相続問題お悩みなら経験豊富弁護士相談

メールでのご相談はこちら

相続財産とは?相続財産に含まれるもの・含まれないものを詳しく解説!

相続が開始すると、亡くなった方(被相続人)が所有していた一切の権利義務は、相続人に承継されます。相続によって相続人に承継される被相続人の権利義務を相続財産といいます。

相続財産といっても、具体的に何を指すのでしょうか。

この記事では、相続財産について以下のとおり解説します。

  • 相続財産とは
  • 民法上の相続財産に含まれるもの
  • 民法上の相続財産に含まれないもの
  • 遺産分割の対象とならない相続財産
  • 税法上は相続財産とみなされるもの

相続財産に含まれる財産の範囲や相続税の対象となる財産が分からない方は、ぜひご参考になさってください。

 

相続問題は弁護士への依頼でトラブルなくスピーディーに解決できます。

実績豊富なネクスパートにお任せください!

メールでのご相談はこちら

相続財産とは

ここでは、相続財産とはどのような財産か、その概要を解説します。

被相続人が死亡時点で所有していた一切の権利義務

相続財産とは、死亡した人(被相続人)から相続人に引き継がれる一切の権利義務です。具体的には、被相続人が死亡時点で所有していたプラスの財産とマイナスの財産のすべてを指します。

相続財産は、有形のものばかりではなく、無形のものもあります。

 

民法上の相続財産に含まれるもの

ここでは、民法上の相続財産に含まれるものを解説します。

民法上の相続財産には、次のものが含まれます。

  • 相続開始時に現存するプラスの財産
  • 相続開始時に現存するマイナスの財産

それぞれの具体例を確認しましょう。

相続開始時に現存するプラスの財産

相続財産に含まれるプラスの財産(積極財産)の具体例は、以下のとおりです。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 動産
  • 債権
  • 借地権
  • 知的財産権
  • ゴルフ会員権
  • 電話加入権

ひとつずつ見てみましょう。

現金

被相続人が、死亡時点で保有している現金は相続財産です。

預貯金

死亡時点で現存する被相続人名義の全ての預貯金が相続財産です。預貯金の名義が家族などの第三者となっている場合でも、実質的には被相続人が所有していた場合は、相続財産に含むこともあります。

有価証券

被相続人が死亡時点に保有している有価証券は相続財産に含まれます。

有価証券には、さまざまな種類があります。具体例は以下のとおりです。

  • 上場株式
  • 非上場株式
  • 国債・地方債
  • 社債
  • 投資信託
  • 抵当証券

不動産

被相続人が死亡時点に所有している不動産は、相続財産に含まれます。登記済みの不動産のみならず、未登記の不動産も含まれます。

被相続人名義の不動産であれば、その種類の如何によらず、全ての不動産が相続財産となります。不動産の主な種類は以下のとおりです。

  • 宅地
  • 農地
  • 山林
  • 原野
  • 雑種地
  • 戸建住宅
  • 共同住宅
  • マンション
  • 事務所
  • 店舗
  • 工場
  • 倉庫
  • 駐車場
関連記事
相続財産に被相続人名義の分譲マンションが含まれている場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。 不動産を相続したら、所有権を被相続人から自己名義に移転登記する手続き(相続登記)が必要です。準確定申告や相続税申告・納税が […]

動産

死亡時点で被相続人が所有していた動産も相続財産に含まれます。

動産とは、不動産以外の有体物を指します。具体例は、以下のとおりです。

  • 自動車・バイク
  • 貴金属
  • 書画・骨とう品・美術品
  • 家電・家具
  • 事業用の機械装置・器具備品
  • ペットや家畜等の動物

債権

被相続人が死亡時点で特定人(債務者)に対して、一定の行為(給付)を請求する権利(債権)も、相続財産に含まれます。

ただし、債権にも相続財産に含まれるものと含まれないものがあります。相続財産の含まれる債権の代表例は、以下のとおりです。

  • 貸付金債権
  • 賃貸借関係にもとづく債権(賃料債権等)
  • 売掛金債権
  • 損害賠償請求権

借地権

被相続人が死亡時に有する借地権も、相続財産に含まれます。

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権です。細かく分けると、以下5種類の借地権があります。

  • 借地権
  • 定期借地権
  • 事業用定期借地権等
  • 建物譲渡特約付借地権
  • 一時使用目的の借地権

知的財産権

被相続人が死亡時に有する知的財産権も、原則として、相続財産に含まれます。

知的財産権のうち、相続財産となるものの代表例は以下のとおりです。

  • 著作権
  • 特許権
  • 実用新案権
  • 意匠権
  • 商標権

著作物を創り上げた人そのものを保護する権利(著作者人格権)は相続財産に含まれません。

ゴルフ会員権

被相続人が死亡時に有するゴルフ会員権は、相続財産に含まれるものと含まれないものがあります。

ゴルフ会員権には、次の3つの種類があります。

  • 株主会員制
  • 預託会員制
  • 社団法人制
株主会員制

株主会員制のゴルフ会員権は相続財産となります。

預託会員制

預託会員制のゴルフ会員権のうち、会則等において会員の死亡を失格事由と定めていない場合には、相続財産となります。会則等で会員の死亡を会員資格の資格喪失事由として定めている場合は、相続財産となりません。

社団法人制

社団法人制のゴルフ会員権は、相続財産に含まれません。社団法人の社員となる権利そのものであるため、社員の死亡と同時に地位が失われるからです。

電話加入権

被相続人が死亡時に有する電話加入権は、相続財産となります。

電話加入権は、NTT東日本とNTT西日本の加入電話回線を契約・架設するための権利です。

相続開始時に現存するマイナスの財産

相続財産に含まれるマイナスの財産(消極財産)の具体例は、以下のとおりです。

  • 債務
  • 税金
  • 未払金
  • 買掛金

ひとつずつ見てみましょう。

債務

被相続人が死亡時に負担する債務も、相続財産に含まれます。債務の代表例は以下のとおりです。

  • 金融機関からの借入金
  • 住宅ローン
  • 車両ローン
  • クレジットカード利用料
  • リース料
  • 個人間の借金

税金

被相続人が死亡時に負担する未払いの税金・健康保険料も相続財産に含まれます。

未払金

被相続人が支払っていなかった未払金も相続財産に含まれます。未払金の代表例は、以下のとおりです。

  • 未払いの家賃
  • 未払の医療費
  • 未払の水道光熱費
  • 飲食店等のツケ払いの未払い分

買掛金

事業の買掛金も、死亡時点の残高が相続財産になります。

 

民法上の相続財産に含まれないもの

ここでは、民法上の相続財産に含まれないものを解説します。相続財産に含まれないものの代表例は、以下のとおりです。

  • 受取人が指定された生命保険金
  • 受給権者が特定された死亡退職金
  • 遺族給付
  • 一身上の権利義務
  • 香典

ひとつずつ確認しましょう。

受取人が指定された生命保険金

受取人が特定人に指定された保険契約の生命保険金は、相続財産に含まれません。この生命保険金は、保険契約により発生するもので、受取人固有の財産だからです。

受給権者が特定された死亡退職金

受給権者が特定された死亡退職金は、受給権者である遺族の固有の財産であるため、相続財産となりません。

遺族給付

国民年金・厚生年金・各種共済組合から被保険者や組合員の遺族に支払われる遺族給付金は、相続財産となりません。遺族給付金は、受給権者の範囲や順位が法律により定められており、受給権者固有の権利だからです。

一身上の権利義務

契約上の地位であっても、被相続人個人に認められる権利や義務(一身上の権利義務)は、相続財産に含まれません。

相続財産に含まれない一身上の権利義務の代表例は、以下のとおりです。

  • 養育費の請求権・支払い義務
  • 婚姻費用の請求権・支払い義務
  • 年金の受給権
  • 生活保護の受給権

香典

被相続人の通夜・葬儀等で受け取る香典や弔慰金も相続財産となりません。香典や弔慰金は、社会通念上、喪主や遺族への贈与と考えられているからです。

 

遺産分割の対象とならない相続財産

民法上の相続財産に該当するものでも、遺産分割の対象とならない財産があります。

ここでは、遺産分割の対象とならない相続財産を解説します。

債務

金銭債務は、相続により当然に各共同相続人の法定相続分に応じて承継されるため、遺産分割の対象となりません。

相続人全員の合意があれば、プラスの財産を多く取得する人が債務も引き受ける内容の遺産分割ができます。ただし、債権者がその内容に同意しない限り、他の相続人も債務の負担を免れません。

祭祀財産

祭祀に関する財産は、相続とは異なる形で承継される財産であるため、遺産分割の対象になりません。

 

税法上は相続財産とみなされるもの

民法上の相続財産に含まれない財産のうち、以下のものは相続税法上、遺産として取り扱われます。これをみなし相続財産といい、相続税の申告に際して、相続財産に含めなければなりません。

ここでは、税法上のみなし相続財産について解説します。

みなし相続財産の代表例は、以下のとおりです。

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 相続開始後3年以内の贈与

ひとつずつ説明します。

生命保険金

生命保険金は、税法上、みなし相続財産として取り扱われ、相続税の対象となります。被相続人が保険料を負担していることから、被相続人の財産が保険契約を通じて受取人に承継されたものと考えるからです。

死亡退職金

死亡退職金も、税法上、みなし相続財産として取り扱われます。死亡退職金は、被相続人の死亡に起因する財産であるため、相続財産と同じ性質のものとみなされるからです。

ただし、死亡退職金の支給が確定する時期によって、以下のとおり課税される税金の種類が異なります。

  • 被相続人の死亡日以後3年以内に支給が確定したもの:相続税が課税される
  • 被相続人の死亡日以後3年を超えて支給されたもの:所得税が課税される

相続開始前3年以内の贈与

相続開始前3年以内に行われた贈与は、みなし相続財産として取り扱われ、相続税の対象となります。

贈与税には非課税枠(年間110万円)がありますが、その贈与が相続開始前3年以内に行われた場合には、相続税の対象となります。

 

まとめ

相続財産とは、被相続人が死亡時点で保有していたプラスとマイナスの財産のすべてを指します。有形のものに限らず、無形の権利義務も含まれます。

民法上の相続財産でも、遺産分割の対象とならない財産もあります。民法上の相続財産に含まれないものも、相続税申告に際して、相続財産に含めなければならない財産もあります。

相続財産の範囲を正しく把握することで、後の相続手続きをスムーズに進められます。

当事務所では、相続対策に詳しい税理士や相続登記に詳しい司法書士と連携し、ワンストップで相続案件の解決に取り組んでいます。

相続財産や遺産分割についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

関連記事
相続を受ける際、親族間で揉め事に発展し、話し合いが進まなかったり、不平等な相続になったりすることがあります。 弁護士に依頼をすることで、相続トラブルを円満に解決できることがあります。この記事では、相続で弁護士に依頼するメ […]

この記事を監修した弁護士

寺垣 俊介(第二東京弁護士会)

はじめまして、ネクスパート法律事務所の代表弁護士の寺垣俊介と申します。お客様から信頼していただく大前提として、弁護士が、適切な見通しや、ベストな戦略・方法をお示しすることが大切であると考えています。間違いのない見通しを持ち、間違いのないように進めていけば、かならず良い解決ができると信じています。お困りのことがございましたら、当事務所の弁護士に、見通しを戦略・方法を聞いてみてください。お役に立つことができましたら幸甚です。

相続問題は弁護士に依頼することでトラブルなくスピーディーに解決できます。

実績豊富なネクスパートにお任せください!

メールでのご相談はこちら