交通事故の後遺障害等級認定とは|認定を受けるための5つのポイント

交通事故による怪我の治療を続けても、これ以上の改善が見込めない状態になることがあります。被害者の身体に一定の障害が残る場合には、その障害が事故による後遺障害と認定されるかどうかにより、被害者が請求できる損害賠償の範囲が違ってきます。

この記事では、交通事故の後遺障害等級の認定手続きについて解説します。

目次

交通事故の後遺障害等級認定とは

ここでは、後遺障害の概要と後遺障害の等級認定について解説します。

後遺障害とは

後遺障害とは、交通事故による怪我の治療を行い症状が固定した後、医師がこれ以上の改善が見込めないと判断し、かつ身体に障害が残った状態です。

等級認定とは

後遺障害慰謝料や後遺障害による逸失利益など、後遺障害に対する損害賠償を請求するためには、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所(以下、「自賠責損害調査事務所」といいます。)による等級認定を受ける必要があります。

自賠責損害調査事務所は、後遺障害診断書と医療記録などを照らし合わせながら、原則として労災保険の障害等級認定の基準に準じて、後遺障害の有無等級の認定を行います。

交通事故で後遺障害等級の認定を受けるための5つのポイント

ここでは、交通事故で後遺障害等級の認定を受けるためのポイントについて解説します。

症状と交通事故に因果関係がある

後遺障害等級の認定を受けるためには、身体に残った障害と交通事故との関連性を証明しなければなりません。事故と障害との間に因果関係が認められなければ、後遺障害等級非該当となります。

障害と交通事故の因果関係を証明するためには、事故後速やかに病院で診察を受け、医師に診断書を書いてもらうことが重要です。

事故後時間が経過してから病院を受診しても、医師は交通事故による怪我かどうかを判断できません。外傷や目立った症状がなくても、医師の診断を受けましょう。

症状が一貫して続いている

後遺障害等級の認定を受けるためには、初診時から症状固定までの症状の経過に連続性・一貫性が認められなければなりません。

例えば、当初は頚部痛を訴えていたのに、途中から頚部痛ではなく上肢痛や嘔気を訴えるようになると、症状に一貫性がないと判断されることがあります。

自己判断で治療を中断したり、前回の受診から次の受診までの期間が長期間空いたりすると、治療に連続性がないと判断されることもあります。

症状の経過に連続性・一貫性があることを証明するためにも、主治医の指示に従い通院頻度を守った治療の継続が大切です。

症状の存在や程度を医学的に証明できる

自賠責損害調査事務所は、後遺障害の有無について、まずは医学的見地から被害者の状態や症状が後遺障害と評価できるかを判断します。

自覚症状があっても、その症状の存在や程度を医学的に証明できなければ後遺障害等級が認定されません。

症状の存在や程度を医学的に証明するには、自覚症状に一致する画像所見や神経学的所見が必要です。

レントゲンやCT・MRI画像などで証明できなければ、必要に応じてジャクソンテストやスパークリングテストなどの神経学的検査を受け、その結果を後遺障害診断書に記載してもらうと良いでしょう。

症状が各等級の認定基準を満たしている

自賠責損害調査事務所は、自動車損害賠償保障法施行令2条別表後遺障害別等級表に当てはめて等級認定を行います。

等級ごとに定められた認定基準を満たしていなければ、後遺障害等級の認定を受けられません。

交通事故の後遺障害等級認定基準|後遺障害等級一覧表

ここでは、交通事故の後遺障害等級の認定基準ついて解説します。

交通事故の後遺障害等級には要介護第1級・第2級第1級~第14級があり、自動車損害賠償保障法施行令において、それぞれの等級の認定基準が定められています。

介護を要する後遺障害

自動車損害賠償保障法施行令別表第1に示された要介護第1級・第2級の認定基準は、下表のとおりです。

等級

後遺障害の内容

第1級

1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

第2級

1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

介護を要しない後遺障害

自動車損害賠償保障法施行令別表第2に示された第1級~第14級の認定基準は、下表のとおりです。

等級

後遺障害の内容

第1級

 1. 両眼が失明したもの

 2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの

 3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの

 4. 両上肢の用を全廃したもの

 5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの

 6. 両下肢の用を全廃したもの

第2級

 1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの

 2. 両眼の視力が0.02以下になったもの

 3. 両上肢を手関節以上で失ったもの

 4. 両下肢を足関節以上で失ったもの

第3級

 1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

 2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの

 3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

 4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

 5. 両手の手指の全部を失ったもの

第4級

 1. 両眼の視力が0.06以下になったもの

 2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

 3. 両耳の聴力を全く失ったもの

 4. 一上肢をひじ関節以上で失ったもの

 5. 一下肢をひざ関節以上で失ったもの

 6. 両手の手指の全部の用を廃したもの

 7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

第5級

 1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

 2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 4. 一上肢を手関節以上で失ったもの

 5. 一下肢を足関節以上で失ったもの

 6. 一上肢の用を全廃したもの

 7. 一下肢の用を全廃したもの

 8. 両足の足指の全部を失ったもの

第6級

 1. 両眼の視力が0.1以下になったもの

 2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

 3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

 4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

 5. 脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの

 6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

 7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

 8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの

第7級

 1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

 2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

 3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

 4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 6. 一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの

 7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの

 8. 一足をリスフラン関節以上で失ったもの

 9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

 10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

 11. 両足の足指の全部の用を廃したもの

 12. 外貌に著しい醜状を残すもの

 13. 両側の睾丸を失ったもの

第8級

 1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの

 2. 脊柱に運動障害を残すもの

 3. 一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの

 4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの

 5. 一下肢を5センチメートル以上短縮したもの

 6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

 7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

 8. 一上肢に偽関節を残すもの

 9. 一下肢に偽関節を残すもの

 10. 一足の足指の全部を失ったもの

第9級

 1. 両眼の視力が0.6以下になったもの

 2. 一眼の視力が0.06以下になったもの

 3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

 4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

 5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

 6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

 7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

 8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

 9. 一耳の聴力を全く失ったもの

 10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当に制限されるもの

 12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの

 13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

 14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの

 15. 一足の足指の全部の用を廃したもの

 16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの

 17. 生殖器に著しい障害を残すもの

第10級

 1. 一眼の視力が0.1以下になったもの

 2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの

 3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

 4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

 5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

 6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

 7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの

 8. 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

 9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの

 10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

 11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第11級

 1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

 2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

 3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

 4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

 5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

 6. 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

 7. 脊柱に変形を残すもの

 8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

 9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

 10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの 

第12級

 1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

 2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

 3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

 4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの

 5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

 6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

 7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

 8. 長管骨に変形を残すもの

 9. 一手のこ指を失ったもの

 10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

 11. 一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの

 12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの

 13. 局部に頑固な神経症状を残すもの

 14. 外貌に醜状を残すもの

第13級

 1. 一眼の視力が0.6以下になったもの

 2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

 3. 一眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの

 4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

 5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

 6. 一手のこ指の用を廃したもの

 7. 一手のおや指の指骨の一部を失ったもの

 8. 一下肢を1センチメートル以上短縮したもの

 9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの

 10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

第14級

 1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

 2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

 3. 一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

 4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

 5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

 6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

 7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

 9. 局部に神経症状を残すもの

交通事故で後遺障害等級が認定されたらどうなる?

ここでは、交通事故で後遺障害等級が認定された場合のメリットについて解説します。

自賠責保険から先行して賠償金の一部を受け取れる

被害者請求では、後遺障害等級が認定されると自賠責保険会社に通知され、等級に応じた保険金額(損害賠償額)がすぐに支払われます。

加害者側の任意保険会社と示談が成立していなくても、賠償金の一部を先行して受け取れます。

後遺障害慰謝料を請求できる

後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで被害者に生じる精神的損害をてん補する慰謝料です。

後遺障害慰謝料は基本的に、自賠責保険損害調査事務所で認定された後遺障害等級ごとに算定されます。後遺障害の程度やその他個別具体的な事情によって増減修正されることもあります。

後遺障害逸失利益を請求できる

後遺障害等級が認定されると、後遺障害による逸失利益を請求できます。

後遺障害が残ると、労働能力の低下の程度により事故前と同等の収入を得ることが難しくなることがあります。長期間にわたり発生する収入減少による損害をてん補するのが逸失利益です。

後遺障害等級の認定を受ければ、労働能力低下の程度に応じて、健常であれば本来得られたはずの収入や後遺障害のために減額された収入を請求できます。

交通事故の後遺障害慰謝料・逸失利益は等級によって金額が変わる

後遺障害慰謝料や後遺障害による逸失利益は、後遺障害等級に基づき算定されるため、等級の認定結果がその額に影響します。

ここでは、後遺障害等級別の後遺障害慰謝料の相場や後遺障害逸失利益の計算方法を紹介します。

等級別|後遺障害慰謝料の金額

後遺障害慰謝料慰謝料の算定に用いられる基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責基準:自賠責保険の算定に用いられる基準
  • 任意保険基準:各保険会社が独自に定めている基準
  • 弁護士基準:裁判所や弁護士が用いる基準

慰謝料の基準と慰謝料の計算

任意保険基準は非公開であるため、自賠責基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料の額から目安を把握しましょう。

自賠責基準

自賠責基準の後遺障害慰謝料の額は、下表のとおりです。

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

2020年4月1日以降    に発生した事故

2020年3月31日以前   に発生した事故

第1級

1,150万円

1,100万円

第2級

998万円

958万円

第3級

861万円

829万円

第4級

737万円

712万円

第5級

618万円

599万円

第6級

512万円

498万円

第7級

419万円

409万円

第8級

331万円

324万円

第9級

249万円

245万円

第10級

190万円

187万円

第11級

136万円

135万円

第12級

94万円

93万円

第13級

57万円

57万円

第14級

32万円

32万円

弁護士基準

弁護士基準の後遺障害慰謝料の額は、下表のとおりです。

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

第1級

2800万円

第2級

2370万円

第3級

1990万円

第4級

1670万円

第5級

1400万円

第6級

1180万円

第7級

1000万円

第8級

830万円

第9級

690万円

第10級

550万円

第11級

420万円

第12級

290万円

第13級

180万円

第14級

110万円

後遺障害逸失利益の計算方法

任意保険基準は非公開であるため、自賠責基準と弁護士基準の後遺障害逸失利益の計算方法を確認しましょう。

自賠責基準

自賠責基準の後遺障害による逸失利益は、以下の計算式で算定されます。

年間収入額×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

年間収入額は、職業の有無や年齢により、以下のとおり異なります。

被害者の属性

年間収入額の算出方法

有職者

以下のいずれか高い方の額

①事故前または後遺障害確定前のいずれかの額の高い方の年間収入額

②症状固定時の被害者年齢に対応する年齢別平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅳ)

ただし、後遺障害確定時の年齢が35歳未満の場合は、以下のいずれか高い方の額

①症状固定時の被害者年齢に対応する年齢別平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅳ)

②全年齢平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅲ)

幼児・児童・学生

全年齢平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅲ)を年間収入額とする

家事従事者

全年齢平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅲ)を年間収入額とする。

ただし、以下の3つの条件を満たす場合は、「その他働く意思と能力を有する者」として年間収入額を算出する。

・配偶者がいない

・現に勤労所得がない

・同一世帯に家事を専業する者がいる、もしくは一人で生活している

その他働く意思と能力を有する者

症状固定時の被害者年齢に対応する年齢別平均給与額(自賠責保険支払基準・別表Ⅳ)を年間収入額とする。

※自賠責保険支払基準・別表の詳細は以下をご参照ください。

参考:自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準|国土交通省

労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じた自賠責支払基準・別表Ⅰを採用します。

就労可能年数に対応するライプニッツ係数は、後遺障害確定時の年齢に応じた自賠責支払基準・別表Ⅱ―1の就労可能年数とそのライプニッツ係数を採用します。

弁護士基準

弁護士基準の後遺障害による逸失利益は、以下の計算式で算定します。

<有職者または就労可能者の場合>

基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数

<18歳未満(症状固定時)の未就労者の場合>

基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

労働能力喪失率とは、労働能力の低下の程度です。労働能力喪失率は、自動車損害賠償保障法施行令別表第2を参考とします。

参考:自動車損害賠償保障法施行令 | e-Gov法令検索

後遺障害における労働能力喪失期間の始期は症状固定日、終期は一般的に67歳です。

逸失利益につき一時金として支払いを求める場合は、将来にわたる逸失利益総額を現在価額に換算する必要があり、そのために中間利息を控除します。

実務では、中間利息の控除方法にライプニッツ係数が採用されています。

交通事故の後遺障害等級の認定はどこで受けられる?

ここでは、後遺障害等級認定の申請先や申請方法を解説します。

損害保険料率算出機構や自賠責保険・共済紛争処理機構

後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構が行います。厳密には、同機構が損害調査業務のために各地に設置した調査事務所が、後遺障害等級の認定と損害額の算定を行います。

認定結果に納得できない場合には、まずは当該認定を行った損害保険料率算出機構に対し、異議を申立てます。

異議申立てをしても納得のいく結果が得られなかった場合には、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請できます。

なお、損害保険料率算出機構への異議申立ては何度でも行えますが、自賠責保険・共済紛争処理機構への申請は一度きりであり、再度の申請(異議申立て)はできません。

認定申請の方法は2種類

認定申請には、以下の2つの方法があります。

  • 事前認定:加害者側の任意保険会社に申請してもらう方法
  • 被害者請求:被害者が自ら資料を集めて直接申請する方法

申請方法の違いや各手続きのメリット・デメリットは、下記関連記事をご参照ください。

【交通事故】後遺障害等級認定の申請手続きとは?|必要書類や所用期間も解説

交通事故の後遺障害等級認定にかかる期間は?

ここでは、後遺障害等級認定にかかる期間を解説します。

通常は1~2か月程度

後遺障害の症状や程度にもよりますが、申請から認定結果が告知されるまでの期間は、通常1~2か月程度です。

事前認定の場合は任意保険会社から、被害者請求の場合は自賠責保険会社から被害者に結果が告知されます。

3か月以上かかることもある

医療照会が実施される場合や自賠責調査事務所の受付業務が集中している場合などは、審査期間が長引くことがあります。その場合には、自賠責保険会社から書面での連絡があります。

以下のような場合は、自賠責損害調査事務所の上部機関(地区本部または損害保険料率算出機構)調査が行われることがあるため、結果告知までの期間がさらに長引く可能性があります。

  • 調査過程で被害者に重大な過失が判明した場合
  • 後遺障害の等級認定が難しく、慎重な審査が要求される場合

交通事故で適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント

ここでは、適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイントを解説します。

医師の指示に従い治療に専念する

外傷や目立った症状がなくても身体に衝撃を感じる事故に遭ったときは、速やかに病院を受診して必要な検査を受けましょう。

通院を怠ったり自己判断で治療を中断したりせず、主治医の指示に従い通院頻度を守った治療の継続が大切です。

受けるべき検査や診断書で強調すべき点を理解する

どのような検査を実施するかは医師の判断によりますが、すべての医師が後遺障害の認定に関する専門的知識を有しているわけではありません。

医師は、あくまでも治療のために検査を行うので、等級認定に有利に働く検査が必ず実施されるとは限りません。

後遺障害診断書の「各部位の後遺障害の内容」欄の記載内容が不十分であると、認定条件を満たさないと判断されることもあります。

受けるべき検査や診断書で強調すべき点、詳細に記載すべき点を理解するためには、後遺障害認定に詳しい弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

被害者請求で後遺障害等級認定を申請する

適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、事前認定よりも手続きの透明性が高い被害者請求による申請をおすすめします。

被害者請求であれば、提出書類を精査したり等級に有利となる資料を添付したりできるので、後遺障害等級が認定される可能性を高められます。

認定結果に納得がいかない場合は異議を申立てる

後遺障害等級認定を申請しても非該当になるケースも多く、たとえ後遺障害等級を認定されても想定より低い等級で認定されることもあります。

後遺障害の認定に不服があれば、被害者の身体的な障害を更に詳細に明記した診断書や後遺障害の状況を明らかにする検査資料を加えて異議を申立てましょう。

まとめ

後遺障害等級が認定されるかどうかで、被害者が請求できる損害賠償の範囲が異なります。

後遺障害等級の認定は、原則として提出書類で判断されます。同じ症状でも診断書の記載内容や提出書類が充実しているかどうかによって、認定結果が変わることがあります。

後遺障害に関する知識が豊富な弁護士に依頼すれば、事前に必要なアドバイスが受けられ、認定に有利に働く書類を提出できます。

交通事故の被害に遭い後遺障害にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

交通事故で弁護士に依頼する10個のメリットと弁護士選びのコツを紹介

 

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