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相続財産にアパートがある場合に確認すべき3つのこと

アパートを所有・経営していた親が亡くなった場合、アパートが相続財産の一部となります。

不動産の相続の中でも、賃貸アパートの相続は相続人間で意見が対立し、トラブルになりやすい傾向があります。

この記事では、相続財産にアパートが含まれていた場合、相続人はどのように対応すればいいのか、確認すべきことや手続きについて解説します。

相続財産にアパートがある場合に最初に確認すべきことは何か?

相続財産にアパートがある場合、最初に確認すべき3つのことについて解説します。

アパートローンの残債がないか調べる

アパートローンの残債がないかどうか調べましょう。

2020年4月の民法改正以前は、アパートローン締結時に金融機関から連帯保証人を求められることが一般的で、配偶者や子が連帯保証人に設定されているケースが多いです。この場合は、連帯保証人がアパート経営を引き継ぐことが多いです。

被相続人を主債務者とする金銭債務は、相続により当然に各相続人に相続分に応じて承継されます。しかし、連帯保証人である相続人が負う保証債務は、その相続人固有の債務であるため、相続放棄をしても返済義務を免れません。

ローン債務者の名義変更には金融機関の承諾が必要であるところ、一般に連帯保証人は金融機関の承諾が得られやすいと考えられています。アパートローンは、家賃収入から返済されることを前提としているため、連帯保証人である相続人がアパートを相続することが多いでしょう。

なお、被相続人がアパートローンを組む際に団体信用生命保険に加入していた場合は、アパートローンの残債がゼロになりますので、加入状況を調べましょう。

経営を続けるか売却するかを検討する

アパートを相続して経営を続けるか、アパートを売却するかを検討しましょう。

検討のポイントを下表にまとめましたので、参考にしてください。

相続して経営を続けたほうがよいケース売却をしたほうがよいケース
①    黒字経営である

アパートの賃料収入からローンの返済額や管理費などを控除した毎月の収支がプラスであれば、アパートを相続して経営を続けられる可能性があります。

入居率が高いアパートやローンの残債がなかったり少なかったりするアパートは、収支がプラスになりやすいです。

①    赤字経営である・ローンが残っている

アパートの賃料収入からローンの返済額や管理費などを控除した毎月の収支がマイナスになる場合は、収益改善の見込みが明確な場合を除き、売却を検討するほうが良いでしょう。

連帯保証人は相続放棄によってアパートローンの債務を放棄できないため、アパート経営の継続が難しい場合は、売却を検討せざるを得ません。

②    築年数が浅い

アパート築年数が浅く立地条件も良い場合には、アパートを相続して経営を続けられる可能性があります。

アパートは1015年周期で外壁塗・装屋上防水・目地コーキングなどの大規模修繕が必要といわれています。そのため、築年数が10年以下の場合や前回の大規模修繕からさほど期間が経過していない場合は、当面賃貸経営を継続して、築年数が古くなる前に売るかリフォームするか検討するのも良いでしょう。

②    築年数が古い

築年数が古いアパートは、建物の劣化によって空室リスクや家賃の下落リスクが高まり、将来の収益性が悪化するおそれがあるため売却を検討したほうが良いかもしれません。

築年数15年を経過すると、一般に大規模修繕工事が必要になるため、多額の支出が見込まれます。修繕費の相場は、アパートの規模によりますが、最低でも200万円〜500万円以上の工事費用がかかることもあります。

築古アパートでも大規模修繕工事をするための資金が用意できるのであれば、賃貸経営を続けられますが、手持ち資金がなければ売却を検討しましょう。

③    相続人に賃貸経営の経験がある

アパートを相続する人が、被相続人から相続開始前も管理を任されていたなど、賃貸経営の経験があればアパートを相続して経営を続けられる可能性があります。

アパートの管理を管理会社に委託していても、アパート経営には最低限の知識が必要なので、こうした経験の有無は経営を継続するかどうか、検討する際の参考となります。

③    相続人に賃貸経営の経験がない

アパートを相続する人が、賃貸経営の経験がない場合は、売却を検討したほうがいいかもしれません。アパート経営には空室・家賃下落・修繕・災害のリスクへの対応力が求められるため賃貸経営の経験の有無は重要です。

他に仕事をしながらアパート経営を続けるのは身体的・精神的に負担がかかります。両立が困難な場合は、売却を検討しましょう。

④    相続税の納税資金がない

相続税の納税資金がない場合は、アパートの売却を検討したほうがよいでしょう。

相続人間でどのように分割するか検討する

アパートの経営を続けるか売却するかなど方向性が決定したら、相続人の間で分割する方法を検討しましょう。

アパートの経営を続ける場合

アパートの経営を続ける場合の分割方法には、主に以下の2つがあります。

  • 代償分割:相続人の一人が単独でアパートを相続し、他の相続人に代償金を支払う方法
  • 現物分割:アパートの他にも現金や預貯金などの遺産がある場合、個々の財産を現物で分割する方法

代償分割は、相続人の間で公平感が保て、なおかつ節税効果の可能性がある一方で、他の相続人に代償金を支払える資力が不可欠です。

現物分割は手続きに手間がかかりませんが、遺産を公平に分ける難しさがあります。

アパートを売却する場合

アパートを売却する場合は、売却した代金を相続人全員で平等に分ける換価分割の選択肢があります。

この方法であれば相続人の間で公平に分けられますが、売却手続きに手間がかかり、買い手がすぐに見つからない難しさがあります。

アパートを取り壊して土地を別の用途で活用する場合

アパートを取り壊して土地を別の用途で活用したいと考えた場合は、相続人の間でアパートを解体する費用や土地活用で得られるメリットやデメリットについて、しっかり話し合いましょう。

建物の解体費用は土地の広さにもよりますが、数百万円はかかります。

例えば、解体したあとに駐車場を経営したいと考えるのであれば、誰が中心になって経営をするのか、月々の収入をどのように分けるかなどを決めましょう。

土地が広ければ、分筆をして、各相続人の単独所有となるように登記することで、それぞれが望む土地活用を実現できることもあります。

アパートを共有名義で相続しないほうがいい3つの理由

相続財産にアパートがある場合、平等性を保つために相続人全員の共有名義にするケースがありますが、あまりおすすめできません。理由は、以下のとおりです。

アパートの売却や賃貸借契約が簡単にできない

アパートを共有名義にした場合、アパートの売却や3年を越える賃貸借契約といった共有物の変更行為の際に共有者全員の同意が必要となります。

共有者の一部がアパートの売却や賃貸借契約の締結を希望していても、共有者の中に1人でも反対する人がいれば、それらを実行できません

3年以内の賃貸借契約の締結は、共有者の持分の過半数の合意で可能な場合もあります。しかし、借地借家法等が適用される賃貸借契約においては、更新が原則とされ事実上契約関係が長期間にわたって継続する蓋然性が高いため、原則として共有者全員の合意を要すると考えられています。

アパートのリフォームがスムーズにできない

アパートを共有名義にした場合、リフォーム等を行う場合には、持分の過半数を有する共有者の同意が必要となります。

不動産の価値を高めるためのリフォームやリノベーション工事は共有物の管理行為にあたるからです。

これらがスムーズに行えないことで、アパートの価値が低下したり、空室リスクが高まったりするおそれがあります。

共有者が死亡すると権利関係が複雑になる

共有者が死亡すると新たな相続が発生し、権利関係が複雑になります。

共有者の数が増えると、アパートの売却や賃貸・管理に関する意見をまとめるのがさらに困難になる可能性があります。

アパートを相続した場合にすべきことは?

アパートを相続した場合、やらなければいけない手続きは以下の3つです。

相続登記を申請する

アパートを相続したら、名義変更に伴う相続登記の申請をしましょう。

2024年4月に相続登記が義務化されたため、相続によって所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけません

登記申請にあたっては、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などの書類取得費のほか登録免許税が必要です。司法書士などの専門家に登記申請の手続きを依頼する場合、申請1件につき10万円程度の報酬がかかります。

賃借人へ通知する

賃借人に対し、賃貸人の地位が移転した旨を通知しましょう。

今後、賃借人との良好な関係を築くために通知と合わせて名義変更をした賃貸借契約書を再作成し、交付すると良いでしょう。

相続税がかかるかどうか調べる

アパートを含めた遺産の総額(課税価格)が、基礎控除額を上回る場合は相続税がかかります。

基礎控除額は以下の計算式で算出します。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

純資産価格は、以下の計算式で求めます。

純資産価額(赤字のときは0)=[相続、遺贈によって取得した財産の価額]+[みなし相続等により取得した財産の価額]-[非課税財産の価額]+[相続時精算課税適用財産の価額]-[債務・葬式費用の金額]

課税価格は以下の計算式で求めます。

課税価格=[純資産価額]+[相続開始前3年以内の贈与財産の価額]

この計算式で算出した課税価格が、基礎控除額を上回る場合は、相続税の申告・納税が必要です。

アパートを売却する場合にすべきことは?

アパートを売却する場合にすべきことは、以下の2点です。

入居者へ立ち退きを求める

アパートに入居者がいる場合は、立ち退きを求めましょう。

期限の定めがある場合は、契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶または解約の申し入れをしなければいけません。賃貸人側の都合により賃貸借契約を終了させる場合は正当の理由が求められるため、一般的に立退料の支払いが必要となります。

無理に立ち退かせようとするとトラブルに発展する可能性があります。余裕をもって立ち通知し、何度か話し合いの場を設けながら円満に解決できるよう努めましょう。

売却時にかかる可能性がある税金を調べる

売却時にかかる可能性がある税金を調べましょう。

主に以下となります。

印紙税

印紙税は、売買契約の締結時に契約書に対して課税される税金です。

税額は、売買契約の契約金額によって以下のとおり変動します。

契約金額本則税額軽減後税率
10万 円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの10,000円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの20,000円10,000円
5,000万円を超え1億円以下のもの60,000円30,000円
1億円を超え5億円以下のもの100,000円60,000円
5億円を超え10億円以下のもの200,000円160,000円
10億円を超え50億円以下のもの400,000円320,000円
50億円を超えるもの600,000円480,000円

登録免許税

登録免許税は、所有権移転登記や抵当権の抹消登記の申請時にかかる税金です。

買主と売主が連帯して納付する義務を負うものとされていますが、売買契約に基づく所有権移転登記の場合、通常は買主が負担します。

アパートローンを完済していても、抵当権の抹消登記が完了していないと、登記簿上の抵当権は消えません。相続した不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権の抹消登記が必要です。抹消登記の登録免許税(不動産1個につき1,000円)は売主が負担します。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産売却で得た利益(譲渡所得)に対してかかる所得税・住民税の総称です。

譲渡所得とは、不動産の売却価格から不動産の取得・譲渡(売却)にかかった経費を差し引いたものです。

譲渡所得税は、以下の計算式で求められます。

譲渡所得税 ={売却価格 – (取得費+譲渡費用)– 特別控除額}× 税率

取得費や譲渡費用の具体例は、下表のとおりです。

取得費譲渡費用
・不動産の購入代金

・不動産購入時にかかった税金

・不動産購入にかかった仲介手数料

・建築にかかった費用

・設備費用

・仲介手数料

・土地の測量等にかかった費用

・賃貸物件の売却に際して支払った立退料

・土地を売却した際の建物の解体費用

なお、相続したアパートを相続開始から3年10か月以内に売却した場合には、相続税の一部取得費として加算できます。これを取得費加算の特例といいます。

譲渡所得にかかる税率は、売却した不動産の所有期間によって変動します。具体的には、不動産を売却した年の11日時点で、被相続人が不動産を購入した時から5年を経過しているかどうかで、下表のとおり税率が異なります。

譲渡所得の種類所得税率※住民税率合計
短期譲渡所得 (所有期間が5年以下の場合)30.63%9%39.63%
長期譲渡所得 (所有期間が5年超の場合)15.315%5%20.315%

※所得税率には、2.1%の復興特別所得税を含みます。

アパートの相続についてよくある質問

アパートの相続について、よくある質問とその回答を紹介します。

相続発生後の賃料は誰のもの?

相続開始から遺産分割までの間に発生した賃料は、各相続人がその相続分に応じて当然に取得します。

相続開始から遺産分割までの家賃は、遺産そのものではなく、遺産とは別個の財産とみなされるからです。ただし、共同相続人全員の同意がある場合は、他の遺産と一括して遺産分割の対象にできます。

なお、相続開始から遺産分割が完了するまでの家賃収入や管理費は、各共同相続人が法定相続分に応じて取得するものと解されるので、共同相続人全員が不動産所得について確定申告を行う義務が生じます。

遺産分割後の賃料は、アパートを相続した人が取得します。複数の相続人でアパートを共有分割した場合は、各相続人がその持分に応じて家賃収入を得ます。

アパートしか遺産がなく相続税が払えない場合はどうすればいい?

アパートしか遺産がなく相続税が払えない場合は、相続税延納物納を検討しましょう。

相続税の延納とは、相続税額が10万円を超え、金銭で納付できない理由がある場合は、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年払いで納付ができます。延納期間中は利子税の納付が必要です。

国税は金銭納付が原則ですが、相続税に限っては、延納しても金銭で納付が困難な理由がある場合、納税者の申請により、納付が困難な金額を限度として一定の相続財産による納付(物納)ができます。

まとめ

賃貸アパートなどの収益物件が相続財産に含まれる場合、さまざまな場面で共同相続人間に意見の対立が生じる可能性があります。相続するか売却するかの判断や家賃収入の分配・不動産の評価には、専門的な知識が必要です。

共同相続人間で話し合いをスムーズに進めるためには、弁護士・司法書士・税理士等の専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

当事務所は、ネクスパートアドバイザリーグループとして、司法書士、税理士、宅建士などの他仕業と連携しており、相続・遺産分割問題に関してワンストップでの対応が可能です。

賃貸アパートの相続にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

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