交通事故の通院はいつまで続ければいい?通院回数・頻度は慰謝料に影響する?

交通事故による怪我の治療のための通院は、いつまで、どのくらいの頻度で通えばいいのか分からない方もいらっしゃるでしょう。

子の養育や親の介護、仕事の都合などで医師の指示通りに通院できない場合、加害者側から支払われる入通院慰謝料は少なくなるのでしょうか?

通院期間や頻度によって、慰謝料は増減するのでしょうか。

この記事では、交通事故による怪我の通院期間・頻度やこれに関連する入通院慰謝料について解説します。

交通事故の通院はいつまで続ければいい?

ここでは、交通事故の通院はいつまで続ければ良いかについて解説します。

交通事故による怪我の治療・通院は、主治医が治癒または症状固定と診断するまで続けましょう。

症状固定とはこれ以上治療しても症状が改善しない状態であるため、症状固定後の治療費は損害として認められないのが原則です。

ただし、怪我の内容や程度によっては、症状を維持するために治療が必要になることもあります。

例えば、以下のような場合です。

  • リハビリテーション等により症状の悪化を防止する必要性が認められる場合
  • 遷延性意識障害等により生命を維持する上で治療の必要性が認められる場合
  • 症状固定後も残る強い身体的苦痛を軽減するために治療の必要性が認められる場合

このような場合には、その治療内容が相当である場合には損害として認められることがあります。

交通事故による傷病ごとの標準的な通院期間は?

ここでは、交通事故による傷病ごとの標準的な通院期間を紹介します。

打撲等の軽傷|1か月程度

骨折や神経症状を伴わない軽い打撲や軽い挫創(傷)の場合は、通常、痛み・腫れが引けば治療終了となるでしょう。

そのため、通院期間は2週間から1か月程度に収まるのが一般的です。

むちうち|3か月~6か月程度

交通事故によるむちうち受傷(外傷性頚部症候群)は、統計上、同症患者の7割が3か月で軽快・治癒すると示されています。通常、遅くとも6か月以内に症状固定に至ると考えられているため、通院期間は3~6か月程度となるのが一般的です。

なお、頚椎の脱臼・骨折や頚髄損傷は、外傷性頚部症候群に含まれません。

【交通事故】むちうち治療の注意点・治療費・慰謝料相場を解説

骨折|6か月程度

交通事故による外傷で骨折した場合の通院期間の目安は、骨折の部位・程度や被害者の年齢・健康状態にもよりますが、一般的に6か月程度と言われています。

複雑骨折や多発骨折の場合には、1年以上の通院が必要になることもあります。

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交通事故で毎日通院すれば通院慰謝料は増額する?通院回数・頻度の注意点

ここでは、交通事故の通院回数や頻度に関する注意点を解説します。

慰謝料は毎日通院すれば高額になるわけではない

入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、以下を基礎として基準額が定められており、それに基づいて算定されます。

  • 自賠責基準:実通院日数の2倍または総治療期間のいずれか少ない方
  • 任意保険基準:各保険会社が定めた基準(非公開)
  • 弁護士(裁判)基準:入通院期間

入通院慰謝料の算定では一切の事情が考慮されるので、必ずしも基準どおりにはなりません。

子の養育や親の介護、あるいは仕事等の都合により予定より早期に通院を打ち切った場合は基準より増額されることもあります。逆に、通院の必要性が乏しいのに通院を続けていた場合は基準より減額が考慮されます。

裁判実務では、通院が長期にわたる場合には、症状・治療内容・通院頻度を踏まえ実通院日数の3倍~3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがあります。

通院回数・頻度が高すぎると示談交渉で揉める可能性がある

通院回数や頻度が高すぎたりすると、後の示談交渉において加害者側の保険会社から治療内容の相当性が疑われ、入通院慰謝料が減額される可能性があります。

逆に、通院頻度が少なかったり、前回の通院から日が空いたりすると、保険会社から治療の必要性を疑われ、治療費の打ち切りや症状固定を打診されるリスクが高くなります。

通院回数・頻度は主治医の指示に従うのが原則

交通事故による怪我の治療は、主治医の治療方針に従って必要な期間に適切な頻度で受けることが重要です。

入通院慰謝料の増額を目的として、不必要な治療を受けると、その治療の必要性・相当性が否定され、思いもよらぬ結果に至る可能性があります。

交通事故の治療における注意点や治療費の支払方法・標準的な治療期間を解説

交通事故の通院交通費は加害者に請求できる?

ここでは、交通事故の通院にかかる交通費も加害者に請求できるかどうかについて解説します。

通院交通費も加害者に請求できる

交通費は、交通事故と因果関係のある怪我や病気の治療のために、被害者自身の入退院や通院に要したものにつき損害として認められます。

裏を返せば、交通事故と同時期に受傷・り患したものでも、当該事故と関係のない怪我や病気については、治療費はもちろん通院交通費も加害者には請求できません。

交通事故と因果関係のある怪我や病気の治療でも、症状固定に至れば、その後の治療費や通院交通費は損害として認められないのが原則です。

なお、近親者が付き添いのために使用した公共交通機関の運賃は、付添の必要性がある場合に限り、認められることがあります。

通院交通費として認められる費用

公共交通機関の運賃

通院交通費として認められるのは、原則としてバス電車等の公共交通機関の運賃です。

公共交通機関を利用した場合は、通院先・通院日・利用交通機関・往復の金額を明らかにすれば足り、電車・バス等の領収書を提出する必要はありません。

自家用車利用の場合のガソリン代等

自家用車を利用した場合は、その必要性・相当性が認められれば、ガソリン代のほか高速道路料金や駐車場料金などの実費相当額を請求できます。

高速道路料金や駐車場料金は領収書を提出して実費相当額を請求します。ガソリン代については移動距離1kmあたり15円で算定する例が多く見られます。

タクシー代

傷害の程度およびその他の事情によって、公共交通機関での通院が困難である場合には、タクシー代が損害として認められることがあります。

タクシー利用が相当と認められるのは、以下のような場合です。

  • 歩行に支障がある場合
  • 医師からタクシー利用の指示が出ている場合
  • 地理的に公共交通機関を利用するのが困難な場合

タクシー代を損害として請求する場合は、領収書を提出して利用日と金額を明らかにする必要があります。

通院以外の交通費も、それが交通事故と因果関係のある損害であれば賠償請求の対象となります。例えば、通勤・通学・日常生活の必要物の買い物の際に、身体の不自由や安全確保のためにタクシーを利用した場合なども、相当性のある損害と認められることがあります。

まとめ

交通事故による怪我の通院治療は、怪我の状況や程度により、医師が必要と認める頻度・期間で受けることが重要です。

必要がないのに通院を続けたり、慰謝料増額を目的として通院頻度を増やしたりすると、加害者側から事故との因果関係を否定され、治療費や通院交通費の支払いを受けられないおそれがあります。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士(裁判)基準で入通院慰謝料を算定・請求してもらえるので、加害者から支払われる慰謝料を増額できる可能性があります。

交通事故による通院や治療終了後の示談交渉にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

 

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