方法を指定する文例

遺言書

1条 遺言者は、遺産分割協議において、遺言者が有する財産の全部を換価し、その換価代金から遺言者の一切の債務を弁済した残金を次のとおり分割するように、分割の方法を指定する。

① 妻 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)    5分の3

② 長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生) 5分の1

③ 長女〇〇〇〇(平成〇〇年〇月〇日生) 5分の1

令和〇年〇月〇日

                                        〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者  〇 〇 〇 〇  印

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遺言書作成を弁護士に依頼するメリット

ここでは、遺言書の作成支援を弁護士に依頼するメリットを解説します。

方式不備で遺言書が無効となるリスクを回避できる

遺言書は自分でも作成できますが、方式に不備があると無効となるおそれがあります。

弁護士に依頼すれば、法的に不備のない遺言書を作成してもらえるため、方式不備で遺言書が無効となるリスクを回避できます。

相続トラブルを未然に防げる

相続人以外の人に財産を遺贈する旨の遺言を残すと、相続開始後、相続人や受遺者間で争いが生じる可能性があります。

特定の相続人になるべく多くの遺産をあげたいと考えて遺言を残しても、相続税が膨らみ、逆に相続人に負担をかけることもあります。

弁護士に相談・依頼すれば、このような相続トラブルを未然に防ぐための対策を教えてもらえます。

遺言執行も併せて依頼すれば迅速な相続手続きが望める

相続財産が多岐にわたる場合や第三者への遺贈が含まれるなど遺言の内容が複雑であると、遺言内容の実現には相応の負担がかかります。

遺言書の作成と遺言執行をセットで弁護士に依頼すれば、不備のない遺言書を作成でき、相続開始後の手続きもスムーズに進められるので、相続人に負担をかけずに済みます。

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公正証書遺言作成もサポートしてもらえる

公正証書遺言を作成する場合は、公証人との事前打ち合わせや証人の用意が必要です。

弁護士に依頼すれば、それらの手続きを任せられるので、物理的・精神的な負担が軽減できます。

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まとめ

遺言書は、自分でも作成できますが、方式不備で無効とされる可能性や偽造・変造されるリスクがあります。

弁護士に依頼すれば法的に不備のない遺言書を作成でき、将来発生しうる相続トラブル予防から紛争対応まで幅広く任せられます。

遺言書の作成に少しでも不安がある方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

 

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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