2021年の交通事故発生件数は30万5,169件で、そのうち死亡事故は2,583件です。
交通事故は自分がどんなに気をつけていたとしても、加害者や被害者になる可能性があります。そして突然の事態に何をどうしたら良いのか戸惑われるでしょう。
ここでは、交通事故の死亡事故において、加害者側と被害者側それぞれへ弁護士ができるサポートについて解説します。
目次
死亡事故の加害者が負う責任3つ
死亡事故の加害者は、刑事責任・民事責任・行政責任の3つの責任を負う可能性があります。ここでは、それぞれの責任についてご説明いたします。
刑事責任
犯罪として刑罰を受ける責任です。
科せられる刑罰
交通事故の死亡による科せられる刑罰の一部は下記の表のとおりです。状況などにより刑罰の内容が変わります。
|
刑 罰 |
危険運転致死傷 |
15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役 |
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱 |
12年以下の懲役 |
過失運転致死傷 |
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金 |
無免許運転による加重 |
6月以上の有期懲役 |
参照:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律|e-GOV法令検索
上記の刑罰以外に死亡事故を起こした場合は、殺人罪に問われてしまうのでしょうか?
殺人罪は、死に至らしめた行為が故意である場合に適用されます。交通事故の場合は不注意や操作ミスなど過失によるものがほとんどのため、殺人罪になるケースは少ないでしょう。
保険金目当てのように、明確な殺意をもって交通事故により死亡させた場合は、過失ではないので殺人罪が適用される可能性が高くなります。
交通事故で死亡事故を起こしたら、刑事裁判を受け刑罰を受ける可能性があります。刑事裁判で有罪になれば前科がつきます。
不注意で起こした場合は過失運転致死罪、危ないと知っていたにも関わらず起こした場合は危険運転致死罪など、刑罰の種類は事故を起こした状況などによって異なります。
避けようがない状況であった場合は裁判で無罪を争う場合もありますが、飲酒運転やあおり運転、ひき逃げなどは重い刑罰が科せられます。
会社の従業員の場合は使用者も責任を問われる
民法では、従業員が第三者に与えた損害に対して、使用者も損害を賠償する責任を負うと定められています。
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
参照:民法|e-GOV法令検索
就業時間内での事故か、就業時間外での事故かによって解釈が異なる場合がありますが、社用車を使用していたのであれば就業中とみなされるケースがあります。また、就業時間内に自家用車で事故を起こした場合は、業務で自家用車を使用することを認めていたりガソリン代を支給していたりした場合は、使用者責任が問われるケースがあります。
状況によって異なりますので、詳細は弁護士に確認しましょう。
民事責任
被害者に損害賠償金を支払う責任です。
交通事故で死亡事故を起こしたら、被害者遺族へ損害賠償金を支払わなければなりません。
損害賠償金には、慰謝料・逸失利益・葬儀費用などが含まれます。
民法では、死亡した本人以外に被害者遺族に対しても損害の賠償をしなければならないとされており、損害賠償金額は事故のケースによって変わります。
(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
参照:民法|e-GOV法令検索
行政責任
免許取消や一定期間の免許停止などを受ける責任です。
交通違反で点数が加算されると、免許取消や免許停止の行政処分を受けます。過失運転致死の場合は免許取消となり、最低でも1年間が欠格期間となり免許を再取得できません。
行政処分の前歴や違反点数によって、停止期間などが異なり、飲酒運転やひき逃げによる事故の場合は、点数が加算される場合があります。
参照:行政処分基準点数|警視庁
死亡事故の加害者が弁護士に相談するメリット3つ
交通事故をおこしてしまった場合、事故直後の対応が終わったら速やかな弁護士への相談をお勧めいたします。
弁護士への相談は早ければ早いほどメリットが増えます。ここでは、主なメリットについてご説明いたします。
処分の見込みと対応がわかる
事故の状況などを正確、かつ、詳細に弁護士に話すことで、今後起こりえる処分の見込みやそれに対する対応方法について相談できます。
上記の3つの責任についても、事故態様などによって変わるので、交通事故の案件を数多く手掛ける弁護士に相談することで、適切な対応ができます。
警察や保険会社との対応をまかせられる
死亡事故を起こした場合は、逮捕されるとは限らず、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば在宅捜査になるケースがあります。身柄が拘束されていなければ、すぐに弁護士に相談し、今後の対応について確認した後、依頼を検討しましょう。
事故状況については過失責任を争うケースもあり、裁判の対応をしなければならない可能性があります。弁護士に依頼することで、事故後の警察への対応や裁判、保険会社とのやりとりもすべて任せられます。
被害者側との示談をまかせられる
交通事故の加害者は、損害賠償金を支払う民事責任があります。被害者側は大切な家族を亡くしたことで加害者側と直接連絡を取ることに難色を示す場合が多く、示談の話を勧めることが難しくなります。
示談の成立は刑事責任においても重要です。経験豊富な弁護士であれば、適切な示談のタイミングの判断ができ、真摯に粘り強く交渉することで、示談に応じてもらえる可能性が高まります。
死亡事故の加害者が支払う費用
死亡事故を起こした加害者が支払う費用は主に以下のものがあります。
- 弁護士に支払う弁護士費用
- 被害者側へ支払う費用(治療費・入通院交通費・入通院雑費・死亡慰謝料など)
- 行政へ支払う罰金
ネクスパート法律事務所の弁護士費用
交通事故の加害者側の場合は、一般刑事事件としてご依頼いただきます。
ご依頼いただく際の段階や状況に応じて着手金・成功報酬が異なりますので、ご相談の際に弁護士にご確認ください。
詳細はコチラをご参照ください。
刑事事件で弁護士費用特約は利用できない
ご加入の任意保険に弁護士費用特約が付いていても、刑事事件としてはご利用いただけない場合が多いです。ただし、示談交渉などの民事事件としてはご利用いただける場合もございますので、ご加入の保険会社に確認しましょう。
示談金
示談金はさまざまな損害を考慮し、被害者側と加害者側で話し合い、双方が合意した金額です。示談金には主に以下のような項目が含まれます。
治療費
事故直後ではなく入院し治療を開始したにもかかわらず後日亡くなられる方もいらっしゃいます。事故後から亡くなるまでの入院や通院でかかった治療費です。
入通院交通費・入通院雑費
事故後の入院や通院でかかった交通費です。公共交通機関が利用できない場合はタクシー代も含まれる場合があります。自家用車を利用した場合は、ガソリン代や高速道路料金、駐車場代も含まれ、看護のための近親者の交通費も含まれる場合があります。
入院するにあたりかかった日用品や通信費なども1日の限度額はありますが雑費として認められます。診断書などの文書費も雑費に含まれます。
医師の指示または病状や被害者の年齢などにより付添人が必要だった場合はその金額も請求が認められる場合があります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、亡くなられた本人や突然家族を亡くされた方の精神的苦痛に対する慰謝料です。自賠責基準と弁護士費用基準では金額が大きく異なります。
【自賠責基準】※令和2年4月1日以降に発生した事故の場合
死亡本人 |
400万円 |
遺族 |
請求者1人:550万円 請求者2人:650万円 請求者3人以上:750万円 |
請求者権は、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者及び子(養子、認知した子、胎児を含む)とし、被害者に被扶養者がいるときは、上記金額に200万円が加算されます。
【弁護士基準】
被害者が一家の支柱 |
2,800万円 |
被害者が母親、配偶者 |
2,500万円 |
被害者がその他 (独身の男女、子供、幼児など) |
2,000~2,500万円 |
どちらも、上記の金額は一例であり、事故の状況や事情により金額が増減する可能性があります。
任意保険に加入していれば、保険会社が被害者遺族と示談交渉をして、決められている限度額までを支払います。
任意保険に未加入の場合は、加入している自賠責保険から賠償金が支払われますが、示談交渉はできず上限が決まっているので、すべての賠償金額を補償してもらえるとは限りません。
任意保険にご加入の場合も未加入の場合も、損害賠償金額の不足分はご自身が負担しなければなりません。
保険の契約内容によっては、以下のケースもありますので、詳細は保険会社に確認しましょう。
・加害者側の治療費などは補償されない
・人的損害の補償はカバーするが、物的損害の補償はカバーされない
罰金
死亡事故の刑罰は多くが懲役または禁錮刑ですが、過失運転致死傷の場合は、懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
参照:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律|e-GOV法令検索
罰金刑になった場合は、執行猶予がつくことはほとんどありません。罰金刑が言い渡されると「納付告知書」が送られてくるので、後日記載された金融機関で納付するか、検察庁に出向き直接納付します。
死亡事故の被害者家族が弁護士に相談するメリット6つ
ご遺族の皆様は、あまりにも突然のことで悲しみが癒えないまま手続に追われていらっしゃるのではないでしょうか。事故後の賠償金請求などは被害者側が進めていかなくてはなりません。
刑事責任も民事責任(損害賠償責任)も一度確定すると内容を覆せません。保険会社はできるだけ支払う金額を減額しようとする場合が多いので、保険会社から提示された金額ですぐに示談するのではなく、交通事故を数多く扱っている弁護士への相談をお勧めいたします。ここでは、被害者家族が弁護士に相談する主なメリットについてご説明いたします。
保険会社や加害者とのやりとりをすべて任せられる
交通事故の被害者家族の中には、直接意思を伝えたいと弁護士ではなくご自身で保険会社などとやりとりをしたいと思われる方もいらっしゃいます。
交通事故の中でも死亡事故の損害賠償や示談交渉は専門知識がないと適正な内容で交渉をまとめることは難しく、時間もかかってしまう可能性があります。交通事故の案件を数多く手掛けている弁護士ならば、被害者側の意向を確認しながら、面倒な保険会社や加害者とのやりとりをすべて任せられます。
一家の支柱である方が亡くなった場合は、示談交渉がまとまるまでの期間、収入がなくなり生活に困るケースがあります。金額に制限はありますが、賠償金の中から一部を先に受け取れる仮渡金という制度があるので、弁護士に相談し手続をしてもらいましょう。
損害賠償が弁護士基準になる
保険会社は妥当な金額を提示してくれると思われる方もいらっしゃいますが、必ずしもそうではない場合があります。
慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)の3つの基準があり、弁護士が交渉することで、一番高額な裁判所基準での金額で交渉できます。
死亡した被害者の損害賠償以外に、遺族に対する損害賠償も請求できます。葬儀費用なども請求できますので、弁護士に請求できる内容を確認しましょう。
逸失利益を請求できる
死亡による逸失利益とは、交通事故の被害者が死亡していなければ将来にわたって得られるはずだった利益です。
算定方式:基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
ライプニッツ係数は、事故日が令和2年4月1日以降か、それ以前かによって異なります。
基礎収入額は有職者や無職者、高齢者などによって計算方法が異なり、生活費控除率も一家の支柱であったかどうかでも異なります。詳しい計算方法は弁護士にご確認ください。
裁判の対応をすべて任せられる
加害者側の保険会社からの提示に納得がいかずに裁判になるケースがあります。裁判になるとご自身での対応が難しいと思われますので、比較的早い段階から弁護士にご相談いただくのが良いでしょう。
死亡事故における民事事件の裁判は、被害者遺族が原告、加害者が被告となり損害賠償について裁判が行われます。一般的に保険会社から提示された金額よりも裁判をした方が賠償金の金額は高くなります。これは裁判所基準(弁護士基準)といわれ、弁護士にご依頼いただくことで、この裁判所基準での金額で保険会社との示談交渉を任せられます。
死亡事故における刑事事件の裁判は、検察官が原告、加害者が被告となり、被害者遺族は証人にはなれても当事者にはなれません。
ただし、“被害者参加制度”が設けられ、許可が下りると公判期日に出席できます。この制度は当事者だけでなく弁護士などの代理人でもできるので、裁判の対応すべてについて任せられます。制度の概要などは下記のサイトをご確認ください。
弁護士費用がかからない場合がある
ご加入の保険に、弁護士費用特約が附帯している場合は、相談料・着手金は保険会社から支払ってもらえるため、弁護士費用がかからないケースがあります。
内容によってはご負担いただく場合もございますので、相談時に弁護士に詳細をご確認ください。
相続の問題についても相談できる
交通事故でご家族を亡くされた方は、同時に相続の問題に直面します。相続はプラスの財産だけと思われる方もいらっしゃいますが、借入などマイナスの財産があるケースもあります。
交通事故は予測できないため、遺言書など相続に関する準備もされていない方がほとんどです。時間に追われ、とりあえずと相続してしまうと、後でトラブルになる可能性もあります。弁護士にご依頼いただければ、同時に相続の問題にも対処してもらえます。
慰謝料は誰が請求するのか
ご家族が死亡事故で亡くなられた場合は、損害賠償等は相続人に請求できる権利があります。死亡者本人分の慰謝料は相続人が受け取り分配されます。遺言書があればそれに準じて分配される場合もありますが、交通事故の場合は遺言書がない場合が多く、その場合は法定相続分によって分配されます。
相続人が複数人いらっしゃるケースでは、保険会社からは支払い先は1か所にして欲しいと言われる場合があり、代表者が受け取り、後に分配するケースが多いようです。
被害者遺族に対する慰謝料は遺族本人が請求し、受け取ります。
慰謝料に相続税はかかるのか
死亡事故の死亡慰謝料は相続税や所得税の対象にはなりません。
参照:No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき|国税庁
ただし、被相続人が損害賠償金を受け取る前に死亡した場合は、損害賠償金を受け取る権利が相続財産となり、相続税の対象になります。
相続放棄と損害賠償請求
死亡事故で亡くなった方の死亡慰謝料は、相続放棄をすると請求する権利がなくなります。請求をする権利が相続人にあるためです。ただし、遺族に対して支払われる慰謝料はその方個人に対して支払われるものであるため、請求できます。
死亡事故の被害者家族が弁護士に依頼した際の費用相場
ここでは、死亡事故の被害者家族が弁護士に依頼した際の費用相場について解説します。
相談料・着手金
交通事故のご相談は、初回相談が無料のところが増えています。
被害者または同居家族の方が、任意保険に弁護士費用特約を付けていた場合は、弁護士への相談料および着手金は、保険で賄えるケースが多いでしょう。
弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用を補償する特約です。この制度を上手に利用すれば、自己負担なしで弁護士に依頼できる場合があります。
弁護士費用特約については、下記の記事をご参照ください。
弁護士費用特約にご加入されていない場合でも、ネクスパート法律事務所は初回相談が無料です。
報酬金
被害者側からご依頼いただいた場合は、依頼人の負担がないように成功報酬制をとっているところが多いようです。
ネクスパート法律事務所では、交渉で損害賠償金を獲得できた場合は、報酬として15万円+経済的利益の10%(税別)をいただきます。調停や訴訟、その他の法的手段によって解決した場合には、20万円+経済的利益の10%(税別)をいただきます。
事故の状況やケースにより、金額は変更になる場合がありますので、相談の際に弁護士に詳細を確認しましょう。
上記の報酬金は加害者側から受け取る金額から精算できますので、自己負担金はないケースが多いでしょう。
まとめ
交通事故のなかでも死亡事故についての問題を解決するためには、さまざまな知識が必要です。
交通事故における死亡事故についてお悩みのことがあれば、ネクスパート法律事務所にお問い合わせください。
ネクスパート法律事務所ではご相談を24時間受け付けておりますので、まずはお電話、メール、お問い合わせフォームよりご連絡ください。