更新日:2024年2月10日 (土)

公開日:2024年2月10日 (土)

相続登記義務化がスタート|登記をしないとどうなるか詳細を解説

相続登記義務化がスタート|登記をしないとどうなるか詳細を解説 相続登記義務化がスタート|登記をしないとどうなるか詳細を解説

サマリー

2024年4月から相続登記義務化がスタートします。

これまでは相続が発生しても、相続登記は任意で行えばよかったのですが、今後、相続登記の義務化にあたってどのような影響があるのか不安な方も多いと思います。

この記事では、相続登記をせずに放置するとどうなるのか、具体例を挙げて解説します。

2024年4月から相続登記義務化がスタート|登記をしないとどうなる?

ここでは、相続登記をしなければどうなるのか、具体的に解説します。

ペナルティーが科される

相続登記が義務化されるにあたり、正当な理由なしに相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される場合があります。

相続登記が義務化されたら、相続人は不動産を相続したことを知ったときから3年以内に相続登記をすることが法律上の義務になります。遺産分割協議で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記をしなければいけません。

ただし、相続登記がすぐにできない正当な理由がある場合はこのかぎりではありません。

法務局は、正当な理由があると認められる事情として、次のようなケースを例示しています。

  • 相続登記の申請義務を負っている人が重病などの事情があるケース
  • 長年相続登記をしていないために戸籍関係書類などの収集や相続人の把握に時間がかかるケース
  • 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているために不動産の帰属主体が明らかにならないケース
  • 相続登記の申請義務を負っている人がDV被害者等で、その生命・身体に危害が及ぶおそれがある状態で避難を余儀なくされているケース
  • 相続登記の申請義務を負っている人が経済的困窮により登記に要する費用を払えないケース

権利関係が複雑になる

相続登記をしなければ、相続人の数が増えて権利関係が複雑になる可能性があります。

例えば、あなたのお父さんが亡くなり、相続人があなたとお兄さんだったとします。

そのまま相続登記をせずにお兄さんが亡くなってしまった場合、お父さんの相続に関しては、お兄さんの相続人を含めて遺産分割を行わなければなりません。仮に、お兄さんの法定相続人が子どもたち(あなたの甥・姪)だけだった場合、不動産の相続登記をするなら、あなたはお兄さんの子どもたちと相続について話し合うことになります。

お父さんが亡くなった直後、すぐに相続登記をしていれば、兄弟間での話し合いですんだものの、時間が経ってしまったことで相続に関係する人が増えてしまうのです。

このように、長期間にわたり相続登記を放置すれば、相続人の数が増えていき、権利関係がより複雑になる可能性があります。

相続人の間でトラブルになる可能性がある

相続登記を放置すると、不動産をめぐって相続人の間でトラブルになる可能性があります。

不動産をめぐるトラブルの4つ典型例を紹介します。

相続不動産の管理や税金をめぐってトラブルになる

不動産を取得した人は、不動産を管理したり固定資産税を納めたりする義務が生じます。

相続が発生し、誰がその不動産を相続するか決めていなければ、相続人が全員でこれらの義務を負わなければいけません。

不動産が戸建ての場合、管理をしないで放置しておくと木の枝が伸びたり、雑草が生えたりして隣近所に迷惑をかけ、トラブルに発展することもあります。

トラブルになったあと、隣近所の対応を押し付け合うなど、相続人同士の関係が悪化する事態になりかねません。

相続人の一人が借金をして差し押さえられるトラブル

相続人の一人に借金があり、その返済が滞っている場合、相続登記をしていなければ、債権者がその相続人の持分を差押える前提として相続登記を代位申請できます。

債権者が代位で相続登記をした後、その相続分の持分の差押をして競売すると、他の相続人は全く知らない他人と不動産を共有することになってしまいます。

相続人の一人が勝手に自分の持ち分を売るトラブル

法定相続分で相続する場合、相続の一人が単独で相続登記ができます。

そのため、相続人の一人が自分の持ち分のみを売却できてしまうので、全く知らない他人と不動産を共有することになります。

相続の一人が認知症になり遺産分割協議ができなくなるトラブル

相続人が高齢になり認知症になると、遺産分割協議を行うのが難しくなります。

認知症になった相続人を廃除して話し合いはできませんから、家庭裁判所で成年後見人の選任をするなど、より相続の問題が複雑になってしまいます。

このようなトラブルを避けるために、不動産の所有者を公に明らかにする意味でも相続登記を早めに済ませるのが大切です。

売却やローン契約ができない

相続登記をしなければ、相続した不動産の売却や不動産を担保にローンを組んだりできません。

不動産に関する権利は、登記をしなければ、第三者に対して主張(対抗)できないからです。

相続した不動産を売却する場合、相続人は自らが所有者であることを主張できなければなりませんから、登記上の名義人になっておく必要があります。被相続人の名義のまま買主に所有権を移転する登記はできません。

不動産を担保にローンを組む際も、その前提として相続登記をしていることが必要です。

不動産を担保とした融資は、基本的に融資を受ける本人名義の不動産を担保とします。他人名義の不動産を担保にできることもありますが、その不動産の所有者の同意が必要です。

亡くなった人は、不動産を担保とした融資に同意できませんし、相続登記をしていない被相続人名義の不動産を担保に融資してくれる金融機関も見つからないでしょう。

特定空家等に指定される可能性がある

2015年に空家等対策の推進に関する特別措置法が制定され、空家の管理を怠っていると行政が判断した場合、特定空家等に指定できることになりました。2023年12月13日の法改正により、特定空家等に加え、管理不全空家等も市区町村からの指導・勧告の対象となりました。

特定空家等や管理不全空家等としての指導を受け、それに従わずに勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるので、その翌年から固定資産税が最大6倍になるといわれています。

特定空家等としての勧告によっても改善されない場合、勧告された対応を実施するよう命令が出され、命令に従わなかった場合は50万円以下の過料が科せられます。

命令によっても改善されないときは、代執行として、市町村が強制的に空家等を撤去し、その費用を請求される措置を受けることになります。

一戸建ては、人が住まなければ驚くほど速く傷んでいきます。防犯上の意味でも、将来住む予定がない家を相続した場合どのように対処するのか、早めに相続人同士で話し合いをしましょう。

相続登記義務化に伴い新設された制度

ここでは、相続登記義務化に伴い新設された制度について解説します。

相続申告登記

2024年4月から、相続申告登記ができるようになります。

相続人申告登記とは、不動産の所有者が死亡したこと(相続が開始したこと)と、自分がその相続人であることを法務局に申し出ることで、登記官が職権で申し出た人の住所と氏名を登記できる制度です。

それぞれの事情で、すぐに相続登記ができない人もいます。その場合、相続登記の申請義務の履行期間内(3年以内)に相続申告登記を申請すれば、相続登記の申請義務を果たしたとみなしてもらえます。

相続人申告登記の詳細については、以下の記事をを参考にしてください。

関連記事
2024年4月1日から相続人申告登記がスタートします。 この制度は不動産の所有者(亡くなった人)の相続人が、法務局に登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自らがその相続人であることの申出をして、登記官が職権で登記 […]

所有不動産記録証明制度

所有不動産記録証明制度とは、特定の名義人が所有する不動産を一覧的にリスト化し、証明書として交付する制度です。

この制度により、相続開始時、相続登記が必要な不動産の全容が把握しやすくなります。

不動産を相続した際に、最初の難関ポイントが相続不動産の調査です。登記識別情報や固定資産課税台帳が見つからない場合、名寄帳を取得して調査をしなければいけません。名寄帳は市区町村ごとに作成されているので、被相続人が複数の市区町村に不動産を持っていた場合は、それぞれの役場に申請が必要です。

所有不動産記録証明制度は、被相続人が所有する不動産を一括でまとめた、いわば名寄帳の進化系だといえ、不動産の調査がしやすくなると期待されています。

この制度を利用すれば、住所と氏名で日本全国の所有不動産が検索できるので、相続人において相続登記が必要な不動産をもれなく把握できるようになります。

請求できるのは、相続人その他の一般承継人で、交付請求時に手数料の納付が必要です。

2021年の不動産登記法の改正で創設された制度で現在は利用できませんが、2026年4月までにスタートする予定です。

まとめ

相続登記が義務化されることは、私たち国民にとって大きな影響があります。長年相続登記をしておらず、どうしていいのか分からないと困っている方も多いでしょう。

ネクスパート法律事務所では、不動産の相続に関する初回のご相談を30分無料で受け付けています。相続人間の話し合いがまとまらず、お悩みの方はお気軽にお問合せください。

なお、当事務所では相続登記の申請手続きのみのお問合せは現在受け付けておりません。

相続登記の方法についてお悩みの方は、日本司法書士会連合会や各都道府県の司法書士会で相談窓口を設けていますので、そちらにお問い合わせください。

参考: 日本司法書士会連合会 | 相続登記相談センター特設サイト (shiho-shoshi.or.jp)

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コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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