依頼者の、亡くなられたお父様の相続に関する案件です。
依頼者が幼少期の頃、ご両親が離婚されたことから、お父様とは別に暮らすこととなり、依頼者はその後、お母様とお二人で暮らされていました。
お父様とは20年以上音信不通であったところ、ある日突然、お父様の後妻の代理人弁護士名義の内容証明郵便が届きました。
内容証明郵便には、お父様が亡くなられたこと、お父様の相続に関して相続放棄を検討していただきたいという内容のみが書かれていました。依頼者は、相続によりお父様の財産を取得する権利があるのですが、突然このような連絡がきてどのように対応してよいのか分からず、弊所にご相談されました。
依頼者は相続の流れは勿論の事、お父様とは長年音信不通であったことから、遺産がどれくらいあるのかも全く分からない状況であり、後妻の代理人弁護士も遺産の詳細は開示しませんでした。
相続放棄はお父様が亡くなられたことを知ってから原則として3か月以内で行わなければならない一方で、依頼者が自力で遺産の内容を把握しなければ、相続放棄をしてもよいのか判断をすることができない状況でした。
弁護士から預貯金、不動産・動産を含む有形の資産、債務等考えうる遺産の調査方法をアドバイス差し上げ、相続放棄の申述期間内にお父様の財産状況を概ね把握することができました。
遺産の調査の結果、依頼者からみた祖父が数千万の負債を背負っており、お父様は祖父の相続に関して相続放棄をしていましたが、相続放棄が無効となり得る事由があることが判明し、債権者も相続放棄の有効性を争う意向であることが判明しました。プラスの財産を考慮しても、多額の負債を負う可能性がある状況が濃厚であったことから結果として相続放棄を選択しました。財産を得ることはできなかったものの、ご安心いただけました。