交通事故で請求できる賠償金の費目とは|ケース別の相場も解説

交通事故により損害を被った被害者は、加害者等に対して不法行為による損害賠償を請求できます。不法行為に基づく損害賠償を請求するための一般的な規定は民法709条であり、同条と同法710条に基づき、精神的損害を含めた人身損害および物的損害を請求できます。

ただし、交通事故の被害者が請求できる賠償金の額は、事故により被った損害の内容や過失割合等によって異なります。

この記事では、交通事故で請求できる賠償金の費目やケース別の相場を解説します。

交通事故で請求できる賠償金の全体像

ここでは、交通事故の被害者が加害者等の請求できる賠償金の全体像を解説します。

交通事故により被った損害は、侵害利益により人身損害物的損害に分けられます。

人身損害は財産的損害慰謝料(精神的損害)に分けられ、さらに財産的損害は積極損害消極損害に分けられます。

 

 

 

 

 

交通事故で賠償金として請求できる積極損害の費目

ここでは、交通事故で賠償金として請求できる積極損害の費目を解説します。

積極損害とは、交通事故により支出を余儀なくされた財産的損害です。

積極損害として請求しうる費目は、主に以下のとおりです。

  • 治療関係費
  • 付添看護費
  • 雑費
  • 通院交通費
  • 葬儀関係費
  • 弁護士費用
  • その他

治療関係費

治療費

治療費や入院費は、交通事故により被った傷害の治療に必要かつ相当な治療行為の費用であれば、実費全額が損害として認められます。

必要かつ相当な治療行為の費用とは、医学的見地からみて当該傷害の治療として必要性・相当性が認められる治療行為で、かつ、その報酬額も社会一般の水準と比較して妥当なものです。

入院時の特別室(個室)使用料は、以下のような場合に損害として認められることがあります。

  • 医師から特別室(個室)使用の指示があった場合
  • 症状が重篤であった場合
  • ほかに空き室がなかった場合

接骨院・整骨院、鍼灸・あんま・マッサージ等の施術費

接骨院・整骨院や鍼灸・あんま・マッサージなどの施術費は、施術の必要性や有効性、施術期間・内容に関する具体的な主張・立証がある場合には、その賠償が認められると考えられています。

医師の指示がなくても認められることもありますが、これらの施術費を損害として請求する場合には、医師の指示ないし同意を得ておくのが重要です。

治療器具・薬品代等

治療器具・薬品代等は原則として医師の指示がある場合に損害として認められます。

医師の指示がなくても、それが有効かつ相当な場合は認められることもあります。

症状固定後の治療費・将来の治療費

症状固定とは、これ以上治療を続けてもこれ以上症状の改善が見込めない状態を指すので、症状固定後の治療費は損害として否定されるのが原則です。

ただし、現実には改善を期待できないものの、症状を維持するためにリハビリテーションが必要な場合または保存的治療が必要なケースもあり、その支出が相当な場合には損害として認められます。

将来予定されている以下のような治療費も損害として認められることがあります。

  • 症状悪化を防ぐための医療行為
  • 将来一定時間経過後に必要となることが予想される手術費等

付添看護費

入院付添看護費

入院付添看護費は、以下のような場合に被害者本人の損害として認められます。

  • 医師より付添の指示があった場合
  • 症状が重篤であるなど受傷の部位・程度によって付添の必要性が認められる場合
  • 被害者が年少者である場合

病院が完全看護体制を整えている場合でも、症状が重篤または被害者が年少者で家族付添が必要かつ相当と評価できるときには、近親者の付添看護費が認められることがあります。

近親者による入院付添の1日あたりの基準額は、5,500円~7,000円程度です。

職業付添人を付した場合は、必要かつ相当な実費が認められます。

通院付添看護費

通院付添看護費も、医師の指示がある場合や受傷の程度・被害者の年齢等により必要性がある場合に被害者本人の損害として認められます。

近親者による通院付添の1日あたりの基準額は、3,000円~4,000円程度です。

将来の付添看護費

将来の付添看護費(介護費)は、医師の指示または症状の程度(重度後遺障害等)により、その必要性がある場合に被害者本人の損害として認められます。

例えば、被害者が寝たきりとなった場合や自分一人で食事時や移動ができない場合等には、将来の付添看護費(介護費)が損害として認められます。

常時介護を要する場合の基準額は以下のとおりです。

  • 近親者介護の場合:1日あたり8,000円~9,000円
  • 職業付添人の場合:実費全額

裁判例では、後遺障害等級1級または2級の事例において、日額1万円~2万円までの将来付添看護費(介護費)が認められた事例もあります。

将来付添看護費(介護費)の終期は、原則として平均余命まで認められるのが通常です。

雑費

入院雑費

入院雑費は、以下のように入院することで生じた諸々の費用を指します。

  • 入院中の日用雑貨費(寝具、衣類等)
  • 通信費(電話代等)
  • 文化費(新聞代、テレビ賃借料等)
  • おむつ代

これらの費用は、個別の立証は煩雑であり金額も大きくないことから、実務上は定額化がされています。

入院雑費の基準額は、1日につき1,400円~1,600円程度です。

将来の雑費

症状固定後の雑費は、重度の後遺障害が残った場合など症状の程度や傷害部位により、現実の必要性がある場合には損害として認められます。

通院交通費

交通費は、被害者自身の入退院や通院に要したものにつき損害として認められます。

公共交通機関の利用料金

損害の算定において基準となるのは、原則として電車・バス等の公共交通機関の利用料金です。

自家用車を利用した場合のガソリン代等

自家用車による通院の場合は、ガソリン代のほか高速道路料金や駐車場代等の実費相当額が認められます。

タクシー料金

以下のような場合には、タクシー料金が損害として認められることがあります。

  • 医師からタクシー利用の指示があった場合
  • 歩行に支障があり公共交通機関での通院が困難な場合
  • 地理的に公共交通機関の利用が困難な場合

付添人交通費

近親者が付添のために使用した交通公共機関の利用料金等は、その必要性がある場合には認められることがあります。

以下のような場合には、看護のために支出した宿泊費が認められることもあります。

  • 入院先が遠方で付添人宅と病院を毎日往復するのに肉体的・精神的負担が大きい
  • 被害者の症状が重篤である場合

葬儀関係費

交通事故により被害者が死亡した場合の葬儀関係費も損害として認められます。

葬儀関係費には、以下の費用が含まれます。

  • 葬祭費(葬儀費用)
  • 供養料
  • 墓碑建立費
  • 仏壇費
  • 仏具購入費等

これらの費用は、被害者や遺族の宗教、地域の習慣等によって葬儀の規模や内容が異なります。金額も様々ですが、交通事故により予期せぬ時期に急きょ葬儀をしなければならなかった場合は、一般に行われる規模での標準的な葬儀と想定できます。

そのため、実務では葬儀関係費の定額化が図られています。基準額は130万円~170万円であり、基準額以上の葬儀費用を支出した場合も、特段の事情がない限りは基準額の限度で認められます。

弁護士費用

加害者等への損害賠償請求を弁護士に依頼した場合の弁護士費用は、その全てが損害として認められるわけではありません。

訴訟追行を弁護士に委任した場合には、事案の難易度や請求額・認容額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる範囲内のものに限り、不法行為と相当因果関係のある損害として認められます。

裁判上認められる額は、請求認容額の10%程度です。

その他

医師への謝礼

医師等への謝礼は、社会通念上相当なものであれば、損害として認められることがあります。

過去の裁判例で医師への謝礼が認められた事案は、以下のようなケースです。

  • 被害者が重篤な状態を手術で乗り切った
  • 被害者の手術のために医師や看護師が献血してくれた
  • 治療に適切な医療機関を探すのに尽力してもらった

ただし、2016年に見直された日本医師会の[医師の職業倫理指針]において、医師が患者から謝礼を受け取ることは厳に慎むべきであるとの規定が設けられたことから、近年の裁判例では医師等への謝礼を損害として認めない傾向があります。

装具・器具等購入費

以下のような装具・器具購入費も、症状の内容・程度に応じて、必要な範囲で損害として認められます。

  • 車椅子
  • 義手、義足、義歯、義眼、装具等
  • 介護用品・器具(電動ベッド、介護支援ベッド、歩行訓練器など)
  • 眼鏡・コンタクトレンズ

一定期間で交換の必要があるものは、装具・器具が必要な期間の範囲内で、将来の費用が認められることもあります。

家屋・自動車等改造費

事故により車椅子生活を余儀なくされた場合などには、居宅内の工事(廊下や浴室等の改造や段差解消等)や、自動車の改造・介護用自動車の購入等が必要になることがあります。

家屋・自動車等の改造費は、以下の事情を考慮して、必要かつ相当なものが損害として認められます。

  • 被害者の後遺障害の程度・内容
  • 被害者の現状
  • 家族の利便性 など

自動車など耐用年数の関係で将来買い替えが必要なものは、将来の改造費用も損害として認められることもあります。

その他

以下のような費用も、交通事故と相当因果関係があるものについては、必要な額につき損害として認められることがあります。

  • 旅行をキャンセルせざるを得なかった場合のキャンセル料
  • 学校を留年せざるを得なかったことによる授業料等
  • 子の養育・監護ができなかったことによる子の保育料
  • 診断書や交通事故証明書等の文書料
  • 成年後見開始の審判手続費用や後見人の報酬

交通事故で賠償金として請求できる消極損害の費目

ここでは、交通事故で賠償金として請求できる消極損害の費目を解説します。

消極損害とは、交通事故がなければ得られたはずであるのに、事故により得られなくなった財産的損害です。

消極損害として請求しうる費目は、主に以下のとおりです。

  • 休業損害
  • 逸失利益

逸失利益の種類には、以下の2つがあります。

  • 後遺障害逸失利益
  • 死亡による逸失利益

休業損害

休業損害とは、被害者が事故による受傷の治療または療養のために、休業または不十分な就業を余儀なくされたことにより、本来なら得られたはずの収入が得られなくなったことによる損害です。

傷害の治癒または症状固定までの間に生じた減収部分が損害として認められます。

休業損害は、事故前の収入を基礎とする現実の収入源を補償するものであり、以下の理由により生じた減収も含まれます。

  • 遅刻・早退などにより生じた減収
  • 休業による賞与の減額・不支給による減収
  • 休業による降格・昇格遅延による減収

休業損害を請求したい方へ

後遺障害逸失利益

後遺障害による逸失利益とは、被害者に後遺障害が残り、労働能力が減少したことにより失った、将来得られるはずの利益の減少です。

休業損害が症状固定時までの現実の減収を補償するのに対し、逸失利益は症状固定後の労働能力喪失による減収を補償するものです。

死亡による逸失利益

死亡による逸失利益とは、被害者が事故により死亡しなければ得られたはずの経済的利益を失ったことによる損害です。

死亡による逸失利益は、基本的には後遺障害による逸失利益と類似し、労働能力が100%失われた場合と考えられます。

ただし、被害者が死亡していることから、生活費の支出を免れた利益分の調整のため、生活費が控除されます。

交通事故で賠償金として請求できる慰謝料の種類

ここでは、交通事故で賠償金として請求できる慰謝料の種類を解説します。

慰謝料は、交通事故の被害者に生じた精神的損害(苦痛)をてん補するものです。

実務では、慰謝料を以下の3つに分けて算定することが多いです。

  • 傷害慰謝料(入通院慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

傷害慰謝料(入通院慰謝料)

入通院慰謝料は、病院に入院・通院したことに対して支払われる慰謝料です。

治療のために要した入院・通院の期間に基づいて算定します。

その際に用いられる算定基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責基準:自賠責保険の算定に利用する基準
  • 任意保険基準:各保険会社が独自に定めている基準
  • 弁護士(裁判)基準:裁判所や弁護士が用いる基準

どの基準が用いられるかは、自賠責保険か否か、保険会社が示談案を提示する場合か否か、弁護士が介入しているか否か、裁判か否かによって異なります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が生じたことに対して支払われる慰謝料です。

これ以上治療を続けても改善ができない場合に症状固定となり、後に残る障害が後遺障害となります。

後遺障害慰謝料は、基本的に自賠責保険(損害保険料率算出機構)で認定された後遺障害等級ごとに算定されるのが基本です。

弁護士(裁判)基準でも等級ごとに慰謝料額の目安が示されています。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、被害者が死亡したことに対して支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料の算定にも、上述の3つの基準のいずれかが用いられます。

各算定基準により算出される入通院・後遺障害・死亡慰謝料相場は、下記関連記事をご参照ください。

【交通事故】入通院・後遺障害・死亡慰謝料相場|増額されるケースとは

交通事故で賠償金として請求できる物的損害の費目

ここでは、交通事故で賠償金として請求できる物的損害の費目を解説します。

物的損害とは、交通事故により損傷した物に関する損害です。車両の損傷のほか、車両に積載していた物品や事故により損傷した建物など多様ですが、最も多いのは衝突した車両の損害です。

物的損害として請求しうる費目は、主に以下のとおりです。

  • 修理費
  • 買い換え差額
  • 評価損(格落ち損)
  • 代車費用
  • 休車損
  • その他

修理費

被害車両が修理可能な場合には、修理費相当額が損害として認められます。

修理費は、自動車修理工場の見積書・請求書をもとに、当事者間で以下の点を確認・検討して認定します。

  • 見積書・請求書に記載された内容が被害車両の衝突部位と整合性があるか
  • 修理する必要性があるか
  • 金額が妥当なものがあるか

修理費は、相当なものでなければならず、過剰な修理費用は認められません。

例えば、損傷を受けた箇所だけでなく全面塗装を行った場合は、その相当性が争われます。

買い換え差額

被害車両が修理不能な場合には、車両を買い替えることになるのが通常です。この場合には、事故時の車両の時価と、事故後の車両の売却代金(スクラップとしての売却代金)の差額が損害として認められます。

中古車の時価は、原則として同一の車種・年代・型・同程度の使用状態・走行距離などの自動車を中古市場で取得し得る価格が損害として認められます。

車両が修理不能なため車両の買い替えを行った場合は、買い替えに必要な諸費用も損害として認められます。買い替えに必要な諸費用の具体例は、以下のとおりです。

  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自動車税
  • 自賠責保険料
  • 登録に必要な費用
  • 車庫証明費用
  • 廃車費用

ただし、全損した車両の場合は、車両を廃車することで、前納した自動車税、自動車重量税、自賠責保険料等の還付を受けられるため、その分は損害から控除されます。

評価損(格落ち損)

以下のような場合は、評価損(格落ち損)が認められる可能性があります。

  • 修理しても車両の機能や外観が修復されない
  • 車両の機能や外観が修復されていても事故歴が残るため売却価格が下がる

評価損が認められるか否かは、以下の点を考慮して、修理費を基準に判断される傾向にあります。

  • 修理の程度
  • 車種
  • 登録年度
  • 走行距離

評価損・格落ちとは

代車費用

被害車両の修理期間中や新車買い替え期間中に、代わりの車両を使用した場合は、その代車費用が損害として認められる場合があります。

使用する代車は、被害車両と車種・年式などが同程度のものが認められます。

代車を借りられず、かつ電車やバス等の公共交通機関の利用もできずにタクシーを利用した場合は、タクシー代が損害として認められることもあります。

休車損

被害車両が営業用車両の場合は、休車損が損害として認められる可能性があります。

休車損とは、事故のために車両が使用できなくなった場合、その期間、使用できていれば得られたであろう利益に相当する損害です。

タクシーやバスなどの営業車に限らず、社員の送迎や商品の集配に用いられる車両など、営業目的に使用されている車両であれば、休車損を請求できる可能性があります。

ただし、代用できる車両が他にある場合や代車費用が認められる場合は、休車損は認められません。

その他

以下のような雑費も事故と相当因果関係が認められれば、損害として請求できます。

  • 車両保管料
  • レッカー代
  • 時価査定料
  • 通信費
  • 廃車料

事故により車両の積載物や着衣・携行品等が損傷した場合も、相当額が損害として認められることがあります。

家屋や店舗に車が突入した場合は修理費や売上減少による損害が認められることもあります。

物損事故と物損の損害賠償

交通事故の賠償金はいつ支払われる?

ここでは、交通事故の賠償金の支払時期について解説します。

示談成立から約2週間後

加害者が示談代行つきの任意保険に加入している場合は、通常、加害者側の保険会社と賠償金につき示談交渉を行います。

示談交渉は、原則として事故による傷害の治療終了後(損害確定後)に開始します。

賠償金は、示談成立から概ね2~3週間後に支払われるのが一般的です。

示談成立前に賠償金の一部を受け取る方法もある

治療に長期間を要する傷害事故などでは、治療中でも加害者側の保険会社から治療費や通院交通費、休業損害等の内払いを受けられることもあります。

加害者側の保険会社がこれらの賠償金の内払いに応じない場合でも、自賠責保険への被害者請求や仮渡金制度を利用することで、示談成立前に賠償金の一部を受けられることもあります。

訴訟に発展した場合は数年かかることもある

示談交渉による解決が見込めない場合には、民事調停・ADR・訴訟等による解決を図ります。

交通事故の民事訴訟の平均審理期間は13.3か月であるため、賠償金の受領までに1年以上かかることもあります。

交通事故の裁判にかかる期間や費用はどのくらい?裁判の流れも解説!

追突事故の賠償金の相場はいくらくらい?

ここでは、追突事故の賠償金の相場を紹介します。

むちうちになった場合

例えば、交通事故によるむちうちの治療のため3か月(1か月あたり10日間)通院して完治した場合(後遺障害なし)に、加害者に請求しうる賠償金の費目は以下のとおりです。

  • 治療関係費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 物的損害

このケースの各費目の相場は、下表のとおりです。

費目

相場

治療関係費

必要かつ相当な治療費であれば実費全額

通院交通費

原則として公共交通機関の利用料金

休業損害

現実の収入減

入通院慰謝料

自賠責基準:25万8,000円(2020年3月31日以前の事故の場合は25万2,000円)

弁護士(裁判)基準:53万円

 

物的損害

車両の修理費用相当額

損害金の金額は、受傷状況や治療内容および被害者の過失割合などによっても異なりますが、概ね20万円から60万円程度になることが多いでしょう。

交通事故によるむちうちで請求できる損害賠償金の内訳と相場

骨折した場合

例えば、追突事故により鎖骨を骨折し、6か月通院治療(うち鎖骨バンド固定中の安静を要する自宅療養期間を30日、2か月目以降1月あたりの通院日数を10日と仮定)を続けたにもかかわらず、後遺障害(12級)が残った場合に、加害者に請求しうる賠償金の費目は以下のとおりです。

  • 治療関係費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害による逸失利益
  • 物的損害

このケースの各費目の相場は、下表のとおりです。

費目

相場

治療関係費

必要かつ相当な治療費であれば実費全額

通院交通費

原則として公共交通機関の利用料金

休業損害

現実の収入減

入通院慰謝料

自賠責基準:68万8,000円(2020年3月31日以前の事故の場合は65万6,000円)

弁護士(裁判)基準:149万円

後遺障害慰謝料

自賠責基準:94万円(2020年3月31日以前の事故の場合は93万円)

弁護士(裁判)基準:290万円

後遺障害逸失利益

以下の計算式で求めた金額

[基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数]

物的損害

車両の修理費用相当額

後遺障害逸失利益の計算式に用いられる数値は個々の事情により異なるため、相場となる金額の目安も被害者の職業・収入・年齢等によって異なります。

例えば、2020年4月1日以後に発生した事故による鎖骨骨折で、後遺障害等級12級に認定された50歳の女性会社員(事故前の年収:300万円)の逸失利益は、以下のとおりです。

300万円×0.14×13.166(喪失期間17年に対応する係数)=552万9,720円

損害金の金額は、受傷状況や治療内容および被害者の過失割合などによっても異なりますが、数百万円程度になることが多いでしょう。

【交通事故】鎖骨骨折の慰謝料相場と示談金として請求できる損害項目

死亡事故の賠償金の相場はいくらくらい?

ここでは、死亡事故の賠償金の相場を紹介します。

死亡事故の賠償金の主要な費目を大別すると、次の3つに分けられます。

  • 死亡慰謝料
  • 死亡による逸失利益
  • 葬儀関係費

事故による受傷後、死亡に至るまでに傷害を負った状態が一定期間続いた場合には、別途傷害慰謝料(入通院慰謝料)が認められます。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料は、死亡した被害者が一家の支柱であったか否か等によって異なる傾向があります。

任意保険基準は非公開であるため、自賠責基準や弁護士(裁判)基準の慰謝料の相場を下表で確認しましょう。

被害者の立場

自賠責基準

弁護士(裁判)基準

2020年4月1日以降  に発生した事故

2020年3月31日以前に発生した事故

一家の支柱

400万円

350万円

2,800万円

母親、配偶者

2,500万円

その他

2,000万円 ~2,500万円

備考

被害者本人のほか、慰謝料請求者(被害者の父母・養父母、配偶者、子)の人数に応じて、遺族の慰謝料が支払われます。                    

・慰謝料請求者が1人のとき:550万円

・慰謝料請求者が2人のとき:650万円

・慰謝料請求者が3人のとき:750万円

※被害者に被扶養者(被害者に不要されている配偶者・未成年の子・65際以上の父母)がいる場合には、200万円が加算されます。

遺族の慰謝料は、上記被害者本人の慰謝料に含まれます。

ただし、近親者固有の慰謝料が別途認められることもあります。

死亡による逸失利益の相場

弁護士(裁判)基準では、死亡による逸失利益を以下の計算式で求めます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

計算式に用いられる数値は個々の事情により異なるため、相場となる金額の目安も被害者の職業や収入、家族関係・性別・年齢によって異なります。

例えば、2020年4月1日以後に発生した交通事故で、被扶養者である妻と同居する男性会社員(35歳・事故前の年収500万円)が死亡した場合の死亡逸失利益は以下のとおりです。

(500万円)×(1-0.4)×20.389=6116万7,000円

自賠責基準でも同じ計算式が用いられますが、基礎収入の考え方や生活費控除率が弁護士(裁判)基準と異なります。

詳細は以下をご参照ください。

参考:自賠責保険支払基準|損害保険料率算出機構 (giroj.or.jp)

葬儀関係費の相場

弁護士(裁判)基準の葬儀関係費の相場は、130万円~170万円です。

自賠責基準では、原則60万円までしか補償されません。葬儀関係費の上限額60万円は、自賠責保険の死亡による損害の支払限度額3,000万円に含まれます。

したがって、死亡事故の損害金の相場は数千万円程度になることが多いでしょう。

死亡事故の慰謝料と損害賠償請求

交通事故でより多くの賠償金を獲得するためには?

ここでは、交通事故でより多くの賠償金を獲得するためのポイントを解説します。

弁護士(裁判)基準で損害額を算定する

加害者側の保険会社は、自社独自の基準(任意保険基準)で損害額を算定します。

任意保険基準で算定される賠償金の額は弁護士(裁判)基準より低く、自賠責基準とさほど変わらないこともあります。

加害者側との示談交渉では、弁護士(裁判)基準で算定した賠償金の請求が重要です。

ただし、被害者本人が弁護士(裁判)基準で算定した賠償金を請求しても、加害者側の保険会社は支払いにほとんど応じません。

弁護士が介入すれば、交渉決裂による訴訟リスクを踏まえ、相手方保険会社が弁護士(裁判)基準に近い金額で示談に応じるケースも少なくありません。

賠償金を少しでも多く受け取りたい方は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。

【交通事故】弁護士基準で慰謝料はいくら増額する?増額する理由とは

適正な後遺障害等級を獲得する

事故による傷害で後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害謝料や後遺障害逸失利益を請求できます。

後遺障害等級が認定されるかどうかは、提出書類が鍵となると言っても過言ではありません。同じ症状でもその存在を示す医学的根拠があるかどうか、診断書の記載内容や提出書類が充実しているか否かによって、認定結果が変わることもあります。

適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、専門的知識を有する弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

【交通事故】後遺障害等級認定の申請手続きとは?|必要書類や所用期間も解説

交通事故の後遺障害等級認定とは|認定を受けるための5つのポイント

過失割合を適正に評価する

過失割合とは、発生した交通事故に対する加害者と被害者の責任の割合です。

事故態様について被害者にも落ち度があり、それが事故の発生や損害の拡大に寄与している場合は、損害の公平な分担の観点から損害賠償額が減額されることがあります。

加害者側の保険会社が主張する過失割合は、基本的に加害者の主張や説明を前提としているため、必ずしも適正であるとは限りません。

提示された過失割合を鵜呑みにするのではなく、算定の根拠を問い合わせるなどして、保険会社の主張が適正かどうか判断しなければなりません。

過失割合の変更を根拠立てて主張するためには、裁判実務で用いられる基準や過去の裁判例を理解しておかなければなりません。

保険会社が主張する過失割合に納得できない場合は、弁護士への相談をおすすめします。

交通事故の過失割合とは|決め方・納得できない場合の反論方法を紹介

まとめ|交通事故の賠償金の請求は弁護士への依頼がおすすめ

交通事故の被害者が請求できる賠償金の額は、事故により被った損害の内容や過失割合等により異なります。

弁護士が示談交渉に介入しているかどうかによっても、受け取れる金額が異なることもあります。

少しでも多く賠償金を獲得したい方、加害者側の保険会社から提示された賠償金に不満がある方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

交通事故で弁護士に依頼する10個のメリットと弁護士選びのコツを紹介

 

ページの上部へ戻る