【交通事故】鎖骨骨折の慰謝料相場と示談金として請求できる損害項目

交通事故では、自転車やバイクからの転倒や追突による衝撃でハンドルに肩を強打したことにより鎖骨骨折を受傷するケースがあります。

鎖骨を骨折すると、一定期間治療を行なっても後遺障害が残ることがあります。

後遺障害が認められれば、加害者に対し、治療費や入通院慰謝料だけではなく、後遺障害慰謝料を請求できます。

鎖骨骨折で後遺障害が認められるのはどのような場合なのでしょうか。

この記事では、交通事故で鎖骨を骨折した場合の慰謝料や後遺障害等級について、以下の点を解説します。

  • 鎖骨骨折の慰謝料の相場
  • 鎖骨骨折で認定されうる後遺障害等級
  • 慰謝料以外に請求できる損害項目

交通事故により鎖骨を骨折した方は、ぜひ参考にしてください。

交通事故による鎖骨骨折の入通院慰謝料相場

ここでは、交通事故で鎖骨を骨折した場合の入通院慰謝料の相場について解説します。

慰謝料の算定基準

交通事故の慰謝料を算定する基準には、以下の3種類があります。

  • 自賠責基準:自賠責保険の基準で最低限の補償を行うことを目的としたもの
  • 任意保険基準:各保険会社が独自に定める慰謝料の支払い基準(非公開)
  • 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例をもとに定められた基準

3つの基準の中では自賠責基準が最も低い水準、弁護士基準が最も高い水準となっています。

任意保険基準は、具体的な金額等は公表されていませんが、一般的には、自賠責保険基準よりも少し高い水準となります。

それぞれの入通院慰謝料の計算方法は、下記関連記事をご参照ください。

交通事故慰謝料の計算方法を詳しく解説【入通院・障害・死亡別】

入通院慰謝料早見表

交通事故による外傷で鎖骨を骨折した場合の治療期間の目安は、一般的に3~6か月程度と言われています。骨折の程度や年齢、健康状態によっては、さらに治療期間が延びることもあります。

鎖骨骨折は、比較的予後が良好であり、多くの場合は保存療法が選択されるので、入院期間を0日と仮定して、通院期間ごと入通院慰謝料を紹介します。

下表の入通院慰謝料の額は、以下のケースを想定して算出しています。

  • 2020年4月1日以降に発生した交通事故
  • クラビクルバンド(鎖骨バンド)固定中の安静を要する自宅療養期間:30日
  • 2か月目以降、1月あたりの実通院日数は10日

通院期間

自賠責基準

弁護士基準

3か月

38万7,000円

115万円

4か月

51万6,000円

130万円

5か月

60万2,000円

141万円

6か月

68万8,000円

149万円

7か月

77万4,000円

157万円

8か月

86万円

164万円

9か月

94万6,000円

170万円

10か月

103万2,000円

175万円

交通事故による鎖骨骨折の後遺障害慰謝料

ここでは、交通事故による鎖骨骨折の後遺障害慰謝料について解説します。

骨折と損害賠償

鎖骨骨折の後遺障害の種類

鎖骨骨折の後遺障害には、主に次の3つの種類があります。

  • 変形障害
  • 機能障害
  • 神経障害

変形障害

変形障害とは、骨折箇所の癒合不全などによって、骨に変形が生じてしまう症状です。クラビクルバンド(鎖骨バンド)で骨折部を固定する保存療法を行った場合に起こりやすい障害です。

変形障害の場合は、後遺障害等級12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すものに該当する可能性があります。

なお、変形障害が後遺障害として認められるためには、以下2点を満たさなければなりません。

  • レントゲン画像等で鎖骨の変形が証明できること
  • 直に見て明らかに鎖骨が変形していることがわかること

機能障害

機能障害とは、鎖骨を骨折したことで肩関節がうまく動かなくなる症状です。

機能障害について、肩関節の可動域検査の検査や医学的な見地から医師が異常を証明できる場合には、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

  • 8級6号:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 12級6号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

各等級の症状の違いは、以下のとおりです。

  • 8級6号:肩関節がまったく動かない状態
  • 10級10号:肩関節の可動域が健側と比べ2分の1以下に制限されている状態
  • 12級6号:肩関節の可動域が健側と比べ4分の3以下に制限されている状態

健側とは、交通事故で怪我をしていない側(の肩関節)を意味します。

神経障害

神経障害とは、治療終了後も骨折箇所の痛みや痺れなどの症状が残る障害です。

神経障害が残る場合には、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

  • 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号:局部に神経症状を残すもの

それぞれの認定基準の違いは、以下のとおりです。

  • 12級13号:MRIや画像などの他覚的所見や医学的根拠により痛みが証明できる
  • 14級9号:他覚的所見はないものの、医師が医学的に自覚症状の存在を説明できる

鎖骨骨折で後遺症を負った場合の慰謝料相場・後遺障害等級を解説

等級別後遺障害慰謝料早見表

鎖骨骨折で後遺障害が認められた場合に、加害者側に請求できる後遺障害慰謝料は以下のとおりです。

後遺障害等級

自賠責基準

弁護士基準

2020年4月1日以後に発生した事故

2020年3月31日以前に発生した事故

8級

331万円

324万円

830万円

10級

190万円

187万円

550万円

12級

94万円

93万円

290万円

14級

32万円

32万円

110万円

後遺症の認定手続きの流れ

交通事故による鎖骨骨折で慰謝料以外に示談金として請求できる損害項目

ここでは、交通事故によって鎖骨を骨折した場合、慰謝料以外に加害者側に請求できる損害項目について解説します。

交通事故の被害者が請求できる損害額には、慰謝料の他に以下のものがあります。

  • 治療関係費
  • 休業損害
  • 逸失利益(後遺障害が残った場合)
  • その他

治療関係費

治療関係費には、主に以下のものがあります。

  • 治療費
  • 入院費
  • 通院交通費
  • 付添看護費
  • 入院雑費
  • 装具・器具購入費等
  • 文書料

これらについては、必要かつ相当な治療行為の費用であれば、実際に支払った実費全額が損害として認められます。

後遺障害診断書について|書き方と等級認定について解説

治療費

症状固定までの治療費は、原則として実際に支払った実費全額が損害として認められます。

症状固定とは、治療を続けてもこれ以上の改善が見込めない状態を指します。

症状固定後の治療費は、原則として損害として認められませんが、症状を維持するために治療が必要な場合には、症状固定後の治療費も認められることがあります。

入院費

入院費も治療費と同様に、実際に支払った実費全額が認められるのが原則です。

病院の特別室使用料(個室使用料)については、以下のような場合に認められることがあります。

  • 医師の指示があった場合
  • 症状が重篤であった場合
  • 空き室がなかった場合

通院交通費

交通費は、被害者自身の入退院や通院に要したものが認められます。

タクシー利用が相当と認められる場合は実際に支払ったタクシー代が認められます。

タクシー利用が相当と認められる場合は、以下のようなケースです。

  • 歩行に支障がある場合
  • 医師からタクシー利用の指示が出ている場合
  • 地理的に公共交通機関を利用するのが困難な場合

タクシーの利用が相当と認められない場合は、電車・バス等の公共交通機関の運賃が認められます。

自家用車を利用した場合は、以下の費用が損害として認められます。

  • ガソリン代
  • 高速道路料金
  • 駐車料金

付添看護費

付添看護費とは、近親者や職業付添人が被害者の入院や通院に付き添ったことによる損害を金銭で評価するものです。

近親者による付添看護の1日あたりの基準額は、以下のとおりです。

 

自賠責基準

弁護士基準

2020年4月1日以後に発生した事故

2020年3月31日以前に発生した事故

入院付添の場合

4,200円

4,100円

6,500円

通院付添の場合

2,100円

2,050円

3,300円

職業付添人が付き添った場合は、弁護士基準において必要かつ相当な実費が認められます。

入院または通院の付添看護費は、以下のような場合に認められます。

  • 医師の指示があった場合
  • 症状が重篤であるなど受傷の部位・程度によって付き添いの必要性が認められる場合
  • 被害者が年少者(自賠責基準は12歳以下)である場合

入院雑費

入院雑費とは、入院中に生じた以下のような費用です。

  • 日用雑貨費(寝具、衣類、洗面具、食器等購入費)
  • 栄養補給費(栄養剤等)
  • 通信費(電話代、切手代等)
  • 文化費(新聞雑誌代、ラジオ、テレビ賃借料等)
  • 家族交通費等

入院雑費の1日の基準額は以下のとおりです。

  • 自賠責基準:1,100円
  • 弁護士基準:1,500円

入院期間にこの額を乗じて算定します。

装具・器具購入費等

装具・器具購入費は、症状の内容・程度に応じて、必要な範囲で損害として認められます。

鎖骨骨折の場合は、クラビクルバンド(鎖骨バンド)の購入費等が認められるでしょう。

文書料

診断書や交通事故証明書等の文書料(交付手数料)についても、必要な額につき損害として認められます。

休業損害

被害者が事故による受傷により、治療または療養のために休業した場合は、加害者に休業損害を請求できます。

休業損害は、事故による障害が治った日または症状固定の時期までの間に、休業したことにより得らえなかった額が、損害として認められます。

休業損害の算定方法は、一般的には以下のとおりです。

休業損害=基礎収入×休業期間

基礎収入は、以下のとおりとするのが一般的です。

  • 給与所得者の場合:事故直前3か月の平均収入(税金控除前)
  • 事業所得者:事故直前の申告所得額または受傷による現実の収入源
  • 家事従事者:女性労働者の平均賃金に相当する額(賃金センサス)

事故前に現に収入を得ていない無職者に対しては、原則として休業損害が認められません。ただし、事故がなければ治療期間中に就職していた可能性が高いときは、以下を参考として基礎収入額を認定して休業損害が認められることもあります。

  • 失業前の現実収入の額
  • 予想される将来の就職等

自賠責保険では、現実に休業し収入の減少があった場合か、有給休暇を使用した場合に、以下の金額が支払われます。

  • 2020年4月1日以降に発生した事故:1日につき6,100円
  • 2020年3月31日以前に発生した事故:1日につき5,700円

交通事故の休業損害とは|職業別の計算方法や請求時の注意点を解説

 

よくあるご質問:事故の受傷による休業中に賞与支給日がある場合は、賞与の減額分も加害者に休業損害として請求できますか?

弁護士よりコメント:事故による休業のために賞与が減額された場合は、休業損害として加害者に請求できます。請求時に賞与が減額された事実やその内容を証明するために、勤務先から賞与減額証明書をもらう必要があります。

自賠責保険にも賞与減額証明書を提出すれば、減額された額を90日で割った額と6,100円(2020年3月31日以前の事故は5,700円)のいずれか高い金額が支払われます。

逸失利益(後遺障害が残った場合)

逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、仕事をする能力が失われたり減少したりして(労働能力の喪失)、将来得られたであろう収入(所得)を失うことになった損害です。

逸失利益は、後遺障害の等級ごとに定められた労働能力喪失率を用いて、以下のとおり算出します。

基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数

以下のケースを想定して逸失利益を計算してみましょう。

  • 2020年4月1日以降に発生した交通事故
  • 被害者は症状固定時50歳の女性(給与所得者)
  • 基礎収入は300万円
  • 後遺障害等級12級(労働能力喪失率は14%)
  • 喪失期間は17年(67歳-50歳)

300万円×0.14×13.166(喪失期間17年に対応する係数)=552万9,720円

交通事故で請求できる賠償金の費目とは|ケース別の相場も解説

交通事故による鎖骨骨折で弁護士に示談交渉を依頼すべき理由

ここでは、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットについて解説します。

慰謝料の増額が望める

慰謝料を算定する3つの基準の中で、弁護士基準は最も高い基準です。

被害者本人が弁護士基準で算定した慰謝料を、加害者側の保険会社に請求しても、交渉に応じてもらえないことが大半です。

弁護士に依頼すれば、弁護士基準を基礎とし、個別の事情に応じて増額事由の有無も検討してもらえるため、適正な慰謝料を請求できます。

適正な賠償額での示談が期待できる

被害者本人が加害者側の保険会社と交渉すると、不利な条件を提示されることがあります。保険会社は営利企業であるため、なるべく保険金の支払いを低く抑えようとするからです。

交通事故に関する法律の知識や過去の判例を熟知していなければ、保険会社の提案に納得できなくても、反論できずに泣き寝入りする結果になることも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、法律や過去の判例を駆使して適正な賠償額を加害者に請求します。

保険会社との面倒な交渉のストレスから解放される

弁護士に依頼した後は、保険会社の対応や煩雑な手続きの全てを一任できます。

怪我を負って不調の中で交渉を行うストレスから解放され、治療に専念できます。

まとめ

鎖骨骨折で後遺障害が認められれば、加害者に対し、治療費や入通院慰謝料だけではなく、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。

後遺障害慰謝料や逸失利益の額は、認定される後遺障害等級によって異なるため、後遺障害認定申請も不備なく準備しなければなりません。

弁護士に依頼すれば、後遺障害認定申請の手続きや保険会社との交渉をすべて任せられるため、安心して治療に専念できます。

交通事故に遭ってお怪我をされた方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

 

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