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遺言は撤回できるのか?撤回する場合の方法や注意点を解説

遺言書を作成したものの、財産の変動や気持ちの変化があったら、内容を撤回したいと考える方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、遺言は撤回できるのか、できるのであればどのような方法で行うのかについて解説します。

遺言はいつでも一部または全部を撤回できる

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、前にした遺言の一部または全部を撤回できます。

遺言は遺言者が亡くなったら効力が発生しますので、それまでの間であれば遺言者は自由に遺言の一部または全部を撤回できます。

撤回の理由も問われません。

遺言の撤回方法は?

遺言の撤回方法は、遺言書の作成方法によって異なります。以下、それぞれのパターンについてそれぞれ解説します。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

いずれの場合も、民法に定められた遺言の方式に従えば、前の遺言の方式と同一方式によってもよいですし、異なる方式によっても構いません。

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文(財産目録を除く)および作成日付を自書し、署名押印する方法ですが、遺言の内容を撤回するには、3つの方法があります。

手もとにある遺言書を破棄する

自筆証書遺言を撤回したい場合、手もとにある遺言書の原本そのものを破棄すれば撤回できます。自宅で誰にも知られずに作成して自分で保管できるのが自筆証書遺言の魅力です。撤回するのも遺言書を物理的に破棄すれば足ります。

2020年7月にスタートした法務局による自筆証書遺言の保管制度を利用した場合、原本を法務局に預けているため自分自身で破棄ができません。遺言者は特定遺言書保管所の遺言書保管官に対して、保管申請を撤回する手続きを取ります。遺言者本人が手続きを取らなければいけませんが、いつでも可能です。

前にした遺言を撤回する旨の遺言書を作成する

前にした遺言を撤回する趣旨の遺言書を新たに作成し、内容の一部または全部を撤回する方法もあります。メモ書きでは効力は発生しないため、有効な遺言書の形式にのっとった方法で作成しなければいけません。

新たな遺言書を作成する

別の内容を記した新しい遺言書を作成する方法もあります。

前にした遺言と後にした遺言とが、その趣旨(内容)において全面的に抵触するときは、前の遺言を撤回する旨を書かなくても、後の遺言でその全部が変更されたことになります。

遺言書は常に新しい日付のものが優先されるので、以前作成した遺言書を無効にしたいのなら、日付が新しい遺言書を作成すればよいです。日付さえきちんと記載しておけば、以前の遺言書を撤回する旨をわざわざ本文に記す必要はありません。

前の遺言と後の遺言の一部が抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。

公正証書遺言場合

公正証書遺言は、作成に公証人が関与する方式で遺言書を公正証書として残す方法です。

遺言書の原本は公証役場に保管されるため自身で破棄ができません。撤回するには以下の方法があります。

公正役場で撤回の手続きをする

公正証書遺言で作成した遺言書を撤回したい場合、公証役場で撤回の手続きをします。

遺言書を作成した時と同様に、証人2名の前で公証人に対し前の公正証書遺言を撤回すると述べて署名押印します。

遺言の撤回のみを内容とする場合は、3か月以内に交付された印鑑証明書と実印が必要で、手数料が11千円かかります。

新しい遺言書を作成する

自筆証書遺書と同じように、日付が新しい遺言書を作成すれば、古い遺言書は撤回したとみなされます。遺言の方式は問いませんので、公正証書遺言を撤回しようと自筆証書遺言を作成した場合でも、自筆証書遺言の日付が新しく不備なく作成されていれば優先されます。

秘密証書遺言の場合

秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を誰にも知られないように、遺言書の存在のみを公証役場で証明してもらう方法です。原本は自分で保管しているので、撤回したい場合は原本を破棄すればよいです。公証役場で撤回の手続きをする必要はありません。

自筆証書遺言と公正証書遺言と同様に、日付が新しい遺言書を作成すれば、古い遺言書は撤回したとみなされますし、この場合も、前の遺言の方式と同一かどうかは問われません。

遺言を撤回する際の注意点は?

遺言の撤回は、遺言者本人であればいつでもできますが、次にあげる点に注意しましょう。

遺言の撤回は撤回できない

 1の遺言を撤回した第2の遺言を撤回しても、第1の遺言は復活しません。

もし前と同じ内容の遺言に戻したいのであれば、その内容を記した遺言書を新たに作成しなければいけません。

新しい遺言書が無効になると以前の遺言書が有効になる

新しく作成した遺言書に不備があると、以前の遺言書が有効になる場合があります。

例えば、公正証書遺言書の内容を撤回して自筆証書遺言書を作成した場合、自筆証書遺言が要件を満たしていなければ無効となり、以前に作成した公正証書遺言書が有効になってしまいます。

遺言書の撤回にあたり、異なる形式で遺言書の作成ができますが、こうしたトラブルが起きないように注意しましょう。

遺言を撤回する際、書き方の文例

遺言を撤回する際、遺言の内容すべてを撤回する場合と一部を撤回する場合の文例を紹介します。

遺言のすべてを撤回する場合

遺言のすべてを撤回する場合、遺言書の書き方の文例は次のとおりです。

遺言書

遺言者は、〇〇〇〇年〇月〇日付の自筆証書遺言の全部を撤回する。

〇〇〇〇年〇月〇日

遺言者の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者の氏名 〇〇 〇〇 印

遺言の一部を撤回する場合

遺言の一部を撤回する場合の遺言書の書き方の文例は次のとおりです。

長男に預貯金を相続させると記載したけれど、次男に相続させたいと変更した事例です。

遺言書

第〇条 遺言者は、〇〇〇〇年〇月〇日付自筆証書遺言書内の第〇条の「遺言者は預貯金のすべてを長男〇〇に相続させる」とした部分を撤回し「遺言者は、預貯金を次男〇〇に相続させる」と改める。その余の部分はすべて上記自筆証書遺言記載のとおりとする。

〇〇〇〇年〇月〇日

遺言者の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者の氏名 〇〇 〇〇 印

一部撤回は法的に可能ですが、2通の遺言書が同時に存在するため、トラブルにならないように配慮したほうがよいでしょう。

抵触する生前処分その他の法律行為を行ったときも遺言の撤回とみなされる

遺言の撤回をしていなくても、遺言書に書いた財産がすでに処分されていた場合などには、その部分に関して撤回したとみなされます。

例えば、遺言書にA不動産を長男〇〇に相続させると記載があっても、遺言者がA不動産を生前売却していれば、この部分は撤回したことになります。あくまでも遺言と抵触する生前の処分があった箇所のみが該当し、他の部分については有効です。

まとめ

若いうちに遺言書を作成すると、財産を処分したり新たに財産を取得したりするケースがあります。時間が経つにつれて遺言者の気持ちに変化が生じることもあるでしょう。そのような場合は、できるだけ早く遺言を撤回するか、遺言書の書き直しを検討しましょう。

遺言の撤回は、間違った方法で行うと効力が発生せず、古い遺言が有効になってしまうので留意しなければいけません。できれば弁護士に相談をして、確実に自分の意思に沿った遺言ができるようにしたいものです。

ネクスパート法律事務所では、相続全般に関わる相談を受け付けています。遺言書の作成についてご検討の方は初回30分無料で相談可能です。遺言について不安なことや疑問なことがあれば、そのままにせずに一度ご相談ください。

 

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この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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