交通事故に遭った場合、加害者から慰謝料を受け取れます。
一般的には、加害者の加入している任意の保険会社から慰謝料の提示がされます。この場合、すぐに示談に応じるのではなく、まずは慰謝料の算定方法を確認しましょう。
保険会社が提示してくる金額は、裁判になった場合に認められる金額よりも低いことがほとんどです。したがって、場合によっては、増額できる可能性があります。
この記事では、交通事故の慰謝料を増額する5つの方法や慰謝料が増額する4つの事由について解説しています。
ぜひ参考にしてください。
目次
交通事故の慰謝料を増額するためには弁護士への依頼が近道!
この記事では、交通事故の慰謝料を増額する方法や慰謝料の増額事由について解説していますが、これらの手順や方法には法的な知識が必要になります。
次章で解説している裁判所基準(弁護士基準)での慰謝料請求自体は、弁護士ではなくても可能です。しかし、交渉をする相手は保険会社ですから、あなたひとりでの交渉ではなかなか増額に応じてくれないのが現状です。
弁護士が交渉を代理することで、裁判所基準(弁護士基準)での慰謝料請求をスムーズに行えます。
交通事故に遭った場合には、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の慰謝料を増額する5つの方法
交通事故の慰謝料を増額する方法は、次の5つです。
裁判所基準(弁護士基準)で慰謝料を請求する
裁判所基準(弁護士基準)で慰謝料を請求しましょう。
交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)の3つがあります。
どの基準を用いるかによって、もらえる慰謝料が大きく異なります。
自賠責基準 |
自動車を運転する人が必ず加入する強制加入保険が算定する際の基準 被害者救済を目的とした最低限の補償 |
任意保険基準 |
加害者の任意保険会社が算定する際の基準 保険会社により算定基準が異なるため非公開 |
裁判所基準(弁護士基準) |
過去の裁判例に基づき設定された基準 裁判や弁護士による示談交渉において慰謝料を算定する際に用いられる |
このうち、裁判所基準(弁護士基準)により算定した慰謝料が一番高くなります。
したがって、裁判所基準(弁護士基準)により算定した慰謝料を請求しましょう。
適切な後遺障害等級認定を獲得する
適切な後遺障害等級認定を獲得しましょう。
交通事故で負ったケガが完治せず、症状が残った場合、その残った症状が後遺障害であると認められると、その症状の重さに応じた後遺障害等級認定を獲得できます。
後遺障害等級には、介護を要する後遺障害として1~2級、それ以外の後遺障害として1〜14級まであり、後遺障害等級が認定されると、等級に応じて慰謝料が支払われます。
後遺障害等級認定の申請方法には、次の2つがあります。
- 事前認定(加害者の任意保険会社が申請する。)
- 被害者請求(被害者自身が申請する。)
より適切な後遺障害等級認定を獲得したい場合には、被害者請求を選びましょう。
事前認定の場合には、手続きを保険会社にすべて任せられるため、必要書類の準備等の負担が少なくなります。しかし、提出書類が不透明であることから、被害者側に有利な書類を提出しているとは限りません。
被害者請求は、ご自身で書類の準備や作成、提出を行う必要があり、手間がかかります。しかし、等級が上がるほど、慰謝料も高くなりますから、被害者請求によって適切な後遺障害等級認定を獲得しましょう。
適切な過失割合を主張する
適切な過失割合を主張しましょう。
交通事故の過失割合とは、発生した交通事故に対する責任(過失)の割合のことです。
つまり、どちら側がどの程度悪かったかを割合にしたものです。
過失割合は、9:1、7:3といったように表します。
交通事故は、どちらか一方だけが完全に悪いわけではなく、被害者にも過失があったとされることが多くあります。この場合、被害者の過失分が慰謝料から減額されます。
したがって、被害者側の過失割合が高いほど、もらえる慰謝料も少なくなります。
過失割合は、一般的に保険会社から提示されます。しかし、保険会社の決めた過失割合は、必ずしも正しいわけではありません。保険会社の主張する過失割合は、被害者側の過失が高めに設定されている場合があります。
したがって、ご自身で過失割合が適切かどうかを確認しましょう。
交通事故の類型ごとの過失割合の基準は、別冊判例タイムズ38号でも確認できます。これには、過去の裁判例から事故の状況をパターン化し、過失割合の判断基準が示されています。しかし、ご自身で判断するのは中々難しい部分もあるでしょう。
ご自身での判断が難しいと感じた場合には、示談交渉の依頼も視野に入れて弁護士に相談することをおすすめします。
医師の指示に従って入通院をしっかりと行う
医師の指示に従って入通院をしっかりと行いましょう。
交通事故に遭ったら、すぐに病院に行き、医師の適切な治療を受けましょう。
交通事故に遭った日からしばらく経って病院に行った場合、ケガと交通事故との因果関係を否定され、適切な慰謝料を獲得できない場合もあります。
症状固定まできちんと入通院を行い、治療を続けることが大切です。
適切な慰謝料を獲得するには、まず、適切な治療を受けることが必要です。途中で治療を中断した場合には、もらえる慰謝料が少なくなる可能性があります。治療を怠ることで、適切な後遺障害等級認定を受けられないなんてことにもなりかねません。
適切な治療は医師が判断するものですから、症状があるうちはご自身の判断で治療を中断したりせずに、きちんと医師の判断を受けましょう。
慰謝料の増額事由を主張する
慰謝料の増額事由を主張しましょう。
慰謝料の相場はおおむね決められていますが、事故態様等個別の事情によって調整されます。
次章で、交通事故の慰謝料が増額する4つの事由を紹介しています。
あなたにこれらの事由が当てはまる場合には、しっかりと主張しましょう。
交通事故の慰謝料が増額する4つの事由
交通事故の慰謝料が増額する事由は、次の4つです。
加害者の運転行為が悪質である
加害者の運転行為が悪質であるケースです。
次のような場合には、加害者の運転行為が悪質であるとして、慰謝料が増額される傾向にあります。
- 無免許運転
- ひき逃げ
- 飲酒運転
- 居眠り運転
- 著しいスピード違反
- 煽り運転
以下の裁判例では、加害者の運転行為が悪質であることが考慮され、慰謝料が増額されています(大阪地裁令和元年9月4日判決)。
被告は、無免許で被告車を運転した上、法定最高速度を大幅に超える速度で車線変更し、その際、進路の安全を十分に確認しないなどの過失により本件事故を引き起こしたこと、Aは、このような悪質な運転行為により、突如、両側急性硬膜下血腫、肺挫傷、左第7-8肋骨骨折、右腰動脈損傷、右後腹膜血腫、左脾損傷、左臀部血腫、仙骨後面血腫、左恥坐骨骨折の傷害を負わされ、入院生活を余儀なくされ、精神的にも肉体的にも苦痛を受けただけではく、本件事故の約3週間後に死亡するに至ったこと、被告の運転は飲酒運転でもあり、このことは慰謝料の算定に当たっては考慮してしかるべき事情であること、Aは、妻である原告と同居し、一家の生計を支えていたことなど本件に現れた一切の事情からすると、Aの死亡慰謝料は3000万0085円をもって相当と認める。
加害者の運転行為が悪質であるような場合には、必ず主張しましょう。
加害者の事故後の態度や行動が悪質である
加害者の事故後の態度や行動が悪質であるケースです。
次のような場合には、加害者の事故後の態度や行動が悪質であるとして、慰謝料が増額される傾向にあります。
- 被害者に謝罪をしない
- 反省の態度がない
- 話し合いで暴言を吐く
- 取り調べ段階で虚偽の供述をする
- 危険な運転の証拠を隠蔽する
このような事由がある場合には、必ず主張するようにしましょう。
被害者の受けた傷害の程度が大きい
被害者の受けた傷害の程度が大きいケースです。
例えば、次のようなものが挙げられます。
- 脳や脊髄の損傷
- 多数の部位にわたる骨折
- 内臓破裂
以下の裁判例では、被害者の受けた傷害の程度が大きいことが考慮され、慰謝料が増額されています(東京地裁平成15年8月28日判決)。
原告は、本件事故によって、脳の一部をえぐり取られ、入院中に大きな手術だけでも6回も受け、文字どおり生死の境をさまよったことのほか、原告の入通院期間、原告のその他に負った傷害の程度等を総合考慮し、入通院慰謝料の額は、原告ら主張どおり、480万円を相当と認める。
原告は、本件事故当時、21歳の独身女性であり、何ら落ち度がないにもかかわらず、若くして高次脳機能障害、左片麻痺、右眼喪失等の極めて重大な後遺障害を負い、生涯にわたり常時介護を要するに至ったこと、頭蓋骨が陥没し外貌についても著しい醜状が残ったこと、現在でもなお服薬を怠れば脳痙攣を起こして死亡する危険性を有していること等を総合考慮し、後遺障害慰謝料は3200万円を相当と認める。
傷害の程度が大きいほど、後遺障害の影響が大きいほど、慰謝料が増額される傾向にありますから、必ず主張するようにしましょう。
被害者家族への精神的・経済的影響が大きい
被害者家族への精神的・経済的影響が大きいケースです。
交通事故により、被害者だけでなくその家族に影響があった場合も、慰謝料の増額事由となる場合がありますから、必ず主張するようにしましょう。
交通事故の慰謝料を任意保険会社と示談交渉する際に心掛ける3つのポイント
保険会社と示談交渉する際に心掛けるポイントは、次の3つです。
示談交渉は症状が固定してから行う
示談交渉は症状が固定してから行いましょう。
治療が終了するまでは、被害者の受け取るべき慰謝料額が確定しません。
症状が固定するよりも前に示談をしてしまった場合には、それ以降に治療費等の損害が発生したとしても、原則請求できなくなります。
したがって、示談交渉は症状が固定してから行いましょう。
交通事故の損害賠償の相場を把握しておく
交通事故の損害賠償の相場を把握しておきましょう。
保険会社と交渉をするうえで、交通事故の損害賠償の相場を把握しておくことが大切です。
相場を知っておくことで、保険会社から慰謝料が提示された段階で、ある程度増額見込みのあるケースかどうかを判断できるでしょう。
したがって、交通事故の損害賠償の相場を把握しておきましょう。
言われるがまま示談に応じない
言われるがまま示談に応じないようにしましょう。
保険会社が提示してくる慰謝料は、裁判をした場合に認められる慰謝料よりも低く設定されていることがほとんどです。
ですから、保険会社から示談の提案があったとしても、すぐに応じないようにしましょう。
交通事故の慰謝料を増額するために弁護士に依頼する3つのメリット
交通事故の慰謝料を増額するために弁護士に依頼するメリットは、次の3つです。
裁判所基準(弁護士基準)による請求で慰謝料を増額できる可能性が高い
保険会社が提示してくる慰謝料は、任意保険基準をもとに算定されていることがほとんどです。
できるだけ多い慰謝料を獲得するには、弁護士の介入により、裁判所基準(弁護士基準)での請求をしていくことです。
弁護士が介入して、裁判所基準(弁護士基準)での慰謝料の交渉を行うことで、当初、保険会社から提示されていた金額よりも高い慰謝料を獲得できる可能性があります。
保険会社との示談交渉をすべて任せられる
交渉の相手は、交通事故に関する交渉のプロである保険会社ですから、ご自身で対応するのは大きな負担になるでしょう。知識と経験の差から、自分に有利な方向に交渉を進めていくのは難しい部分もあります。
あなたひとりで、裁判所基準(弁護士基準)で算定した慰謝料の交渉を試みても、保険会社は基本的に応じてくれないのが現状です。
弁護士に依頼することで、保険会社との交渉をスムーズに進めてもらえ、有利な条件での示談成立を目指せるでしょう。
示談がまとまらなかった場合には、裁判で解決を目指すことになりますが、弁護士であれば裁判の対応も任せられますから、負担が大きく減るでしょう。
必要書類の手続き等のサポートをしてもらえる
交通事故の慰謝料の交渉には、診断書や証明書等多くの書類を準備する必要があります。
申請手続き等も行う必要があります。弁護士に依頼することで、書類の準備や複雑な手続きのサポートをしてもらえます。
適切な後遺障害等級認定を獲得するための申請のサポートやアドバイスもしてもらえます。
まとめ
交通事故の慰謝料が保険会社から提示されている場合、すぐに示談に応じるのではなく、慰謝料の相場や算定基準についてきちんと確かめましょう。
慰謝料を増額するには、裁判所基準(弁護士基準)で請求するのが重要です。
弁護士であれば、保険会社に対し、裁判所基準(弁護士基準)での交渉を行えます。
交通事故に遭った場合には、弁護士へ早めに相談することをおすすめします。弁護士としてお手伝いできることがあるかもしれません。
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