交通事故の被害に遭い、気が動転しているうちに相手方保険会社から連絡が入ると、どのように対応すればよいかわからなくなってしまうこともあるでしょう。
ご家族が事故に遭い、重度の障害が残る可能性があれば、ご家族のお怪我の具合だけでなく、将来の介護や生活費なども心配になるでしょう。
そのようなとき、誰に相談すればよいのでしょうか。
この記事では、交通事故の相談窓口について、以下の点を解説します。
- 交通事故に関する悩みに応じた無料相談・電話相談窓口
- 無料相談の活用方法
- 法律事務所の無料相談をおすすめするケース
交通事故の被害に遭われた方は、ぜひご参考になさってください。
目次
交通事故の無料相談窓口5つ
ここでは、交通事故の無料相談窓口として以下の5つの相談機関を紹介します。
- 法律事務所|総合的な解決を目指す相談窓口
- 交通事故紛争処理センター|被害者のための相談窓口
- NASVA|重度の障害を被った被害者の入院・介護料等の支給に関する相談窓口
- 各自治体の無料法律相談|お住まいの地域の相談窓口
- 法テラス|適切な相談先の案内窓口
法律事務所|総合的な解決を目指す相談窓口
交通事故で被った損害について、総合的な解決を目指す場合は、法律事務所の無料相談を利用しましょう。
交通事故の知識や実績が豊富な弁護士に相談すれば、事故の状況や被害者の受傷状況を考慮した具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
法律事務所には、主に以下の点を相談できます。
- 交通事故の示談交渉の流れ
- 相手方保険会社の主張が妥当かどうか
- 相手方保険会社が提示する慰謝料や示談金の額が適正かどうか
- 事故に対して自分にも過失があるかどうか
- 後遺障害等級の認定を得られる見込みがあるかどうか
- 治療を受ける上で気を付けるべき点はあるか
- 加害者の刑事事件に参加できるか
- 加害者の刑事記録を入手する方法
- 正式に依頼した場合はどのようなサポートが受けられるか
- 弁護士に依頼すれば慰謝料や示談金はどの程度増額が見込まれるか
- 示談交渉を依頼した場合の弁護士費用はいくらか
無料相談をしても、相談した弁護士に必ず依頼しなければならないわけではありません。複数の法律事務所の無料相談を利用して、比較検討すると良いでしょう。
交通事故紛争処理センター|被害者のための相談窓口
公益財団法人交通事故紛争処理センターは、自動車事故の被害者のために、以下の支援体制を無料で提供しています。
- 自動車事故の損害賠償に関する法律相談
- 和解あっせん
- あっせん不調後の審査手続き
法律相談
法律知識がなく交渉に不慣れな被害者のために、センターの相談担当弁護士が相談に乗ってくれます。相談時に、事故の状況や示談交渉の経緯が分かる資料を提出することで、相談担当弁護士が、中立公正な立場でアドバイスをしてくれます。
法律相談の後は、次に説明する和解あっせんの手続きに進むのが一般的です。
和解あっせん
被害者が和解あっせんを申立てると、センターは、加害者側の保険会社に対して期日への出席を要請します。
和解あっせんは、原則として初回法律相談を受けた相談担当弁護士が担当します。期日では、相談担当弁護士は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で和解のためのあっせん案を提示します。
あっせん案を当事者双方が受け入れた場合は、相談担当弁護士の立ち会いのもと、示談書または免責証書を作成します。
あっせん不調後の審査手続き
あっせん案で和解できなかった場合は、審査手続きに移ります。和解あっせんの不調の通知を受けた日後14日以内に、審査会に審査を申立てます。
審査手続きでは、センターに選任された学識経験者・裁判官経験者・弁護士などで構成された審査員が、当事者双方の主張や提出書類を確認・審査し、結論を示す裁定が行われます。
被害者が裁定を受け入れれば、示談成立となり事件が終了します。
参考:交通事故相談なら 交通事故紛争処理センター (jcstad.or.jp)
NASVA|重度の障害を負った被害者の入院・介護料等に関する相談窓口
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)は、交通事故の被害に遭われた方やその家族に対し、保険制度では救済しきれない経済的・精神的な支援サービスを提供しています。
療護施設
自動車事故による脳損傷で重度の後遺障害が残り、治療や常時介護が必要な方のうち、入院要件を満たす方が入院できる療護センターが国内4か所(委託病床は国内7か所)に設置されています。
これらの療護施設では、交通事故による脳損傷で重度の後遺障害(遷延性意識障害等)を被った被害者に対し、手厚い治療や看護、リハビリテーションが行われています。
介護料の支給
NASVAには、自動車事故が原因で、脳、脊髄または胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害が残った方のうち、移動・食事及び排泄など日常生活動作について常時または随時の介護が必要な状態の方のために、介護料の支給制度が用意されています。
自賠責保険の後遺障害等級1級または2級の認定を受け、在宅にて介護を受けている方や病院に入院中でも家族の介護を受けている方は、要件を満たせば介護料の支給を受けられるかもしれません。
介護に不安を抱えている被害者のご家族の方は、一度相談してみると良いでしょう。
生活資金貸付
NASVAでは、自動車事故による被害者の方に対して、以下のとおり様々な貸付制度が用意されています。
交通遺児等貸付 |
自動車事故により死亡した被害者や、重度の後遺障害が残った被害者の子に対する貸付 |
不履行判決等貸付 |
自動車事故による被害者で、確定判決や和解等によっても、損害賠償を受けられない方に対する貸付 |
後遺障害保険金一部立替貸付 |
自動車事故により後遺障害が残った被害者に対し、その後遺障害について自賠責保険金の請求から支払いがなされるまでの間に対する貸付 |
保障金一部立替貸付 |
悪質な事故(ひき逃げや無保険車)の被害者で、政府の保障事業に保障金を請求してから支払いがなされるまでの間に対する貸付 |
各貸付制度には、利用条件が定められております。詳細は以下をご確認ください。
参考:独立行政法人自動車事故対策機構 NASVA(交通事故)
各自治体の無料法律相談|お住まいの地域の相談窓口
全国の地方自治自体(市区町村等)では、弁護士を招いた無料法律相談が定期的に開催されています。
市区町村等の無料法律相談は時間が限られているため、一般的な相談に留まることが多いですが、お住まいの地域で弁護士に相談できる便利さが特徴です。
市区町村等の無料相談では、主に以下の点を相談できます。
- 交通事故の示談交渉の一般的な流れを知りたい
- 弁護士に依頼すべきケースかどうか意見を聞きたい
自治体によっては、交通事故相談所を設置していることもあります。
お住まいの地域に交通事故専門の相談所がある場合は、専門の交通事故相談員に無料で相談できます。
詳しくは、お住まいの都道府県または市区町村にお問い合わせください。
法テラス|適切な相談先の案内窓口
日本司法支援センター(法テラス)では、相談者からの問い合わせ内容に応じて、適切な相談機関に関する情報を無料で提供しています。
交通事故の被害に遭い、どこに相談すればよいか分からない場合は、法テラスに相談すると良いでしょう。
一定の要件を満たせば無料で弁護士の法律相談を利用できます。
参考:相談窓口・法制度 | 法テラス (houterasu.or.jp)
※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。
交通事故の無料電話相談を受け付けている窓口3つ
ここでは、交通事故の無料電話相談窓口として以下の3つの相談機関を紹介します。
- 日弁連交通事故相談センター|自動車・二輪車事故や高次脳機能障害の相談に対応
- 自賠責保険・共済紛争処理機構|自賠責保険に関する相談に対応
- そんぽADRセンター|損害保険の一般的な相談・保険会社とのトラブルに対応
日弁連交通事故相談センター|自動車・二輪車事故や高次脳機能障害の相談に対応
日弁連交通事故相談センターは、弁護士が公正中立の立場で相談を受ける公益財団法人です。
自動車や二輪車の事故の民事上の法律問題に関して、以下の業務を無料で提供しています。
- 電話相談
- 面接相談
- 示談あっ旋・審査
そのほか、交通事故による高次脳機能障害に関する相談も全国8か所の相談所で行っています。
電話相談の時間は10分程度ですが、面談相談に行けないときや、説明が簡単な質問を手早く済ませたいときに便利です。
相談内容が複雑な場合や具体的なアドバイスを希望する場合は、面談相談を利用すると良いでしょう。
参考:【公式】日弁連交通事故相談センター|全国無料相談 (n-tacc.or.jp)
自賠責保険・共済紛争処理機構|自賠責保険に関する相談に対応
一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構では、自賠責保険や共済に関する相談を電話で受け付けています。
自賠責保険・共済紛争処理機構には、主に以下の点を相談できます。
- 自賠責保険金や共済金の支払基準について(治療費・休業損害・慰謝料等)
- 自賠責保険の過失相殺の取扱いについて
- 自賠責保険の後遺障害の等級認定制度について
- 自賠責保険・共済紛争処理機構が行う調停(紛争処理)申請の手続きについて
参考:ご相談等について|一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構 (jibai-adr.or.jp)
そんぽADRセンター|損害保険の一般的な相談・保険会社とのトラブルに対応
一般社団法人日本損害保険協会は、そんぽADRセンターを設置し、以下の業務を提供しています。
- 交通事故被害者からの相談や苦情等の対応
- 損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情受付
- 損害保険会社との間の紛争解決の支援(和解案の提示等)
弁護士のサポートを受けずにご自身で示談交渉を行う際に、保険会社の対応が不誠実であったり、連絡がこなくて話し合いが進まなかったりするときは、そんぽADRセンターに相談や苦情を申し入れると良いでしょう。
そんぽADRセンターへの電話相談や苦情・紛争解決手続にかかる費用は原則として無料(通話料は有料)です。
参考:相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)|日本損害保険協会 (sonpo.or.jp)
交通事故の無料相談・無料電話相談を上手に活用するコツ
ここでは、交通事故の無料相談・無料電話相談を上手に活用するコツを紹介します。
無料相談・無料電話相談を有効活用するポイントは、以下の3点です。
- 相談事項をメモにまとめる
- 交通事故に関する資料を手元に用意する
- 保険会社から届いた資料を手元に用意する
相談事項をメモにまとめる
面談・電話のいずれの場合でも、無料相談には、一般的に時間制限や回数制限があるため、あらかじめ相談事項をメモにまとめておくと良いでしょう。
適切なアドバイスを受けるためには、相談相手に事実関係を正確に把握してもらう必要があります。
事故の状況や交渉の経緯を時系列順に説明できるよう準備しましょう。
交通事故に関する資料を手元に用意する
相談時には、交通事故に関する資料を手元に用意して臨むのが理想的です。
面談時に客観的な資料を確認してもらうことで、より具体的なアドバイスを受けられます。
具体的にどんな資料を用意すれば良いか分からないときは、予約時にあらかじめ確認すると良いでしょう。
保険会社から届いた資料を手元に用意する
相手方保険会社から書面が届いていれば、相談時に手元に用意しましょう。
保険会社からどのような提案があったかを正確に把握できれば、それに対する反論・対応方法も具体的に助言してもらえます。
法律事務所で交通事故の無料相談を受けた方が良いケース
ここでは、法律事務所で交通事故の無料相談を受けた方が良いケースを紹介します。
示談交渉がうまくいかない
相手方保険会社の担当者は、日常的に交通事故の示談交渉を取り扱っています。
交通事故対応に関する一定の知識や交渉技術がある保険会社を相手に、専門知識のない被害者が自力で交渉を進めるのは至難の業です。
ご自身の言い分を聞き入れてもらえないと感じたら、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
不利な内容で示談を成立させないためには、専門家のサポートが不可欠です。
相手方保険会社からの提案に納得できない
相手方保険会社からの提示された示談金や過失割合等に納得できない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
保険会社は、交渉経験や知識をもとに、なるべく支払い額を抑えるような交渉を行います。
被害者本人に交通事故に関する法律等の知識がないと判断すると、損害額の算定や過失割合の決定において、加害者側に有利な提案を行うことも少なくありません。
後遺障害が残る可能性がある
交通事故による怪我で後遺障害が残る可能性がある場合も、弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害等級の認定手続きでは、提出した書類が重視されます。同じ怪我でも後遺障害診断書の内容や画像等の客観的証拠が充実しているかどうかによって、認定結果が変わる可能性があります。
後遺障害等級認定の手続きに詳しい弁護士に相談すれば、認定を受けやすくなるためのアドバイスを受けられるでしょう。
加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いている
被害者ご本人やご家族が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合は、保険会社の事前承諾を受けることで、無料で弁護士の法律相談を受けられます。
正式に依頼した場合も、通常300万円まで(保険会社による)の弁護士費用を保険金で補償してもらえます。
費用面で弁護士への相談・依頼を躊躇している方は、ご自身の加入保険に弁護士費用特約が付いていないか、一度確認すると良いでしょう。
弁護士に交通事故を相談・依頼するメリット
ここでは、交通事故について弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
交通事故の示談交渉について弁護士に相談・依頼するメリットは、主に以下のとおりです。
- 具体的な解決方針やアドバイスを得られる
- 相手方や保険会社への対応を一任できる
- 慰謝料の増額が期待できる
- スムーズな解決が望める
- 後遺障害等級認定申請に必要なサポートが得られる
弁護士費用特約を利用できる場合は、賠償額が高額にならない限り、実質無料で弁護士に依頼できるため、獲得した示談金のほとんどが手元に残ります。
交通事故を依頼する弁護士は無料相談を活用して選ぼう!
ここでは、交通事故の示談交渉を依頼する弁護士選びのポイントを解説します。
交通事故に関する知識や実績が豊富
交通事故に関する知識や実績が豊富な弁護士を選びましょう。
依頼した弁護士が、交通事故の示談交渉や後遺障害等級認定の手続きに精通していなければ、満足な結果が得られないこともあります。
事務所のホームページで得意分野や解決実績を確認し、交通事故を積極的に扱っている弁護士を探すと良いでしょう。
分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれる
交通事故の示談交渉では、弁護士と保険会社との間で法律的な専門用語だけでなく医学的な専門用語も飛び交うことがあります。
弁護士から説明を受けても、難しくて理解ができなければ解決方針や交渉の進め方を決める際に、意思疎通が図れません。重要な決定に被害者の意思が伴わなければ、納得のいく解決に至らない可能性もあります。
弁護士が分かりやすい言葉で丁寧に説明しているかを見極めるためにも、複数の法律事務所の無料相談を利用し、比較検討すると良いでしょう。
料金体系が明確である
弁護士を選ぶ際は、料金体系が明確かどうかも重要なポイントです。
どの程度の示談金を見込めるのか、その場合の報酬金はいくらになるのか等を分かりやすく説明してくれる弁護士に依頼しましょう。
依頼前にしっかりと料金を確認し、納得してから契約を結びましょう。
まとめ
交通事故の相談窓口は複数ありますが、示談交渉を一任したい場合や、なるべく多く示談金を獲得したいと希望する場合には、法律事務所に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼する場合は、交通事故分野に注力しているか、説明が丁寧で分かりやすいか、料金体系が明確であるかに留意して選ぶと良いでしょう。