交通事故による怪我で体調が優れない中、加害者側の保険会社とのやり取りにストレスを感じることがあるでしょう。被害者ご自身で示談交渉を行う場合は、保険会社から提示された慰謝料の額が妥当なのかどうかを判断できず、望むような結果が得られないこともあります。
交通事故の慰謝料に関する問題をご自身で解決できない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。
この記事では、交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットと依頼後の流れについて解説します。
目次
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
ここでは、交通事故の慰謝料請求(示談交渉)を弁護士に依頼するメリットを解説します。
慰謝料を増額できる可能性がある
弁護士に示談交渉を依頼すれば、慰謝料を増額できる可能性があります。
加害者側の保険会社は、慰謝料の算定に自社独自の支払い基準(任意保険基準)を用います。
任意保険基準は、自賠責基準の上乗せというものの、慰謝料や入院雑費等の定額扱いの賠償基準が弁護士基準(裁判)基準より低額です。
弁護士に依頼すれば、裁判実務でも用いられる弁護士(裁判)基準を用いて慰謝料を算定してもらえるため、慰謝料の増額が期待できます。
被害状況に見合った損害額を算定してもらえる
一般に、加害者側の保険会社が提示する示談金の額は、弁護士(裁判)基準以下が多いです。しかし、保険会社から提示された示談金の額に不満があっても、適切な反論をしなければ取り合ってもらえません。
弁護士であれば、保険会社に賠償額算定の根拠を問い合わせ、それに対して適切な反論を行えます。弁護士(裁判)基準を杓子定規にあてはめるのではなく、当該事案の具体的な事情に照らして適切な損害額を算定し、被害者側からの対案を提示します。
保険会社とのやり取りを一任できる
保険会社の担当者は、加害者の代わりに交渉するため、必ずしも被害者に親切丁寧に対応するとは限りません。被害者の体調を気遣うことのない無遠慮な対応にストレスを感じることもあるでしょう。
治療が不十分にもかかわらず治療費の打ち切りを打診されたり、被害者の過失を過大に主張されたりすることもあります。
弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉を任せられるため、このようなストレスから解放され、治療に専念できます。
通院や治療に関するアドバイスをもらえる
必要かつ相当な治療行為の費用は、原則として実際に支払った実費全額が損害として認められます。ただし、通院の頻度が高すぎたり低すぎたりすると、治療の必要性や相当性が疑われ、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。
通院や治療については、保険会社に指摘されるような落ち度を作らないことも重要です。
弁護士に依頼すれば、主治医の意見を踏まえて、適切な頻度と相当な期間で必要な治療を受けるためのアドバイスが得られます。
保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合も、具体的な治療計画・治療方針を説明して治療継続の必要性・支払いの延長を主張してもらえます。
後遺障害等級認定のためのサポートを行ってくれる
治療しても治癒できない怪我があったり、痛みや痺れなどの症状が残ったりする場合には、後遺障害等級が認定されるかもしれません。
後遺障害の認定申請は自分でもできますが、手続きが煩雑で資料集めの負担もかかります。
弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きを一任でき、認定を受けやすくするために必要な検査等のアドバイスも受けられます。
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するデメリット
ここでは、交通事故の慰謝料請求(示談交渉)を弁護士に依頼するデメリットを解説します。
弁護士費用がかかる
弁護士に交通事故の慰謝料請求(示談交渉)を依頼すると、弁護士費用がかかります。
弁護士への依頼で慰謝料が増額できても、弁護士費用が増額分を上回れば費用倒れになるのではないかと不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
費用倒れに不安がある方は無料相談を活用して、予想される示談金(慰謝料を含む)の増額幅や弁護士費用の相場の事前確認をおすすめします。
弁護士費用特約を利用すればデメリットを解消できる?
被害者本人やご家族が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、実質無料で弁護士に依頼できる可能性があります。
保険会社にもよりますが、一般的に300万円までの弁護士費用を保険金で補償してもらえます。弁護士費用特約の利用により保険等級が下がることはないので、安心して利用できます。
交通事故の慰謝料が弁護士に依頼すると増額される理由とは?
ここでは、慰謝料の3つの算定基準と弁護士への依頼により慰謝料が増額する理由について解説します。
慰謝料を算定する3つの基準
交通事故の慰謝料を算定する基準には、次の3つがあります。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士(裁判)基準
自賠責基準
自賠責基準は、交通事故の被害者に対し、法令で決められた最低限の補償を目的とした基準です。
任意保険基準
任意保険基準は、各保険会社が独自に定めている慰謝料の基準です。任意保険は自賠責保険の不足部分を補う保険であるため、自賠責基準よりは若干高くなると言われています。
ただし、保険会社内部の基準であるため、具体的な金額や計算方法は公開されていません。
弁護士(裁判)基準
弁護士基準は、裁判所が適正な慰謝料を算定した過去の裁判例をもとに定められた基準です。
弁護士(裁判)基準は3つの基準の最高値
弁護士(裁判)基準は、3つの算定基準の中で最も高い基準です。
弁護士(裁判)基準で慰謝料を計算すると、自賠責基準や任意保険基準で計算した金額よりも高くなります。
それぞれの基準で算定する慰謝料のイメージは、下図のとおりです。
弁護士(裁判)基準は、過去の裁判例をもとに定められた基準なので、本来は訴訟を提起しなければ得られない金額です。
しかし、弁護士が交渉すれば示談交渉でも弁護士(裁判)基準で算定した金額の獲得が望めます。
加害者側の保険会社は、弁護士からの請求を拒めば裁判になる可能性があることを理解しているからです。訴訟に移行した場合の費用・時間や交渉での請求金額以上の支払い義務を負うリスクを考慮し、示談に応じた方が自社の損失を低くできると判断する傾向があります。
弁護士(裁判)基準で算定した場合の慰謝料が、他の基準で算定した場合の慰謝料とどのくらい変わるのかについては、下記関連記事をご参照ください。
交通事故の発生から解決までの流れ・期間と弁護士に依頼するタイミング
ここでは、交通事故の発生から解決までの流れ・期間と弁護士に依頼するタイミングについて解説します。
事故発生から解決までの流れ
事故発生
交通事故が発生したら、警察への届出が必要です。
事故の相手方について、以下の情報も収集しましょう。
- 相手方の氏名・住所・連絡先
- 車両ナンバー
- 相手方が加入している保険会社の名称・連絡先
治療(入院・通院)
交通事故の被害に遭ったら、速やかに病院を受診しましょう。
外傷や目立った症状がなくても、医師の診断を受けることが大切です。事故直後は怪我がないと思っていても、後から症状が現れる場合もあります。
事故から時間が経ってから病院を受診しても、医師は交通事故による怪我かどうかを判断できません。その場合、保険会社が事故との因果関係を否定して、治療費の支払いに応じない可能性があります。
怪我をした場合は、加害者側の保険会社に提出する診断書と警察提出用の診断書の作成を医師に依頼しましょう。警察に診断書を提出して人身事故の届出をしなければ、実況見分調書が作成されないため、過失割合の認定にあたって不利になることがあります。
治癒または症状固定
治療により症状がなくなり治癒と診断されたら、事故によって発生した損害額(治療費・通院交通費・休業損害・入通院慰謝料など)を確定します。
治癒以外で治療を終了するタイミングは、医師に症状固定と診断された時です。症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態を指します。
後遺障害が残った場合は、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。
なお、治療に長期間を要する傷害事故では、治癒または症状固定前でも、治療費・休業損害・通院交通費等の内払い・仮払いを求める交渉を行うことがあります。
後遺障害等級の認定申請手続き
事故による障害が治癒せずに症状固定となった場合は、後遺障害等級の認定申請を行います。
申請方法には、以下の2種類があります。
- 事前認定:加害者側の保険会社に書類の収集・作成や申請手続きを任せる方法
- 被害者請求:被害者自ら書類を収集・作成して直接申請する方法
事前認定は、被害者側の手間や時間を省けますが、加害者側の保険会社が等級認定に有利となる資料を提出してくれるとは限りません。保険会社が提出する意見書が審査に影響を及ぼし、本来あるべき等級よりも低い認定となるおそれもあります。
被害者請求では、書類の収集や作成に手間がかかりますが、適正な等級認定を妨げる資料を付けられる心配はありません。認定に有利となる検査画像等の医学的所見や主治医の意見書等を提出することで、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性を高められます。
示談交渉開始
事故による損害が確定したら、加害者側の保険会社との示談交渉を開始します。
通常は、加害者側の保険会社が自社独自の基準に従って損害額を算定し、被害者に示談金を提示します。ただし、保険会社が当初提示する額は、不相当に低額であることが多いです。
そのため、賠償費目や損害額算定の根拠を問い合わせたり、資料の写しを取り寄せたりして、保険会社が提示した内容が適切であるかどうかを検討します。
被害者側から対案を提示して、保険会社の再提示が弁護士(裁判)基準に近づいたときに、訴訟に移行した場合の費用やリスク等を勘案し、示談に応じるかどうかを判断します。
示談成立
示談金額に双方が合意すれば、示談が成立します。
示談成立後は、示談書を作成して取り交わします。被害者側のみに弁護士が就いている場合には、保険会社が免責証書を作成し、その記載事項を確認して被害者(又は代理人)が記名押印するのが一般的です。
事故発生から解決までの期間
事故発生から解決までの標準的な期間は以下のとおりです。
物損事故の場合
物損事故の場合、事故発生から損害額の確定に1~2か月程度かかるのが一般的です。
交渉開始から示談成立までの期間は、2~3か月程度です。ただし、修理費や車両の買い替え差額等について、当事者間に争いがある場合は、それ以上かかることがあります。
人身事故の場合
人身事故の場合は、治癒または症状固定後に示談交渉を開始します。
受傷の程度や治療経過によって損害額を確定するまでの期間が異なるため、事故発生から示談交渉を開始する期間はケースバイケースです。
示談交渉がスムーズに進めば、交渉開始から2~3か月程度で示談が成立します。
死亡事故の場合
死亡事故の場合は、理論的には事故発生時に損害が確定しているため、事故後いつでも示談交渉を開始できます。一般的には四十九日が済んでから示談交渉を開始します。
示談交渉がスムーズに進めば、交渉開始から2~3か月程度で示談が成立します。
弁護士に依頼するタイミング
弁護士に慰謝料請求(示談交渉)を依頼する適切なタイミングは以下のとおりです。
物損事故の場合
物損事故の場合は、加害者側との示談交渉を開始する前に弁護士に依頼しましょう。
物損事故の示談交渉では、加害者と被害者の過失割合が争点となります。
事故態様や当事者の状況、事故現場の客観的な状況等の記憶が新しいうちに、できるだけ早い段階で弁護士への相談をおすすめします。
人身事故の場合
人身事故の場合は、治癒または症状固定後に損害額が確定するため、弁護士への依頼は治療終了後がベストなタイミングと考える方もいらっしゃいます。
損害額が確定すれば、加害者に請求できる金額や弁護士費用の見積もりがとれるからです。
しかし、弁護士のサポートは、紛争の最終的な解決を目指すものに限られません。
治癒または症状固定前でも、以下のようなサポート・交渉を行います。
- 治療費の打ち切りへの対応
- 損害額の内払い・仮払いを求める交渉
- 通院や治療に関するアドバイス
人身事故の対応を弁護士に依頼するベストなタイミングはケースバイケースですが、弁護士への相談自体はできるだけ早い方が良いでしょう。
死亡事故の場合
死亡事故の場合は、事故直後なるべく早い段階で弁護士への依頼をおすすめします。
死亡事故では、理論的には事故発生時に損害が確定しているため、事故後いつでも示談交渉を開始できます。
しかし、交通事故により大切な家族を失ってしまった喪失感や加害者への怒りを抱える中で、保険会社とやり取りすることは精神的な負担がかかります。
事故直後に弁護士に依頼すれば、保険会社とのやり取りや資料収集などの手続きを一任できるので、被害者のご遺族の負担を軽減できます。
交通事故の慰謝料はいつ振込まれる?弁護士に依頼した方が早い?
ここでは、示談金が振り込まれる時期について解説します。
示談成立から2~3週間程度
示談金が振り込まれる時期は、示談成立から概ね2~3週間です。
弁護士に依頼すれば示談成立までの期間を短縮できる可能性がある
加害者側の保険会社は、保険金の支払いをなるべく低く抑えたいと考えているため、不相当に低い示談金が提示されることがほとんどです。保険会社が強固な態度を貫き、被害者が納得できない状況が続けば、解決までの期間が長引きます。
弁護士に依頼すれば、示談成立までの期間を短縮できる可能性があります。弁護士が十分な証拠を示して裁判例に近い損害額を提示すれば、保険会社も時間や費用をかけて訴訟をするよりは交渉で解決した方が良いと考える傾向にあるからです。
交通事故の慰謝料請求にかかる弁護士費用の相場は?
ここでは、交通事故の慰謝料請求(示談交渉)の弁護士費用の相場を紹介します。
法律相談料|30分5,500円~11,000円程度
交通事故の慰謝料について弁護士に相談すると、法律相談料がかかります。
法律相談料の相場は、30分5,000円~11,000円程度です。
交通事故の被害者からの相談については、相談料を無料とする法律事務所もあります。
着手金|20万円~30万円程度
着手金は、弁護士に事件を依頼した時点で発生する費用です。
交通事故示談交渉の着手金の相場は、20万円~30万円程度です。
法律事務所や事案によって異なりますので、相談時に確認しましょう。
報酬金|経済的利益の10~20%
報酬金は、事件解決時に依頼者に利益が生じた場合に支払う費用です。
交通事故案件では、示談金として獲得した金額の10~20%程度が成功報酬として設定されている場合が多いです。
日当|1日当たり3万円~5万円程度
日当とは、弁護士が出張など事務所外で行う弁護活動に対してかかる費用です。
日当の相場は移動距離や活動日数によって異なりますが、1日あたり3万円~5万円程度が一般的です。
実費|数千円~数万円程度
弁護士が依頼を受けた事件の処理に要した費用は、実際にかかった費用を請求されることが多いです。
具体的には、以下のような費用です。
- 書類取得費:交通事故証明書、刑事記録の取寄せにかかる費用など
- 交通費:病院・警察署・事故現場への往復交通費など
- 通信費:依頼者や加害者側の保険会社との連絡用郵便切手など
交通事故の慰謝料請求を依頼するならどんな弁護士がおすすめ?
ここでは、交通事故の慰謝料請求(示談交渉)を依頼する弁護士選びのポイントを解説します。
交通事故事案の実績が豊富
交通事故分野の経験と実績が豊富な弁護士に依頼しましょう。
依頼した弁護士が、交通事故の示談交渉や後遺障害等級認定の手続きに精通していなければ、納得のいく結果が得られないこともあります。
交通事故分野に力を入れており、解決実績が豊富な弁護士を見つけましょう。
丁寧かつ親切な対応
丁寧かつ親切に対応してくれる弁護士を選びましょう。
迅速に対応してくれるか、積極的に解決策をアドバイスしてくれるかなど、法律相談を通じて印象を確かめることをおすすめします。
明瞭な料金体系
弁護士を選ぶ際は、料金体系が明確かどうかも重要なポイントです。
慰謝料をどのくらい増額できるのか、その場合の報酬金はいくらになるのか等を分かりやすく説明してくれる弁護士に依頼しましょう。
交渉で解決した場合や訴訟に発展した場合など、必要な手続きや段階に応じて発生する費用を明確に説明してくれれば、安心して任せられるでしょう。
まとめ
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すれば、慰謝料増額が期待できるだけでなく、保険会社との面倒なやり取りから解放され、精神的な負担を軽減できます。
ネクスパート法律事務所では、交通事故被害に関する相談は、初回30分無料でお受けしています。
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