脊髄損傷と損害賠償請求

事故により脊髄を損傷してしまうと、手足のしびれや機能障害、重症の場合は四肢麻痺など、あるいは損傷部位以下の全機能の喪失により、寝たきりになるのみでなく、呼吸障害や嚥下障害を招くこともあります。

脊髄は一度損傷すると修復・再生されることはなく、現代の医学でも決定的な治療方法はありません。

したがって、脊髄損傷の場合、事故後の収入減少や介護費用分についてもしっかりと賠償を得る必要がありますので、弁護士による粘り強い交渉及び、場合によっては適切な賠償を得るために訴訟や紛争処理センターでの公的機関における解決が必要不可欠です。

脊髄損傷の場合の損害賠償については、後遺障害の等級が決め手になってきます。

後遺障害等級の認定において、①脊髄損傷の有無、②障害の程度、の2段階で判断されるとされています。

 

① 脊髄損傷の有無

まず、①脊髄損傷の有無については、画像所見の有無がもっとも重要な裏付け資料になります。

MRI画像上の輝度変化が見られる場合、脊髄損傷を強く裏付ける資料になりますが、輝度変化が認められない場合でも、後縦靭帯の骨化などにより脊柱管狭窄が強度な場合には、脊髄損傷の裏付けとして認められています。

これに加え、事故の重大さ、各種神経学的検査の結果等により、脊髄損傷の有無を判定することになります。

ネクスパートの弁護士は、提携医からMRI画像等についての意見をもらい、適切な等級を獲得するために医学的な調査を十分に行いますので、お客様やご家族に何らの疑問を残さずに解決までサポートすることができます。

 

② 障害の程度

次に、障害の程度については、「脊髄症状判定用」の運動機能欄の点数を中心に(知覚機能欄や膀胱機能欄は重視されず、総合評価の一要素である)、後遺障害診断書の上下肢の機能障害の程度、神経学的所見の推移の所見(筋力低下の程度や握力、感覚障害の範囲、巧緻運動障害の有無)を加味して総合的に考慮した上で等級認定を行います。

この等級認定にあたっては、麻痺の程度や範囲について考慮した上での等級認定が行われており、「脊髄症状判定用」という診断書の運動機能欄の点数を中心に、後遺障害診断書の上下肢の機能障害の程度、神経学的所見の推移の所見を加味して総合的に考慮した上で等級認定を行っているとされています。

これらの診断書の記載が、症状と一致しているかどうか、また、画像及び各種神経学的検査との整合性等も確認した上で、等級が認定されます。

ネクスパートの弁護士は、提携医の意見を聞いた上で、等級認定について必要な記載等を指摘させていただき、適切な結果を導けるようサポートいたします。

 

脊髄損傷による後遺障害等級

脊髄損傷による後遺障害等級は以下のとおりです。

1級1号 神経系統の機能や精神に著しい障害を残し、生命維持に必要な動作において常に他人の介護を要する状態
⇒高度な四肢麻痺・対麻痺、中等度の四肢麻痺・対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣などに常時介護を要する状態
2級1号  神経系統の機能や精神に著しい障害を残し、生命維持に必要な動作において随時他人の介護を要する状態
⇒高度の片麻痺、食事・入浴・用便・更衣などに随時介護を要する中等度の四肢麻痺・軽度の対麻痺
3級3号 神経系統の機能や精神に著しい障害を残し、生命維持に必要な動作は可能であるが(終身)労務ができない状態
⇒軽度の四肢麻痺、中等度の対麻痺
5級2号 神経系統の機能や精神に著しい障害を残し、極めて軽易な労務以外はできない状態
⇒軽度の対麻痺、一下肢の高度の単麻痺
7級4号 神経系統の機能や精神に障害を残し、就労可能な職種の範囲が制限される状態
⇒一下肢の軽度の単麻痺
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すものの、通常の労務はできる状態
⇒支障がほぼ認められない程度の軽微な麻痺、運動障害はないが広範囲に渡る感覚障害

 

 

ページの上部へ戻る